腰痛でよくある8つの原因。たかが腰痛という認識は危険!
Date:2017.09.21
つらい体の痛みの中でも、とても多いのが”腰の痛み”。1日程度で緩和されるものから、十数年間も痛みから解放されないという人もいて、その痛みの度合も個人差が大きいのが特徴です。
また「腰の痛みの原因」は非常に判別しにくく、結果的に「炎症を抑える」「痛みの程度を和らげる」などの対処療法しか無い場合が多いのも人々を悩ませる理由のひとつでしょう。
- 一時的には良くなってもすぐに痛みが戻る…
- 断続的に繰り返す痛みで日常生活が不安になる
- 原因を知りたくてもわからないと言われてしまう
腰は人体の要でもありますので、ひとつの原因だけではなく複数の原因が複雑に絡み合って痛みを起こしていることもあります。
腰痛の原因と言われる8つのポイントで、当てはまるものがあればそこから改善していくようにしてみてください。
腰痛の原因はひとつじゃない!?よくある8つの引き金要素
「腰が痛い=◯◯が原因」とすぐに引き金にたどり着くのは実は非常に困難です。日常で起こりやすいいくつかの要因についてピックアップしてみましたので、「身に覚えがあるな…」というものがないかをチェックしてみましょう。
1.日常の姿勢
腰痛の原因の中で一番大きいのが姿勢の問題です。腰は立っている姿勢でも座っている姿勢でも、体の中心に来る部位。つまり重力や体の重さの負荷を感じやすく、疲れやすい場所です。
腰に良くないと言われている姿勢はいくつか存在します。次のものに当てはまるような立ち姿勢・座り姿勢を取っていませんか?セルフチェックしてみましょう。
- 後頭部より後ろにお尻の位置が来る【反り腰の立ち姿勢】
- 左右どちらかの骨盤が高くなる【休めの立ち姿勢】
- パソコンを使っている時になりがちな【猫背の座り姿勢】
- 尾てい骨が椅子や床に密着するような【腰丸め姿勢】
女性に多いのが【反り腰】【腰丸め】の2パターンです。
姿勢を良く見せようとし、上半身だけピッと伸ばしても下半身の力がきちんと使えていない場合、お尻が後ろにぴょこんと飛び出たような反り腰の姿勢になります。これは腰椎に負担をかけ、骨と骨の隙間を四六時中圧迫している状態になり、長期間この姿勢がクセになっていると腰痛を起こします。
さらに、尾てい骨がベタっと椅子の座面にくっついてしまうほど腰を丸めた姿勢で座ることも、お腹側から腰椎に重力をかけ続けることになるため負荷が強く、立ち上がった時に腰や膝に痛みが生じる場合があります。
2.骨盤や背骨周囲の歪み
歪んだ立ち姿勢や座り方、また寝姿勢などの乱れでも起こるのが骨格の歪みです。
骨なんてそんなに簡単に歪まないでしょう?と思っている方が多いのですが、骨と骨は無理なく動くように基本的にはゆるやかにゴムヒモでつながっているようなものだとイメージしてください。
数時間ゴムヒモを変な角度で伸ばし続ければ、そのゴムヒモは伸び切ってたるみが出ます。
たるんだゴムヒモでつながれた骨はグラグラと不安定になり、部位によってはズレが生じやすくなりますね。これが歪み。そう、意外なほど簡単に骨格は歪むのです。
怪我の炎症が収まってもしばらくの間硬化は続きますので、この時に適切な治療やリハビリを行わなかった場合、硬化した組織の影響が周囲に広がり、歪みとして残ってしまうことがあるのです。
3.筋肉疲労や筋力低下
運動不足の方、そして過度な運動を行った人にも腰痛は出やすい症状です。
普段あまり運動をしない人や病中病後の方など、腹筋や背筋が細くなってしまっている場合、腰椎や骨盤を支える”天然のコルセット”が無いために体の重さや内臓の重さの負荷を支えられず、長時間同じ姿勢を保てないような腰痛を起こします。
逆に急激に強い運動を行った人、あまり慣れないマッサージを受けた人など、筋肉疲労がある時にも同様に腰痛を起こすことがあります。筋肉中の疲労物質が取りきれず痛みとして体に休息を求める場合です。
4.体組織の老化
骨や血管、神経などの細胞は生きていますので、老化が進めば自然と衰えが出てきます。こればかりは生命体である以上仕方のないことですが、この老化が急速に進むと痛みとして現れることがあります。
- ズキンズキンと刺すような疼痛
- しびれを伴う腰痛
- 筋肉の痙攣を伴う腰痛
これが細胞老化の基本的なサイクルですから、不規則な生活はこうした細胞老化を助長してしまうのです。
- 忙しくて休息を取れない
- 食事時間が不規則、ミネラル豊富な野菜をあまり食べていない
- 飲酒・喫煙をする
- 環境ストレスなどなんらかの緩和しにくいストレスが持続する
こうした【活性酸素が増えやすい状況】が長く続けば、その分だけ体の細胞の老化現象が進むリスクは高くなります。
5.先天的な疾病や内臓疾患でも起こる
「腰痛」と聞くとどうしても「外傷的要因」を先に考えてしまいますが、実は内科的要因でも腰痛は起こります。患部が体内にある場合、自己対処では改善しない場合が多く、きちんとした治療を施さないと命に関わるものまであります。
- 慢性胃炎
- 腎炎・腎盂炎
- 肝炎
- 子宮内膜症・子宮筋腫
- 尿道結石
- 大動脈解離などの急性症状
こうした内科的疾患の場合、適切に投薬や処置術を受けなければ痛みは止まりませんし、放置することで危険な状態へと進行してしまうものもあります。激しい痛み、吐き気などの症状を伴う等の場合は必ず病院に行きましょう。
また、直接命に関わらないまでも、日常的に多く発生し沢山の人を悩ませる”便秘”も腰痛の原因になります。
腸は腰付近にある臓器ですから、ここに老廃物が溜まり出にくい状態が続くとその重さによって腰椎付近が圧迫され痛みが出ることがあります。脇腹やその後ろにハリや痛みがあったら、自分の便通状態も合わせて確認すると良いでしょう。
6.疲労の蓄積はギックリ腰などの急性症状として現れやすい
「腰痛」と聞いて真っ先に出てくる症状には何がありますか?ほとんどの方が「ギックリ腰」と思い浮かべるのではないでしょうか。
ギックリ腰と一言に言っても、実はその原因は更に細かく別れます。重たいものを持った、変な姿勢を取った、くしゃみなどの衝撃が瞬間的に加わった…などなどいくつもあるのですが、これらに共通の要因は「疲労の蓄積」です。
筋肉や骨に疲労がたまると、活性酸素が過剰に発生し組織を傷つけるということは先述致しました。この仕組みに年齢差は無く、大人でも子どもでも「疲れれば疲労する」のです。ただし、この疲れが早く取れれば筋肉や骨へのダメージも最小限で済みますから、子どもにはギックリ腰は少ないのです。
そこに重たいものを持つ、くしゃみをするなどの【瞬間的な力】が加わると、傷みやすくなっていた組織に衝撃が走り激しい痛みを伴う急性症状を起こすのです。
疲れを溜め込みやすい気質がある日本人はギックリ腰になりやすいとも考えられています。現代ではおよそ10人に1人が腰痛を自覚し、そのうちの半数がギックリ腰などの急性症状予備軍であるとも言われています。もはや腰痛は国民病とも言えるのかもしれません。
7.首やお尻からくる腰痛もある
腰周囲にはなんら異変がなくとも、実は首やお尻が原因となって現れる腰痛もあります。
この脊椎のどこかに異変が起こると、連動した部位に痛みが生じやすくなります。首の怪我や疾患が腰痛どなって出ることも、お尻の筋肉疲労が腰痛となって出ることももちろんあります。
体のケアをしていると、腰痛を訴えるほとんどの方に”お尻や首のコリ”があります。日中座っている時間が長い方、スマートフォンなどを見る時間が長く首に負担を生じやすい方は十分に注意とケアが必要なのです。
8.子宮内膜症の危険も…女性特有の腰痛原因とは
女性は月に1度月経期があり、この期間だけ激しい腰痛が起こるという方も多くいらっしゃいます。月経に関わる腰の痛みには次のような原因が考えられます。
- リラキシンによる靭帯のゆるみ
- 黄体ホルモンによる血流不良
- プロスタグランジンによる子宮収縮の痛み
耳慣れないものも多いかもしれませんが、これらはすべて子宮に関わる女性ホルモンです。月経期の前後からこの女性ホルモンの分泌バランスは変化し、健やかな生殖部位を作り出そうとします。これが痛みを誘発したり、骨格の不安定さを助長したりしてしまい、月経期の腰痛となることがあるのです。
こうした要因は月経が過ぎれば落ち着きますが、月経期来るたびに痛みが強くなる等の場合は婦人科系の疾病が腰痛を起こしている可能性も考えられます。
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- 卵巣嚢腫
- 卵巣炎
月経期のたびに痛みがひどくなる、不正出血などが起こるなど、腰の痛みとともに月経にまつわる不調があったら、早急に婦人科などを受診しましょう。
放置すると不妊の原因になったり、がんなどの細胞異型を起こす場合もあるため注意が必要です。
放置は厳禁!後遺症のリスクもある腰痛とは
腰痛は日本人にとても多い症状です。ただ、それゆえに「大したことはない」「みんなに起きることだから」と軽視されやすい症状でもあります。
痛みの原因によっては、後遺症が残るなど日常生活に大きな影を落としてしまう腰痛もあるということを覚えておきましょう。
しびれが起こる腰椎椎間板ヘルニア
腰痛を起こしやすく、かつ様々な年齢層に起こるメジャーな疾患のひとつが「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」です。
腰椎椎間板ヘルニアは放置することで悪化する場合が多く、温熱治療や牽引治療、あるいは外科手術など適切な治療を必要とします。もしも患部周囲や足などにしびれを伴う腰痛が起きた場合は整形外科を必ず受診して下さい。
先天的理由も多い腰椎すべり症
あまり聞いたことが無い…という方も多いのですが、「腰椎すべり症」という疾患もあります。
先天的な理由以外にも、長年不良姿勢を続けた場合、過度に同じ負荷を何度も欠けた場合などにも起こります。また、高齢になり組織がもろくなった場合に発症することもあります。
腰椎すべり症の場合、一度ずれると自力で戻すことが不可能とされています。継続する違和感を感じたらかならず整形外科を受診するようにしましょう。
リウマチ性の疾患で腰痛が起こることもある
リウマチは自己免疫疾患のひとつで、自分の免疫が正常な細胞を攻撃してしまうことで激しい痛みを生じさせます。このリウマチを始めとする【膠原病】などの自己免疫疾患でも腰痛が起こることがよくあります。
- 痛みと同時に動かしにくいなどのこわばりが出る
- 患部や手足に震え、しびれが起こる
- 痛みが無い時も全身に倦怠感があり日常生活がしんどい
- 突発的な発熱が起こる
- 食欲不振や体重減少が起こる
原因不明の難病でもあるリウマチ、膠原病はすぐには判別しにくい場合も多く、検査を繰り返してやっと確定診断出来るというものも多くあります。
痛みだけでなくこわばりや食欲低下を感じたら、内科や分泌内科、リウマチ内科や膠原病内科などを受診しましょう。わからない場合は内科で相談すれば、適切な診療科を紹介してくれますのでご安心くださいね。
30代からでも起こる腰部脊柱菅狭窄症
椎間板ヘルニアととても良く似た症状で「腰部脊柱菅狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」という病気もあります。
罹患してしまうと自己治癒は難しく、かつ手術をしても完全に痛みやしびれを除去することは出来ないと言われています。
高齢者の腰痛患者数240万人中、70%が70歳以上の高齢者であるという統計もあり、高齢でなければ関係ないと考えてしまう人も多いのですが、実はこの脊柱菅狭窄症は30代などの若い世代でも罹患するリスクはあります。
- 運動はほとんどしない
- デスクワークなど座位が中心で足やお尻の筋肉が衰えている
- 脂質の多い食事によって腹部に脂肪が多い
- 飲酒や喫煙などによって血流が悪い、代謝が悪い
このような生活習慣は体の中の年齢と実際の年齢が噛み合わないという現象が起こります。
まだ20代、30代であっても、体年齢が60代以上であれば脊柱菅狭窄症などの腰の疾患に罹ることはあります。日常生活に不安がある方は、少しずつ運動を取り入れる、食生活を見直すなどを行い予防を行うようにしましょう。
「ただの腰痛」という危険な認識を捨てる!
「腰痛の原因は人の数だけある」
ボディケアをする人間にとって、これは常識と言っても過言ではありません。一言で「姿勢」と言っても、日常生活の姿勢すべてをチェックし改善するのはほぼ不可能です。内科的要因なのか外部要因なのか、両方あるのかなど、見た目や患部の状態だけでは判断出来ないことも非常に多くあるのが【腰痛】なのです。
自然治癒が見込める腰痛もあれば、即刻医師の手が必要であるという腰痛もあります。
くり返しになりますが、腰は人類だけでなく、すべての脊椎動物にとって要となる大事な部位です。痛みは体からのSOSですから、軽視せず、放置せず、そして諦めずに原因の模索と解消法の継続を行いましょう。
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