マイクロスリープとは?疲労回復効果もあれば事故の可能性もある
Date:2017.07.03
「マイクロスリープ」は、文字通り「瞬間的な睡眠」という意味です。何かの途中でカクンッと船を漕いだり、乗り物の中で少しだけうとうとしてハッと目を覚ましたり…そんな些細な睡眠のことをマイクロスリープと呼んでいます。
誰にでも経験がありますよね?
単なるうたた寝とは違って、マイクロスリープには独特の特徴やメリット・デメリットが存在します。マイクロスリープで疲れが取れることもあれば、大きな事故が起きてしまうことも…。
この記事では、マイクロスリープとは一体どんなものなのかについてご説明していきますね。
この記事の目次
瞬間的ってどのくらい?居眠りとは違うマイクロスリープの特徴
マイクロスリープは「瞬間的な睡眠」というだけあって、夜にとる睡眠やお昼寝、仮眠などとは少し異なった特徴があります。
まずはどのような現象をマイクロスリープと呼ぶのかについて見てきましょう。
1秒未満から数十秒にわたる睡眠のこと
通常の睡眠であれば、着替えてお布団に入って…と眠る前の準備をしますよね。眠気がくるのも睡眠準備の一環です。
ところが、マイクロスリープには睡眠前の準備と言える動作がありません。眠気と感じるものもなく、急にガクッと眠りに落ちてしまうのです。そして同じく、急にふっと覚醒します。
マイクロスリープは短ければ1秒未満の場合もありますし、長ければ数十秒ほどの場合もあります。お昼寝やうたた寝とは違って、本当に瞬間的な睡眠がマイクロスリープと呼ばれています。
場面や場所を選ばず不意に起こる現象ですから、本人にとっては無自覚に起こることもあるのです。
疲労が溜まっていれば無自覚に起こりやすい
マイクロスリープは睡眠障害の一環で起きるときもありますが、睡眠不足や疲労が溜まっているときにも起こります。
「これ以上は睡眠を取らないと活動できない」と身体が感じたとき、防衛本能として瞬間的な睡眠を取るのです。つまりマイクロスリープが起きるのは、身体の負担が限界まできている証拠。
また、現在マイクロスリープには明確に定義された特徴がありません。
- 脳波が変化している
- カクンッと船を漕いでいる
- 目を閉じている
…のような特徴からマイクロスリープの症状を計測した例もありますが、いずれにしても瞬間的なことです。マイクロスリープかどうかを調べる前に本人が目覚めてしまう可能性がとても高いのが現実。
マイクロスリープは本人には無自覚に起こる上、周囲の誰も気づかずに起こる可能性もあるということを覚えておいてくださいね。
規則的な動き・リズムで起こりやすい
マイクロスリープが起きるのは疲労が溜まったときや睡眠に何らかの障害がある場合とご説明しましたが、実は周囲の環境によっても起こりやすくなります。
常に揺れている電車の中や、同じことを繰り返すルーチンワークなど…規則的なリズムがある状態でマイクロスリープは起きやすくなります。
疲れた状態で電車など乗り物の中にいると、マイクロスリープが起こる可能性が上がります。
短時間でもしっかり休める。マイクロスリープのメリット
マイクロスリープには長所も短所も存在します。まずはメリットとなる長所から見ていきましょう。
疲労を回復する効果がある
マイクロスリープは疲労が限界にまで達したときに働くものだとご説明しました。つまり、瞬間的な睡眠をとって脳が疲労を解消しようとしているのです。
マイクロスリープは意識して利用すれば、極短時間の睡眠でありながらも疲労を回復する効果があります。
もちろん長時間の睡眠と比べれば効果は劣りますが、マイクロスリープの中でも身体は休まっているため疲労回復に効果を発揮してくれるのです。
疲れが溜まっているときや疲労を解消したいときなどは、マイクロスリープを使って数秒だけふっと微睡むのもありですね!
気分がスッキリして集中力が高まる
何かの仕事や作業の途中で突然集中力が途切れることってありますよね。また、気分が乗らずに行き詰って手が止まることもありがちです。
マイクロスリープで脳を瞬間的に休ませておけば、頭が一旦リセットされてスッキリとした気分で物事に取り組むことができます。
人は寝起きである朝の方が夜よりも集中力が高いとされています。マイクロスリープの後だって寝起きと言えますから、集中力の高さを手に入れることができるのです!
「集中力が切れた」と感じたときや「どうしても作業が捗らない」と感じたときなどは、意識的にマイクロスリープを挟んで頭を活性化させてみても良いですね!
疲労が重なって無自覚にマイクロスリープを繰り返すよりは、意識的にマイクロスリープを取り入れた方が事故なども防げますよね。時間に追われて忙しくしている人は、自らマイクロスリープを上手に使っていきましょう。
短時間睡眠や徹夜も乗り切れる
健康を害してしまうため、極端な短時間睡眠や徹夜はあまりおすすめできません。とは言っても、生きていれば必ず睡眠を削らなければならないほどの忙しい場面が訪れますよね。
睡眠時間を削って活動を続けるときは、定期的にマイクロスリープを挟むことで眠気や集中力の低下を防ぐことができます。
どうしても睡眠時間を削らなければならない場面があれば、「眠い」と感じるよりも少し前にマイクロスリープをとって身体と脳を休ませましょう。疲労を回復して眠気を飛ばしながら物事に集中できますよ。
無自覚に起きると大事故に繋がる!マイクロスリープのデメリット
マイクロスリープは意識的に使うことで、日々の活動をより効率的にするメリットがあります。しかしそれは、あくまでも「意識的に使えたら」の話。
本人の意思とは無関係に起こりやすいマイクロスリープは、思わぬ事故を引き起こす可能性だって考えられます。マイクロスリープによるデメリットもしっかり確認しておきましょう。
事故が起きる可能性が上がる
機械やコンピューター技術が盛んな現代では、人間のちょっとした動作で機械が大きな動きをしますよね。指1本で情報が送られたり、車が動いたり…。
もしも何かの作業中に無意識なマイクロスリープが起こってしまうと、知らない間に事故を引き起こしてしまいます。
- 車の運転ミスによる交通事故
- PCの操作ミスによる機密の漏えいやデータの紛失
- 人の話を聞き漏らす、何かの動きを見逃すなど
特に危惧されているのが車の交通事故です。マイクロスリープ自体はほんの数秒程度のものですが、もし運転中にわずか1秒でも意識がなければ信号無視やブレーキ・カーブ遅れによって命を落とす危険性も。
睡眠不足・疲労気味の状態で運転をすることはマイクロスリープを起こしやすいため、飲酒運転と同じくらいに事故を起こす危険性があるのです。
どんなに気を付けていても、マイクロスリープは無自覚に起こり得るものです。人が意識的に利用できる範囲は限られているということを知っておきましょう。
頻発すればパフォーマンスが低下
マイクロスリープを上手く利用することで集中力を維持してパフォーマンスを上げることができます。しかし、意図していないマイクロスリープが頻発すれば、逆にパフォーマンスを下げる結果になるのです。
何かの作業をしていた途中にマイクロスリープが頻発すると「何をどこまでやってたんだっけ?」と、連続して行うような作業に支障が出てしまいます。
睡眠時間が不足していたり、身体や脳に疲労が溜まっているときほどマイクロスリープは頻発して起こりがちです。
誰かの長い話を聞いていて、途中から頭に入ってこなかった…という人は、マイクロスリープで脳が停止していた可能性もあります。マイクロスリープが頻発すれば何かに対する集中が持続できませんから注意したいですね。
回数が多いと夜に眠れなくなる
マイクロスリープが起きやすいのは過眠症の人です。また、眠るべき時間に眠れていない(徹夜、昼夜逆転など)人にも起こりがち。
あまりにマイクロスリープの回数が多いと、睡眠過多となって夜に上手く睡眠がとれなくなります。
不眠気味の人は、日中にぼーっとしていたことがないか思い返してみてください。意識が飛んでいた瞬間や、何をしていたのか覚えていない時間などはありませんか?
寝不足を防ぐにもマイクロスリープを防ぐにも、夜の睡眠時間をしっかり確保することが大切です。徹夜や夜更かしはほどほどにしたいですね。
ジャーキングが地味に厄介
眠っているとき、急にビクッと身体が震えて目を覚ますことはありませんか?人によっては「夢の中でガクッと落ちた」と感じることもあります。
これは「ジャーキング」と呼ばれる現象で、睡眠時に起きる筋肉の痙攣です。居眠りのように不安定な姿勢での睡眠時や、本格的でない浅い眠りのときにジャーキングは起こりやすくなります。
つまりマイクロスリープ時にはジャーキングがとても起こりやすいのです。業務中などにジャーキングが起きれば、隣の人に迷惑をかけたり持っていた物を落として壊すなどのトラブルが起きてしまいます。
視線を集めて恥ずかしい思いをすることもあります。マイクロスリープにはジャーキングが高確率でついてくると覚えておいてくださいね。
意識的に取り入れて事故防止。マイクロスリープとの付き合い方
無自覚なマイクロスリープはとても恐ろしいものですが、上手く使いこなせばこんなに心強い味方はいません。
ここでは、マイクロスリープと上手く付き合っていくためのコツとなるポイントをいくつかご紹介しますね。意識的にマイクロスリープを取って疲労を回復し、無自覚なマイクロスリープを減らしていきましょう。
本格的な眠気がくる前に安全な場所へ
過眠症などの睡眠障害によるマイクロスリープは前触れがありませんが、ある程度の疲労や睡眠不足があれば、マイクロスリープに落ちる前に多少の疲れや眠気が感じられます。
ほんの少しでも疲れや眠気を感じたら、すぐに安全な場所に移動して事故を防いでください。「このくらいの眠気なら」と作業を続けていると、眠気がもっと強まったときにマイクロスリープで事故を起こしかねません。
マイクロスリープと上手く付き合うには、何といっても事故の予防が大切です。使いこなすのは事故のリスクをなくしてからですよ!
マイクロスリープのとり方
マイクロスリープは意識的にとることで様々なメリットがあります。疲労を回復して無自覚なマイクロスリープを防ぐ効果も期待できますから、何としても操りたいところ。
マイクロスリープを意識的にとるためには、次のポイントを押さえておきましょう。
- 楽な姿勢・格好になる
- 瞬間的とは言え睡眠をとるわけですから、夜と同様にリラックスする必要があります。衣服の首元は緩め、楽な姿勢で座ったり横になったり…あなたが楽だと思う姿勢・格好になりましょう。机に伏せるのも良いですね。
- アイマスクや耳栓を使う
- マイクロスリープは即座に寝入ってこそ意味があります。アイマスクや耳栓を使って視覚・聴覚を外部から遮断し、寝入りやすい環境を整えてみましょう。また、仮眠室などの休むべき場所に移動するのもアリですね。
- 本気で眠ろうとは思わない
- マイクロスリープは意識的にとろうとしても、実際に眠れたかどうかはわかりません。「眠れなかった」と思ったとしても、自覚がないだけでもしかしたら瞬間的に眠りに落ちていた可能性もあるのです。
そのため、マイクロスリープをとろうとしているときは「眠らなきゃ!」と意気込むのはNG。眠るか否かはひとまず置いて、「ぐったりと力を抜く」くらいの気持ちでリラックスしてくださいね。
起きる準備はカフェインかアラーム
マイクロスリープは約数秒のものですが、疲労が酷ければそのまま居眠りや仮眠のような長時間の睡眠になる可能性も考えられます。
場所を移動して姿勢や格好を整えたら、念のために起きる準備もしておきましょう。
カフェインには摂取してから2~30分後に意識を覚醒させる作用があります。そのため、眠る前にコーヒーなどでカフェインを摂取しておきましょう。
また、起きたい時間に合わせてアラームをかけておくのもおすすめです。アラームをかけることは目覚めを確実にするだけでなく、起きる時間を意識に刻むという役割があります。
すぐに起きることを前提にしていれば、マイクロスリープの”不意に眠って起きる”状況と同じような状況をつくりだすことができますよ。
一長一短なマイクロスリープ。便利だけど頼り過ぎは禁物!
マイクロスリープは一長一短です。コントロールが上手くいけば活動時間を増やすことができますが、無自覚に起これば大事故を引き起こしかねません。
基本的にはマイクロスリープを起こさないように、十分な睡眠時間を確保して疲労を溜めないようにするのが理想的です。マイクロスリープはどうしても無理せざるを得ない場合のための、応急処置として捉えておきましょう。
非常時には便利な味方になりますが、それでも危険性からは目を逸らせません。なるべくマイクロスリープに頼らないようにしていきたいですね。
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