主婦湿疹とは?かゆくて痛い主婦湿疹のタイプ別治療法
Date:2016.02.16
あなたは、手のかゆみや湿疹、水ぶくれに悩んでいませんか?手全体に「湿疹」「かゆみ」「水泡(水ぶくれ)」などの症状が現れることがあります。
その正体は「手湿疹」かもしれません。特に家庭で家事を行う機会が多い主婦に多いことから「主婦湿疹」とも呼ばれています。
主婦湿疹は、主に水仕事が原因で、皮膚を守るバリアの役割をしている皮脂が失われて起きます。バリア機能が弱くなって、普段なんともないさまざまな刺激に反応しやすくなってしまうんです。
主婦湿疹は、反応してしまう刺激の種類で、2タイプにわかれます。
- ゴムや紙、化粧品など、普段触れている刺激にも反応する「刺激タイプ」
- もともと持っているアレルギー物質に反応する「アレルギータイプ」
最初は乾燥から始まり、刺激にどんどん敏感になります。重症になると湿疹や水ぶくれができて、我慢できないほどかゆくなってしまいます。
主婦湿疹を放っておくと、何度もぶり返したり、治療が長引いてしまうこともあります。原因になる水仕事をしないのが一番ですが、日々の家事を全てお休みするなんて難しいですよね。
そこで今回は、家事を休まず、自分でできる主婦湿疹の治療法をご紹介します。
主婦湿疹になる2つのタイプ別症状とひび・あかぎれとの違い
主婦湿疹を「乾燥型」と「湿潤型」に分けている記事も多く見かけますが、京都府立医科大学の加藤則人先生によると、主婦湿疹は大きく分けて「刺激による主婦湿疹」と「アレルギーによる主婦湿疹」があるそうです。
実はお医者さんたちは、主婦湿疹を含む皮膚炎を、炎症を起こす原因で分けているのです。このうち、最も多いのは「刺激による主婦湿疹(刺激性皮膚炎)」です。
また「ひび・あかぎれ」も手肌のトラブルですが、主婦湿疹とは症状や範囲が異なります。「主婦湿疹」と「ひび・あかぎれ」の違いを詳しく見ていきましょう。
タイプその1:刺激による主婦湿疹
皮脂が少なくなり、皮膚のバリア機能が弱くなることで、肌に触れる様々なものが刺激となり、主婦湿疹を引き起こしてしまいます。
洗剤やシャンプーなどの刺激が強い液体だけでなく、普段ならなんてことはないゴム手袋のゴムや化学繊維の布、ダンボールの紙などに触るだけでも、バリア機能が低下している皮膚には刺激となってしまいます。そして次のような症状が出てくるのが、刺激による主婦湿疹の特徴です。
- 初期には手指全体が乾燥してカサカサになり、皮がむけたり、ひび割れたりする(いわゆる乾燥型)
- 掻いたり刺激が続くことで、かゆみが出たり皮膚が赤くなるなど、湿疹性に変化する(いわゆる湿潤型)
これらの症状に当てはまるのなら、刺激による主婦湿疹の可能性が高いです。
タイプその2:アレルギーによる主婦湿疹
皮膚のバリア機能がなくなると、金属アレルギーなど、元々本人が持っているアレルギー反応がさらに出やすくなります。アレルギー物質をさわった後、時間が経ってから症状が出るのが「遅延型」です。次のような症状に当てはまるのなら、遅延型アレルギーの可能性が高いです。
- 水泡ができたり、潰れたりする
- 皮膚が赤くなったり、プツプツ小さく盛り上がったりする
- かゆみが強い
アレルギー物質をさわった後、すぐに症状が出てしまう「即時型」もあります。
次のような症状に当てはまるのなら、即時型アレルギーの可能性が高いです。
- アレルギーの原因のものにさわった数分後に、さわった部分に症状が出る
- 皮膚が薄いピンク色に盛り上がる
アレルギー性疾患のひとつであるアトピー性皮膚炎が、最後に手湿疹として残ることもあります。
子どものころアトピーだった経験がある人(アトピー素因がある人)は、アレルギー性も疑いましょう。
ひび・あかぎれは部分的、主婦湿疹は手指全体に炎症がおきる
乾燥やひび割れは「ひび・あかぎれ」と主婦湿疹に共通する症状ですが、症状が現れる範囲が違うことが、見分けるときの目安になります。
主婦湿疹の症状は手指全体に生じるのに対し、ひび・あかぎれは指などに部分的に現れます。
冬に手が乾燥したり痒くなったりすると、まず「ひび・あかぎれ」を疑う人が多いかもしれませんが、主婦湿疹もひび・あかぎれも、夏でも冬でも発症します。
冬だけでなく、夏も冷房の風で手は乾燥しがちだからです。そのため季節に関わらず、症状の範囲を見て、判断してください。
症状が手指全体に現れたり、主婦湿疹の症状が見られたら、早めに主婦湿疹への対策を行うことをおすすめします。
主婦湿疹の原因と、主婦湿疹ができやすい人の特徴3つ
主婦湿疹は、皮膚のバリア機能が弱まることで起こります。では、皮膚のバリア機能はなぜ弱くなってしまうんでしょう。またなりやすい人の特徴はあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
主婦湿疹の原因は洗剤や水などで皮脂が奪われること
人間の皮膚は皮脂膜で覆われており、表面を刺激や乾燥から守っています。しかしその皮脂膜が落ちてしまうと、皮膚を保護するバリア機能が低下してしまいます。
皮脂膜を奪ってしまうのにはこんな原因があります。
- 水仕事をする
- ゴム手袋のゴムや布、紙をさわる
- 冬の乾燥と低温
これらの原因により、天然の保湿クリームである皮脂は失われてしまいます。すると皮膚は乾燥しやすくなり、バリア機能が弱まります。
バリア機能が低下した皮膚は、触れたものに対して小さな刺激にも過剰に反応するようになり、湿疹やかゆみなどの肌荒れを起こすようになるのです。
主婦湿疹になりやすい人の特徴
主婦湿疹の原因となる洗剤や水、シャンプーなどは、普段の生活で多くの人が日常的に使用しているものですよね。その中でも主婦湿疹にかかりやすい人というのは、こんな特徴があります。
- 水仕事をする頻度が高い(主婦、美容師、調理師など)
- 加齢や体質で皮脂の分泌量が少ない(朝の洗顔前に肌がカサついていてつっぱっていると、皮脂の分泌量が少ない可能性が高い)
- アトピー体質(もともと肌が乾燥気味のことが多い)
主婦に限らず、子どもや男性でも主婦湿疹にかかってしまうこともあります。またアトピー素因を持っていたり、子どもが生まれて水仕事が増えた女性もかかりやすい傾向があります。
主婦湿疹に効く、タイプ別の治療と市販薬選びのポイント
主婦湿疹になってしまったときはどう対処すればよいのでしょうか。治療法と有効な市販薬をタイプ別にご紹介します。
ただしアレルギーや敏感肌など、不安なことがある方は、一度薬局で相談することをおすすめします。また医薬品は添付の注意書きに従い、用法用量を守って使用してください。
刺激による主婦湿疹にはワセリンやハンドクリームで手を保護
刺激性による主婦湿疹の場合は、まず保湿を心がけましょう。特に夜寝る前にはワセリンがおすすめです。ワセリンは水分が蒸発するのを防ぐ効果があるため、お風呂の後など皮膚が潤っているときに塗ると効果が大きいです。「ヘパリン」や「尿素」を配合したクリームも有効です。
ただしワセリンは油脂製剤なので、ベタつきを気にする方がいらっしゃるかもしれません。また尿素はしみることもあるので、ご自身の症状に合わせて選ぶようにしてください。刺激による主婦湿疹用の市販薬の例です。どれも薬局で購入できます。
- ゼリア新薬工業「ワムナールEX」
- ヴァセリン「ヴァセリンオリジナルピュアスキンジェリー」
- 健栄製薬「白色ワセリン」
- ノバルティスファーマ「HPローション
悪化した湿疹やかゆみなどの炎症は、ステロイドで治療
主婦湿疹を放置してしまうと、皮膚のバリア機能が低下して、どんどん刺激に弱くなっていきます。かゆみも強くなり、我慢できずに手を掻いてしまうので、炎症が悪化してしまいます。
悪化した炎症を抑えるためには、特に炎症がひどい部分にのみステロイドを使います。ステロイドには様々な強さのものがあり、手湿疹用のものもあります。薬局で購入できる市販薬の例です。
- ロート製薬の「メンソレータムメディクイック」
- ジョンソン・エンド・ジョンソンの「テレスHi」
これらのプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(アンテドラッグステロイド)が配合された軟膏が販売されています。
アンテドラッグステロイドは、皮膚表面では効果を発揮しますが、体内に入ると分解され低刺激に代わります。
日本皮膚科学会によると、ステロイド外用薬は朝と入浴後の1日2回を原則とし、症状が落ち着いてきたら1日1回に減らすとされています。塗りすぎに注意しましょう。
また子育て中の方は、お子様にステロイドがつかないよう手袋をつけることをおすすめします。
ステロイドには大人用と子供用では強さや成分の量が異なるため、大人用のステロイドがお子さんにつくのは避けてください。心配であれば医師の指導のもと使用するようにしましょう。
市販薬で改善しないならアレルギーによる主婦湿疹かも!皮膚科で検査を
アレルギーによる炎症の場合は、アレルギーの原因物質を知り避けることが必要です。原因物質にはさまざまなものがあります。
例えば家庭ではゴム手袋や金属、塗り薬などがあります。原因物質がわからないままだと、アレルギーの原因物質を触るたびに再発してしまいます。
もし市販薬で改善が見られない場合や繰り返し症状が出てしまう場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
悪化や再発予防のために、普段の生活で心がけておきたいこと
保湿クリームや薬での対策を行うと同時に、生活の中でも皮膚を守るために心がけるべきポイントをご紹介します。これらは主婦湿疹の症状を和らげるとともに、悪化や再発の予防にもなります。
ポイント1:綿の手袋とゴム手袋のダブル使いがおすすめ
空気が乾燥するシーズンに外出するときや家事をするときは、綿の手袋を着用するのがおすすめです。綿の手袋は通気性もよく、保湿剤の浸透を促進します。
さらに手袋をはめる前に保湿クリームをたっぷり塗っておくと、保湿もできます。
特に夜眠るときには、綿の手袋と保湿クリームで保湿力をパワーアップするとともに、寝ている間に無意識に手を掻いてしまうことの予防にもつながります。
ポイント2:食器洗い用洗剤は薄めるか弱酸性のものを使う
食器洗いのときもやはり手袋をはめることをおすすめします。しかし汚れや気になる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは食器洗いの洗剤や、洗い方を見なおしてみましょう。
食器洗いの洗剤を、原液のままスポンジにつけて食器を洗う方も多いのではないでしょうか。実は洗剤の原液は濃く、刺激が強いのです。
なかなか症状が治まらないときは、弱酸性の洗剤に変えるのも有効です。
台所用洗剤には中性の商品が多いです。しかし肌と同じ弱酸性の洗剤なら、皮脂を取りすぎず乾燥を防ぐことができます。
ポイント3:水をさわった後はこまめにクリームをつけてケア
水仕事や手を洗った後、お風呂に入った後などは忘れず保湿をするようにしましょう。時間をおけばおくほどお肌の潤いは失われていきます。手を洗った後はなるべく時間をおかず、保湿クリームをつけて保湿をすることをお忘れなく。
ポイント4:低刺激のアミノ酸シャンプーがおすすめ
アミノ酸系シャンプーは保湿力が高く低刺激で、皮脂を落としすぎず保湿力が高いためおすすめです。
注意したいのは「アミノ酸配合シャンプー」。あくまで「アミノ酸が入っていますよ」という意味なので、成分表示の前のほうに石油系合成界面活性剤が書かれているものは避けましょう。
また激しい肉体労働をする方や、汗かきで困っている方でなければ、実はシャンプーは3日に1回程度で十分です。お湯のみのでも汗は流すことができるので、シャンプーの回数を減らすのも1つの方法です。
ポイント5:シャンプーは「ラウリル」「硫酸」配合はNG
洗剤だけでなく、使用しているシャンプーやリンスなども見直しましょう。石油系合成界面活性剤は洗浄力が高い一方で、刺激が強いため、主婦湿疹の方は避けたいもの。
同じ石油系の界面活性剤である「ラウレス」も避けたほうがいいですよ。
原因別に対策しよう!かゆーい主婦湿疹の治療法まとめ
ここまで主婦湿疹の症状や家庭でできる治療法と、悪化や再発の予防法をご紹介してきましたがいかがでしたか。
- 「乾燥してカサカサする」「皮がむける」など初期の軽い症状には、ワセリンや保湿クリームで保湿を徹底
- 「かゆみが強い」「湿疹ができた」など重度の症状には、ステロイド軟膏で治療
- アレルギー性の疑いがあるときは、病院でアレルギー検査
- 木綿の手袋とゴム手袋のダブル使い
- 家事をするときや外出時、おやすみ前には保湿クリームを塗り、綿の手袋をはめる
- 食器用洗剤は薄めるか低刺激のものを選ぶ
- シャンプーの種類と頻度を見直す
- 水をさわった後は、こまめに保湿クリームをつける
このように症状によって対処法を変えたり、生活改善を行うことによって、現在の主婦湿疹の症状を和らげると同時に、悪化を防いだり再発を予防することもできます。
実際に私も軽い主婦湿疹にかかりましたが、「ゴム手袋と綿の手袋の併用」や「こまめに保湿クリームを塗る」を1週間実践しただけで大幅に改善しました。
手の皮膚の負担を軽くし、保護することを心がけてくださいね。それでも症状が変わらない、またはひどくなるようならば、皮膚科医への受診をおすすめします。
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