太りやすい人のお腹の中は「デブ菌」だらけ!?デブ菌の退治法とは?
Date:2017.11.30
たらふく食べてぐうたら寝てばかりいて太るのは当然のこととしても、そんなに食べ過ぎているわけでもないのに太りやすい人もいますよね。それに対して、いくら食べても太らない人もいます。
この不公平感といったらないですよね!でも、このやりきれない思いを抱かなくてもよくなるときがやってくるかもしれません。
最近になって発見&研究が進められている「デブ菌」の存在が、「生まれ持った変えようのない体質」と思われていた「太りやすい体質」を改善に導いてくれるかもしれないのです!
この記事の目次
太っている人の腸内には「デブ菌」がいっぱい?デブ菌・ヤセ菌とは?
腸内にはたくさんの細菌がいるわけですが、その多種多様な腸内細菌の集まりである腸内細菌叢(=腸内フローラ)は、
- ファーミキューテス門
- バクテロイデス門
- プロテオバクテリア門
- アクチノバクテリア門
という4種類に分類されています。
この中の「ファーミキューテス門」と「バクテロイデス門」が肥満に影響すると考えられています。
ワシントン大学の研究により、
- 肥満体型の人 → ファーミキューテス門が多く、バクテロイデス門が少ない
- 標準体型の人 → バクテロイデス門が多く、ファーミキューテス門が少ない
という傾向があるとわかったのです。
肥満体型の人の腸内に多く見られるファーミキューテス門が「デブ菌」グループ、標準体型の人の腸内に多く見られるバクテロイデス門が「ヤセ菌」グループということになります。
ファーミキューテス門、バクテロイデス門、それぞれに属する細菌類は実にたくさんありますが、その中のどの菌がデブ菌でどの菌がヤセ菌なのか、菌の種類を特定するには至っていません。
また、痩せている人にデブ菌が存在しないというわけでもありません。標準的なデブ菌グループ対ヤセ菌グループの比率は4対6。それよりもデブ菌の比率が上がると肥満につながるのではないかと言われています。
目指せ「ヤセ体質」!デブ菌を減らしてヤセ菌を増やすには
太っている人はデブ菌の比率が高いということですが、食生活に気をつけるなどすれば、デブ菌を減らすことも、ヤセ菌を増やすことも可能だと言われています。
太りやすい体質だから「私はデブ菌が多いのね」とあきらめてしまわずに、少しでもデブ菌を減らし、ヤセ菌を増やせるように、食生活を見直してみましょう。
デブ菌は脂肪の多い食事が大好き!ダラダラ食べ厳禁!
デブ菌は、食事から余分なエネルギーを吸収しやすく、食事量が多くなったり、脂肪分の多い食事をすると、デブ菌の働きも活発になります。
マウスを使った実験によると、食べる物の内容とその取り方によって、腸内細菌の種類に大きな変化が現れることがわかっています。
その実験結果によると、最もやってはいけないのが、
脂肪の多い食事を好む人は、食事と食事の間をしっかり取って一度お腹を空っぽにしてください。空腹になる時間を持った場合は、肥満につながる細菌が激増する状況は抑えられるようです。
もちろん、脂肪分の多い食事を摂りすぎないのが一番です!
腸内環境を整えてヤセ菌を増やす!
ヤセ菌は腸内で「短鎖脂肪酸」を作り出しますが、この短鎖脂肪酸に太りにくくする働きがあります。
- 食べ過ぎた場合に交感神経を刺激。エネルギーの消費量を増やして脂肪の蓄積を防ぐ
- 脂肪が燃焼するのを助ける
- 脳に直接働きかけて、食欲を抑制する
など。ほかにも、悪玉菌が増えるのを抑制したり、腸のぜん動運動を促進することにより便秘解消効果があったりと、注目の成分です。
ヤセ菌を増やし、短鎖脂肪酸を増やせば、太りにくい体質になることも夢ではありません!
ヤセ菌を増やすには、ヤセ菌のエサになる食物繊維を摂るとよいと言われています。不溶性・水溶性ともにバランスよく摂ることも大切ですが、特にエサになりやすい水溶性食物繊維を積極的に摂るようにしましょう。
水溶性食物繊維が豊富な食べ物としては、らっきょうが簡単手軽に食べられておすすめ。1日5~15粒程度摂るとよいでしょう。
そのほかにも、
- ヨーグルト
- 納豆
- 野菜類
- オリゴ糖
など、腸内環境を整える食材、善玉菌を増やす食材を摂ることがヤセ菌を増やすことにつながります。
特に納豆は腸内環境を変える強い力を持っているそうです。納豆菌は胃酸に負けることなく生きたまま腸に届いて、16時間で40億倍という想像もつかないような繁殖力で腸内を整えてくれます!
移植するとみるみる痩せる?夢の「ヤセ菌」も存在する!
さきほどの「バクテロイデス門」もヤセ菌ですが、まったく別のアプローチからもヤセ菌は発見されています。
腸内細菌「クリステンセネラセエ」。
こちらは、ザックリとしたグループではなく細菌が特定されています。このクリステンセネラセエが多い人は太りにくい傾向にあるというのです。このクリステンセネラセエも「短鎖脂肪酸」を作り出すため、ヤセ効果があるのです。
クリステンセネラセエを移植したマウスは、移植しなかったマウスに比べ、同等のエサを与えた場合の体重の増加が少なかったという実験結果が報告されています。エサの量や運動量に関係なく、細菌によって体重に変化が現れるということです。
ただ、実際に細菌がどのような働きでどのように影響しているかや、細菌の増減に対する遺伝子の影響なども詳細はわかっていません。
わかっているのは、
- 太っている人にはクリステンセネラセエが少ない
- 体重が正常の人にはクリステンセネラセエが多い
- クリステンセネラセエの多さは遺伝する可能性がある
ということです。
まだわからないことだらけ!腸内細菌の研究は始まったばかり!
1000種類以上あるといわれる腸内細菌。その7割はまだ特定されていないそうです。まだまだ研究途中にある腸内細菌のことですので、デブ菌やヤセ菌についても、その具体的な働きがわかるのはまだまだ先になるのでしょう。
今回紹介した「肥満体型の人はファーミキューテスが多く、バクテロイデスが少ない」という実験結果にしても、
- 太っている人と普通体型の人との間には腸内細菌叢に差がない
- 真逆の「肥満者にバクテロイデスが多く、ファーミキューテスが少ない」
という異なる報告もあるようです。
また、ヤセ菌「クリステンセネラセエ」はデブ菌と言われる「ファーミキューテス門」に属する細菌なんですね。
アメリカの病気の女性は治療のために、肥満体型だった自分の娘の糞便の抽出物を腸内に移植しましたが、病気は治ったものの、移植後、短期間で体重が15kgも増加し、肥満体質になってしまったという話もあります。
クリステンセネラセエがヤセ菌であると報告したコーネル大学の研究者たちは、便移植ではなく経口による投与での研究を進めていくと言っています。
もし、経口による細菌の投与で肥満が防止できるなら、それこそ、夢の痩せ薬が誕生することになります!
研究は始まったばかりでどう転ぶかはわかりませんが、期待して待ちたいものです。それまでは、まずは自分にできる範囲で。腸内環境を整えるところから始めましょう。
太る・痩せるだけでなく、腸の働きは体のあちこちに影響することがわかってきています。腸内を整えて損はなし!腸にやさしい生活を心がけましょう。
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