家賃が払えないと強制退去の可能性も!滞納しそう&したときの対処法
Date:2021.10.12
新型コロナの影響は大きく、収入が減った、ボーナスがなくなった、お店を閉めることになった、という声は少なくありません。給料が減れば家賃の支払いができなくなることも多いでしょう。家賃が払えなければ、住むところもなくなってしまうかもしれません。
社会的な影響だけでなく、病気や会社都合によるリストラなどで、収入が減ってしまうこともあります。そのせいで家賃を滞納してしまったら、どうなるのでしょうか?
家賃が払えなくなることは誰にでも起こること
収入が安定していれば、通常は家賃が払えなくなることはないでしょう。共働きの夫婦で、どちらの収入も安定していればなおのこと安心です。しかし人生においては何があるかわかりません。
会社の経営が悪化して給料やボーナスが減ってしまったり、職を失ってしまったりすることもあるでしょう。手術や入院など仕事を休まなければならないほどの病気をするかもしれません。交通事故に巻き込まれてしまう可能性もゼロではないですね。そういったことは、自分だけでなく家族にもあり得ることです。
さらに新型コロナのように、自分ではどうしようもない事態になることもあります。2020年8月のNHK世論調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大で収入が減ったと回答した人は24%。とくに飲食店や観光業関連では、お店を閉店せざるを得なくなっているケースも少なくありません。
収入の減少は生活費に大きく影響します。生活費のなかでも家賃の割合が大きく占めている家庭は多いでしょう。何かあったときのための貯金や保険がなければ、1ヵ月でも収入がないと、たちまち家賃の支払いに困ってしまいます。自分では予想できないアクシデントに見舞われることもあるもの。それによって家賃が払えなくなる可能性は誰にでもあるのです。
家賃が払えず滞納した場合はどうなる?
家賃を払えないままずっと滞納しておくことはできません。家主や管理会社、もしくは保証会社から催促があり、それでも払えない場合は強制的に退去しなければならないこともあります。家賃を滞納するとどうなってしまうのか、具体的に把握しておきましょう。
3ヶ月の滞納で強制退去の可能性がある
家賃を滞納し続けていくことはできません。当然家主から支払いの催促だけでなく、退去してもらいたいと言われてしまいます。どれくらいで出ていかなければならないかというと、一般的には6ヵ月の滞納が目安とされています。ただし、なかには3ヵ月の家賃滞納で強制退去が認められたケースもあります。
裁判所からの強制退去は最終手段であり、いきなり「明日には出て行ってほしい」と言われることはほとんどありません。
1ヵ月の滞納なら、書面などによる催促のみです。ただし、何もせず滞納を続けていると強制退去となってしまいます。裁判所からの強制退去に拒否はできません。裁判所の職員による立会人のもと、部屋の荷物などを運び出されて部屋を明け渡すことになります。
強制退去までの流れ
家賃を滞納すると、次のような流れで最悪の場合強制退去になってしまいます。
- 本人に家賃支払いの催促
- 連帯保証人への連絡
- 内容証明による督促と裁判所への請求準備
- 強制退去
家賃の支払い日が過ぎると、管理会社や家主から書面での通知、もしくは電話で支払いを催促されます。支払いが確認されるまで、2~3回続くことが多いです。
支払い日から1ヵ月が過ぎ、まだ家賃の支払いが行われず2ヵ月目に入ると、連帯保証人に催促の連絡が入ります。ただし、本人と連絡が取れていて、支払いの意思があると判断された場合、連帯保証人には連絡はいかないケースがほとんどです。
連帯保証人への連絡は本人と連絡が取れない、支払いの意思がないなどのケースへの対応策として取られることが多いため、本人と連絡が取れていて支払いの意思が確認できていれば、保証人への連絡は必要ないためです。
滞納から2ヵ月経つと「内容証明」による督促が行われる
家賃を2ヵ月滞納すると、通常の督促通知ではなく、「内容証明」による督促が届きます。内容証明は、郵便の内容や差出人、宛先などを証明できるもので、「家賃の督促状を確かに届けた」ということを公的に証明できるもの。受け取った人が「そんなもの知らない」、と言い逃れできないための証明になるものです。
内容証明には支払い期日なども書かれているので、期日までに支払いがなされなければ、強制退去の請求が可能になります。内容証明で督促状が届いた場合は、「これ以上支払いがないと強制退去の手続きに入りますよ」、という意思表示でもあるということを理解しておきましょう。
3ヵ月~6ヵ月以上滞納すると強制解約・退去の可能性が高まる
3ヵ月以上滞納すると、契約解除や強制退去の請求が裁判所で認められる可能性が高くなり、家主は強制解除・退去の手続きができるようになります。強制退去をした方がよい、と家主が判断すると、解約解除通知書が送られてきます。
契約解除通知には、未納分の金額と退去の日付が記載されています。つまり、契約解除通知が来たときには、未納分を支払っても基本的には退去しなければなりません。
契約解除通知を出された時点で、家主の信頼をすでに失っています。そこで一括で未納分を支払っても、今後も滞納する可能性が高いと思われてしまうため、住み続けることは難しいでしょう。
家賃が払えない場合、どれくらい待ってもらえる?
家賃の支払いが滞納すれば強制退去になり、部屋を引き払わなければなりませんが、その期間は不動産や家主、部屋を借りている人など、それぞれの事情があるため、明確な基準はありません。そのため、家賃の支払いを待ってもらえる期間は、それぞれのケースによって異なります。
一般的には3ヵ月の家賃滞納で強制退去の請求ができるようになり、滞納期間が長くなるほど強制退去を請求される可能性が高くなります。
また、支払いをどれくらい待ってもらえるかは、借主と家主の関係性が影響することがあります。支払いがないまま、全く連絡が取れない状態では、強制退去の手続きなども早まることもあるでしょう。しかし、支払う姿勢を見せたり、相談したりすることで、支払いを待ってもらえる期間が長くなることもあります。
家賃が払えない場合の対処法
家賃が払えない期間が長くなれば、部屋を出ていかなければなりません。しかし、家賃が払えずに部屋を退去するような状況で、新しい部屋を見つけて住むというのは難しいでしょう。
家賃が払えなくなったからといって、すぐに退去しなくても大丈夫ですが、何等かの対処をしないといずれかは部屋を明け渡すことになります。家賃が払えなくなったときの対処法について解説します。
大家さんに早めに連絡・相談
家賃が払えないと判断したら、家主(管理会社)に連絡を入れましょう。できるだけ早めの方が精神的負担も少なく、大家さんへの印象がよくなります。支払えないのは同じでも、真摯に対応するのと何の連絡もなく滞納するのとでは、信頼関係に違いが生じます。
信頼関係が構築できないと、催促が厳しくなったり、早めに強制退去を命じられたりする可能性もあります。相談をする際には、支払いの目途を伝えるようにしたいもの。それができない場合は、分割などの相談をしてみるとよいでしょう。
相談したからといって、長期間支払いを待ってくれるとは限りません。しかし、支払う意思があることがわかっていれば、強制退去を命じられる可能性が低くなります。家賃が支払えなくなりそうなら、今後のためにも早めに相談をすることが必要です。
家賃は分割で払える?
一括で払えなくても分割なら払える場合、分割での支払いを相談してみましょう。家主によっては柔軟な対応をしてくれる可能性があります。
家主にとっては、今後支払いがなく強制退去となった場合、手続きの手間や費用がかかってしまいます。費用がかかるより、分割でも支払いをしてもらった方がメリットは大きいのです。
しかし、基本的に家主や管理会社は家賃の分割を認めていないので、分割の支払いができるとは限りません。それでも、一度は交渉してみる価値はあります。その際には、支払いができない理由や支払い計画もきちんと伝えるようにしましょう。理由や返済期間などがわかっていた方が、信頼されやすいですよね。
回数や金額に関しては、それぞれの事情によるので一概には言えませんが、返済金額や期間は可能な範囲で決めることが大切です。
回数を少なくした方が分割にしてもらえると考えてしまうものですが、分割にしたのにそれも遅れてしまうと信頼を失ってしまいます。信頼されなくなれば、一括で支払うことになってしまうかもしれません。返済計画は慎重に立てることが必要です。
保証会社との交渉
家主のように柔軟に対応してくれるとは限りませんが、保証会社との交渉も可能です。
保証会社は家主や管理会社よりも催促が厳しいことが多いです。保証人のような、家賃を立て替えてくれる人もいないので、本人から支払ってもらうしかないからです。1ヵ月以上滞納すると、家に訪問することもあります。
催促は厳しいですが、相談に応じてくれないわけではありません。滞納している理由や返済計画などを伝えれば、相談にのってくれる可能性があります。催促が厳しくなる前に、できるだけ早く連絡をして分割などの相談にのってもらいましょう。
家族に払ってもらう
家族に立て替えてもらうのも一つの方法です。家賃を1回でも滞納してしまうと、倍の金額を支払わなければ滞納が解消されません。収入が増えない限り、支払いが困難になっていくのは目に見えています。できれば滞納を避けるためにも、家族などにお願いして払ってもらいましょう。
副業などで収入を増やす
本業の収入を増やすのは難しいですが、副業で収入を増やせます。平日の夜や休日にアルバイトとして仕事をする方法のほか、在宅でできる副業もあります。本業に影響のない形で働くなら、インターネットを利用した副業がおすすめです。
ネットショップを作成して商品を販売したり、クラウドソーシングでライティングや翻訳、プログラミングなどの仕事を見つけたりすることも可能です。現在では副業を認めている企業も増えています。就業規則を確認し、本業に影響のない範囲で副業を検討してみるのもよいでしょう。
「住居確保給付金」を利用する
リストラなどで収入が減少し家賃を払えなくなった場合、自治体の支援策を利用するという方法があります。支援策の一つが、住居確保給付金です。申請すれば誰でも利用できるわけではありませんが、対象であれば給付金で家賃を払うことが可能になります。
支給期間や支給金額などは自治体によって異なります。支給期間は原則3ヵ月ですが、2回まで延長可能です。
新型コロナの影響で利用できる条件も緩和され、対象者も拡大されています。離職や廃業から2年以内とされていた条件も就業したままでも申請可能であったり、ハローワークへの求職申込も必要なくなったりしているので、自分が対象になるかどうか地域の自立相談支援機関に確認してみましょう(記載の情報は2021年8月現在のものです)。
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