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本業は大学教授?ずっと愛し続けたい作家・上橋菜穂子の作品に迫る!

Date:2013.09.23

数々の名作を生み出し続ける作家として、また文化人類学者や大学教授としても活躍中の女性として有名な、上橋菜穂子さん。特に児童文学作家としては、国内外を問わず、数々の賞を受賞していますし、またアニメ作品として映像化された作品も複数あります。

今回は、そんな上橋菜穂子さんの作品と、様々な作品の根底に共通している魅力とについて、紹介してみたいと思います。

上橋菜穂子さんの作品……代表作には、どんなものがあるの?

上橋菜穂子さんが児童文学の作家としてデビューされたのは『精霊の木』という作品がキッカケでした。その後『月の森に、カミよ眠れ』という作品で、日本児童文学者協会新人賞を受賞します。

『精霊の守り人』では、野間児童文芸新人賞と、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞しています。この『精霊の守り人』は、上橋菜穂子さんの一つめの代表作と言える一大シリーズとなります。

英訳もされましたし、1作目以外でも、シリーズ中の作品がそれぞれに様々な賞を受賞していますし、「守り人」はシリーズとしても、巌谷小波文芸賞を受賞しています。

上橋菜穂子さんのもうひとつの代表作と言える作品が『獣の奏者』です。こちらは受賞という受賞はしてはいませんが、2巻までで完結の予定だったものが、年月を経て4巻+外伝の長編となり、また『精霊の守り人』同様、アニメ作品として放映もされているという特徴があります。

上橋菜穂子さんの作品の魅力・1;食べ物がおいしそう!

すぐれた作品には、「食べ物が美味しそうに描かれている」という共通点がありますが、上橋菜穂子さんの一連の作品にも、この特徴が当てはまります。

「これを食べてみたい!」「作ってみたい!」となることも多いかと思いますが、そんな人たちのために、作中に出てくるメニューについてのレシピ本も発売されています。

南極料理人のチームが監修し、特別な具材や調味料が一切必要とされないレシピは、作品をより「味わう」ことのできるようになる、ステキな1冊となっています。

上橋菜穂子さんの作品を読むにあたっては、食に注目することは少し大切な意味を持っています。例えば現実世界では、地域によって主食になっている食べ物が異なっていたり、同じ食材でも、調理法や味付けが違っていたりといったことがあります。

それと同じように上橋菜穂子さんの作品では、人々の暮らす文化圏によって、出てくる食べ物の様子も変わってくるのです。ファンタジー作品が主ではありますが、まるでグルメ紀行を楽しむかのようにしても、作中の世界を巡ることができます。

上橋菜穂子さんの作品の魅力・2;視点が織物のように精緻で多彩!

それぞれの作品には、もちろんそれぞれの主人公がいて、それぞれの視点が描かれています。けれど上橋菜穂子さんの作品では、その視点の幅が非常に広いのです。

例えば「神の視点」のような、全体を俯瞰するような視点と、地を這う虫の1匹を追うような視点とが交錯します。同時進行で語られる「横」の視点も描かれますが、人間1人の人生だけではおいきれない「歴史」としか言い様のないような、残酷なまでに深い時間の溝も描かれます。

異なった文化が描かれると当時に、人類全体に共通するようなテーマも描かれます。……それらが、それぞれ単純に二項対立として描かれるのではなく、1枚の織物をつくりあげるかのように編み込まれ提示されるのです。

それは、文化人類学の学者としての顔も持っていることから来る魅力なのかもしれません。1つの作品の中で、これほどまでに深く・広い世界を感じることができるものなのかと、それだけでも、感動を覚えてしまう程です。

また「歴史」や「伝わるように伝えること」といった点に関しては、共通したテーマとして描かれているように感じます。

代表作の1つである『獣の奏者』に特に顕著ですが、『精霊の守り人』シリーズでもそうした視点が重要な位置にありますし、『狐笛のかなた』でも、伝えられるべき情報の断絶、というものがキーとなっています。

上橋菜穂子さんの作品の魅力・3;女性や恋愛の描かれ方がステキ!!

上橋菜穂子さんの作品において、個人的に特に魅力を感じているのが、「描かれている女性が、みんなカッコいい!」という点です。

その頂点にいるのは『精霊の守り人』シリーズの、短槍使いのバルサです。彼女は、児童文学の主人公としては(もしかしたらファンタジー作品や、そもそも文学界全体としても)珍しい、結婚していない・子どもも持っていない30代の女性です。

預けられた子どもを母親代わりとしてではない存在として守り育み、男女の筋力や体格差が厳然として存在する中で強者の武人として生きています。

「パートナー」として、タンダという青年も出てきますが、2人の間に何があるのか・何がないのか等、具体的なことはほとんど語られません。

恋愛に類するような感情・関係性があることは匂わされますが、そこがメインとなることは基本的にありませんし、2人の関係性は「パートナーシップ」という言葉で表すことが適切と思えるような、非常に個別のものとして描かれています。「恋愛ものではない」中で描かれている点が魅力なのですね。

もちろん魅力的なのは、バルサのような武闘派の女性だけではありません。まさに「女性らしい」特徴を持った人物たちにも、それぞれの強さや弱さ、魅力がしっかりと描かれています。記号としてではない、リアルで様々な女性の魅力が描かれているのです。

例えばバルサとは対照的に『獣の奏者』の主人公・エリンは、戦いの場に身を置かざるを得ない環境にもありましたが、研究者であり、保護者です。武器を持つことはなく、戦いを憎む女性です。その彼女の生き様もまた、カッコいいのです。

上橋菜穂子さんの作品に出てくる女性は、様々です。いろいろな選択をします。恋愛をすること・しないこと、伴侶を持つこと・持たないこと、結婚すること・しないこと、子を持つこと・持たないこと。それらの全てが「自然」なものとして描かれています。

そのことに憧れ、また安心して読むことができるのかもしれません。

いかがでしたでしょうか。ファンタジー物語としてだけでなく、現代に暮らす1人の女性としても、とても魅力を感じることのできる作品たちばかりかと思います。機会がありましたらぜひ、お手に取ってみてくださいね!

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