普通の日焼け止めでは防げない!?近赤外線の影響とその対策
Date:2017.05.16
紫外線対策は今や、常識中の常識。冬はおろか、室内でも自然光のために日焼け止めを塗るなど、念入りなケアをされている方も多いのではないでしょうか。
ところが近年、紫外線に加え、「近赤外線」という存在が登場してきています。この言葉を聞いたことはありますか?
遠赤外線は暖房器具や肌着などによく使われており馴染みの深い言葉ですが、近赤外線はあまり聞き慣れませんよね。
近赤外線について学び、今日からバッチリ対策して将来に差をつけましょう!
この記事の目次
近赤外線は、紫外線と並ぶ太陽光の中の一つ。
まず近赤外線について簡単に知っておきましょう。太陽から降り注ぐの光の中に、紫外線というものがあるのは誰でも知っていることですが、太陽光の100%が紫外線なわけではありません。
光というのは、それぞれの持つ波長によって、いくつかの種類に分けられているんです。
波長による光の分類
- X線:波長が200nm以下の光
- 紫外線:波長が200nm~400nmの光
- 可視光線:波長が400nm~760nmの光
- 赤外線:波長が760nm以上の光
(単位nm:ナノメートル)
可視光線というのは、私たちの目に見える光です。つまり、紫外線・赤外線は人間の目には見えません。
本日の題材、近赤外線は約760nm~1400nm程度の波長域の赤外線です。
なんと真皮を超えて、紫外線よりも肌の深部へ届いてしまう近赤外線!
さて、光には波長の長さが色々あることはわかりましたが、実はこの光の波長が、長ければ長いほど、物質に当たった時の透過力が高くなるという性質があるんです。
つまりお肌に照らした場合、赤外線は紫外線よりも皮膚の深いところまで届くということ。
紫外線は表皮を通り越して真皮までダメージを与えると言われますが、近赤外線はなんとさらに深くまで行き、
- 皮下組織
- 皮下脂肪
にまで到達すると言われているのです!
近赤外線はロングUVA、ディープUVAよりも深くまで届いてしまいます
「光が深部まで届く」というところで、「ロングUVA」、「ディープUVA」のことかな?と思い浮かべた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は紫外線も赤外線と同じように、その波長によってUVBとやUVAに分けられており、その中で最も波長が長い、つまり深部に到達しやすいものをロングUVA、もしくはディープUVAといいます。
- UVB:短波長紫外線。表皮までにとどまるが、シミやくすみの原因になる。
- UVA:長波長紫外線。真皮まで届きシワやたるみの原因になる。
- ロングUVA:UVAの中でもさらに波長が長く、深くまで届くと言われている。
ロングUVAは従来の通常の日焼け止めでは防ぎきれないと言われていたのですが、様々な研究が重ねられた結果、最近では、ロングUVAまで防いでくれると謳われている商品も多く出てきています。
しかし近赤外線はこのロングUVAとはまた別物。UVの領域は超えています。
非常に深いところまで届いてしまうため、ロングUVA対応の日焼け止めでも完全に遮ることは難しいのです。
お肌の奥深い層まで届いてしまう近赤外線…お肌にどんな影響・ダメージを与えるのでしょうか?
紫外線に当たると肌が真っ赤になったり、日焼けしたりしますが、近赤外線にはそのような、急激で激しいダメージを引き起こす性質はありません。
深部まで到達するものの、エネルギーは強くないのです。朗報ですね!
しかし、近年の研究で、近赤外線はいわゆる光老化と言われる現象を引き起こすということが解明されてきています。
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の全てが減少してしまう!
近赤外線が照射されることで、お肌の中の線維芽細胞と呼ばれる細胞に影響を与えます。
線維芽細胞は、
- コラーゲン
- エラスチン
- ヒアルロン酸
といった肌の美しさに最も重要な成分を作りだしている、非常に重要な存在!
後からじわじわと追ってくる、気がつきにくい近赤外線の光老化
UVAによる光老化は、すぐに症状となって現れます。例えば強い紫外線に当たった翌日、早速お肌が乾燥したりしますよね。
UVAによるダメージは1日目が最も大きいのです。そのためすぐに気がつき、迅速な対応にも結びつきます。
しかし近赤外線による光老化は、遅れて加速するという特徴があり、照射後3日後には、1日後の2倍のダメージを発生させます。つまり気がつきにくく素早いケアにも繋がりにくいため、いつのまにかダメージを蓄積してしまいがちなのです。
完璧に遮ることはかなりの難易度。まだまだ研究段階の近赤外線
近赤外線からお肌を守るには、一体どうしたらいいのでしょうか?もちろん、完璧に遮ることができれば、一番安心ですが…
近赤外線にも対応した日焼け止めは?
まず一番に思い浮かぶのは、近赤外線に対応できる日焼け止めを塗ること。
しかしちょっと特殊な存在である近赤外線。現在出回っている化粧品もかなり高価なものがほとんど。
さらに近赤外線は通常の日焼け止めのように、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を配合しても完璧に防ぐことは難しいと言われ、化粧品業界においても、まだまだ研究段階です。
しかし近赤外線は先に述べたように強力なパワーを持つものではないので、基本的には紫外線と同じように、強い光に長時間晒されるなどのことがなければ、突然重篤なダメージになることはありません。
紫外線とのセットから身を守るだけでもダメージは軽減されます。
まずは通常のものでも良いので、しっかりと日焼け止めを塗り、強い太陽光に長い時間当たらないようにすることです。
なせなら近赤外線は、それ単体で浴びた時よりも、紫外線とセットになって浴びた時の方がより強く悪い影響を与えることが研究で明らかになっています。
そのため、完璧に近赤外線カットができなかったとしても、紫外線をカットすることでダメージは大幅に抑えられます。
人に元から備わっている防御機能、皮脂!
しかし実は、私たちがもともと持っているものの中に、近赤外線から守ってくれるものがあります。それは、なんと皮脂!
皮脂が光を反射することで、光のダメージを防ぐ性質があることが分かっているのです。
人間は本来、紫外線はメラニンで、近赤外線は皮脂で遮断し、自然と対応してきたのです。
紫外線を浴びるとシミができるのは、メラニンが紫外線と戦ってくれた証拠でした。
気温が高い季節や、夜より朝の方が皮脂の分泌が盛んになるのは、人間の歴史の中で自然に備わった太陽光からの防御機能です。
浴びてしまうのならば、そのダメージを最小限に抑えるという戦い方
さて、近赤外線は強いものではなく、少しずつダメージを蓄積するという性質でしたね。徐々に、数年にわたって現れてきます。そのため、遮ることができなくても、影響を抑えるという方法でも大きな効果が期待できます。
近赤外線によるダメージは、細胞の酸化!!
では浴びてしまった影響とはなんでしょうか?近赤外線は線維芽細胞にダメージを与えるという話がありましたが、もう一つ老化の元になることがあります。それは「酸化」!!
近赤外線が細胞内に吸収されると、活性酸素を発生させ、細胞の酸化、すなわち老化が進んでしまうのです。
活性酸素は細胞全体を老化させてしまう、言わずと知れたアンチエイジングの大敵!
それを防ぐためには、近赤外線を浴びる前に、事前に皮膚の酸化を抑える成分を肌に塗っておくこと。
これで、影響をかなりの割合で抑制できると考えられています。
抗酸化作用のある化粧品成分とその主な特徴は以下の通り。
- ビタミンC誘導体:抗酸化化粧品の代表的存在。浸透しやすく壊れにくい。美白効果や抗炎症作用もあり。
- プラセンタエキス:活性酸素の除去に加え、繊維芽細胞を増やす効果がある。
- ナイアシン(ビタミンB3):コラーゲンを増やすため、シワ・たるみ予防に効果的。
- コエンザイムQ10:血行を促進し、肌細胞の新陳代謝を上げる。
- フラーレン:活性酸素を吸着して肌の酸化を防ぐ。効果の持続性が高い。
- カテキン:美白効果、抗酸化、美白、保湿、収れん、日焼け予防に効果的。
- リコピン:メラニンの生成を抑制し、日焼け予防、美白効果がある。
- アスタキサンチン:コラーゲンの産生を促す作用があり、活性酸素の中でも特にシワの防止に効果大。
- ルテイン:体内で作り出すことができないため、外からの補給が必要。
- 甘草エキス:メラニンの生成を抑制するし、炎症を抑える。
- ビタミンE(酢酸トコフェロール):血行を良くし肌のくすみの改善や老化防止作用。ビタミンC誘導体と一緒に使うとさらに効果的。
とてもたくさんありますね!これらの成分でしたら、かなり多岐にわたって流通しているため入手しやすく、かつ継続的に使用することができるはずです。
日焼け止めと同様に、日に何回か塗り直すようにすると、一日中お肌を守ってくれるので、さらに効果的です。
近赤外線対策は継続することが大切。過度に恐れず、地道に続けられる対策を!
近年急に話題にのぼり始めた近赤外線。まだまだ情報も少なく、商品も高価で、対策したいけれどどうしたらいいのか困っているという方も多いのではないでしょうか。
日焼け止めクリームは現段階では非常に高価ですが、研究者の中でも諸説あり、近赤外線を完全に遮断できない可能性のある日焼け止めに頼りきるよりも、普通の日焼け対策と併用して抗酸化対策をしてあげた方が有用であるという考え方もあリます。
太陽の光を浴びるのは気持ちいいもの。ストレス解消効果もあります。
恐れをなして気にしすぎるよりも、日々を楽しみつつ毎日の地道なケアを続け、10数年後に表情もお肌も、いい顔でいられるようにしたいですね。
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