空き家問題の放置はNG!5つの解決策を解説!早めの対策でリスク回避を

空き家の画像

空き家問題は周りの人に迷惑をかける可能性があるうえ、所有者にとってもデメリットになることがありますので、早めに解決すべき問題だと言えます。

では、どのようなことが問題なのか、どのような対策ができるのか、詳しく見ていきましょう。

空き家問題はなぜ起こる?原因や現況を詳しく知ろう

空き家問題について、詳しく確認しましょう。

空き家には4つの種類が存在

空き家には、4つの種類があります。

空き家の種類 特徴 管理者
売却用の住宅 売りに出されている状態の空き家
売りたいけれど買い手がつかない
不動産会社
賃貸用の住宅 入居者を募集している状態の空き家
貸したいけれど借り手が見つからない
不動産会社
二次利用のための住宅 別荘など常時住んではいないが使われている家 所有者
その他 上記のどれにも当たらない空き家 所有者

この中で空き家問題の対象となっているのは、何の対策もされていない「その他」に分類される空き家です。

空き家問題が注目されるのは、一戸建てだけとは限りません。立て替えの難しいマンションでも、空き家は大きな問題となっています。

空き家が増加している理由

平成31年に総務省統計局が発表した資料によると、平成30年の空き家の数は846万戸。調査が開始された昭和38年は52万戸で、年々増加しています。

ここ数年の動きを見ても、平成25年は820万戸ですから、わずか5年で3.2%も増加したことがわかります。

では、なぜ空き家は増加しているのでしょうか。その理由は、以下のように考えられています。

  • 少子高齢化の影響
  • 地方での人口減少
  • 世帯数よりも住宅数の方が多い
  • 解体される住宅より建てられる住宅の方が多い
  • 住宅は中古より新築を求める傾向がある
  • 都市部での地価の下落
  • 都市部での借地の権利関係の複雑さ
  • 新築住宅の人気が高く中古の不動産の流通量が少ないこと
  • 高齢者施設に入っている人がいつか戻りたいと思っているので手放せない
  • 思い出があり手放せない
  • 所有者が認知症になり判断ができない
  • 家を相続したけれどすでに子どもが家を建てていることが多いから
  • 相続でもめて売却しにくくなったから
  • 相続の手続きがされず不明になること
  • 空き家を取り壊し更地にすると税金が高くなる
  • 空き家を取り壊す費用が高い
  • 基準が変わったことで再建築ができない土地もある
一言で「空き家」と言っても、その実態はさまざまです。空き家になっている理由の多様化も、増加の一因と言って良いでしょう。

参照サイト
総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要」
www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf

空き家問題が解消されにくい理由

様々な理由から増えている空き家ですが、問題が解消されにくい理由があります。空き家対策ができない理由は、主に以下のとおりです。

  • 共有財産なので合意ができない
  • 所有者が認知症などの理由で判断できない
  • 売却・賃貸を考えても買い手・借り手がいない
  • 賃貸に出しても採算性が低い
  • 解体や回収のための費用を負担できない
  • 対策法がわからない

また、空き家対策をしようと思えばできるものの、「したくない」と思っているケースも少なくありません。

  • 家財や仏壇などがある
  • 物置にしている
  • 人に貸すことに不安がある
  • 税金が上がるのでそのままにしておきたい
  • 対策をする時間が無い
  • 空き家に問題があるようには思っていない
これらの理由が、複雑に絡み合っているケースも多く見られます。「できない」場合も「したくない」場合も、解決のためには本腰を入れて空き家問題と向き合う必要があると言えるでしょう。

空き家問題が持ち主に与えるさまざまなリスク

空き家問題を解決できない事情はさまざまですが、そのまま放っておくのはおすすめできません。空き家問題は持ち主に、さまざまなリスクをもたらします。

空き家問題に潜むリスクの例は以下のとおりです。

周辺の人に不利益を与える可能性があるから

自分が住んでいない家が空き家になっていても、所有者にとって大きな問題はないかもしれません。しかし、空き家周辺で暮らす人々にとっては、そうではありません。

  • 放火の危険性がある
  • 古くなった空き家が倒壊する危険性がある
  • 悪臭の原因となる
  • 雑草が生え景観が悪くなる
  • スズメバチ・蚊・ネズミなどを発生させることがある
  • 白アリの繁殖場になることがある
  • ホームレスや犯罪者が侵入することもある
  • 粗大ゴミなどが不法投棄される
  • 空き家が増えすぎると需要と供給のバランスが崩れ住宅全体の価値が下がる

空き家があると、周辺の人に様々な影響を与えます。

本来得られるべき利益を失う

空き家になると、本来生かされるべき不動産が生かされないことになります。

  • 空き家のある土地と建物が無駄になる
  • 行政の政策が非効率化する
  • 空き家率が30%を超えると自治体が財政破綻する可能性も

影響は、所有者だけに留まりません。

所有者に不利益がある場合も

上よりもさらにわかりやすい形で、所有者にとって不利益が生じる可能性もあります。

  • 空き家を所有していると固定資産税(市街化区域内なら都市計画税も)がかかる
  • 更地にすると税金が上がる
  • 「特定空き家」に指定されると税金が上がる
  • 空き家は傷みやすいので対策が難しくなる
  • 自宅から離れた場所にあると台風などで被害が出ても気づきにくい

空き家を所有していると固定資産税や都市計画税がかかりますが、住宅用地の特例によって住宅が建っていることを条件に優遇があります。

種類(住宅1戸につき) 固定資産税 都市計画税
200平方メートルまで
(小規模住宅用地)
6分の1になる 3分の1になる
200平方メートルを超えた部分 3分の1になる 3分の2になる

空き家を取り壊して更地にすると、住宅が建っていないのでこの優遇が受けられません。これだけを見ると、「さまざまな問題はあっても、やはり空き家を維持した方が得なのでは…」と思うかもしれません。

しかし空き家が「特定空き家」に指定されると、空家等対策特別措置法の関係でこちらの優遇は受けられなくなります。当然税金は上がってしまうでしょう。

空き家対策が難しい理由もありますが、空き家問題がもたらすリスクは多岐にわたります。現在空き家を所有している場合、対策を講じる必要があるでしょう。

空家等対策特別措置法とはどんな法律?内容を確認

空き家問題が抱えるリスクを正しく知るために、頭に入れておきたいのが「空家対策特別措置法」についてです。

その正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」と言います。具体的に、どのような法律なのでしょうか。

空家等対策特別措置法とは
空き家問題に対応するために、2014年に制定された法律。倒壊・周辺環境の悪化などの原因になりそうな空き家は「特定空き家」に指定され、税金の優遇が受けられなくなる。

具体的には、次のような内容が定められています。

  • 空き家の実態調査
  • 空き家の所有者に適切な管理をするよう指導を行う
  • 空き家の跡地の活用を促進する
  • 空き家が適切に管理されていない場合特定空き家に指定できる
  • 特定空き家に対する助言・指導・勧告・命令が行える
  • 特定空き家に対する罰金や行政代執行が行える

行政代執行とは、行政が所有者に代わって建物の解体や塀・樹木の撤去などを行うことです。費用は、空き家の所有者に請求されます。

  1. 空き家の調査がおこなわれる
  2. 倒壊の危険などがある空き家が特定空き家に指定される
  3. 所有者に対して助言や指導を行う
  4. 従わないと勧告が行われる:この時点で住宅用地の特例から外れる
  5. 従わないと命令が出される:違反すると50万円以下の罰金が科される
  6. 行政代執行が行われる

特定空き家に指定されても、状況が改善されれば解除され、住宅用地の特例も受けられるようになります。

特定空き家に指定される条件

特定空き家に指定されるのは、以下のような条件の家です。

  • 放置していると倒壊などの危険があり著しい保安上の問題がある
  • 衛生上著しく有害となる可能性がある
  • 適切な管理がされておらず景観を著しく損なっている
  • 周辺の生活環境の保全のため放置することが適切でない
空き家の中でも、「柱が傾いている」「施錠されておらず誰でも侵入可能」など、特に状態がひどく、近隣に悪影響を与える可能性が高いと考えられる物件が特定空き家に指定されています。

どんな方法がある?考えられる空き家問題の解決方法

空き家問題の解決方法には、どのようなものがあるのでしょうか。5つの方法を紹介します。

空き家バンクを利用する方法

注目されている方法の一つに、空き家バンクの利用があります。

空き家バンクとは
空き家の所有者と利用希望者をマッチングするための仕組み。営利目的ではなく、自治体や自治体からの委任がある団体が運営している。

営利目的ではないので、空き家の活用が実現しやすいことが特徴です。

  • 賃貸
  • 売却

どちらの方法でも提供できます。

空き家を売却する

空き家を売却すれば、管理や税金について考える必要が無くなります。

売却方法 特徴
不動産会社を通して売却 不動産会社に連絡をして仲介や買取をしてもらう
一括査定サービスで査定を受けると便利
空き家バンクを通して売却 自治体に情報を提供して売却する
利用したい人が探すので売れやすいことも

空き家を手放すことを考え始めたら、まずは一括査定サービスを利用して、複数の不動産会社に査定を依頼してみましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼するメリットは以下のとおりです。

  • 空き家に強い不動産会社に出会える可能性が高まる
  • 空き家の価値を冷静に判断しやすくなる

不動産会社が導き出す査定金額は、会社によって大きな差があります。特に空き家の場合、不得意な不動産会社に当たってしまうと、その価値が見過ごされてしまいがちです。

少し面倒に思うかもしれませんが、最初の段階で複数の不動産会社に査定をしてもらえば、それぞれの査定結果から相場を掴みやすくなるでしょう。

空き家は、状況によっては売れにくいこともあります。その場合は、空き家バンクを通して無料で提供し、手放すことも可能です。お金は得られませんが、様々なリスクから解放される安心感があります。

空き家の売却で一括査定サービスを利用するなら「リビンマッチ」がおすすめです。全国で約1,700社以上の不動産会社と提携。自宅から遠く離れた場所の空き家を売却したい場合でも、ぴったりの不動産会社を見つけやすいでしょう。査定依頼のための入力は、最短45秒で完了できますので、忙しい人にもピッタリです。

賃貸物件とするなどの活用法を考える

空き家がある地域によっては、空き家を活用する方法も考えられます。

  • 空き家バンクを通して賃貸に出す
  • シェアハウスとして利用する
  • 民泊を経営する
  • リフォーム後賃貸に出す
  • 借り手が自己修繕可能な契約にして賃貸に出す
  • 寄贈する
  • シェアオフィスとして貸し出す

賃貸に出せば、賃料収入を得られます。また人が使用することで、不動産の劣化や特定空き家化を防げるでしょう。

売却が難しい場合でも、賃貸なら可能という可能性も。傷みが進んでいる場合は、最低限のリフォームや修繕を行った上で活用してみてください。

空き家管理サービスを利用してリスクを回避する

今は空き家でも、いずれは活用する予定があるなど、手放すことを考えていないのなら、空き家管理サービスが便利です。

現状は「空き家」であっても、きちんと手入れや管理がされていれば、特定空き家に指定される恐れはありません。

空き家管理サービスとは
NPO法人や民間企業が提供している、空き家の点検を行って結果を報告してくれるサービス。料金プランによって受けられるサポート内容が変わる。

空き家管理サービスを利用すれば、近くに住んでいなくても、状況を把握することが可能です。

利用料はかかりますが、特定空き家化を防げるだけではなく、不動産の劣化スピードも遅らせることができますから、メリットは大きいと言えるでしょう。

危険を避けるために解体して更地にする

あまりお勧めできる方法ではありませんが、危険を避けるために空き家を解体して更地にすることもできます。

  • 倒壊や不法侵入などの危険性は避けられる
  • 税金の優遇が受けられなくなる
  • 解体費用が高い

自治体によっては解体費用の助成を行っていますので、この方法を選ぶ場合は調べてみましょう。

また、解体した後の土地を活用する方法もあります。

  • アパート経営
  • マンション経営
  • 賃貸併用住宅としての活用
  • 土地を賃貸する
  • サービスつき高齢者住宅経営
  • 事業用賃貸経営
  • 駐車場経営
  • トランクルーム経営
  • 貸し倉庫経営
  • 太陽光発電に利用

どのように活用すると効果的かわからない場合、土地活用プランを提供してくれる企業に問い合わせをするとアドバイスがもらえます。

所有者にも周辺の人にもリスクが高い空き家問題!解決法を探そう

少子高齢化や新築の住宅が好まれる傾向があることなど、空き家問題は様々な原因から起こっている問題です。

解決しづらい理由もあるのですが、放置しておくと周りの人にも所有者にもデメリットが生じますので、早めに対策をする必要があります。

空き家バンクを活用したり賃貸物件として貸し出したりなど、空き家問題を解決するための方法がありますので、空き家の特徴に合わせて対策法を考えましょう。

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