人を励ますときの言葉の選び方。「頑張れ」より「頑張ったね」
Date:2019.01.09
友達や家族、同僚など…大切な誰かが困っているとき、励ましたいけれど何と声をかけて良いか分からないことってありますよね。
良かれと思って言った励ましの言葉も、裏目に出て相手をさらに落ち込ませてしまうことがあります。
励ましたい、心配する気持ちが上手く伝わらないのは悲しいものです。どんな言葉を使えば、上手く人を励ますことができるのでしょうか?
この記事では、人を励ますときの言葉の選び方をご紹介していきます。
この記事の目次
言葉選びの際に確認。人を励ますときの3つのルール
どんな言葉を使うか、どんな言い方で声をかけるかは人それぞれでしょう。あなたにしかできない励まし方をするのは大切なことです。
ですが、「どんな言葉を使うか」を決めるとき、絶対に確認すべき3つのポイントがあります。これを見逃すと、意図しなくても相手を不愉快にさせたり落ち込ませたりするので注意してください。
1.まずは相手の話をよく聞くこと
人を励ますときに大切なのは、自分が話をしようとするのではなく、落ち込んだり疲れたりしている相手の話をよく聞くこと。
落ち込んでいる人にとっては、何かを言われるよりも自分が溜め込んでいることを吐き出す方が、気持ちが楽になるものです。
- 悲しいこと
- つらいこと
- 許せないこと
- 不安なこと
抱え込んだ悩みの種を吐き出させ、受け止めるのが、人を励ますときに最も重要なこと。
相手がどんな気持ちでいるのかが分かれば、こちらもかけるべき言葉が自然と見つかりますよ。
矢継ぎ早にアドバイスや応援の言葉を浴びせ続け、相手が話す隙を与えない…なんてことがないように注意してください。
2.アドバイスをしようとしないこと
落ち込んでいる人や疲れている人を見て、ついついアドバイスしたくなることがあるでしょう。「もっとこうしたら上手くいくのに」こう思うかもしれませんが、これはあくまで客観的な感想に過ぎません。
落ち込んでいる当事者にとっては、「悲しい」「つらい」の感情だけで頭がいっぱいです。人のアドバイスまで聞く余裕はほとんどありません。
良かれと思って「こうしてみたら?」とアドバイスをしても、かえって相手を追い詰めるだけです。「それが出来たら苦労しない!」と怒られることもあれば、「それもできない私はダメなやつなんだ…」と落ち込ませることもあります。
アドバイスは極力しようとしない、もしするなら話を聞いてから。黙ってうなずくことこそが、最高の励ましになる場合もあるのです。
3.上から目線な態度にならないこと
ネガティブな気持ちで参っている人を見ると、自分の方が優位に立っているような気分になる…こんなことはありませんか?
- 自分の方が出来る人間なんだ
- 私がこの人を引っ張ってあげなきゃ
- この人にとって私は頼れる存在なんだ
こんな気持ちを持ったまま励まそうとすれば、上から目線な態度になってしまいます。
高圧的なアドバイスや「話を聞いてあげている」という態度を出すと、落ち込んでいる人はさらに落ち込んでしまいます。
「忙しいのに話を聞かせている」と自分を責めたり、「自分がダメだから今こんなにつらいんだ」と自分を卑下したり…励ますどころかネガティブな気持ちに拍車をかけてしまいます。
上から目線な人と自分との格差を感じて、劣等感や惨めな気持ちを抱かせることもあります。「この人に話さなきゃ良かった」と思われてしまうのです。
まずは話を聞くのが大切。励ましになりそうな言葉を探そう
3つのルールを踏まえたら、さっそく相手を励ます言葉を探していきましょう。ただしどんな言葉が相手の心を支えられるのか、それは話を聞いてみないと分かりませんよね。
- 落ち込んでいるのか
- 怒っているのか
- 悔しがっているのか
相手がどんな気持ちでいて、今どんな言葉を欲しがっているのかを知るために、まずは話を聞くところから始めてみましょう。
「どうしたの?」は万人に使える言葉
何か悩みを抱えていそうで、それでも自分から話をしようとしない…。こんな人には、たった一言「どうしたの?」と声をかけてみてください。
「どうしたの?」は落ち込んでいる人にとって、自分を気にかけている人がいると知るきっかけになる言葉です。
怒っている、疲れている…どんな状態でいても、「どうしたの?」と言われるだけで「話してみようかな」という気になるものですよ。
「最近忙しそうだね」は強気な人に有効
中には強気でプライドが高く、自分からは弱みを見せたがらない人もいます。このタイプは放っておくとどんどんストレスを溜め込んでいくため、気付いたときに声をかけたいですね。
「どうしたの?」はプライドを傷つけることもあるので、「最近忙しそうだね」と相手の手腕を認めるような言葉をかけてみましょう。
プライドが高い人にとって、「忙しそう」は「たくさん働いてる」と同義。褒め言葉に近い意味を持っています。忙しさに追われる自分の手腕を認められることで、
- どうして忙しいのか
- どうすれば忙しくなくなるのか
- 今、どんなことをしてほしいのか
を抵抗なくお話ししてくれるでしょう。「そりゃ忙しいよ、だって誰も手伝ってくれないんだから!」といった具合に愚痴や弱音をこぼしてくれるので、それをしっかり聞いておきましょう。
「いつでも話を聞くよ」は安心させる言葉
思いやり深い人や、大人しくて控えめな性格の人は、「迷惑じゃないかな?」と相手を優先するあまり、なかなか弱みを見せてくれません。
見るからに大変そうなのに話してくれない人には、「いつでも話を聞くよ」とさり気なくフォローしてみましょう。
「今話せ」と言っているわけではないので、相手も自分のペースで話しやすくなります。「いつでも話を聞いてくれる人がいる」という事実が、心の支えになりますよ。
人を励ますときの言葉。労う・認める言葉を探して
相手の話を聞いたときに感じたことや、伝えたい気持ち・言葉は様々でしょう。どんな言葉が正解かはケースバイケースですが、ここでは人の心を支える・受け止める言葉をご紹介していきます。
必ず言うべき、というわけでもありませんが、何を言おうか迷ったらこれを伝えてみてください。
相手の苦労や頑張りを労う言葉
人が落ち込んだり疲れたりしているのは、それだけ頑張ったという証拠です。悩んだり頭や身体を動かしたりした結果、ネガティブな気持ちになっているということ。
落ち込んでいる人には「頑張ったね」「よくやり遂げたね」「つらかったね」など、頑張りを労う言葉をかけましょう。
下手なアドバイスを貰うよりも、自分の頑張りを認めて貰う方が嬉しいのは誰でも一緒。話を聞くときには、その人が頑張ったこと、心血を注いでやり遂げたことに注意して聞いておきましょう。
相手の長所を褒める言葉
気持ちが落ち込んでいる人に今必要なのは、ポジティブになれる言葉です。それも取ってつけたような綺麗ごとではなく、その人だからこそ言われるべき言葉が理想的。
「優しいんだね」「責任感が強いんだね」など、あなたが知っている相手の良いところや長所を伝えてみてください。
自分の長所を人の口から聞かされるだけでも、大きな自信に繋がります。特に自分に自信をなくしているような人には、心強い励ましの言葉となるでしょう。
- 上手くいかなくて悩んでいる→「自分に厳しい」「責任感が強い」
- 対人ストレスを抱えている→「思いやりがある」「優しい」
- 吐き出せない怒りを抱えている→「理性がある」「我慢強い」
- とにかく不安でいっぱい→「慎重な性格」「真面目」
ただし、見え透いたお世辞のようにならないように注意してください。
話してくれたことに「嬉しい」と言う
人を励ますのは、その人が弱い部分を見せてくれたからです。自分の弱い部分を見せるのって、かなり勇気が要ることですよね。
悩みがどんな内容であれ、「私に話してくれてありがとう」と信頼に対するお礼を伝えてください。
人に何かを相談するとき、「話に付き合わせている」と罪悪感を覚える人は多いです。ただでさえ落ち込んでいる人ですから、せめてそんな罪悪感は取り除いてあげたいですよね。
「信頼してくれてるんだね」「話してくれて嬉しいよ」など、相談されたことをポジティブに受け止め、相手に伝えておきましょう。これを言っておくだけで、「話して良かった」「また話を聞いて貰える」と安心させられます。
根拠があるなら「大丈夫」と伝えて
もし相手が悩んでいることに対して「これって別に大丈夫じゃない?」と思う場合、根拠を説明できるのなら伝えてあげてください。
根拠のない「大丈夫」は不安を煽るだけですが、根拠のある「大丈夫」は本当に安心できるものです。
- どうして心配する必要がないのか
- どうやって解決すれば良いのか
- どうして解決できると思うのか
ちゃんと相手に分かるように、根拠を説明しながら「大丈夫だよ」と不安を取り除いてあげてくださいね。ただし解決策を教える間に、偉そうなアドバイスにならないように注意です。
励ますどころか突き落すことに。裏目に出る励ましの言葉
励まそうとして言った言葉が、あろうことか裏目に出て相手を傷つけることは多々あります。落ち込んでいる人の心はデリケートなので、いつも聞いている言葉でさえ傷つきやすいのです。
人を励ましたいなら、次の言葉は使わないように気をつけてください。
「頑張れ」はさらに人を追い詰める
落ち込んでいる人によく使われがちな「頑張れ!」「ファイト!」。これ、落ち込んでいる人の心には全く響かない上、さらに心を荒ませてしまいます。
「頑張れ」は人や状況によっては、「もっと努力しろ」「勝手にやってろ」という意味に取られます。
すでに限界まで頑張っている人に「頑張れ」は無理を強いることになりますし、助けを求めている人に「頑張れ」はまるで突き放すような言葉に聞こえます。
「分かるよ」は信憑性がない
悩みは人それぞれで違います。同じことに対する悩みでも人によっては大小が異なりますし、稀有な状況による悩みや、人には理解しがたい悩みなど様々なものがあります。
誰かの悩みに対して「分かるよ」と言うのはあまりに信憑性がなく、相手にとって何の励ましにもなりません。
むしろ「全然分かってないくせに!」と怒らせてしまうこともあります。仮にあなたが相手の気持ちを理解していたのだとしても、相手にとっては「自分の悩みは自分だけのもの」という強い気持ちがあるのかもしれません。
相手の気持ちを受け止めたいのだとしても、簡単に「分かるよ」と言うのはやめておきましょう。
「大したことないよ」は落ち込みが悪化
悩みを大きく感じるか小さく感じるかは本人の感性次第です。あなたにとっては取るに足らないことに思えても、相手にとっては重大な悩み。
人の話を聞いた後で「そんなの大したことじゃないよ」は、仮に思ったとしても口には出さないでください。
言われた側からすれば「私が大げさな奴だから」と自分を責めたくなりますし、「この人は私の話を聞く気がないんだ」と突き放された気持ちになります。
思いやる気持ちが大切。真心のこもった言葉で励まして
落ち込んでいる人を救うのが言葉なら、さらにどん底に突き落とすのも言葉です。励ましたい気持ちが先走って、相手をさらに追い詰めないように慎重な言葉選びをしたいものですね。
ただし、ここで挙げたのはあくまで例文。相手を思いやる気持ちさえあれば、後はあなたが思った、感じた言葉を伝えてください。
あなたに悩みを打ち明けるということは、あなたにしか言えない言葉を待っているということでもあるのです。あなたの真心が感じられる言葉で、大切な人を励ましてあげてください。
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