イギリス発祥ビーガンとは?完全菜食主義のメリットとデメリット
Date:2017.01.04
ビーガン(ヴィーガン)とは完全ベジタリアンのことだといわれていますが、ベジタリアンとはどのように違うのか、どんなものを食べている人をビーガンというのでしょうか。
また、その食生活のメリットやデメリットなど、ビーガンという生き方について詳しくご紹介します。
なぜそのような生活スタイルになったのかということに迫ってみたいと思います。
この記事の目次
ビーガンとはイギリス発祥の「完全菜食主義」
ビーガンは20世紀の中頃に登場したもので、ベジタリアンの一種です。ビーガンとは「Vegan(ヴィーガン)」と書き、「Veg(etari)an(ヴェジタリアン)」が短縮されて出来た言葉だそうです。
1944年、イギリスでヴィーガン協会が設立された際に命名されたとされています。
ベジタリアンという言葉が野菜を意味するベジタブルだと思っている人が多いですが、これはラテン語の「vegetus」(活気のある、健全な)という意味の言葉が語源だそうです。
ベジタリアンには種類がある
ベジタリアンというと、野菜だけ食べている人というイメージがありませんか。
実際にはベジタリアンの中にも種類があって、
- オボ・ベジタリアン:卵を食べる卵菜食者
- ラクト・ベジタリアン:乳製品はOKという乳菜食者
- ラクト・オボ・ベジタリアン:卵も乳製品も両方OKの乳卵菜食
また、動物の肉は食べないけれど魚介類は食べるとか、天然物は食べるけど加工品は食べないなど、食べるものの種類で10種類くらいのベジタリアンがいます。
ベジタリアン食だからといって野菜しか食べられないというわけでもないんですね。
日本でも精進料理では動物性の食材は基本的に使いませんから、お坊さんもベジタリアンですね。
ビーガンは動物性のものが一切禁止
ベジタリアンの中でもビーガンはもっとも厳しいタイプで、
- 肉
- 魚介類
- 卵
- 乳製品(酪農製品)
- 蜂蜜
- 昆虫(コチニール色素を含む)
は一切食べません。ですから純粋菜食主義者とも呼ばれます。
コチニール色素とはなにかというと、食品に使われているピンクの色素ですね。イチゴ味の飲み物などによく使われますが、ビーガンとしてはこれもNGなわけです。
ビーガンにも種類がある
ビーガンは動物由来ものを極力避けるため、レザーなどの革製品、ウール、シルク、羽毛ふとんなど、身の回りから動物に関わるものを一切排除します。
動物性のコラーゲンが入った化粧品なども使いませんし、動物実験されている商品も使いません。
- エシカル・ビーガン
- ベジタリアンというよりも、徹底した動物愛護という感じがしますが、動物製品に一切触れないというのが「エシカル・ビーガン」と呼ばれる一番厳しいものです。
- ダイエタリー・ビーガン
- ダイエタリー・ビーガンは、動物性食品は一切食べませんが、衣料品などにこだわりはなく、ウールも着るし羽毛ふとんも使います。
一般的にビーガンというとこのビーガンをさすことが多いようです。
- フルータリアン
- そしてもうひとつは動物性食品も食べないし、植物でも命を奪わないことを採取の条件にするという「フルータリアン」です。
たとえば、実を収穫してもまたできるリンゴ、オレンジ、木の実などは食べるけれど、1度抜いてしまったらおしまいの人参や大根は食べないということです。
植物自体の命を奪ってしまうことになるから、という考え方から、再生できるものしか口にしません。
ビーガンを目指す理由
お肉はこんなにおいしいのに、刺身だって海に囲まれた日本では、美味しいものがたくさん食べられるのに、どうしてわざわざビーガンになるの?と思いますよね。
その理由、
- 心身の健康のため
- 動物愛護という倫理的な理由のため
- 地球環境を守るため
- 宗教上の理由
など様々です。
ビーガンとは生き方の哲学
単に健康のために肉を食べないというような単純なものではなくて、動物からの搾取をなくし、あらゆる残虐行為を排除していく、人間と動物が共存できる道を探すための生き方の哲学なんです。
食事だけでなく、身の回りのものから一切動物性のものを排除するというのは、現代の世の中でなかなか難しいことでしょう。
ビーガンの人が食べているもの
では、ビーガンの人はどのようなものを口にしているのでしょうか。ヴィーガン食と呼ばれるものはそれほど特別なものではありません。
- 野菜
- 果物
- 穀物(パスタなども含む)
- ナッツ類
- 豆類
- シリアル
- 食パン
など、植物性食品群を食べています。
主食は米、パンなど
穀類はOKですから、
- 米
- パン
- パスタ
も食べられます。
ただ、精製された小麦などを使っていると、添加物だらけの食品になっていることが多いので、その中に動物性の材料が含まれているとも限りません。
どうせ食べるなら未精製の原料を使ったものの方が安心です。
たんぱく質もしっかり摂れている
日本料理には豆腐など大豆製品が多く使われており、植物性たんぱく質をしっかり摂れるようになっていますね。
それと同じで、ビーガンの人たちも
- 豆乳
- 豆腐
- 玄米
- オートミール
などタンパク源となるものをちゃんと食べています。
最近では大豆を原料とした「畑のお肉」など、食感も肉に近いような食材もありますし、そういった食材を使うと肉を食べられないというストレスも少し減らせるかもしれません。
畑のお肉
スーパーでも売っています。大豆の粉末などから作られた食材で、水で戻してから使います。揚げたり炒めたり、お肉と同じように使うことが出来ます。
ただ、肉類に比べればどうしても必須アミノ酸の量などは少なくなってしまうので、それらを補うために色々な種類の食材を食べるように意識する必要はあります。
デザートだって食べられる
観世菜食主義というととても厳しいイメージがあり、修行僧のような食事に思えてきますが、デザートだってちゃんと食べられます。
- 豆乳から作られたヨーグルトやアイスクリーム
- ライスプディング
- 豆乳を使ったフレンチトースト
- 卵を入れないパンケーキ
など、カロリーも低くてヘルシーなデザートがいっぱい。ダイエットにも良さそうですよね。
白砂糖は摂らないように気をつける
砂糖って、サトウキビから作られるんだから植物性の食べ物じゃないの?と思いますが、白砂糖の製造過程に問題があるようです。
サトウキビの汁を煮詰めると黒砂糖ですよね。白砂糖にするためにはそれを精製していかないといけません。
しかし、砂糖を濾過するために使われる骨炭というものに牛など動物の骨が使われているので白砂糖は避けるべきものと考えられているのです。
ビーガンは
- 黒砂糖
- メープルシロップ
- 羅漢果
- ココナッツシュガー
- てん菜糖
など、精製されていない糖質を使います。
そこまで徹底して動物性のものを排除するのかとただただ驚くばかりです。
これはだめ!ジャンクフードベジタリアン
肉は食べないけれど、スナック菓子などを食事代わりにしている人もいるそうです。
というのも、肉を食べるのは倫理的よくないけれど、かといって自炊もしないので何を食べたら良いのかわからず、ポテトチップスなどを食事代わりにしてしまう人のことです。
動物性食品を摂っていなければビーガンといえばビーガンなのですが、自分の健康を損ねてしまっては何の意味もありません。
ビーガンになる、ビーガン食を摂るメリット
ビーガンだからといってサラダだけを食べているわけではなく、穀類やタンパク源となる豆類なども食べています。
きちんと栄養バランスを考えて食べていれば、生きていくための栄養素はきちんと採ることが出来る健康食なんです。
脂肪が減って身体が軽くなる
当然ですが、肉類より野菜類、穀類の方が脂質やカロリーは低く、自然とダイエットになっていきますよね。
食事自体が低脂肪になるので、
- 高血圧
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
などのリスクを減らすことが出来ます。
疲れにくくなる
血液がサラサラになって循環器への負担が減ることで、
- 息切れ
- 動悸
が減って身体が軽くなると疲れにくくなるというメリットもあります。
食物繊維でお通じが良くなる
毎日たっぷりの野菜を食べていると、
- 不溶性食物繊維
- 水溶性食物繊維
の両方を摂ることが出来て、便秘の解消に役立ちます。
日本人は元々肉を食べていませんでしたから、もしかしたらビーガンの食事は体質にあった食べ方かも知れませんね。
体臭が減る
脂身の多い肉などを食べていると、皮脂が増えたり、腸内で毒素が増えてそれが体外に排出されることによって、体臭の原因になります。
菜食にすると脂っこい食事をしなくなるので、皮脂も体臭も減ってきます。
栄養面で問題が発生することも…ビーガンのデメリット
野菜類、穀類しか食べないということで、栄養面でデメリットはないのでしょうか。
ビタミンB12が摂りにくい
ビタミンB12は、
- レバー
- 魚介類
- 肉類
など、動物性の食品に含まれています。
鉄分などミネラルが不足しがちに
動物性食品が減るとミネラルも摂りにくくなります。鉄分を含む、
- ほうれん草
- プルーン
- モロヘイヤ
- 小松菜
- 納豆
などを積極的に摂りましょう。
オメガ3系脂肪酸などが摂りにくい
青魚に含まれる不飽和脂肪酸は、血液をサラサラにしたり、脳の機能を活性化して認知症の予防にも良いのではないかと期待されていますが、魚を食べないので摂取できる脂肪酸にも制限が出てきます。
ただ、元々菜食をしていると、それほど血液がドロドロになる心配もないのかもしれません。
外食がしづらい
ベジタリアン向けのレストランは、東京でもまだまだ少ないと思います。ましてヴィーガン向けとなるとなかなかないでしょう。
いざ外食しようとすると、動物性食品だらけで、食べるものが見つからないかもしれません。
ピザはチーズをかけられないし、カレーもダメですね。
お腹がすぐすく
野菜類はカロリーが低いので、どうしても腹持ちが悪く、すぐにお腹がすいてしまうというデメリットもあります。
そんな時はナッツ類をおやつにするなど、美容にも健康にも良い方法で空腹を紛らわすといいですね。
身体に合わない場合がある
こればかりはどうしようもありませんが、体質的に菜食が合わない人もいます。
というのも、植物性のたんぱく質よりも動物性たんぱく質の方が身体に合っている、という場合もあるんです。
ベジタリアンから徐々にビーガンへ
これまでお肉をガンガン食べていた人が、急に一切の動物性食品を断つというのはそれほど簡単ではありません。急激な変化は挫折への近道です。
でも、
- 食生活を変えていきたい
- 自分なりに地球環境に貢献したい
- 動物たちの命を守りたい
そんな気持ちがあるのなら、徐々に生活を切り替えていきましょう。
ビーガンは先進国の消費行動を変えていく生き方
ビーガンとは単なる食事法ではなく、生き方そのものですから、誰でもそれに賛同できるかというとなかなか難しいところがあるかもしれません。
ただ、一つの生き方として、
- 動物愛護
- 地球愛護
という考え方は、地球を汚している先進国の人々の消費行動を変えるきっかけになるかもしれません。
一番大事なのは、自分にとって何が必要で何が不要かを考えることと、地球や動物のために自分なりに何が出来るのかをひとりひとりが考えていくことなのかなと思います。
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コメント一覧
カルシウムの摂取はどのようにしてなされるのでしょうか
オカヒジキなどカルシウムが豊富と言われていますが
カルシウムは野菜から摂取しにくいと聞いたのですが…
カルシウムの摂取はどのようにしてなされるのでしょうか?
カルシウムなら普通に何にでも入ってるよ
小松菜だろうとローズヒップティーだろうと硬水だろうと
菜食でカルシウム不足に悩んだことはない
野菜を育てるとき、農家の人は必ずと言って良い程害虫駆除や野生の動物駆除ってしていますよね。ビーガンであるという信念自体は個人の自由だし特に何も思いませんが、そういうところはビーガンの人達はどう解釈しているのかなと個人的にふと疑問に思いました。