多肉植物の種類別育て方ガイド。初心者でも失敗せずに育てる方法
Date:2017.02.15
多肉植物というと、サボテンのように棘のあるものから花を咲かせるもの、カラフルなものまで様々な種類があります。
あまり水やりなどが必要ないイメージがありますが、
- どのくらいの頻度で水をあげればいいのか
- どのようにお世話をすればいいのか
など、初めてでも失敗しない多肉植物の育て方をご紹介します。
上手にお世話をして可愛がってあげて下さいね!
この記事の目次
多肉植物ってどんなもの?豊富な種類に驚き!
簡単に育てられて見た目もかわいいと人気の多肉植物ですが、多肉植物とはどのような植物のことをさすのでしょうか。
多肉植物とは、葉や茎などに水を蓄えることが出来る植物のことで、肉厚な葉っぱが特徴です。
多肉植物というとサボテンが真っ先に浮かぶと思いますが、サボテンだけでも2千種に上ります。
ですから、園芸の世界では通常サボテンは多肉植物とは分けて考えるのだそうです。今回は、サボテンも含めて多肉植物の育て方を調べました。
多肉植物の3つの生育タイプを知ろう
多肉植物というと雨の降らない暑いところで育っているイメージがありませんか。過酷な環境で育つ多肉植物も多くありますが、暑いのが嫌いな多肉植物もいるんです。
まずは季節に応じた3つの生育タイプ別の特徴を知っておきましょう。
1.夏が好き!熱帯地方原産の夏型種
暑いところが大好きな夏型は、気温20~30度でよく成長します。強い日差しが大好きで、暑さにも強いのが特徴です。
冬の寒さは苦手なので、12~2月の寒い時期は休眠しています。
- アロエ
- カランコエ
- ユーフォルビア
- アデニウム
などの種類が夏型種です。
2.寒さには強い!高山地帯に自生する冬型種
気温5~20度でよく育つ、寒いところが好きな冬型種は、日本の高温多湿が少し苦手です。梅雨から真夏にかけては湿度対策をしないといけません。
夏型種と逆の生育サイクルなので、真夏は休眠しています。
- アエオニウム
- フォーカリア
- リトープス
- コノフィツム
などが冬型種に分類されます。
3.春と秋に成長する春秋型種
夏型と冬型の中間種、春秋型は気温10~25度でよく成長します。成長している時期が少し短く、夏や冬は休眠してしまいます。
- オロスタキス
- エケベリア
- セダム
- セネキオ
- センペルビブム
- ガステリア
- ハオルチア
など、日本でも比較的育てやすい品種がそろっています。
初めてでも安心!多肉植物の育て方のコツ
水やりが少なくてらくだと聞いて買ってみたけど、すぐに枯れてしまった、という人は少なくないかもしれません。
多肉植物は元々雨が少ない気候の厳しい地域などに自生しているものなので、普通の園芸用の草花とは少し違います。育て方にもちょっとしたポイントがあるんです。
夏型種の育て方のポイント
夏型種はお日様が大好きです。日当りの良い、風通しのよい場所に置いてあげて下さい。南向きの窓辺なんていいですね。
日光が好きだとはいっても、直射日光にはあまり好きではないので、真夏はレースのカーテン越しなどに光を当ててあげると良いでしょう。
風通しが悪いと蒸れてしまうので気をつけて下さいね。特に梅雨の時期、雨が当たると葉が腐ってしまうことがあります。
水やりは、
- 4~10月:土が乾いたらたっぷり水をあげましょう。鉢そこから流れるくらいを目安にして下さい。
- 12~2月:冬は少なめに。3~4週間に1度で十分です。
冬型種の育て方のポイント
冬型種は6~8月が休眠期になるので、夏型種と逆だと考えればいいでしょう。時期が逆なだけで、お世話の仕方は同じです。
暑さと直射日光にはめっぽう弱く、葉焼けを起こしてしまいます。遮光した明るい日陰が好きなので、真夏はエアコンのきいた室内に置いてあげましょう。
お世話が簡単かと思いきや、意外とデリケートですね。
水やりは、
- 9~5月:土が乾いたら水をたっぷりあげましょう。
- 6~8月:水やりを控えます。
春秋型種の育て方のポイント
成長期は年2回、4~6月、9~11月になります。風通しの良い場所が好きなので、湿度が高いところでは蒸れてしまいます。
この品種は室外もOKですが、雨が当たらないように気をつけて下さい。また、真夏の直射日光も苦手です。
夏と冬の休眠期は室内で過ごしますが、エアコンが当たらないように気をつけて下さい。
水やりは、
- 成長期:土が乾いたら水をたっぷりとあげます。
- 休眠期:土が湿る程度で大丈夫です。
春秋型は四季に合わせてお世話の仕方が変わるのでちょっと注意が必要ですね。
多肉植物は水をあげるタイミングが大事!
多肉植物で一番難しいのは水やりではないでしょうか。あんまりあげなくても大丈夫といっても、どのくらいの頻度であげたらいいのか、それを間違えてしまうと枯らしてしまうのです。
水やりが必要な時期は、
- 土がしっかり乾いていること
- 葉に少し張りがなくなったかなと感じてから
これを見極めて水をあげるようにしましょう。
というのも、土が乾いていても葉には水分が合うからまだあげなくても大丈夫なんです。
そして、葉に水がかからないようにあげることと、あげる時間帯にも注意しましょう。
- 春秋は午前中にあげる
- 夏は夕方以降の涼しい時間(朝あげると蒸れてしまう)
- 冬は日中の暖かい時間(夕方以降にあげると凍結の恐れ)
この水やりのタイミングを見極められるようになると枯らしてしまうこともないでしょう。
肥料のあげ方は?あげるタイミング
多肉植物に基本的に肥料はいらないのですが、葉の色などをキレイに発色させたかったら少しあげた方がいいですね。
成長期には追肥を施しましょう。追肥は即効性のある液体肥料がいいでしょう。表示に従ってあげるようにします。
病害虫のトラブルの対処法
園芸につきものの害虫や病気ですが、多肉植物に多く見られるのは、
- コナカイガラムシ
- カイガラムシ
- アブラムシ
- ネジラミ
- ネマトーダ
などです。
もし虫を見つけたら歯ブラシや刷毛などで取るか、薬剤を散布します。
- 根腐れ病
- 黒点病
などにかかってしまったら、風通しの良い場所で土を乾燥させましょう。湿度が苦手な多肉植物が多いので、湿度管理はとても大切です。水のやり過ぎにも注意しましょう。
黒点病は葉焼けと間違いやすいのですが、カビによって葉に黒い点があらわれます。日光不足や多湿が原因ですが、薬剤散布でしか治せません。
初心者でも育てやすい多肉植物7種
とても種類の多い多肉植物。何から買ったらいいんだろうと迷ってしまいますよね。そこで初心者でも栽培しやすい品種を集めてみました。
1.400種もあるアロエは薬にもなる
観葉植物として育てやすいのは、
- キダチアロエ
- アロエベラ
でしょう。夏型の代表種です。
キダチアロエは葉が細く長く成長します。ワシントン条約で輸出入が規制されている植物なんです。丈夫に見えて将来絶滅しそうだということなのでしょうか。
キダチアロエの果肉は食べると苦いのですが、その苦味に薬効があるとされ、古くから民間薬として利用されてきました。
アロエベラはその規制にかかってはいないのですが、かなり大きくなる品種ですから玄関などに置くと迫力がありますね。
アロエベラも薬効の高い植物で、キダチアロエよりは美味しいので、アロエのジュースなどによく利用されますし、ヨーグルトなどにも入っていますね。
水をあげるときは、葉と葉の間に水がたまらないように注意して下さい。
2.日本にも自生しているセダム
セダム属は500種類もある多肉植物です。2cmくらいの小さなものから30cmの大きなものまで、大きさも様々です。
葉の幅も20~100cmまでとかなり違いますね。
- 耐寒性
- 耐暑性
に優れているので丈夫な品種ですが、湿度は嫌いです。水のやり過ぎには注意しましょう。
しずくのような丸い葉っぱがかわいいセダムは、葉先に色がついているものもあり、様々な品種を組み合わせて寄せ植えしてもかわいいですよ。
3.花もきれいなカランコエ
これは庭先でもよく見かけるので、これも多肉植物だったのかと思う人もいるかも知れません。
子宝草とも呼ばれるカランコエは、赤やオレンジ、ピンクなどキレイな花をつけるので、観賞用として人気があります。
乾燥には強いのですが、湿度と低温が苦手です。水のやり過ぎには注意が必要です。葉っぱに水がかかると腐ってしまうことがあるので、根元に水をあげるようにします。
直射日光も苦手で葉焼けしてしまうので、真夏は半日陰においてあげましょう。
昼の長さが短くなると花芽をつけるという性質があるので、「短日処理」を行うと好きな季節に花を咲かせる事が出来ます。
- 17時~7時までダンボールなどで覆って遮光します。
- 日照時間を1日10時間になるように調整します。
- 1ヶ月ほどで花芽がつきます。
普通は冬から春に花が咲くので、それ以外の季節に花を咲かせたい時にはその時期の1ヶ月ほど前からこの短日処理をすると花芽をつけます。
4.バラのような形のエケベリア
なんといっても形がキレイで、色も様々あり、花が咲く品種もあります。エケベリア専門のコレクターもいるほど人気のある多肉植物です。
北半球の温帯地方で育つから夏の直射日光は苦手ですが、適度な日当りは必要なので、風通しの良い日当りの良い窓辺などで育てると葉の色がキレイになります。
冬は窓越しにしっかり日光を当ててあげましょう。
エケベリアだけで違う色のものを寄せ植えするのもおすすめですよ。
5.病気にも強いハオルチア
ハオルチアには2種類あり、先の尖った硬葉系と透き通った軟葉系があります。それほど日光を必要としない品種なので、明るい日陰に置いてあげましょう。直射日光に当ててしまうと生育が遅くなってしまいます。
6.セネキオ(グリーンネックレス)
セネキオも種類が豊富な多肉植物で、なんと2千種以上もあるんです。
そのうち、グリーンネックレスという品種は緑のつぶつぶが蔓についている品種で、グリーンピースのような見た目が可愛らしく人気があります。
垂れ下がる様子が美しいので、ハンギングにおすすめです。乾燥に強く日光が大好きですが、真夏の直射日光は避けて下さい。夏は日当りの良い室内かレースのカーテン越しに日光を当てましょう。
上手に育てていると花が咲くこともありますが、放置しておくと株が弱くなるので少し鑑賞したら摘み取りましょう。
7.サボテンは棘なしがおすすめ
サボテンは5~40度で育つので、凍らない限り気温を気にする必要はないでしょう。
ただし、雨に当ててはいけません。日当りの良い風通しの良い場所で育てます。
少なくとも1日3~4時間は日光に当て、真夏はレースのカーテンで遮光してください。
- 春、秋はよく育つので、土が乾いたらその翌日に水やり
- 真夏は乾いてから3日後に水をあげる
- 真冬は1ヶ月に1回でも大丈夫
あのトゲトゲした様子がかわいいサボテンですが、棘のあるもの、先の尖ったものは風水的によくないとされているのです。
寝室など、リラックスする場所におくのはあまりオススメできません。
棘は邪気を払ってくれるけど良い運気も遠ざけてしまうので、室内で育てるなら気の巡りの悪い場所、外界との接触場所に置きます。
- 鬼門に置く
- 窓辺やベランダ
- トイレ
ただしトイレは元々邪気がたまる場所なので、換気扇をつけて気を循環させることが大切です。
置く場所を考えずに育てたいなら、棘のないサボテンがおすすめです。
多肉植物の増やし方と植え替えの方法
上手に育てていればどんどん成長する多肉植物。自分で増やしてみるのはいかがでしょうか。植え替えのタイミングや増やす方法、手順などをご紹介します。
植え替えのタイミングを見極める
こんな症状が出ていたら、そろそろ植え替えをする時期です。
- 鉢底から根が出ている
- 下葉が落ちている
- 外側の葉が枯れている
- 買ってから1年以上経っている
できれば年1回植え替えをするといいですよ。植え替えをする時期は、
- 夏型種は3~6月
- 冬型種は8~11月
- 春秋型種は3~4月
成長期に入る前にすませてしまうといいでしょう。休眠中は体力を温存する期間なのでむりをさせてはいけません。
植え替える前は根を乾かし気味にしておきたいので、水やりを控えておきましょう。
意外と簡単!挿し木で増やす方法
大きく成長してきたら、元気の良い芽を選んで挿し木で増やしてみましょう。
- 枝を根元から切ります。
- 葉を下から3分の2ほど取ります。
- 明るい日陰で切り口を乾燥させます。
- 2週間ほどで根が出てくるので挿し木用の土に刺して置くと根付きます。
カットしたてで植えると腐ってしまうので、しっかり乾燥させましょう。そのとき、横にしておくのではなく何か入れ物に入れて立てておくと葉の形がキレイになります。
横にしたままだと茎が歪んでしまって形が悪くなるので、口に狭いガラス瓶に入れておくと発芽するまでそのまま鑑賞も出来ます。
切った株からも新芽が出てくるのでそれも楽しみですね。
- セダム
- アエオニウム
- クラッスラ
などが向いています。
もっと簡単!葉さしで増やす
大きな葉っぱの品種は、それ自体から根が出てくるのでさらに簡単です。時期としては春と秋が向いています。
- 大きな葉っぱを根元からもぎ取ります。
- 1週間ほど乾燥させます。
- バットに広げた土の上において並べます。
- 半月から1ヶ月で葉の付け根から根が出てきます。
- そのまま軽く植え付けます。軽く土を根にかけてあげるだけでOK。
葉を置いておくだけ、勝手に根が出てくるんです。根付いて子株が出てきたら日当りの良い場所に移してあげましょう。
葉の付け根がキレイでないと根が出てこないこともあるので丁寧に取ってくださいね。
乾燥させている間は直射日光が当たらないように注意します。
- エケベリア
- ハオルチア
- ガステリア
- パキフィツム
が適している方法です。
植え替えのついでに!株分けで増やす
植え替えをする時に、大きな鉢に植え替えてもいいですが、株分けをして小さな鉢を増やすのもいいでしょう。ランナーで増えるタイプも株分けが出来ます。
- 鉢からゆっくり出します。
- 根の周りの土をほぐします。
- 子株を外します。手で引っ張るとすぐ取れます。
- 植え替えと同じようにして違う鉢に植えます。
簡単ですよね?
- アロエ
- アガベ
- エケベリア
- セダム
- ハオルチア
などが向いています。
慣れてきたらアレンジして楽しもう!
多肉植物のお世話に慣れてきたら、少しアレンジを加えて楽しみましょう。
カラフルなものは鉢カバーもカラフルに
多肉植物はグリーンのものばかりではありません。様々な色の多肉植物があるので、買ってきた鉢のままではもったいない!
鉢カバーにも一工夫して、カラフルなものにしてみませんか?逆に白や黒など一色で統一するのもおしゃれですね。ブリキのカバーもかわいいです。
多肉植物の色に合わせて、鉢カバー選びも楽しいですよ。
垂れ下がるタイプはハンギングもおすすめ
グリーンネックレスのように垂れ下がるタイプのものは、ハンギングもおすすめです。
ハンギングは高い位置につるすので、通常は水やりが面倒なのですが、多肉植物は水やりが少なくて済むから楽なんです。
テラリウムで世界に一つの小宇宙を作る
ガラスの入れ物は100均で売っているようなもので十分ですし、小さな金魚鉢もかわいいですね。ハーブティー用の口の広いガラスポットなどもおすすめです。
インテリアとしてもおすすめなので、細かい作業がお好きな方はぜひチャレンジしてみて下さい。
多肉植物を購入するときの注意ポイント
初めて多肉植物を買うときはどんなものを買ったらいいのか、見た目ではよくわかりませんよね。そこで、丈夫に育つ多肉植物を見分けるポイントをご紹介します。
下葉が落ちていない、徒長していないこと
多肉植物を買う時に注意するポイントとしては、
- 下葉が黄色い、または落ちている
- 苗が徒長している
- 色が悪い
これらは水不足、またはやりすぎであるか、日照不足が原因です。
しかし、たくさん苗を扱う園芸店では、苗の管理にも限界があるので、入荷直後の新鮮な苗を買うようにするといいですよ。
生育タイプを確認してから買うこと
多肉植物には3つの生育タイプがありましたね。それぞれ成長しやすい温度があるので、住んでいる地域の気候なども考えて購入しましょう。
園芸初心者にこそおすすめの多肉植物
いかがでしたでしょうか?
ポイントは水やりのタイミングと日の当て方です。花の鉢植えを買っては枯らしている…という人でも、ポイントさえ守って水やりをすれば多肉植物は育てやすい植物です。
小さなもの一つからはじめて、徐々に増やしていくのも楽しいですよ。ぜひチャレンジしてみて下さい。
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