生理前・生理中にイライラしてしまう…心の不調の原因と解消法
Date:2017.01.20
生理前や生理中って、いつもよりも気が短くなってイライラしやすくなりませんか?
些細なことで怒ったり悲しくなったりと、生理が近づくにつれて情緒不安定になることは誰にだって起こります。
この記事では、生理前や生理中に起こる心の症状の原因や対策についてご紹介します。
この記事の目次
PMS(月経前症候群)の症状で精神が不安定になっている
「PMS(月経前症候群)」という言葉は、女性ならおそらく多くの人が聞いたことがあるのではないでしょうか?
PMSとは「Premenstrual Syndrome」の略語で、生理前の3~10日ほど前に症状が起こる身体や心の不調のことです。
生理前に
- イライラしやすくなる
- 些細なことで怒ってしまう
- 集中できない・落ち着かない
- 誰とも接したくなくなる
- 悲しい気持ち・うつな気持ちになる
- 理由もなく涙が出てくる
などの症状があれば、これはPMSが原因です。PMSには多くの症状がありますが、中でも心の不調はポピュラーなPMS症状。
PMSによる心の不調は、次のようなことが原因で起こります。
ホルモンバランスの変動
PMSの一番大きな原因は何と言ってもホルモンバランスの乱れ。女性ホルモンは、生理が始まる14日前に起きる排卵日を期に大きく変動します。
- 卵胞ホルモン(エストロゲン)
…乳房や子宮など女性の身体を形作ることに影響する。自律神経を整える。 - 黄体ホルモン(プロゲステロン)
…子宮の状態を整えて妊娠に影響する。食欲や基礎体温にも作用する。
排卵日を迎えると、黄体ホルモンの分泌が多くなります。
卵胞ホルモンよりも黄体ホルモンの分泌量が多くなることで、女性の身体には次のような影響が現れます。
- 幸せホルモンのセロトニンが減る
- よく「幸せホルモン」の名前で知られているセロトニンは、精神をリラックスさせて不安やストレスを取り除いてくれる存在です。黄体ホルモンが分泌されるとこのセロトニンの量が著しく低下します。
これによって情緒が不安定になり、いつもよりも不安や苛立ちを強く感じたり、不眠やうつ症状を引き起こします。
- 体内に水分が溜まりやすくなる
- 女性の妊娠機能をサポートするための黄体ホルモンは、身体の中に水分を蓄えようとする働きがあります。これによって女性の身体には水分が溜まりやすくなり、むくみが生じたり代謝が悪くなってしまいます。
水分が溜まれば体重が増えるだけでなく、身体の不調による不快感から精神的なストレスも生まれて精神が不安定になりがちです。
- 自律神経が乱れる
- 女性ホルモンの分泌を促している脳下垂体の近くには、自律神経をコントロールしている大脳の視床下部があります。そのため女性ホルモンと自律神経はお互いに作用し合う関係にあって、どちらかに変動が起きればどちらかに影響が現れます。
自律神経には興奮状態をつくる交感神経と、リラックス状態をつくる副交感神経があります。黄体ホルモンの量が増えると交感神経が優位になり、興奮しやすくなってつい攻撃的になってしまいます。
潜在性鉄欠乏性貧血になっている
「隠れ貧血」という名前でも知られている潜在性鉄欠乏性貧血は、加工食品を食べる機会が増えた現代人に起こりやくなっています。
人の身体は鉄分が不足すると動機や立ちくらみ、身体の倦怠感だけではなく不眠やイライラなど心の不調も招きます。
酒・タバコ・コーヒーなどの嗜好品
大人の女性ならほとんどの人がお酒やタバコなどの嗜好品を摂取することがあるでしょう。
働く社会人にとって嗜好品は最早心のオアシスですし、欠かしたくはないですよね?
でも、生理前に嗜好品を摂取することでPMSの症状を悪化させてしまうこともあります。PMSの悪化を防ぐためには次の嗜好品に気を付けてみてください。
- お酒
- ホルモンバランスの変動が著しいPMSの起こる生理前の時期には、アルコールを分解するための肝機能が低下しています。
そのため生理前に飲酒をするとなかなかアルコールが飛ばずに二日酔いが酷くなったり、身体の倦怠感が顕著に表れて心身ともに不安定になります。
- タバコ
- タバコに含まれているニコチンには血管を狭める・縮める作用があります。そのため生理前の喫煙によって血流が悪くなり、身体が冷えやすくなって自律神経が乱れストレスの原因になります。
- カフェイン
- コーヒーや紅茶など、カフェインと無縁の生活をしている人はほとんどいませんよね。しかしカフェインには神経を興奮させて不眠を招いたり、感情の起伏を高ぶらせたりする作用があります。そのためPMSのイライラ症状を更に悪化させてしまいます。
生理痛や貧血など…生理中に起こりやすい情緒不安定の原因
生理前にはPMSによってイライラやうつ症状が激しくなりますが、だからといって生理が始まれば治まるわけではありませんよね?
きっと女性の誰もが生理中特有のイライラに直面したことがあるでしょう。
生理前のイライラが「見えない敵に漠然と感じる怯え」だとしたら、生理中のイライラは「目の前にいる敵にはっきりと感じる不快感」といったところ。
生理の期間中に感じるイライラにはこんな原因があります。
生理痛特有のストレス
女性なら多くが経験のある生理痛には、
- 腹痛
- 頭痛
- 腰痛
- 吐き気
- 倦怠感
- めまい・立ちくらみ
…などの症状があります。
こんなに身体に負担がかかっているわけですから、ストレスを感じやすくなるのも頷けますよね。イライラして当然です。
しかも生理痛の嫌なところは、「今生理痛で苦しいの!」と人に面と向かって言いづらいところ。
生理用の医薬品や鎮痛剤などを上手く使って生理痛に対処していきましょう。
生理用品による不快感
ナプキンやタンポン、ショーツなどの生理用品はきちんと自分に合ったものを使っていますか?
肌質や体型、経血量などに合わせて細かく種類のある生理用品は、自分に合ったものを選ばなければ期間中ずっと不快感と隣り合わせで生活していくことになります。
ナプキンがゴワゴワして違和感があったり、肌がかぶれて炎症やかゆみを発していたら要注意!
ただでさえ生理痛や貧血、ホルモンバランスの乱れなどでストレスに敏感になっている生理中は、生理用品による物理的なストレスで簡単に心が乱れてしまいます。
鉄分不足でセロトニンの分泌が減る
生理中は、当たり前ですが身体の中から経血として血液が出ていきます。
人や体質によって経血量は様々ですが、生理期間中に排出される経血量の平均は大体82gほど。多い人では200gの排出もあります。
鉄分は人に安心感やリラックスを与えるホルモンのセロトニンを生成するために必要不可欠な存在です。
生理中には鉄分が不足することでセロトニンの分泌量が減り、不安感やイライラを感じやすくなっています。
低血糖状態になっている
排卵期から生理期間にかけて大きく変動する女性ホルモンは、インスリンにも影響を与えます。インスリンは血糖値の上昇を抑える役割を持っていて、生理中はインスリンの効きが良くなるため血糖値が減りやすいことがわかっています。
逆に生理が始まると黄体ホルモンよりも卵胞ホルモンの分泌が盛んになるため、インスリンの効きが良くなって血糖値が下がりやすくなります。
低血糖状態になると、
- 不安を感じる
- イライラする
- 手や足が震える
- 倦怠感がある
などの症状が現れます。
生理前や生理中のイライラを予防・改善するための対策法
生理前や生理中には様々な要因が重なり合ってイライラしやすくストレスに敏感な状況が出来上がってしまいますが、精神が不安定だと物事もなかなか思うように進みませんよね?
集中力が切れて大事な仕事でミスをしたり、イライラして八つ当たりで大切な人を傷つけたり…。生理が原因だとは言え、やってしまった失敗はもう後戻りできません。何としてもそんな事態は避けたいものです。
そこで、生理前や生理中の心の不調を防ぐ・緩和するための対策方法をご紹介します。
食生活から鉄分を摂る
生理で起こる弊害のポピュラーな一つが貧血。
PMSは鉄分不足で悪化しますし、生理中には経血と一緒に血液が流れ出ていってしまいますから、生理が始まる前も始まった後も、食生活から積極的に鉄分を摂取して鉄分不足を防いでしまいましょう。
- レバー、肉類
- ホウレンソウ
- ひじき
- 大豆
- カツオ、煮干しなど魚類
また、ビタミンCは鉄分の吸収を促進してくれるため鉄分と一緒に摂ると鉄分補給の効率がぐっと増します。
ビタミンCはレモンなどのフルーツやサプリメントから摂っておきましょう。
ハーブティーで自然治癒力を高める
ハーブティーは薬のように症状そのものに働きかけるのではなく、自然から得た素材を使って人が本来持っている自然治癒力を高める作用があります。
ハーブ特有の香りにはリラックス効果があって神経が落ち着きますし、カフェインレスですからカフェインによる神経の興奮作用を心配する必要もありません。
もし日頃からコーヒーや紅茶を飲む習慣のある人は、生理前・生理中だけ飲み物をハーブティーに変えてみてはいかがでしょうか?
- ラズベリーリーフ
…安産のハーブとして有名で、PMSや生理痛の緩和にも効果的です。 - ローズヒップ
…ビタミンが豊富で、ホルモンバランスを整える効果があります。 - チェストベリー
…ホルモンバランスを整え、女性ホルモンの乱れによる諸症状を緩和します。 - カモミール
…身体を温める作用があるので冷えからくるPMSや生理痛に効果的です。
この他にもハーブにはまだまだたくさんの種類があるので、お好みのハーブを探して数種類のハーブを準備しておくと飽きずに楽しめますよ!
アロマオイルでリラックスする
近年「アロマテラピー」という言葉が広まっているように、香りの持つ効果は人の身体にとても良い影響を与えてくれます。
アロマ(芳香)テラピー(療法)とは、文字通り芳香療法のこと。生理前や生理中に起こる心身の不調にもこのアロマテラピーは効果があります。
鼻から入る香りの情報は直接脳に働きかけます。脳には自律神経や女性ホルモンと密接に関わる部分があるため、アロマは生理が原因で起こる心身の症状を改善してくれます。
- ローズ
…アロマの中でもポピュラーな存在で、ホルモンバランスの調子を整えてくれます。 - ゼラニウム
…不安や怒りなどのネガティブな感情を解消したり、身体を温めてくれます。 - グレープフルーツ
…吐き気や頭痛を解消したり、消化機能を高めてくれます。 - イランイラン
…不眠解消に効果的で、ホルモンバランスの調整やリラックス効果があります。 - ラベンダー
…頭痛・生理痛に効果的です。免疫力を高めてくれます。
アロマオイルは加湿器やアロマポットを使って部屋に香りを拡散させたり、キャンドルを手作りするときに使ったりと多くの用途で楽しむことができますよ。
低用量ピルでホルモンバランスを整える
低用量ピルは避妊効果だけではなく、生理に関わる諸症状を軽減する効果も持ち合わせています。
ホルモン環境が整うことで毎月の生理周期が規則正しくなったり、経血量を安定させて生理痛やPMSが緩和されます。
低用量ピルには28日タイプや21日タイプなどの種類があり、副作用も種類によって異なります。使用する際には用法用量をよく見ておきましょう。
自分の症状に合った漢方薬を飲む
生理の悩みを解消するためのお薬には、「西洋薬」と呼ばれるものと「漢方薬」と呼ばれるものの2種類があります。
西洋薬の場合、「頭痛なら頭痛薬」「痛みなら鎮痛薬」といったように1つの症状にのみ向けて作られています。
一方で漢方薬は、植物の根っこや実を乾燥させた生薬を何種類か組み合わせて作られています。そのため漢方薬は頭痛や痛みなど、複数の症状を1つの薬で対処することができるのです。
女性を悩ませる生理前、生理中の症状には
- 頭痛
- 貧血
- 冷え
- めまい
- 情緒不安定
といった様々なものが含まれています。このような身体的な症状と精神的な症状も、漢方薬であれば1つの薬で対処することができます。そのため、生理の諸症状には漢方薬がおすすめなのです。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
…生理の前や期間前半に症状がある人・冷えがある人向き - 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
…生理不順の人・冷えや血行不良のある人向き - 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
…便秘になる人・生理前に情緒不安定になる人向き
漢方には実にたくさんの種類がありますから、自分の症状とよく照らし合わせて選んでみてください。
なるべく人とはかかわらない
生理前や生理中には対人関係によるトラブルが発生しやすい傾向にあります。生理時期の女性はイライラしやすくストレスに敏感ですから、相手が例え上司でも恋人でも攻撃的な態度をとってしまいかねません。
生理が近づいてきたと感じたら自ら人と関わる機会を減らすことで、対人トラブルを避けることができます。
必要以上の無理はしない
生理の近い女性は心身共に弱った状態にあります。些細なことでストレスを感じてしまいますから、生理の時期にはなるべく大人しく安静にして過ごしましょう。
激しい運動になるようなことは避け、夜更かしはやめて夜は早く寝るなどして「疲れた」と思うような状況をつくらないよう心がけてください。
どう足掻いても生理中には苦しい思いをしなければならないのです。
自分を責めず、しっかり対策を練って生理と上手く付き合おう
生理中にイライラして気持ちが落ち着かなくなってしまうのは、女性であれば誰にでも起こり得る当たり前のことです。
だからと言って何をしても許されるというわけではありませんが、生理中に起こるトラブルの全部が全部自分の責任というわけでもありません。
もし生理中に何かがあっても、「生理が近いしor生理だし、仕方がないか」とあまり自分を追い込まないようにしましょう。
もちろんトラブルは起きない方が良いし、生理中のイライラも対策次第である程度は回避することができます。
生理前・生理中のイライラには、しっかり対策を練りながらあまり自分を責めてネガティブにならないように上手く付き合っていきましょう。
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