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夢と現実の区別がつかないのは病気?夢を現実と思い込む現象の正体

Date:2016.10.23

shutterstock_419498815朝起きて、「今のは夢?それとも記憶?」と混乱したことがありませんか?

「昨日あの子と大ゲンカしちゃったんだよな……」としょげていたら、当人に「ケンカなんかしてないよ?」と言われ、そこで初めて「夢の中でのケンカだった」と自覚した経験はありますか?

こうした「現実感の強すぎる夢」に悩んでいる人たちは、たくさんいます。

笑い話で済む程度ならばいいのですが、夢と現実を混同してしまうことで仕事や生活に大きな弊害をもたらすケースもあり、当事者は真剣に悩むことが多いもの。

今回は、そんな「現実感が強すぎて、夢と思えないような夢」についての悩みを和らげるべく、そういった夢を見る原因や、どうすればその夢を見づらくなるのかについて、まとめました。


1、「夢と思えないような夢」って一体どんなもの?

経験したことがない人にこの夢を説明しようとすると、言葉に詰まってしまいます。夢と記憶の境目が曖昧であるという感覚は、なかなか言葉で説明しにくいものです。

そこでまずは、この夢を見たときの具体的な状態を説明してみましょう。

  • 朝起きたとき、今見ていたものが夢なのか現実なのか分からない、という感覚がある
  • 「ケンカした」「仕事した」など現実の出来事だと思っていたことが、じつは夢だった
  • 朝起きて出勤し、働いているつもりでふと気づいたら、まだ布団の中にいた

など。

当事者の経験に応じて、他にも無限のパターンがあると思われます。

「働いたつもりが実はまだ夢の中だった、なんだか損した気分だよ〜」なんてジョークにできる状況ならばまだ良いのですが、この夢のおかげでトラブルを引き起こしたり、巻き込まれたりする可能性だってあるんです。

2、笑い話では済まないことも…「現実感の強すぎる夢」が引き起こすトラブル

夢が原因でトラブル?そんな大げさな、と思われるかもしれません。でも、次のようなケースを想像してみてください。

ケース1:友達とケンカした夢

夢の中でかわした会話を、現実のものと思い込んでしまう場合、「誰かとケンカした」という出来事は夢ではなく「記憶」として脳に定着します。

「仲の良かったAさんとケンカした」という「記憶」があれば、こちらから連絡をしなくなったり、行き会っても避ける行動をとったりしませんか?

頻繁に顔を合わせる機会のあれば、どこかのタイミングで「つじつまが合わないな、夢だったのかも」と気づくかもしれません。また、「謝罪しよう」と決意すれば、謝った相手にびっくりされて「夢だった」と分かるでしょう。

でも、そうしたきっかけがない場合、そのまま本当に疎遠になってしまう可能性も、現実としてあるのです。

ケース2:仕事の打ち合わせの夢

仕事の夢を記憶と思い込んでしまうケースは深刻です。この場合考えられる弊害のパターンとしては

  • 夢の中で決めた期日を現実と思い込み、現実でスケジュールを勘違いしてしまう
  • 重要な打ち合わせの夢を現実と思い込み、製品仕様を変えてしまう
  • 夢の中で上司や部下と交わした会話を現実と思い込み、関係性に支障をきたす

経験のない人には「そんなことはあり得ないだろう」と思えるかもしれません。でも何度も言うように、「現実と混同してしまう」のがこの夢の特徴です。

感情や状況が動く何らかの夢を、夢でよかったとか、夢で残念とかいう感覚ではなく、あくまでも「現実の記憶」として処理してしまう。それは場合によっては非常に恐ろしいことと言えます。

3、こうした夢を見る人は、実際どれくらいいるの?

「現実感の強い夢」で起床時に混乱した経験のある人は、意外にも大勢います。

起床時の混乱(睡眠酩酊)の経験者は、7人に1人いる

神経系の疾病治療をする医師に向けた医学専門誌『Neurology』によると、「朝起きたとき頭が混乱する=睡眠酩酊」を経験したことがある人は7人に1人の割合とのこと。(※アルコールによる影響は除外した上での数字です)

アメリカ人約2万人を対象にした調査では、

  1. 前年(1年間)に1度以上の経験者は、約15%
  2. 経験者のうち「週に1度以上経験する」と答えた人は、約50%

にものぼります。

「夢を現実と信じ込む」までは至らずとも、起床時の現実と夢の混同は、決して珍しいことではないんです。

研究はまだ発展途上、さらなる成果が待たれる

悩む人の数が多いにも関わらず、この現象の研究はまだ発展途上というのが現実。脳の分野はまだまだ解明されていない部分が多く、はっきりとした原因や治療法の開拓にはもっと進んだ研究が待たれます。

とはいえ、全く解明されていないわけでもありません。次章以降ではこの現象で本当に困っているあなたのために、今解明されている範囲での原因や、個人がとり得る対策をお伝えしていきます。

4、病気?ストレス?「現実感の強すぎる夢」を見る原因は

「現実感の強すぎる夢」の原因と考えられている事柄について、見ていきたいと思います。

が、原因を理解するために、まずはちょっとだけ「夢」のメカニズムについて知っておきましょう。

脳が夢を見るメカニズム:「夢」と「記憶」の境目は?

ご存じのとおり、人間の眠りは

  • レム睡眠(夢を見る、浅い眠り)
  • ノンレム睡眠(夢を見ない、深い眠り)

の二つが交互に訪れることで成り立っています。

夢を見るのは「レム睡眠(浅い眠り)」のとき。そして見た夢は通常、直後に訪れる「ノンレム睡眠(深い眠り)」の際に忘れてしまうのだそうです。

明け方に見た夢は覚えていることが多いですよね。これは、夢を見たあとにノンレム睡眠が訪れず、そのまま目覚めるためなのです。

たまに「まったく夢を見ない」と言う人がいますが、じつはその人もレム睡眠のたびに夢を見ています。ただノンレム睡眠で忘れてしまうため、「見た」という記憶が残らないのです。

「夢を見た」という記憶が残るのはOKですが、夢そのものが「記憶」として定着してしまうのは困りますよね。いったい、「夢」と「記憶」の境目って、脳はどう判断しているのでしょうか?

脳の判別基準はズバリ、「周囲の状況のつじつまが合っているか否か」。つまり、つじつまが合っている夢は「現実の記憶」と思い込んでしまうのが脳の基本システムなのです。

空を飛ぶなど現実にあり得ないような出来事や、マーブル模様のライオンが出てくるなんていうファンタジックな夢なら、脳もすぐに「夢だな」と判別できます。ところが、

  • 実在の人物が登場した
  • 実際ありそうな会話をした
  • 現実の続きのような仕事をした

など、「いかにもありそう」な夢は「記憶だ」と勘違いする事態が起こりやすいのです。

これをふまえて、「現実感が強すぎる夢」が現れやすい原因を、順番に見ていきましょう。

原因1:中途覚醒(自覚がないものも含む)

中途覚醒とは、文字どおり「寝ている途中で目覚めてしまうこと」。自覚がある場合もありますが、じつは目が覚めたことを全く覚えていないケースも多いと言われています。

中途覚醒は眠りの浅い「レム睡眠」時に起きやすく、夢の記憶は脳から削除されず、残ります。「夢を見た」という記憶なら問題ありませんが、夢そのものを「経験した」記憶として残してしまう場合があるのですね。

中途覚醒を引き起こしやすい原因は人により様々です。

(1)年齢によるもの
一般に、年齢を重ねるほど眠りは浅くなる傾向があります。眠りが浅いと、ちょっとした物音や光、枕の感触など、些細な刺激に反応して覚醒しやすくなります。
(2)ストレス
強いストレスを受けたり、慢性的なストレスに晒され続けると、眠りが浅くなります。心配事に関連した悪夢を見る確率も高くなり、休息できない脳にも疲労が溜まります。
(3)睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が停まる病です。一般に「いびきがひどい」「日中の耐えられない眠気」などの特徴が見られます。息苦しさから中途覚醒しますが、覚えていないことも多いです。
(4)睡眠障害(ナルコレプシー)
ナルコレプシーは過眠症と呼ばれる睡眠障害の一種です。眠りのリズムが人と異なり、中途覚醒が多いのも特徴の一つ。「日中、活動の途中で寝てしまう」「夢か現実か混乱することが多い」などで悩まれる方が多い病気です。躊躇せず、医療機関での診療を!

中途覚醒は自覚がない場合が厄介ですが、なんとなく

  • 日中だるくてたまらない
  • ちゃんと寝ても疲れがとれない
  • 居眠りすることが多い

などに心当たりがあるなら、それは夜中目覚めているせいかもしれません。

とくに「夢と現実がごっちゃになって悩んでしまう」「現実に支障をきたしている」という方は、医師に相談するのも改善への一手です。

原因2:抗うつ薬など薬物の影響

精神疾患の治療のために処方される薬が、この現象を引き起こすこともあるようです。

  • うつ病
  • 不安神経症
  • パニック発作

などで投薬治療を受けている場合は、「現実感の強すぎる夢」に困っていることを、かかりつけの医師に相談してみるのが良いでしょう。

原因3:前日の睡眠時間が極端に短い、または長い

前述のアメリカ人約2万人を対象にした調査では、前日の睡眠時間が

  • 短すぎた(6時間以下)
  • 長過ぎた(9時間以上)

この二つの場合に、睡眠酩酊を体験しやすいという結果が出ています。

一時的なものであればそんなに気にする必要はありませんが、常に睡眠が短すぎる・または長すぎるという人は、生活リズムの改善が解決への早道かもしれません。

5、悩んでいるひとのための、心がけるべき対策

このような原因を踏まえ、「現実感の強すぎる夢」に悩む人が、個々人でとれる対策をまとめてみましょう。

対策1:睡眠習慣を見直す

中途覚醒が原因の場合、まず睡眠のリズムや環境を整えることからチャレンジしてみましょう。

  • 早寝早起きを心がける
  • 枕・布団・パジャマなどの寝具を心地よいものにかえる
  • 日中、適度に身体を動かす
  • 太陽の光を浴びる
  • ストレスを溜め込まないよう気をつける

などなど。

なんといっても眠りは生活の、そして健康の基本です!病気ではなく不摂生で睡眠リズムが崩れているなら、そこを改善するだけで夢の質も変わってくる可能性があります。

対策2:夢日記をつける

夢を見た直後に日記をつけてみるのも手です。

文章に書くことで頭が整理され、現実とのわずかな違いも見えやすくなり、「あれ?これおかしいな」「もしかして夢かな?」と気づきやすくなります。

対策3:夢か現実か迷ったら「夢」の可能性が高い

「現実感の強い夢」に悩む人の多くは、

  1. すっかり現実だと思い込んでしまう「夢」
  2. 夢か現実か分からず、迷ってしまう「夢」

の両方を経験しています。

現実の記憶を夢だと思い込む……というケースは稀なので、「これって夢かな?現実かな?」と迷ったら、「迷ったということは夢かも」と考えてみましょう。

冒頭でお話した「誰かとケンカした夢」などの場合、現実だ!と思い込んで接するより「夢かも」と考えながら接した方が、余計なトラブルを回避できる確率が高いですよね。

仕事の夢でも同じです。迷ったらきちんと確認するクセをつけるとよいでしょう。

対策4:専門の医療機関に行ってみる

対策を実行しても夢に悩まされる場合は、医療機関を訪ねてみることをオススメします。

これは、症状の改善だけでなく、夢に悩むことによる精神的な重荷から解放される面でも大切なことだと思います。

眠りに関しては「甘えだと言われるのではないか」という恐れからか、人に相談できず孤独に悩む方も多いようです。

  • 睡眠外来
  • 心療内科
  • 精神科

など、安心して相談できる相手を持つことが大切なのではないでしょうか。

と言って、合わないお医者様に通うのだって、つらいもの。合わないと思ったら早めに別の病院でセカンドオピニオンを受けてみましょう。

自分に合う医師を見つけて、長い目で治療を受けていきましょう!

あなたは「おかしく」なんかありません!

たくさんの方が同じ現象に悩んでいます。「自分がおかしいのではないか」なんて思いは、全く必要ありません。

せわしない現代、まじめに一生懸命生きているあなただからこそ、「現実感のある夢」に悩まされたりするのでしょう。

つらい気持ちを抑え込まず、ときには人の助けを借りつつ、乗り切っていきましょう!

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