お箸のマナーの基本とNG作法。食べ方美人になれる使い方
Date:2018.07.03
日本の食卓で普段なにげなく使っている、お箸。
でもお箸のマナーは以外と幅広くて、気づかないうちにマナー違反をしていることがあるものです。
そこで今回は、普段意外と学ぶことの少ないお箸のマナーを徹底的にご紹介します。
基本のいろはから、知っているだけで「おっ」と一目置かれるものまで、しっかりおさらいしておきましょう。
【1】美しいお箸のマナー〜基本のチェック編〜
まず、美しく見えるお箸の使い方をあらためてチェックしてみましょう。
(1)美しい箸の持ち上げ方
美味しそうな食事を前に「いただきまーす!」と叫んで、深く考えずにお箸をパッと持ち上げてしまっていませんか?
持ち上げ方ひとつでも、簡単な流れをマスターするだけで格段に上品に見えますよ。
<お箸の持ち上げ方>
- お箸の中央あたりを右手で静かに持ち上げて、胸の前あたりに持ってきます。
- 左手を下から添えて、お箸を受けます。
- 右手を箸に沿って右方向へ移動させてから、箸の下側に滑らせます。
- お箸が右手の親指・人差し指の付け根あたりにおさまるように持ち直したら、左手を離して完了です。
- ガチャガチャと握り込むように持ち上げること。
- 右手だけで振り回すように持ち直すこと。
普段から練習しておくことで、大事な席でも自然と美しい動作が行えるようになります。
(2)器があるときのお箸の持ち上げ方
お椀やお茶碗など、器も一緒に持ち上げるときは、次のようにします。
<お箸の持ち上げ方(器があるとき)>
- まず器を両手で持ち上げてから、右手を離し左手だけで支えます。
- 右手でお箸の中央あたりを持ち上げます。
- 器を持っている左手の薬指・小指(もしくは人差し指・中指)の間に、お箸を挟みます。
- 右手を箸に沿って右方向へ移動させ、箸の下側に滑らせます。
- 正しく持てたら、左手をお箸から離します。
器を先に持ち上げるのがポイントです。器を持ったままの動作になりますので、汁物などをこぼさないように気をつけましょう。
不安な場合は何度か練習しておくのがおすすめです。
(3)美しく見えるお箸の使い方
子どもの頃に教わった、お箸の使い方。でも、無意識に自己流の使い方をしている大人も意外と多いものです。
自分が普段どんなふうに箸を動かしているか、思い浮かべながらチェックしてみてください。
<お箸の使い方>
- 上側の箸は、人差し指・中指で支えます。
- 下側の箸は、薬指・親指の付け根で支えます。
- 上の箸だけを動かして、食べ物を挟みます。
- できるだけ箸先を汚さないこと。食べ物に触れるのは、箸先1.5〜3cmのあたりまでにとどめます。
- 口の奥まで入れすぎないこと(箸の中央まで汚すのはNGです)。
- 箸先以外を汚してしまったら、ナプキンや懐紙で拭き取りましょう。
クセをなおすには多少時間がかかります。「なにか違うかも」と感じたら、普段の食事から練習していきましょう。
(4)食事中に食器を持ち上げるときは?
お椀や小鉢を手に取るときは、いったんお箸を置きましょう。
<食事中の器の持ち上げ方>
- まず箸置きにお箸を置いてから、両手で器を持ち上げます。
- 左手で器の底を持ち、しっかり支えたら右手を離します。
- あとは「器があるときのお箸の持ち上げ方」のとおり、お箸を持ち上げます。
- 器の中身を食べ終えたら、また箸置きにお箸を置いてから、器を両手で持って膳に戻します。
- 器を持ち上げるときも置くときも、先にお箸を置きましょう。
- 器の縁は持たないようにしましょう(縁に触れるのはマナー違反ですし、衛生上もよくありません)。
器とお箸をいっぺんに持ち上げると、がさつな印象を与えます。
また器は値段に関わらず「大切な壊れ物」だと思って傷つけないように扱うのるがおすすめ。自然と丁寧な動作になりますよ。
(5)美しいお箸の置き方
食事が終わったとき、またはお椀や小鉢をとるときなど、お箸を置く際にも美しい所作のコツがあります。
<お箸の置き方>
- まず、左手をお箸の下に沿えます。
- 右手を箸に沿って右側に滑らせます。
- 端まできたら折り返すように、右手でお箸を上から持ちます。
- 左手を離し、二本のお箸を揃えて置きます。
- お椀の縁などに置くのはNG。箸置きを使いましょう。
- お箸の先端は、箸置きから3〜5cm外に出します。
- 箸袋を折って箸置き代わりにしてもOKです。
- 食事が終わっているなら、箸袋を結び文にしてその中に箸先を入れると丁寧です。
- 箸置きも箸袋もない場合は、膳の左側か、平皿の縁にお箸をかけて置きましょう。
大切な会食では、箸を置くところまで気を抜かず優雅な仕草を心がけましょう。
【2】美しいお箸のマナー〜割り箸編〜
気軽に使い捨てができて、便利なのが割り箸。この割り箸にも、じつは特有のマナーがあります。
(1)割り箸の美しい割り方
割るときに食器や隣の人に肘をぶつけてしまうと大変。正しい割り方をマスターしておきましょう。
<美しい割り方>
- 割り箸を持ち上げて箸袋から抜いたら、膝の上あたりで持ちます。
- 横に水平になるように持ち、下側の箸を左手でしっかり固定します。
- 右手で上の箸を持ち、扇をひらくように静かに上に引いて、割ります。
- 割った箸はそのまま使わず、いったん箸置きに置いてから使うと、より丁寧です。
- お膳の上ではなく、膝の上あたりで割ります(手や箸が食器にぶつかるのを防ぎます)。
- 縦に持って割ると反動で周囲の人にぶつかることもあるので、避けましょう。
- 箸をこすり合わせて木屑を落としたり、口にくわえて割る行為などは絶対NG。下品に見えてしまい損ですよ。
割り箸が入っていた箸袋は、食事中は邪魔にならないところに置いておきましょう。食事が終わったら、箸や爪楊枝を箸袋に戻して、箸袋の先をちょっと折るのがおすすめです。
箸置きがないときは、箸袋を折って箸置きの代わりにするのもOKですよ!
ちなみにお客さまをもてなす際には、繰り返し洗って使う塗り箸よりも、使い捨ての割り箸が良しとされています。ただし、
- 婚礼
- 結納
- 両家の顔合わせの食事会
といったお祝いの席では、「割る」「別れる」を想起させるもの自体がNGのため、割り箸は避けるのが一般的です。
【3】嫌い箸〜お箸の使い方のタブー〜
ご存じのとおり、お箸のマナーは「これが良し」とされるものだけではありません。
- 嫌い箸
- 忌み箸
- 禁じ箸
などと呼ばれる「お箸の使い方のタブー」についても、あらためてチェックしておきましょう。
(1)お箸のタブー(基本編)
基本的なお箸の使い方だけでも、さまざまなNG行為があります。
中には「えっ、これNGだったの?」と意外に思うものもあるかもしれません。
知らないうちにマナー違反をして呆れられてしまったら、損ですよね。ここでしっかりチェックしておきましょう!
- 拝み箸
- お箸を両手で挟んで持ち、拝むような形にすること。
- 噛み箸
- お箸を噛むこと。考えごとをしているときなど、気づかないうちについガシガシと箸先をかじってしまわないよう、ご注意を。
- くわえ箸
- お箸を口にくわえること。もちろん食べ物を食べるときにはお箸を口の中に入れますが、そのあとずっとくわえているのは御法度です。お箸をくわえながらスマホに夢中になったりしていないか、要チェック。
- 刺し箸(突き箸)
- 料理にお箸を突き刺して食べること。便利なお箸ですが、串のような使い方はマナー違反です。
- 横箸
- 箸を揃えて平面をつくり、スプーンのように食べ物をすくって食べること。お箸はものを挟むためのもの。すくって食べるときにはスプーンを使いましょう。
- ちぎり箸
- お箸を片手に一本ずつ持って、フォークとナイフのように使って料理を小さく切り分けながら食べること。
- 揃え箸
- お皿の上などで箸先をそろえること。ついやってしまいがちですが、NGです。唇や舌で箸先を揃えるのもやめましょう。
- 渡し箸
- 箸を置くとき、食器の上に橋のように横に渡して置くこと。これもついやってしまいがちですが、じつはNG。箸を置くときは箸置きを使うのが本来のマナーです。
- あげ箸
- 箸の後ろ側を、口よりも上に上げながら食べること。子どもが「あーん」とやる分には可愛いで元気な印象ですが、大人としてはNGです。
- 押しつけ箸
- ご飯を、箸でお茶碗などに押しつけて固めること。
- 持ち箸
- お箸を持ったまま、同じ手で同時に食器を持つこと。急いでいるときなどお茶碗とお箸を同じ手で持って食べてしまったりしないよう、注意しましょう。
(2)お箸のタブー(下品なNG行為編)
続いて、「下品」と思われてしまうNG行為の数々です。
これらは知らないとひんしゅくを買いがちですので、気をつけて自分の行動をチェックしていきましょう。
- ねぶり箸
- 箸先をなめること。お箸の先をペロペロとなめる姿は品位に欠けます。食べ物で汚れてしまったら、ナプキンなどでそっと拭きましょう。
- 洗い箸
- 汁物の中で、お箸を洗うような仕草。お味噌汁などでついやってしまいがちです。
- 移り箸
- 食べ物に一度お箸をつけたものの、食べずにそのまま別の料理に箸を移動させること。いったんお箸が触れたものはそのまま食べるのがマナーです。
- 押し込み箸
- お箸で食べ物を口の中に押し込むこと。お箸で押し込んでまで口いっぱいに頰ばるのが許されるのは、小さい子どもだけです。
- かき箸
- 食器に直接口をつけた状態で、お箸でかきこむように料理を食べること。お茶漬けのCMなどで見かけると豪快で美味しそうに見えますが、きちんとした席では避けましょう。
- 探り箸
- お味噌汁など、食器の底に残っているかもしれない具材を、お箸で探ること。
- すかし箸
- 骨付きの魚(焼き魚や煮魚など)を食べるときに、表側の身を食べたあと、骨越しに裏側の身をつつくこと。魚の表側の身を食べ終わったら、骨を外してから裏側の身を食べるのが、基本的なマナーです。
- せせり箸
- お箸を爪楊枝の代わりにして、歯の間を掃除すること。これは想像するだけで不快になる方も多いでしょう。
- 涙箸
- 汁物などをお箸からポタポタと垂らしながら、料理を食べること。お箸で持ち上げたものから雫が滴り落ちる状態で移動するのは、マナー違反です。
- もぎ箸
- お箸についた料理のカケラ(ご飯粒など)を、唇でもぎとって食べること。
(3)お箸のタブー(失礼なNG行為編)
下品なだけでなく、相手がとくに「失礼」と感じるマナー違反も多々あります。
- 受け箸
- 箸を持ったまま「おかわり」をお願いすること。一度お箸を置いてから、お茶碗を差し出しましょう。
- 重ね箸
- 複数のお料理が提供されているのに、一つの料理にばかり手をつけること。好物だからと一種類ばかりずっと食べるのではなく、バランスよく手をつけるのも大人のマナーなのです。
- ほじり箸(こじ箸)
- 器に盛られた料理を上から食べず、箸で探って好きなものだけほじり出して食べること。
- 迷い箸
- どの料理を食べるか迷って、お皿の上でお箸をウロウロとさまよわせること。何をとるか決めてからお箸を動かしましょう。
- 振り上げ箸
- お箸を振り上げながら会話すること。食べ物の滓や汁物などが飛ぶ危険もあり、見ている人にとってはとても不快です。
- 指差し箸
- お箸で人やモノを指すこと。非常に失礼です。
- 寄せ箸
- お箸を使って食器を引き寄せること。見た目にも品がありません。
- 振り箸
- お箸についた水滴などを、振り落とすこと。周囲の人の洋服を汚す可能性もあり、迷惑です。
(4)お箸のタブー(不吉とされるNG行為編)
数あるお箸のマナーの中には、不吉な行為としてタブー視されているものもいくつかあります。
縁起の悪いこれらの行為は、たとえうっかりだとしてもあなたの印象に致命的なダメージを残します。とくに覚えておきましょう。
- 突き立て箸(立て箸)
- お箸をご飯に突き立てること。お箸の置き場に困ってやってしまう人もいるかもしれませんが、椀飯にお箸を突き立てるのは「墓前にそなえるご飯」を連想させるため、タブーです。
- 拾い箸(移し箸)
- 一つの食べ物を、二人のお箸で同時に持つこと。火葬場での「お骨拾い」のときにする仕草であるため、食事ではタブーとされています。
- 違い箸
- 異質のお箸(木と竹の箸など)を一本ずつ、一対として使うこと。これも火葬後で遺骨を拾うときに行うしきたりで、食事ではタブーです。
- たたき箸
- 人を呼ぶときなどに、お箸で食器やテーブルをたたいて音をたてること。失礼なのはもちろんですが、「茶碗を叩くと餓鬼(地獄の鬼)が来る」と言われており、不吉という面でも避けられています。
日本独自のNGとマナー
お箸は、中国や台湾などアジア各国でも古くから使われています。
タブー視されているものの中には「日本だけのマナー」も、じつは存在します。海外旅行の際には注意が必要です。
- 直箸(じかばし)
- 料理を取り分けるときに、自分のお箸を使うこと。日本では取り箸を使って取り分けるのが一般的なマナーです。が、中国・韓国など他の国では逆に「直箸で取り分ける=心を許し合うおもてなし」として推奨されており、取り箸は使いません。
- 返し箸(逆さ箸)
- 料理を取り分けるときに、自分のお箸を上下逆さにして使うこと。前述のとおり外国では「直箸が当たり前」のため、こうした気遣いは必要ありません。日本においても、口をつけた箸先が上を向くことに不快感を抱く人もいます。万が一にも食べカスが飛んだりしないよう、箸先をナプキンなどで拭いてから上下逆さにした方が良いでしょう。
お箸のマナーは、お互いが気持ちよく過ごすため
数えきれないほどある、お箸のマナー。NG行為も数多く、「とてもこんなに覚えられない」と感じるかもしれません。
でも動作そのものや理由を見れば、納得できるものがほとんどのはず。「これは失礼なんだな」「縁起が悪い動作なんだな」と納得すれば、自然と行わなくなります。
相手も自分も気持ちよく過ごすためにあるのが、マナーです。ちょっとした気遣いを忘れずに、エレガントな箸使いを目指しましょう!
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