肩、首、指などの関節をポキポキ鳴らす癖は危険!その理由と治す方法
Date:2016.11.10
デスクワークなどでパソコンを使っていると、ちょっとした休憩のときに身体を伸ばして、ポキポキッと音を立てるのが気持ち良かったりしませんか?
首、肩、背中、腰、指、膝、手首や足首など…人によってなる場所も鳴らし方も様々だったりしますが、音が鳴った後ってなんだか気持ちがいい気がしますよね
でもそれ、身体にあまりよくないんです!
そもそも、どうして音が鳴るの?と聞かれると、
「運動不足のせい…?」
「なんか骨と骨の間で気泡が…?」
「曲げた時の過度なストレッチで骨が…?」
と、これも人によってさまざまな答えが返ってきます。
実はこれ、原因がわかったのはつい最近のことなんです。
この記事の目次
関節ポキポキは骨が鳴っているわけじゃない!原因は気泡
関節がポキポキとなる現象については、長い間論争が繰り広げられていたようです。
一番最初に仮説が立てられたのは1947年と言われているので、本当に長いですね。
最初に立てられた仮説は、「指に紐をくくりつけて引っ張り、音を鳴らした瞬間をレントゲン写真で撮影する」という方法で生まれました。
なんだかこうやって聞くと恐ろしい実験のように思えますが、これを私たちは日ごろから無意識にやってしまっているわけですよね。
関節は、関節包という袋状の物に覆われています。そして、その中で骨と骨の間に「関節腔」という隙間があり、そこには「滑液」という潤滑油の役割をするものが満ちています。
関節が引き離された結果、その滑液にかかる圧力が瞬間的に低下し、そこに気泡が生まれるせいではないかと、いう仮説が立てられました。
その後も様々な実験と論争があったようですが、つい最近、指を機器で引っ張り、その瞬間をMRIで撮影することに成功しました。
そこでわかったのは、関節が急に引き離されると滑液の圧力が下がり、ガスの気泡が生じ、その圧力を戻す力によって滑液が隙間へと流れ込み、ポキッと音を立てて気泡が消滅するということでした。
つまり、現在一番有力な説によると、1947年に建てられた仮説がほぼ正解だったということのようです。
骨が鳴っているわけではなく、骨と骨の間でガスが弾けて音が発生していたんですね。
この、ガスの気泡が弾けて音が鳴る現象を、「キャビテーション」、そしてその時になる音を「クラッキング音」といいます。
ちなみに、わざと鳴らしているわけではなく音が鳴ってしまう場合や、音の鳴り方が違う場合などはキャビテーションではなく骨同士が擦れて音が鳴っている場合や人体に影響が出ている場合などもあります。
関節ポキポキで指は変形している!
指の関節を鳴らす癖があると、関節の部分だけ指が太くなることは有名ですよね。
では、なぜ指が太くなってしまうのでしょうか。
関節の間でキャビテーションが起こると、そこには瞬間的にかなりの衝撃が加わることになります。
薄い鉄の板を思い切り殴っているところを想像してみてください。
鉄の板は少し、凹んで変形しますよね。
それを、何度も何度も繰り返していくと、板はボコボコに変形してしまいます。
それと同じように、一度の衝撃ではあまり変化はありませんが、繰り返し行うことで関節がボロボロになり形が変形してしまうと言われています。
しかも、あまりに頻度が高くなると炎症を引き起こす恐れもあり、大変危険です。
ついやってしまう指ポキポキも、身体にはやはりよくないみたいですね。
首ポキポキには命の危険!
デスクワークなどで肩や首がこってしまうと、首をポキポキと鳴らしたくなることもありますよね。
やっている側の人はやっていても何ともないんですが、はたから見ていると結構異様な光景です。
ポキポキで済めばいいですが、なんだかそのまま折れてしまいそうですもんね…。
首の骨の中には脊髄神経が通っています。
首元の脊髄神経は、損傷してしまうと手足のしびれや頭痛などを引き越す原因となりますし、悪くなると歩けなくなったり、それこそ命の危険性が出てきてしまう大事な神経です。
また、神経だけではなく血管への影響もあるのではないかと考えられています。
首元には「椎骨動脈」という脳へ栄養を運んでくれる血管が走っています。
この動脈は頸椎にくっついているため、首をポキポキと鳴らすことで椎骨動脈にも衝撃が走る可能性が考えられるようです。
そのため、首をポキポキと鳴らす行為を長年にわたって続けていると血栓ができてしまうなど、血管に大きな影響が出てしまい、循環器系の病気になりやすくなると考えられています。
膝ポキポキは老後に響く!
膝は、日常生活の中でかなり負荷がかかっている部分です。
歩いている時には体重の2、3倍の負荷がかかっていると言われています。
音を鳴らしていなくても、膝は毎日酷使されているんですね。
若いうちから膝をポキポキ鳴らしていると、将来、膝が曲がらなくなってしまう可能性もあるようです…!
痛みがある場合や音がおかしいな、という場合にはできるだけ鳴らさないようにして、病院にかかった方がいいかもしれません。
では、キャビテーション以外で膝が音を鳴らしている場合、どういった原因が考えられるのでしょうか。
- 変形性膝関節症
- 階段の上り下りや屈伸運動などで音がポキポキとなり、痛みを伴う場合には変形性膝関節症が疑われます。
通常、膝の関節は、表面が軟骨に覆われています。軟骨はその名の通り骨よりも柔らかいため、関節への衝撃を和らげたり、動きを滑らかにしてくれたりという働きがあります。
しかし、膝に過度な負荷がかかると、この軟骨が擦り減ってしまいます。
最初の頃は自覚症状がほとんどありません。ですが、そのまま放置してしまうと軟骨や膝の半月板が変形してしまい、炎症を引き起こしてしまいます。
また、「膝に水が溜まる」という症状を聞いたことがあるかもしれませんが、これも変形性膝関節症が進行することで起こります。
更に悪化すると骨そのものが変形してしまい、膝が曲げられない、伸ばせない、といった状態になってしまいます。
膝に負担をかけ続けることで老後にこういった症状が出るケースが多いようですが、スポーツやクラシックバレエなど、膝に負担のかかる運動をしている人にも見られる症状です。整形外科にて診療することをオススメします。
- 膝蓋軟骨軟化症
- 膝に力を入れて立ち上がる際やスポーツをしている時などに、ポキポキではなく、軋むような音や、ゴリゴリと骨が擦れるような音と共に痛みが走る場合には、膝蓋軟骨軟化症が疑われます。
膝蓋骨とは、「膝の皿」と呼ばれる部分です。
その裏側の軟骨が、太ももの骨と擦れあうことで、軟骨がすり減ってしまい炎症を引き起こします。その炎症が原因で軟骨が柔らかくなってしまう、膨らんでしまう、亀裂が入ってしまうなその症状が出ているものを、膝蓋軟骨軟化症と言います。
これもスポーツなどで膝を酷使している人に起こりやすい症状です。ランニングなどでもあまりストイックに行ってしまうと症状が引き起こされる可能性があります。
また、太ももの筋力不足、運動前のストレッチ不足でも起こりやすくなるので運動をする前には必ず入念にストレッチを行うようにしてください。スポーツをしていない人でも、外傷が原因となる場合や、 内股で歩いていること、ハイヒールなどの靴が原因で引き起こされる可能性もあるようなので女性は特に注意が必要です!
ほとんどが通院で矯正して治すことが可能なので、これも早めに整形外科を受診した方がよさそうです。
キャビテーションで関節をポキポキ鳴らすのも、そうじゃないところで鳴ってしまうのも、やっぱりどちらも身体に良くはないようですね。
痛みはないし、今すぐ病院にかかるほどじゃないかな…という場合や、じゃあまずこの鳴らすのをやめるところから始めようかな、という場合、いったいどうすればいいのでしょうか。
関節ポキポキをやめる方法と、傷ついた関節を労わる方法
関節ポキポキが身体に悪いことは知っていたけど結局今までやめられていない…という人も多いと思います。
関節を鳴らすと何となくすっきりしたような気持ちになるため、身体が凝ったりするとどうしても鳴らしてしまい、それが癖になっているとなかなかやめることができませんよね。
どうして癖になってしまうのか、というところもいろいろと仮説があるのですが、有力なのは、関節を鳴らすことにストレッチ効果がある、という説です。
キャビテーションによって身体が伸ばされることで、凝り固まった関節の柔軟性や血流が一時的に改善されます。
ですが、関節ポキポキは「過度なストレッチ」です。
実際は関節を鳴らすことで関節を傷めつけてしまっています。ただ、痛みを感じる神経や血管が、関節の軟骨部分にはありません。
そのため、関節を傷つけているということに、私たちは体感として気が付くことができないのです。
まずは1週間鳴らさないように意識する
癖を直すのはなかなか難しいですよね。無意識にポキポキをやってしまう場合はなおさらです。
ただ、まずは1週間我慢してみてください。
鳴らしたくなったら、音が鳴らないようゆっくりとその部分を伸ばしてストレッチをします。
「関節を鳴らしたい」と思っているのは脳の勘違いで、「その部分をストレッチしたい」というのが本当のあなたの目的です。
なので、音が鳴らないようゆっくりとストレッチをするだけでも結構すっきりすることができます。
「なんか物足りない…」と思っても、とりあえずそれで1週間我慢してみてください。
1週間我慢すると、「関節を鳴らしたい!」という衝動は緩やかなものになっていきます。1週間の我慢が達成できたら、そこから更にもう1週間。
そうなればもう、大丈夫!
ですが、もしどうしても我慢ができずに鳴らしてしまう…という場合には、ペナルティを設けることで意識的に直すことができるようになります!
たとえば、1回鳴らしたら罰金○○円とか、腹筋○○回という風に、やりたくないこととセットにすることで、無意識に関節を鳴らしてしまっていた人も、鳴らす前に気が付けるようになります!
そしたら後は、意識的にゆっくりとストレッチをしてください。
それでもどうしても無理!という場合、鳴らしてしまう関節が指などであれば、よく鳴らしてしまう指の関節にテーピングテープなどを巻いてみてください。
全ての指に巻いてしまうと生活に支障が出ると思いますが、よく鳴らす指だけでも貼っておくと、「あ、今鳴らそうとしちゃった」と気が付くことができるので効果が期待できますよ!
危険な膝の関節ポキポキ!軟骨がすり減らないように生活する
キャビテーション以外でも関節が鳴っている場合は特に、軟骨や靭帯、骨などが傷ついてしまっています。
その中でも特に影響を受けるのが膝の軟骨で、軟骨は一度傷つくと再生しないとも言われています。
先程も紹介したように、膝は日常生活を送っているだけでもかなりの負荷がかかっている部分です。
でも、お年寄りになってからすべての人が同程度に膝を悪くするわけではないですよね。
これは、若いうちからどれくらい膝に負荷をかけてきたかで変わってきます。
軟骨がすり減りやすくなるのはどういう場合でしょうか?
- 肥満、体重の増加
- 過度な運動
- 外傷
大きな原因はこの3つですが、3つ目の外傷は他の2つと違い、じわじわと軟骨を損傷するものではありません。一度の怪我でも軟骨は大きなダメージを受けてしまいます。
外傷は「気を付ける」以外に方法がありませんが、他の2つは予防することができるのでしっかりと予防していきましょう!
身体に見合った運動を心がける
今まで運動をしてこなかったのにいきなりフルマラソンに挑戦する!などという人はあまりいないかと思いますが、これはかなり危険です。
長距離を走るマラソンは膝への負担がかなり大きく、特にコンクリートの上を走り続けるというのはかなりリスクが高いと言えます。
身体を支える筋肉がきちんと備わっていない状態でいきなりマラソンなどに挑戦すると、身体への負荷は計り知れません。
がんばること、あきらめないことは素晴らしいことですが、やりすぎは身体に良くありません。走りきった後の達成感と同じくらい、身体を酷使してしまっています。
私たちは普段の生活の中であんなにストイックに走る必要性にかられることはないと思いますが、運動に無理は禁物だということを忘れないようにしてください。
普段運動をしていないのに突然フットサルやサッカーの試合に出たりするのも危険です!
筋力や体力に自信のない方は、ウォーキングから始めるといいかもしれませんね。
軟骨にいい成分を食事から摂取する
軟骨を構成する主な成分は、ヒアルロン酸とコンドロイチンです。
その他には、骨を強くするカルシウム、ビタミンDなどが軟骨の代謝をよくしてくれると言われています。
これらの成分を食事から摂取することで軟骨が弱るのを予防することができそうです。
手羽先、鶏の皮、うなぎ、フカヒレ、豚足、動物の軟骨、めかぶ、納豆、山芋 など
オクラ、山芋、納豆、すっぽん、手羽先、鶏の皮、豚骨 など
ヒアルロン酸とコンドロイチンは食事から摂取できる量があまり多くないので、意識的に接種していくことが大切です。
桜エビ、干しエビ、チーズ、ししゃも、煮干し、えんどう豆、ごま など
カルシウムが不足すると肩こりや腰痛、イライラの原因になるとも言われていますので毎日の食事に取り入れたいですね。
食事での接種が難しくてもカルシウムなら牛乳で簡単に摂取することもできますね!
また、カルシウムを効率よく吸収するのに大切な成分が、ビタミンDです。
乾燥きくらげ、いわし、いくら、あんきも、鮭、いわし など
このビタミンDは日光に当たると肌で生成することもできます。
軟骨にいいだけではなく、骨にもいい成分なので将来骨粗しょう症などにかからないためにも必要な栄養素です!
首こりの原因は筋肉!関節は鳴らさずツボ押しで解消
首を鳴らすことで、将来、血管や神経、循環器系に問題が起こってしまう危険性が高まってしまいます。
とはいえ、デスクワークでパソコンを長時間使った後や、スマホを日常的に使っている方はどうしても首や肩が凝ってしまいますよね。
そうするとついつい、首を回したり倒したりしてポキポキっと鳴らしてしまう人も少なくないのではないでしょうか。
首の凝りは、首の裏側にある筋肉、いわゆる「首筋」が凝り固まっている状態をさします。
首は、神経や血管が集中している部位であり、脳の入った重たい頭を支えている部分でもあります。
その割には細く、固い骨で守られているわけでもなく、筋肉もつきにくい場所なので支えている首筋への負荷が大きいのは容易に想像がつきますよね。
首が凝ってしまう原因
首筋が凝る原因はいくつか考えられます。
- 血行不良
- 筋肉の疲労
- 目の疲れ
- 関節の異常
主な原因はこの4つです。
- 1.血行不良による首こり
- 生活習慣の乱れ、パソコンやスマホの使いすぎ、ストレスによる自律神経の乱れなどにより血液の循環が悪くなってしまいます。
血行不良の状態になると、筋肉へ酸素がうまく供給されなくなり、凝りが生じます。
枕の高さがあっていない場合も血管が圧迫されてしまうので、自分に合った枕を選ぶことも大切です。姿勢が悪いことも原因となりますので、生活習慣を見直してみるといいかもしれないですね。
- 2.筋肉の疲労
- 人間の頭は体重の8~13%と言われています。
体重が50キロの人であれば約5キロの重さです。
つまり、首の筋肉は何もしなくても、常にそれだけの重さを支え続けていることになります。
綺麗な姿勢でいたとしても長時間座ったままでいると筋肉に疲労物質がたまって筋肉が硬直し、血行不良へと繋がってしまいます。
それに加えてパソコンやスマホの使い過ぎ、猫背などは筋肉への負担がより増えてしまう姿勢です。
- 3.目の疲れ
- 長時間のパソコン、スマホの使用は筋肉の疲労や血行不良を引き起こすだけではなく、目の疲れにも直結しています。
目の疲れもまた、頭の血行不良を引き起こし、首筋の凝りにつながるとされています。
デスクワークでパソコンを長時間使った帰りの電車で、ずっとスマホを見ていませんか?
眼鏡やコンタクトレンズを使っている方は、最後に度数を計ったのはいつですか?
目に合っていない眼鏡、コンタクトレンズの着用も眼精疲労の原因となります。
それでなくても目は大事にしたいもの。使いすぎているということを意識して、きちんと労わってあげたいですね。
- 4.関節の異常
- 冬場になると顎が外れそうになる…なんて人、いませんか?
女性に起こりやすいと言われている顎関節症などの関節の異常も、首筋の凝りをひどくする原因となっています。
他にも、歯並びや噛みあわせの問題で首筋が凝ってしまうこともあります。
セルフツボ押しで首こり解消
首こりにはストレッチも効果的ですが、首を自分で伸ばすのはちょっと怖い…という場合にはツボ押しがオススメです!
パソコンやスマホを長時間使う方は、間に休憩を挟んでツボ押しをしてみるといいかもしれませんね。
- 風池(ふうち)
- 風池は血流改善に効果があるとされています。
襟足の生え際で、首の真中と耳の間に左右ひとつずつあります。
ここは大きく凹んでいるので見つけやすいと思います。
イタ気持ちいくらいの感じで、両手の親指で、2分ほど押します。両手の親指を風池に添えて、少し上を向くだけで、頭の重みでちょうどいい気持ちよさになると思います!
- 天柱(てんちゅう)
- 天柱は風池から親指約1本分ほど内側にあります。
ここも風池と同じように両手の親指で押してください。
- 合谷(ごうこく)
- ここは首こりだけでなく、肩こりや目の疲れ、さらには歯の痛みにも効くと言われている「万能のツボ」です。
ここを押して痛がらない人ってあんまりいないですよね。
この部分を反対側の親指で押してください。
押し方は、
- 真っ直ぐに3秒間押して、3秒間で離すというのを繰り返す方法
- 合谷をグリグリと押しながら回す方法
どちらか自分が気持ちいいと感じる方法でやってみてください!
首こりが慢性的に続くようであれば、病気も疑われます。痛みや状態が芳しくない方は、病院に相談してくださいね!
関節は鳴らさない!凝りはゆっくりとほぐす!
パソコンやスマホなどを日常的に使っている現代人にとって、関節ポキポキは手軽なストレッチのように思えますが、実は関節を変形させてしまっているんですね。
無意識にやってしまっている方は、これから意識的に直していきましょう。
年をとっても健康体でいるために、美容やダイエットのことだけでなく、膝や首のこともケアしていきたいですね。
食事やツボ押しで健康を維持しつつ、もし痛みが出たら、すぐに病院で相談してくださいね!
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