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男と女の十五夜。。あなたの中のおんなが目覚める、あの3つの恋物語

Date:2013.11.04

月を愛する日本人は、いにしえの物語の中にも十五夜を織り込んだ名シーンを生み出しています。儚い恋、誇り高き恋、真実の恋・・・今年の十五夜は、あなたにも流れる和の女ごころに揺れてみませんか?

今は昔、竹取の翁といふ者ありけり・・・ 竹取物語

十五夜と聞けば、浮かぶのはかぐや姫ですよね。虜となった貴族たちを難題で振り回し、時の帝からの入内の求めさえ拒み、超然と清らかに輝く絶世の美女。日本女性の原型とは、かくも気高き存在なのですね。

また、日本最古の物語というわりには、ずいぶんSFチックなお話でもあります。やはり白眉は、煌々と光る十五夜の満月から、並居る天人たちがお迎えにくるシーンでしょう。

月光は真昼より白く降り注ぎ、その光は、迎え撃つ帝の軍勢の力も奪い、閉め固めた屋敷の扉も次々と開け放ち、帰りたくないと泣いた姫も、月の衣を着せられるとすべて忘れて天に昇ってしまいます。

穢れた人の世にほんのいっとき降り立ち、その輝きで人々を魅了し、誰の手にも落ちることなく、誰の手も届かぬ処に行ってしまった、かぐや姫。姫のいなくなった地上は、彩を失った墨絵のような世界になってしまいました。竹取物語は、絶望の文学と言われています。

月の女性の冷酷なまでの処女性は、世界的な特色のようです。

ギリシア神話の月の女神アルテミスも処女神で、掟を破って男性(実はゼウス神)と交わって妊娠した侍女を、怒りから熊に変えその子に討たせたり、裸身を見た猟師の青年を鹿に変え、彼の猟犬に追い殺させたりしています。

この凄まじい拒絶感をもっと柔らかくしたものが、恥じらいなのですね。いくつであろうと、初々しさは男性のこよなき憧れを掻き立てる、もっとも原初的な女性の魅惑の源泉なのです。

中秋の名月は、年に一度、女が女であることを思い出させてくれる鏡に映すような日かもしれませんね。

六条わたりの御忍び歩きのころ・・・ 源氏物語 夕顔

世界に誇る日本文学の筆頭といえば、紫式部の 「源氏物語」。本邦一のプレイボーイである光源氏が出逢ったあまたの女たちの中でも、ひときわ印象を残す存在が夕顔という女です。

縁あって、初めて庶民の暮らす界隈へ足を踏み入れた17才の源氏は、ある女と出逢います。夕闇に浮かぶ名も知らぬ白い花を、白扇に乗せて送ってきた女、それが夕顔です。こんな場所でこんな情趣を解する女がいるとは・・・。

その花のごとく、優しくなまめかしくどこまでも素直な夕顔に夢中になり、長年の愛人、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)への訪いも、おのずと間遠になる源氏です。

先の東宮妃という高い身分の御息所は、年下の男に翻弄される立場に深く思い悩むことになります。

このお忍びの恋は、衝撃的な幕切れを迎えます。甘いむつごとを交わした十五夜が明けて、源氏の遊び心から廃屋に伴われた夕顔は、突然現れた女の生霊に襲われ、儚く息絶えてしまうのです。

誇り高い生身の大人の女と、精霊のようにか弱い若い女との対比が鮮やかな、源氏物語中でも屈指のこの名場面は、中秋の名月が消えた朝を舞台にしています。

生霊となるほどの業を宿した六条御息所は、意外に女性からの支持が高い人物です。嫉妬の苦しみは、誰もが解かるからでしょうね。

女が惹かれる女と、男が惹かれる女。その間には、永遠の断絶があるのかもしれません。千年も昔から、男と女は変わらずこんなことをやっているのですね。

明け果つるほどに消え果て給ひぬ・・・ 源氏物語 御法(みのり)

光源氏には、紫の上という愛妻がいます。この人は、幼少の頃に略奪されるように屋敷に連れてこられ、源氏の手によって理想の女性に育て上げられた、源氏物語の真のヒロインです。

その経緯もあって身分に格はありませんでしたが、紫の上は誰もが認める女主人として、源氏はもとより人々からも敬愛されてきました。

ところが、今更という年月のあとで、源氏は朱雀院の皇女という破格の身分の姫、女三宮(おんなさんのみや)を正妻として迎え入れたのです。

打ちのめされた紫の上は、やがて床に臥せるようになります。源氏はといえば、そのひとすじの愛を裏切ってまで手に入れた女三宮のあまりの幼稚さに失望し、紫の上への愛はいや増すことになるのですが、時すでに遅く、紫の上はこの世を去ってしまいます。

一周忌を終えた八月十五日、源氏は紫の上が書いた手紙の束を見つけます。それは、かつて政敵によって須磨へと流された源氏を思って、遠い都から毎日のように送られてきた、愛の手紙でした。墨色も懐かしいそのふみを、出家を決意した源氏は火にくべます。

十五夜の日に天へ昇っていく煙は、かぐや姫を失った帝が不死の薬を焼いた場面を思い出させます。

人々の愛を一身に受けてきた二人の男は、愛するという無上の幸せが永遠に失われたことを悟り、見えない満月に向かって、どうにも取り返しのつかない寂しさにひれ伏すのですね。

これほどまでに愛されたいと思うか、これほどまでに愛したいと思うか・・・中秋の月光は、深い問いを投げかけてきそうですね。

源氏物語を書かせた中秋の名月

滋賀県大津市の石山寺は、紫式部が源氏物語を執筆した伝説が残るお寺です。

仕えていた中宮、藤原彰子(ふじわらのしょうし)の求めで新しい物語を書くためこちらに篭り、琵琶湖に映る中秋の名月を眺めていて浮かんだ一節が、「今宵は十五夜なりけりと思し出でて、殿上の御遊恋ひしく・・・」 。

遠流の地の名月に、昔日の栄光を想う貴人、というイメージを膨らませて書かれたのが 「須磨の巻」 です。紫の上が愛の手紙を送って、傷心の源氏を支え続けたあの日々が、物語の中核となったのですね。

この名月がなければ、世界的にも類を見ない傑作 『源氏物語』 は生まれなかったのかもしれません。

式部も、かぐや姫が導く十五夜の魔力を身のうちに宿した女だったのですね。いにしえの日本の女の恋の遺伝子は、千年後を生きる私たちの中にも脈々と受け継がれています。

石山寺では、9月19日の中秋の名月当日から21日まで、源氏物語にまつわる連夜の雅びな催しが予定されています。ご縁があるといいですネ。

~舞台女優が教える美のレッスン

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