• 美容
  • ライフスタイル
  • 健康
  • ファッション
  • スピリチュアル
  • DIY女子部
  • 恋愛
  • 大人の美学

【本紹介】女のダークサイドに浸る、「OUT」と「グロテスク」な小説

Date:2013.01.05

女の子ってね、本当に可愛いと思うんです。女性誌を見ると、載っているのは、恋愛とダイエットとおしゃれと美味しい物ばかり。キラキラしてふわふわして、かぁーわーいぃいー。ムツゴロウさんが犬とたわむれるように、「よーしよしよし」ってハグハグしちゃいたくなります。

けど。けどさ、オンナってそれだけじゃないわよねー。見た目はか弱そうでも儚げでも、奥底には沼が潜んでいたりして。そんな女性が持つ“沼”をお腹いっぱい見せつけてくれる小説、それが「OUT」と「グロテスク」です。

女たちの泥沼劇「OUT」

51歳のヨシエ、42歳の雅子、40歳の邦子、30歳の弥生の4人は郊外の弁当工場で働くパート仲間。それぞれに、痴呆症の姑の介護や家庭崩壊、浪費によるカード破産や夫の暴力などの悩みを抱えながらも平穏なふりをして働いていました。

しかし、パート仲間の夫の死とその死体解体をきっかけに、平穏な日常が崩壊していきます。死体解体の問題に、外国からの出稼ぎ労働者やヤクザまで絡んできて、“普通の主婦”が坂道を転がっていく様子が緊張感を持って迫る迫る!迫りくる!!

篠田節子の『女たちのジハード』が女のための冒険譚なら、こちら桐野夏生による『OUT』は女たちの逃亡劇です。逃亡劇といっても何から逃げてるか分からないんだけど、とにかく女たちは“何か”に追い立てられています。

この「追い立てられる」感じ、女性なら誰もが味わったことがあるのでは?読後の爽快感はないけど、読んでいる最中は夢中になれますよ。秋の夜長のお伴にどうぞ。

実際の殺人事件をモチーフにした「グロテスク」

女は、見た目が一番だ。男は仕事や収入がステイタスになるけれど、女はどんなに頭が良くても仕事ができてもスポーツが上手くても、結婚してなくて彼氏もいなくて恋愛経験が少ないとそれだけで不良品に見られる。

稼ぎがあっても、若さと美貌には勝てない。仕事が出来るだけじゃダメ、美人で恋愛もしていて仕事が出来て一人前。ちっくしょー!そんなスーパーウーマンは一握りだよ!!って悔しく思った経験のある方、心当たりのある方が「グロテスク」を読むと暗黒ワールドに引き込まれます。ずるずると。

「グロテスク」の物語の軸になる登場人物は3人。怪物的な美貌を誇るユリコと、ユリコの姉だけどユリコとはちっとも似ていない平凡な外見の「私」、そして名門女子校で「私」と同級生だった秀才の和恵。

ユリコと和恵は30歳後半にして娼婦になり、相次いで殺されてしまいますが、物語で書かれるのは「殺人事件」ではなくて3人の女の生き様。もしくは死に様。「グロテスク」というタイトル通り、女の悪意ある異様な心理状況がかなりグロテスクに描かれています。

中でも最も「私」の悪意が研ぎ澄まされるのが、3人が通った名門女子校での描写。幼稚舎からエスカレーターで上がってきた本物のお嬢様たち内部生による、受験で入ってきた外部生差別で「私」と和恵は誇りを奪われていきます。

うーわーあー、幼稚舎から大学までそろってる名門私立校の内部なんて、こんなものなのかしら?なんて思わされます。

女子校や娼婦や殺人事件のエピソードの他にも、女子校の同級生が入信した新興宗教がおこした事件や殺人事件の容疑者の生い立ちについてなど、内容は盛りだくさん!悪意も盛りだくさん!

ちなみに、和恵は1997年の3月におきた東電OL殺人事件の被害者をモデルにしているそうです。昼は一流企業社員、夜は娼婦として働いていた女性の闇の部分を垣間見せてくれます。

一滴の血も流れないのに、そんな描写はないのに、女の内部を流れるどろどろとしたどす黒い血液を見せつけられたような気分になる、そんな一冊ですよ。

この記事をシェアする

関連記事