
土地をできるだけ高く売りたいなら、建物とは違う視点でアピールする必要があります。また、売却前にきちんと準備をすることも、高値売却のポイントです。
そこで、土地売却に失敗しないために、高く売るコツをまとめてご紹介します。「田舎の土地を売りたい」という場合のコツについても、ぜひ参考にしてみてください。
土地を高く売るために査定までにしておきたい準備まとめ
土地を高く売るためには、高く査定してもらうことが重要です。まずは、そのための準備を整えておきましょう。具体的な準備の内容は、以下の5つです。
土地を取得した理由と売却する理由をはっきりさせよう
土地は、相続で得ることが多いという特徴があります。
そこで、土地を取得した理由や売却したい理由を自分なりに整理しておくことが大切です。
- 相続で得ると土地取得の理由を知らないこともあるから
- 相続して不要だからという理由で売ると安値がつくこともあるから
- 土地に詳しければ買い手とのマッチングが上手くいきやすいから
相続で得た土地だとわからないことが多いので、不動産会社に上手く説明できないこともあります。その土地の利点を伝えられなければ、査定額が低くなる恐れがあります。
土地に詳しければアピールポイントがはっきりするので、買い手とのマッチングが上手くいく可能性が高くなるでしょう。
アピールポイントを明確にしよう
買い手だけではなく、査定の際にアピールできるポイントを担当者に伝えることで、高い査定価格がつく可能性にもつながります。
- 駅からの距離の近さ
- 車でのアクセスの良さ
- 学校や病院など公共施設までの距離
- 公園までの距離
- 商業施設までの距離
- おすすめのお店の紹介
- 治安の良さ
- 土地の形
- 道路と土地の接し方
- 土地用途が都市計画区域内であること
建物ではないので、アピールしたいのは利便性やアクセスの良さなど周辺環境に関するメリットです。
売却方法を決定しよう
不動産の売却方法には3種類あり、それぞれで異なる特徴を持っています。高く売りたい場合は「仲介」の方法を選びましょう。
| 売却方法 | 特徴 | 売却価格 |
|---|---|---|
| 仲介 | 不動産会社が売り手と買い手の間に入って売買を仲介 売却できるまでに時間が必要 |
相場に近い価格で土地が売れる |
| 買取 | 不動産会社が直接土地を買い取る すぐに土地が売れる |
相場より価格が低くなる(7割前後) |
| 買取保証 | 一定期間仲介で出す 売れなかったら不動産会社が買取 |
仲介で売れれば高く売れる 買取になったら価格は下がる |
買取は売却を急いでいる時、買取保証は一定期間内に売る必要がある場合に選ぶと便利です。
複数の不動産会社の査定を受けて依頼先を決めよう
土地が高く売れる、仲介での売却の流れを確認しましょう。
- 査定を受ける
- 売り出す価格を決める
- 媒介契約
- 売却活動を行い結果の連絡を受ける
- 売買契約
- 決済・土地の引き渡し
最初に査定を受けますが、価格設定は土地を高く売るうえでとても重要です。一か所だけではなく、複数の不動産会社で査定を受けましょう。
- 上手な査定の受け方とは?
- 一社だけではなく、複数の不動産会社の査定を受けることが重要。一括査定サービスの活用もおすすめ。高すぎる価格がついている不動産会社には査定の根拠を確認しよう。
「仲介」で土地売却を目指す場合、不動産会社が出す査定金額は、「このくらいなら売れるだろう」という価格です。
査定価格が高すぎる場合、「まずは高い査定結果を伝えて、契約を取ろうとしている」という可能性も。この場合、契約が終わった途端、価格を下げられる恐れもあります。
査定の根拠がはっきり言えない場合、その可能性が高いと判断できますので、十分に注意してください。
自分でも適正価格をチェックしよう
査定を依頼する際には、自分でも売却したい土地の適正価格を把握しておく必要があります。
- 路線価を使って算定する
- ポータルサイトを利用する
- 国土交通省の土地総合情報システムを活用する
だいたいの価格がわかっていれば、適正に査定してもらえたかどうかが判断できます。
土地を高く売るためには土地売却が得意な不動産会社を選ぼう
不動産会社選びも、土地の売却価格に大きく影響します。
信頼できる不動産会社選びのコツ
信頼できる不動産会社を選ぶことが、土地を高く売るためのポイントです。では具体的に、不動産会社はどのように見分ければ良いのでしょうか。
以下の項目に注目してみてください。
- 査定の根拠がわかりやすく説明できる
- 疑問点に対してきちんとした回答が得られる
- 不動産関連の知識が豊富
- 適切なアドバイスが受けられる
土地売却を得意とする不動産会社がお勧め!
不動産会社にも得意不得意があるので、信頼できる不動産会社の中から土地売却を得意とする不動産会社を選びましょう。
- 土地の売却実績が多い
- 土地の特性を把握できる
- そのエリアに詳しい
ホームページ上で入手できない情報については、査定時に聞いておくのがおすすめです。より安心して依頼できるでしょう。
契約方法は専任媒介契約か専属専任媒介契約だと売れやすい
不動産会社との契約方法には、以下の3つの種類があります。
| 種類 | 方法 |
|---|---|
| 一般媒介契約 | 複数の不動産会社と契約する |
| 専任媒介契約 | 1つの不動産会社と契約する 自分で見つけた相手には土地を売れる |
| 専属専任媒介契約 | 1つの不動産会社と契約する 自分で見つけた相手にも土地を売れない |
保証サービスや割引特典にも注目して
土地売却では、売った後にトラブルが起こると損害賠償の請求につながることもあります。保証サービスが充実していれば、安心してお任せできるでしょう。
また、土地を売ったお金をできるだけ多く手元に残すためには、コスト削減もポイントの一つ。仲介手数料割引特典がある不動産会社と契約するのもおすすめです。
囲い込みに注意
買い手も自分の会社の顧客の中から見つけて両方から仲介料を取る目的で囲い込みをする不動産会社もあるので、注意しましょう。
囲い込みをされると、以下のようなデメリットが生じ、土地がなかなか売れなくなります。
- 情報公開をしない
- 他社からの問い合わせがあっても応じない
「自分の場合は大丈夫なのか」と不安になった場合は、以下の方法で囲い込みに遭っていないかどうか確認しましょう。
- 問い合わせの件数が少なくないかチェックする
- レインズに売却する土地の情報が載っているか確かめる
- しきりに値下げを勧められる場合は要注意
- 気になる場合は他の不動産会社を通して自分の土地に問い合わせをする
万が一囲い込みに遭っていれば、他の不動産会社から問い合わせると商談中などと回答されます。早急に対処しましょう。
売却に向けた戦略は、土地の特徴に合わせて変えよう!
土地という商品に、同じものは決して存在しません。どの土地にも個性があり、その個性に合わせた売却戦略を練る必要があります。
土地売却で多い「古い家屋付きの土地」と「田舎の土地」について、それぞれの注意点やおすすめの戦略のコツを紹介します。
古い家が建っている土地の場合
これまで住宅用に使っていた土地の場合、土地だけではなく古い家屋もセットになっているケースが多く見られます。
築年数が古くなり、建物の価値がなくなると、土地のみの代金で取引されるケースが一般的。この場合に悩むのは、「古い家を取り壊すかどうか?」という点です。
古い家が残っている場合と解体する場合、それぞれにメリット・デメリットの両方があります。
| メリット | デメリット | |
| 古家付きのまま売却 | 解体費用がかからない 家の状態によってはそのまま住める 固定資産税は低いまま |
買主から、解体分の値引きを迫られる可能性がある 売却しにくい 古家の維持管理にお金や手間がかかる |
| 古家を解体して売却 | 土地が売れやすい すぐに売れなくても駐車場として活用可能 |
解体費用がかかる 売れないまま年を越すと固定資産税が高くなる恐れがある |
一言で「古家」と言っても、その状態はさまざまです。まずは「そのまま住めそうかどうか?」を基準に、判断してみましょう。
また具体的な戦略については、不動産会社担当者と相談しながら決定するのもおすすめです。
田舎の土地の場合
特に相続で多いのが、「両親が所有していた田舎の土地を相続したが、使い道がなく、売却したい」というパターンです。
都会と比較して、土地が豊富にある田舎。利便性が悪ければ、求める人も少ないでしょう。このため、「都会よりも売却が難しい」という特徴があります。
売却の流れそのものは、都会と変わりませんが、いくつか注意点もあります。
- 土地の価格設定が重要
- 長期戦を覚悟する
- 一般媒介契約がおすすめ
もともと売れにくい田舎の土地ですから、高すぎる価格を付けてしまうと、売れる可能性は低くなります。周辺の価格リサーチは、特に念入りに行いましょう。
また、売却までに時間がかかりやすい点も、田舎の土地ならではの特徴の一つ。そもそも求める人が少ないため、都会ほどスピーディーに事が進んでいきません。
土地の売却には専任媒介や専属専任媒介契約がおすすめされるケースが多いですが、田舎の場合は少し状況が異なります。
一般媒介であれば、複数の不動産会社が売却活動を行ってくれます。間口が広がる分、より多くの人の目に触れるチャンスが生まれるでしょう。
土地を売却するなら知っておくべき知識まとめ
土地を売却するならぜひ知っておきたい知識について、確認しましょう。
土地売却をするなら境界線・面積をはっきりさせて
土地売却をするなら、境界線をはっきりさせ、正確な面積を伝えることが重要です。
- 権利書
- 測量図
- 境界確認書
測量図があれば、面積や境界がはっきりしていることがわかります。境界確認書は境界について近隣の人との合意があることを示すので、これらの書類があると安心です。
庭木の枝が境を越えているなどの越境がある場合、売却前に解消しておきましょう。
壁やコンクリートが越境しているなど簡単に解消できない場合、越境の覚書を締結します。具体的なポイントは以下のとおりです。
- 図面を添付して互いに越境の内容を確認しておく
- 再建築などのタイミングで越境している部分を是正する約束をする
- 物件を売却した場合はその内容を継承する
後々のトラブルを防ぐために、非常に効果的です。
成約率を高めるために情報を多く提供しよう
成約率を高めるには、買い手に情報を多く提供できることが重要です。
- 地盤の強度
- 土壌汚染について
- 液状化リスクについて
- 地下埋没物について
地盤調査を行うと買い手が安心感を持つので成約率が高まるうえに、売却後のトラブルも回避できます。
また、買い手は近隣に住んでいる人に関する情報も気になります。売り手が普段から良好な関係を保っていると、買い手も安心して購入できます。
- 瑕疵担保責任とは
- 土地売却後に問題が見つかった場合、売り手が責任を取る必要がある。
地下埋没物の有無をチェックするには土地の使用履歴を確認する方法が有効ですが、効果的な調査手段はありません。土地の売却では、見つかりにくい不具合も多くあります。
- 土壌汚染調査をしても地中深くの土壌汚染は見つからない
- 以前取り壊した建物の基礎がそのまま残っているなど地下埋没物がある
- 地下埋没物については有効な調査手段がない
土地の活用プランを不動産会社に用意してもらうと効果的
土地に付加価値があると、より魅力的になるので売却しやすくなります。
- 広いので自宅を建ててもガーデニングができる
- 自宅を建てた残りの部分で駐車場経営ができる
- 太陽光発電に使える
これらの例のように、土地活用プランを不動産会社に用意してもらいましょう。
土地は綺麗にしておく方が高値で売却しやすい!
土地は、綺麗に保っておく方が高く売却しやすくなります。
- 綺麗な方が印象がよく高値がつきやすい
- 土地が荒れていると整地費用が売却額から引かれるので損
雑草の手入れなど、定期的に行いましょう。また土地に不要な物があると、マイナスイメージに。事前に、できるだけ撤去しましょう。
- 物置やガス庫
- 看板の基礎やブロック塀
土地の使い道が多くある方が、購入を希望する人が多くなります。
広告の方法にも気を配ると売れやすい
広告にも、いくつかの方法があります。
| 広告の方法 | 特徴 |
|---|---|
| ネットに広告を出す | 多くの人の目に留まりやすい 購入希望者が出る時とでない時のムラがある |
| 紙媒体の広告 ビラ・折り込みチラシ・ポスティング広告など |
買い手が集まりやすい地域に出すと効果的 |
| 立て看板 | 足を運んでくれた人に直接アピール可能 売り出し中であることを周囲に知らせることができる |
不動産会社と相談しながら、その地域の特性に合わせた効果的な方法を見つけましょう。
使っていない土地は早く売却することも考えよう
相続などで得て使っていない土地は、できるだけ早く売却する方がお得です。
- 所有していると固定資産税がかかるから
- 不法侵入される可能性を減らせるから
- 放火などのリスクを減らせるから
使っている土地で売却を待てるのなら、値上がり傾向にある時に売れば高値で売れます。
- 土地の価格変動を破断する方法
- 地価公示価格を確認すると、前年度と比較することができる。地価が値上がり傾向にある時は景気がよく、銀行の融資も受けやすい。
不景気になると融資が受けにくく、地価が下がってしまいます。
土地の広さによっては買い増しや分筆を検討して
土地の広さによっては、売れにくい場合もあります。
| 土地の状態 | 対策 |
|---|---|
| 土地の一部が欠けている | 買い増しをして形を整える 間口が広くなる場合などにも有効 |
| 道路に面していない | 買い増しをして道路に隣接させる 建物が建てられるようになり価格が上がることも |
| 中途半端に広い土地 | 分筆して一部だけ売る 戸建住宅の敷地として適した大きさにすると高く売れる |
買い手が土地を購入する目的にも注目して
買い手が土地を購入する目的によっても、価格が変わります。
- 高く売れる可能性がある購入目的
-
- マイホームを建てる
- 自分でその土地を利用する目的がある(エンドユーザー)
自分で使う物のためには、人はお金を出しやすいものです。
- 高く売れない購入目的
-
- 土地活用(駐車場経営やアパート建築など)
- 転売目的
投資家や不動産会社が購入希望者の場合、少し待ってエンドユーザーを探すことで高く売れる可能性があります。
高低差がある土地を売る場合は「がけ条例」に注意
高低差がある土地を売却したい人は、がけ条例に注意が必要です。
- 「がけ条例」とは
- 傾斜角が30°以上で一定の高さを超える崖の近くに家を建てる場合、崖が崩れる可能性を考え条例で決められた距離を取って家を建てなければいけないという建築規制。
ブロックや石積みがあっても、崖扱いとなります。がけ条例については告知義務がありますので、あまり高い価格はつきません。
失敗しない土地売却!高く売るコツを知って準備をしよう
失敗しない土地売却をするためには、不動産会社選びが大切です。
合わせて、アピールポイントをはっきりさせる・境界線や面積を明確にする・土壌汚染や地盤の強さを調査するなど、事前に準備をしておくことで高値での売却につなげることも可能です。
できる限りの準備をして、土地を高く売却しましょう。