自己破産者マップとは?違法性は?被害にあったら専門家へ相談を!
Date:2022.03.16
数年前に社会問題となった「自己破産者マップ」を知っていますか?自己破産者をネット上のマップで記し氏名、住所など個人情報を掲載したものです。
自己破産者からは、プライバシーの侵害、人権がないなど精神的に苦しめられたと多くの批判、苦情が寄せられました。それも当然です!新たな第一歩を踏み出すと決意をして、ネット上に居場所や名前が世間に晒されるのは誰でも心外です!
自己破産者マップって何?自己破産とはどんな状態か?
「自己破産者マップ」は数年前にネット上に開設されましたが、ごくわずかな期間で閉鎖されました。どんな内容だったかというと、私たちも良く知っているGoogleマップ上に自己破産者を載せていたそうです。
そもそも、「自己破産」とはどんな状態でしょうか。まずは自己破産について説明していきます。自己破産とは、債務整理の1つで借金が全額免除される法的手段をいいます。
自己破産のメリット…借金の全額免除
自己破産のメリットは借金がゼロ、全額免除になることです。借金の取り立ての電話もなくなるので精神的に楽になれます。現金は99万円以下なら残すことができます。
多額の借金から解放され、新たな人生の再スタートともいえます。借金はもう繰り返さない、これからは全うに人生を歩んでいくと決心する人も多いでしょう。
自己破産のデメリット…官報に載る(ブラックリスト)切り詰めた最低限の生括
先述で、自己破産のメリットは「借金の全額免除」だとお伝えしました。借金の返済がなくなる反面、それなりに大きなデメリットが存在します。
【自己破産のデメリット】
- ブラックリストに10年登録
- 官報に氏名や住所が掲載される
- 就業の制限がある
- 住宅やマイカー、家財は処分される
自己破産のデメリットはこれまでの生活を一変させる重いデメリットだといえます。ブラックリスト(信用情報機関)に、氏名など自己破産をした事故情報が10年掲載されます。信用情報機関に登録されると、クレジットカードが利用できない、ローンも組めなくなります。
さらに、国が発行している官報に氏名、住所など個人情報が掲載されます。一般人はよっぽどでない限り目を通さないものです。家族や職場に借金や自己破産がバレる心配はありません。
その他、士業など特定の職業に就けない、家や車の処分、お金になりそうな家具家電も換金されなくなってしまいます。手元に残るのは99万円以下の現金と最低限の生活をするものだけになります。
自己破産者マップはどんな理由でできた?現在は閉鎖された
自己破産に至るまでの苦労は大きいものです。借金から解放され、新たな気持ちで歩む人の不安や恐怖に落とし込んだのが「自己破産者マップ」の存在です。
自己破産について、上記でお伝えしたとおり借金地獄からは解放されますが、自己破産後の生活は非常に我慢をしなければなりません。「誰にも自己破産をバレずに生活をやり直したい」という人がほとんどだと思います。
【自己破産者マップができた経緯とは?】
- 2019年3月…自己破産者マップが開設、公開
- 2019年3月…瞬く間にアクセス集中
- 2019年3月15日…創設者がTwitter上で「破産者マップは問題ない」と声明
- 2019年3月16日…削除申請にアクセスが集中
- 2019年3月19日…批判が相次ぎ自己破産者マップは閉鎖
【自己破産者マップで公開されていた内容とは】
- 氏名、住所など個人情報の掲載
- 自己破産の手続き日
- Googleマップ上で自己破産者がどこにいるかひと目でわかる
自己破産は法的な借金の解決方法であり、違法ではありません。誰もが法の助けを借りて借金問題を解決する権利を持っています。しかし、自己破産者マップの創設者は個人情報の晒し行為は問題ないと声明を発表しました。
その後、削除申請フォームが設置され、さらにアクセスが集中しました。多くの批判、プライバシーの侵害、訴訟問題に発展する恐れから、創設者が閉鎖を決めました。2019年3月に開設されましたが、創設者が問題ないと声明を出してからわずか数日での出来事です。
創設者は、自己破産者がどこにいるかわかることで、社会の援助を受けやすくする、助けるために自己破産者マップを公開したと主張していました。しかし、自己破産者の同意も得ず、ネット上の個人情報の掲載は気持ちのいいものではありません。
【自己破産者マップの問題点】
- 個人情報保護の違反
- 名誉棄損
- プライバシーの侵害
多くの人に精神的な苦痛を与えました。現在、官報のみで自己破産者の情報が閲覧できる仕組みになっています。
破産者情報提供サービスとは?後継サイトや類似サイトが後を絶たない
自己破産者マップの閉鎖後も、次々と似たような後継サイトや類似サイトは立ち上げられました。主に「モンスターマップ」「自己破産・特別清算・再生データベース」というサイトでしたが、どちらも閉鎖されています。
自己破産者の個人情報を晒す、名誉棄損ともいえる悪質なサイトは後を絶たない状態です。後継・類似サイトができては閉鎖が繰り返され、現在「破産者情報提供サービス」という破産者マップに似たようなサイトがあります。次から詳しく説明します。
破産者情報提供サービスの存在
情報の閲覧には会員登録が必要です。有料会員登録時には、クレジットカードカード情報の入力、情報の削除にもお金がかかるような怪しいサイトです。サイト運営者は個人情報保護、名誉棄損について違法性はないと訴えています。
このように自己破産者マップの後継サイトといえるものが存在しています。自己破産者の個人情報は国が発行している官報から情報を転載しているようです。官報は、一般的に閲覧する人はいないといわれていますが、官報から破産者の情報を抜き取り、有料で情報を提供している悪質なサイトは残念ながらなくなっていないようです。
自己破産者マップが元のトラブルの実例を紹介
自己破産者マップの出現により、個人情報保護の違法、名誉棄損、プライバシーの侵害など問題点があげられました。実際に、「家族にバレたらどうしよう」「就職や結婚に不利益では?」と苦痛や不安は大きなものだったでしょう。
自己破産者マップを元に、二次被害とされるトラブルも多発しました。実際にあった実例を紹介します。
闇金業者に目をつけられる
破産者マップから情報を元に、手持ちの現金や財産がない状態を狙いヤミ金業者の勧誘が報告されています。自己破産のデメリットで多くの家財など失うので「お金が欲しい」とつい闇金に手を出してしまうこともあるようです。
自己破産者の弱みにつけ込んだ悪質な勧誘です。
削除依頼をしたら詐欺被害が多発
ネット上に氏名や住所などが無断で掲載されたら、誰もが一刻も早く削除して欲しいと思うものです。削除申請したら、お金を要求されるという詐欺被害も多くありました。破産者マップの出現で、二次被害も社会問題となっていきました。
自己破産に悪いイメージ、自己破産を躊躇する人が増えた
自己破産者マップや類似サイトの出現以来、個人情報の掲載を心配して自己破産を躊躇する人も増えたのことです。「もし自分も氏名や住所を掲載れたら…」「まわりにバレるのが怖い」誰もが恐れることだと思います。
「自己破産をしたら、破産者マップに載るかも?自己破産はしない方がいいのでは?」と迷っていても、借金は減るどころか借金地獄に陥ってしまいます。自己破産自体、悪いことではありませんので、躊躇せず最適なタイミングで申請しましょう。
自己破産者マップが気になって自己破産に踏み込ない場合は、ネット問題に強い弁護士など専門家に味方になってもらいましょう。
もし個人情報の晒しにあったら?弁護士など相談先を見つけよう
自己破産後に、ネット上で自己破産情報の掲載が発見されたらすぐに弁護士など専門家へ相談しましょう。ネットトラブルに力を入れている法律事務所がおすすめです。個人情報の晒し行為などの削除依頼は弁護士へお願いしましょう。
破産者マップをなくそうと立ち上がった弁護団もあります。「破産者マップ被害対策弁護団」という弁護士数名が立ち上がり、2019年に閉鎖された自己破産マップの被害の主張、損害賠償訴訟を起こし今でも戦っています。自己破産者マップのような個人情報の掲載は「官報の情報の掲載でも違法」だと主張しています。
また、ネット上に許可なく氏名や住所など掲載された場合「個人情報保護委員会」「違法・有害情報相談センター」などにも相談ができます。ネット上でのトラブルの対処法、アドバイスがもらえます。
自己破産者マップの晒しが怖い!自己破産をためらわずに相談先を見つけよう
自己破産は借金問題を法的に解決すると認められたものです。決して違法ではありません。新たな人生の再出発を決意、自己破産後で精神的に疲労している時に、「自己破産者マップ」「破産者情報提供サービス」のようなものはあってはなりません。
どうしても、心配な時はあらかじめネットトラブルに強い法律事務所や「個人情報保護委員会」など相談先を見つけましょう。個人情報を晒す悪質なサイトがなくなり、安心して自己破産などできるよう願っています。
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