名作ドラマは小説でも楽しもう。おすすめのドラマ原作小説
Date:2018.07.23
テレビドラマって素敵ですよね。帰宅後の楽しみとして、好きな俳優さんを一目見ようとして、ドラマを視聴する人は多いのではないでしょうか?
テレビドラマのストーリーはオリジナルの脚本もあれば、原作となる小説から制作されたものもあります。この記事では、テレビドラマの原作小説の中でもおすすめの本をご紹介していきます。
「好きなドラマが終わって寂しい」という人や「ドラマ世界をもっと楽しみたい」という人は、ぜひ原作小説を読んでみてください。ドラマとはまた違った魅力を楽しめます。
この記事の目次
明日からまた頑張れる。お仕事ドラマの原作小説
お仕事ドラマの魅力は、自分が知らない職業の内容について見たり聞いたりできること。そして何より、「自分も仕事を頑張ろう」と思える活欲が貰えることですよね。
仕事に打ち込む登場人物を見て勇気を分けて貰える、そんなお仕事ドラマの原作小説をご紹介していきます。
『校閲ガール』…著・宮木あや子
『地味にスゴイ!』というタイトルで放送されていた、有名なテレビドラマの原作小説です。原作小説はシリーズもので、ドラマ放送とちょうど同時期に三作目が発表されました。
主人公の河野悦子は、ファッション雑誌の編集者になることを目標に出版社に入社します。ところが配属されたのは校閲部。苦手な校閲原稿に向き合いますが、彼女の身の周りではちょっとしたトラブルがよく起きて…。
お仕事・恋愛・ファッションと、現代女子が目を引かれるポイントがたくさんあったテレビドラマ。原作小説の方がドラマに比べて、恋愛よりもお仕事の方にスポットが当てられています。
校閲というあまり馴染みのないお仕事の内容や、個性豊かな登場人物たちの行動・言動を楽しめる作品です。
ドラマが好きだったという人は、ぜひ原作小説にも目を通してみてはいかがでしょうか?表紙のカバーをめくった裏側に隠された、ちょっとした仕掛けも必見です。
『空飛ぶ広報室』…著・有川浩
本屋大賞を受賞した本作は、女性がキュンとくる恋愛描写が得意な有川浩さんが執筆した作品。”自衛隊”という重厚なテーマに加え、魅力的な人物描写が光るドラマ版は大反響を呼びました。
元戦闘機のパイロットである空井大祐は、口腔幕僚監部広報室に異動。ミーハー室長の鷺坂をはじめ、ひと癖もふた癖もある先輩たちと出会います。そして美人TVディレクターとの出会いを機に物語は動き始め…。
航空自衛隊についての知識にあまり馴染みのない人にとっては、とても新鮮で面白い小説に感じるでしょう。もちろん自衛隊が好きな人にとっても、本格的な内容でワクワクする描写がたくさんあります。
ドラマはかなり原作に沿ったストーリー展開で進んで行ったようですが、原作の方が恋愛的な側面は少なめです。主人公とヒロインの関係性が好きだった人は、読んでみる価値ありですよ。
『下町ロケット』…著・池井戸潤
直木賞受賞作にして、テレビドラマも高視聴率を収めた有名作です。「働くとは何か」というテーマについて、深く考えさせられたという視聴者はたくさんいます。
佃航平は研究者の道を諦め、家業の町工場・佃製作所で業績を伸ばしていました。そんなある日、商売敵の大手メーカーから特許侵害で訴えられ、取引先を失い、佃製作所は資金繰りに窮します。
創業以来の大ピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業が佃製作所の特許技術に食指を伸ばしてきて、特許を売れば窮地を脱することができるという状況に陥りますが――。
自分の技術や知識に自信を持ち、夢に向かって努力するという姿に思わず感銘を受ける1冊です。頑張ることに魅力が感じられ、働くことへの意味を見つけるヒントを与えてくれるでしょう。
有名作だっただけに、「ドラマを見逃してしまった」という人はぜひ原作小説を読んでみてください。もちろんドラマ視聴済みの人も楽しめる1冊となっていますよ。
- 『オレたちバブル入行組』…ドラマ『半沢直樹』の原作小説
- 『不祥事』…ドラマ『花咲舞が黙ってない』の原作小説
など、ドラマ化した作品がありますよ。
『白い巨塔』…著・山崎豊子
何度も映像化され、幅広い年齢層の人が知っている有名なテレビドラマシリーズです。医療業界の闇や人間ドラマは、身近なところで様々な問題について考えさせられます。
戝前五郎は食道噴門癌の手術を得意とし、次期教授に納まるものと自他共に認められていました。しかし戝前の性格を嫌った現教授の東は、他大学からの移入を画策。戝前は様々な後押しを受け、熾烈な教授選を勝ち抜こうと奮闘します。
教授選や裁判といった人間ドラマが繰り広げられるシーンは、実に読み応えのあるもの。誤診や医療ミスなど、読者の身近にも有り得る医療界の闇の部分について考えさせられます。
ドラマを見たことがある人でも十分に楽しめる濃密な内容ですが、「タイトルしか知らない」という人もグイグイ引き込んでいくストーリーです。
続きが気になって仕方がない!ミステリードラマの原作小説
事件が起きて、犯人や証拠探しが始まって…観ているこちらまで探偵気分になれるのが、ミステリードラマの魅力ですよね。意外な真実に驚かされることもあれば、予想したことが的中して嬉しくなることもあります。
ミステリードラマの原作小説は、テレビドラマにはないような伏線の張り方がされていることもあります。よりストーリーに没頭できる、ミステリードラマの原作小説を見ていきましょう。
『謎解きはディナーのあとで』…著・東川篤哉
本格ミステリーと言うよりはユーモアミステリーに分類される作品。テレビドラマ化され、映画化までされた大ヒット作品です。個性的な登場人物たちの魅力は、原作でも充分楽しめますよ。
『宝生グループ』のお嬢様である宝生麗子は、国立署の新米刑事。大豪邸に帰宅後はドレスに着替えて、ディナーを楽しみながら執事兼運転手の影山に事件のことを相談します。
毒舌な影山は麗子の推理力が低いことを指摘しつつも、鮮やかに事件を解き明かしていくのです。
これでもかと言うほどにアクの強い登場人物たちの掛け合い。これだけでも楽しめる1冊です。1話完結の短編式なので、サクッとミステリーも人物像も楽しみたいと言う人におすすめ。
ドラマ版を視聴したという人もあらためて文字で追ってみると、セリフのインパクトに新たな楽しみ方が見いだせますよ。
『流星の絆』…著・東野圭吾
著名なミステリー小説家・東野圭吾さんの作品です。ドラマはもちろん、原作小説も高評価を得ています。配役がピッタリだと好評だったドラマ、見たことがある人もいるのではないでしょうか?
幼い頃、洋食店『アリアケ』の三兄妹は両親を殺されます。「大人になったら三人で復讐しよう」という約束のもと、14年後に彼らは本当に復讐計画を立てます。ところがなんと、仇の息子に妹が恋をしてしまい…。
“復讐”と言うと何だか物騒な話に見えますが、三兄妹の強い絆が感じられる温かいストーリーとしても読むことができます。事件の真相は意外なもので、思わずあっと驚かされるどんでん返しが待っています。
未来が感じられる温かいラストなので、バッドエンドが苦手な人も安心して読んでみてくださいね。
『チーム・バチスタの栄光』…著・海堂尊
『チーム・バチスタシリーズ』として何回かテレビドラマとして放送されており、映画化もされた作品です。医療の専門的な話が多くなりますが、主要人物となる二人のやり取りが軽快なだけに、あまり堅苦しさを感じさせません。
東城大学医学部付属病院で活躍する「チーム・バチスタ」は成功率100%を誇る専門値チームでしたが、何故か術中死が続いています。神経内科教室の講師である田口と厚生労働省の役人白鳥は、術中死の原因を追うことに。
「変人」と呼ばれる人物と、それに振り回される人物…奇妙な関係性がユニークで、それだけでも面白く読み進められます。現役医師が執筆したというだけあって、医療界についての描写はとてもリアルで説得力があります。
ドラマを観たことがある人もそうでない人も楽しめるでしょう。ちょっと変わったキャラクターが好き、という人にはぜひおすすめしたい作品です。
『百舌の叫ぶ夜』…著・逢坂剛
映画化もされたテレビドラマ『MOZU』シリーズの原作小説です。ミステリー、サスペンス、アクション…幅広い楽しみ方があったドラマと同じく、小説も実に読み応えのあるものとなっています。
能登半島で発見された記憶喪失の男性は、妹を自称する女性によってその兄・新谷和彦だと確定されます。一方、新宿では爆弾テロ事件が発生し、倉木尚武警部は妻を亡くします。倉木は同じく公安警察の明星美希と共に事件の真相を追いますが――。
謎が謎を呼び、その度に意外な真実が明らかとなっていく長編サスペンスミステリーです。目まぐるしく事態が一転二転していくストーリー展開で、読んでいて全く飽きを感じさせません。
注意したいのは、表現力が高いためちょっと人によっては残虐に感じるシーンがあるかもしれない点。そこも踏まえて本作の魅力なので、ドラマが好きだった人や、刺激的な作品に出会いたいという人におすすめです。
人との絆、サスペンス…その他ジャンルのドラマ原作小説
小説原作のドラマと言えば、お仕事ドラマやミステリードラマが多くありますよね。ですがもちろんそれだけではありません。
単純なスリルや人と人との絆などが味わえる、ドラマの原作小説をご紹介します。
『ナオミとカナコ』…著・奥田英夫
個性的な作風で知られる奥田英夫さんが描く、女性同士の親友を描いた作品です。テレビで放送されたドラマ版も好評で、そのスリリングなストーリーには、ドラマでも小説でも釘付けにされてしまいます。
望まない職場で働く直美は、親友の加奈子が夫の酷いDVに苦しんでいることを知ります。追い詰められたふたりは加奈子の夫を殺害することを決意し、ついに実行。親友の二人はとうとう共犯者となります。
職場に対する不満や夫への悩み、そしてその解決策を考えるときの心情など…。女性だからこそ共感しやすい部分がたくさんあり、読んでいる内に二人の主人公に肩入れしたくなります。
最後の最後まで展開が読めず、ラスト1行まで目が離せません。ドキドキしますが続きが気になる傑作です。
『流星ワゴン』…著・重松清
家族に焦点を当てた小説でお馴染みの作者が綴る、父親と息子の絆を描いた物語です。ドラマは演技力の高い俳優さんで演じられ、クオリティの高いものとなっていました。
死んじゃってもいいかなあ、もう……。そんなことを考えていた38歳の秋の夜、主人公の一雄は交通事故で亡くなったという橋本親子の乗っているワゴンに乗せられます。
ワゴンに乗せられて人生の岐路に降り立った一雄が出会ったのは、なんと自分と同い歳の父親でした。
難しい展開や用語はないため、読書が苦手な人でもサラッと読めてしまえます。親子の確執や葛闘に悩んでいる人にほど読んでもらいたい作品です。
ストーリーはほとんどドラマと変わりませんが、心情描写があるので登場人物の存在がより身近に感じられます。親としてor子としての親子関係や、家族としての在り方について視野が広がります。
『「弱くても勝てます」-開成高校野球部のセオリー-』…著・高橋秀実
読書感想文の課題図書にも選ばれたことのあるサクセスストーリーです。独創的でコミカルな雰囲気のドラマとなっていましたが、なんと原作はノンフィクションの小説です。
平成17年の夏、エリート校として有名な高校の野球部が甲子園大会の東東京予選ベスト16に勝ち進みました。
そこには独創的な監督と、下手を自覚しながら真面目に取り組む生徒達の日々があったのです。
ノンフィクションの実話から執筆された小説ですから、非現実的な展開に興奮が冷める心配はありません。弱者には弱者なりの戦い方・勝ち方があると強く思わせてくれる作品です。
監督と生徒達のやり取りは爆笑必至。どうにもならない状況に落ち込んでいる人や、最近面白いことがないと言う人に元気を分けてくれますよ。
好きな時に好きなだけ読めるのが原作小説の楽しみ
何か気になる作品はありましたか?好きなドラマの原作小説を読むのも楽しいですが、全く知らないドラマを原作小説から知っていくのもおすすめです。ドラマを観て小説、小説を読んでドラマ…どちらも楽しみ方の一つ。
原作小説の良いところは、ドラマと違って翌週まで次の展開を待たなくて良いところと、文字を追うことで頭の体操になるところです。
番組の時間に縛られることもありませんから、通勤電車の中やちょっとしたすき間時間など…好きなときに好きなだけ読めるのも魅力的ですね。
もしかしたらあなたが好きだったあのドラマにも、原作小説があるかもしれません。ドラマの原作小説はたくさんありますから、ぜひあなた好みの1冊を探してみてください。
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