薬用とはどんな意味?医薬品との違いや効能などを知ろう
Date:2017.09.14
「薬用」という言葉は、薬なのか薬ではないのかよく分からない、と思いませんか?
化粧品に薬用と書いてあったら、何だか効き目がありそうですが、普通の化粧品とはどのような違いがあるのでしょうか。
知っているようでよく分かっていなかった、という人も多いと思います。「薬用」という表示の意味と医薬品との違いなどをまとめました。
今後化粧品などを買う時の参考にしていただければと思います。
薬用とは薬品と化粧品の中間
医薬品や化粧品については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧薬事法)という法律があり、効能の表示の仕方などは細かく決められています。
元になっているのは昭和35年に制定された薬事法ですが、2014年に改正されて現在の名称になりました。
「薬用」についても、どのようなものかということはこの法律によって規定されています。
薬用と医薬部外品は同じもの
似たような表示として間違えやすいのは、
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品
だと思います。「薬用」はこのうちの「医薬部外品」に当たります。
厚生労働省が特定の効能について認可している商品・製品で、有効成分として効果効能を表示することが認められています。
つまり、具体的な効能・効果を書いてもいいということなんです。
敏感肌用の化粧品などは薬用のものが多いですよね。それは、保湿成分などを配合して、肌荒れを防ぐ効能が認められているということです。
化粧品以外にも色々ある薬用
薬用というと色々な製品があります。
- 美白化粧品
- 育毛剤
- 入浴剤
- 制汗剤
- 殺虫剤
化粧品と殺虫剤が同じ並びなのか!?と思いますが、薬でもなく化粧品でもないものはこの分類に入ってくるのでしょう。
これについてはは次の章で詳しくご紹介します
医薬品から移行した「指定医薬部外品」
医薬部外品にはもう一つ種類があり、それを「指定医薬部外品」と呼びます。
医薬品は薬剤師や登録販売者しか販売できませんが、指定医薬部外品はそれ以外の人でも販売が可能です。
- 整腸剤
- 美容ドリンク剤
- 滋養強壮剤
などが含まれます。
配合量に関係なく表示できる
現在、化粧品は全成分表示となっており、配合されているすべての成分について表示することになっています。
化粧品の場合は成分表示に配合量の多い順で表示されているので、割合はわからないにしろ、どのような成分が多く含まれているのが分かるようになっています。
それに対して、薬用成分にはそのような義務がありません。
有効成分が何かをはっきり明示することとなっているので、「○○配合」と分かりやすく表示されています。
ただし、表示されているからといってたくさん入っているとは限りませんし、配合量の明記は義務になっていません。
薬ではないので治療効果の表示はダメ
薬用とはいっても薬ではないので、はっきりと「○○が治る」というような、治療効果を謳ったような表現は法律違反となります。
具体的に、入浴剤を例にとってみましょう。有効成分の範囲を超えて特定の効果効能や作用を示すのはいけません。
- カモミールの香りには不眠改善効果があります。
- 肩こり、腰痛に効く。
- アロマテラピー効果があります。
香りの効果は千差万別、個人差があります。
あくまでも有効成分によって期待できる範囲の効果の表示が許されているのであって、あたかも不調が「治る」ような錯覚を起こさせる表現は認められていないのです。
医師は「薬用製品」の安全性に問題があると思っている
とある医師専用サイトが行った調査によると、会員である医師(6万人以上)にアンケートを行ったところ、およそ3千件の回答が寄せられ、8割を超える医師が薬用と表示されている製品の安全性に問題があると考えていることが分かりました。
厳密な臨床試験などが行われていないため、肌トラブルや副作用などが心配だという声が多く聞かれました。
本当に効果があるのかどうかが消費者の選択に委ねられてしまっているので、トラブルの危険を心配する医師が多いようです。
ただ、どんなにいい薬でも副作用はあることから、最終的には消費者の自己責任という意見もありました。
薬用化粧品の種類あれこれ
色々と種類はあるのですが、身近にあってスキンケアなどでよく使いそうなものについて、どのような効能があるのかをまとめました。
肌荒れを防ぐ薬用化粧水
敏感肌の方は薬用化粧水というものを使うことも多いと思います。具体的には以下のような作用があります。
- 肌荒れ
- 荒れ性
- あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ
- 肌を引き締める
- 肌を整える
- 肌を正常にする
- 皮膚を健やかに保つ
- 皮膚に潤いを与える
にきびや肌荒れなど、特定の肌トラブルに対しての効果を謳ったものです。
生薬のエキスやグリチルリチン酸など抗炎症作用のある成分が配合されていることが多いです。
シミを予防する美白化粧品
美白効果とは、
- 日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ
- 日焼け・雪焼け後のほてり
を防ぐ働きのことです。
決して「シミを消す」とは書いていないので、あくまでも「シミを出来なくする」「シミを予防する」働きのことだと思ってください。
ハイドロキノンのように、メラニンの還元作用によってシミを薄くしていく効果のある美容成分もありますが、それでもはっきりと「シミがなくなる」とは書いてないですね。
ハンドクリームなどの保湿製品
ハンドクリームやリップクリームにも薬用のものがありますね。
- 肌荒れ
- 荒れ性
- あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ
- 皮膚を健やかに保つ
- 皮膚に潤いを与える
- 皮膚を保護する
- 皮膚の乾燥を防ぐ
保湿をメインにした処方が多くなっています。
育毛剤も薬用のものが多い
育毛剤とは「脱毛の防止と育毛を目的とする外用剤」と定義されています。具体的には以下のような効能があるものです。
- 育毛
- 薄毛
- かゆみ
- 脱毛の予防
- 毛生促進
- 発毛促進
- ふけ
- 病後・産後の脱毛
- 養毛
確かに、育毛剤はトリートメントなどと違って、ただ髪のツヤをよくすればいいというものではありませんね。
抜け毛を予防する、毛が増えるなどの具体的な効能が期待できなければ誰も使わないでしょう。
使われている成分は色々ありますが、女性用の育毛剤はミノキシジルなど頭皮の血行を良くする成分が多いです。
その他の表示との違い
薬用は薬と化粧品の中間と言いましたが、ではあとの2つはどのようなものを指すのか、その違いをまとめました。
医薬品には2つある
医薬品には
- 医療用医薬品
- 一般用医薬品
の2つがあります。
医療用医薬品は処方箋が必要なもので、風邪を引いて病院へ行った時などに処方箋をもらって、薬局で出してもらう薬のことです。
一般医薬品は市販薬、OTC医薬品とも呼ばれ、一般の人が薬局で買える薬のことです。第1類医薬品から第3類医薬品まであります。
化粧品とは美しさに磨きをかけるもの
法律上の化粧品の定義は以下の通りです。
つまり、肌や髪をキレイに保つためのものなので、特定の効能を表示することは出来ないのです。
- メイク用品
- 基礎化粧品
- シャンプー、コンディショナー
- 歯磨きペースト
- 石けん
などが含まれます。
それぞれの特徴を理解して正しく使い分けよう
薬用が薬ではないということがお分かり頂けたでしょうか。
薬用、と聞くと何となく効き目がありそう、と思っていた方も多いと思うのですが、特定の成分に関しての効き目だということを理解しないといけません。
薬用なら何でもかんでもいいものではないということです。表示をよく見て、効き目を確かめてから使うようにしたいですね。
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