若い世代も元気な間にこそ終活を!エンディングノートの書き方
Date:2016.10.07
「終活」という単語を耳にしたことはありませんか?
終活とは、自分の人生の終わりに向けて、事前に準備を進めておこうという活動です。具体的にはお墓を探したりお葬式を決めたりと、自分のいなくなった未来のための決め事をしておきます。
終活の中でもエンディングノートは、自分がいなくなった後に周りの人達に向けて残しておくメッセージを綴る大切なものです。
「まだ若いし大丈夫」「特に伝えておくことはない」と思っていませんか?
予期せぬ事故やトラブルなどは、年齢に関係なく起こり得るものです。
自分にいつ何があっても良いように、エンディングノートを書いてみませんか?
この記事の目次
エンディングノートと遺言書の違いは法的拘束力の有無
エンディングノートには、自分にもしものことがあった場合に伝えておきたい様々なことを書き留めておきます。
「それって遺言書とどう違うの?」と思う人がいるかもしれませんが、大きな違いとして遺言書には法的拘束力があって、エンディングノートにはないという特徴があります。
遺言書は規定に沿って書かなくてはならない
遺言書は自分の死後のために
- 自分の持っている財産の相続人
- 子どもの認知
- 生命保険の受取人の指定や変更
などを記しておくものです。これによって遺族同士のトラブルを防ぐことができます。
遺言書には法的拘束力があります。ただし内容は規定に沿った書き方をしなければならず、直筆で書いたものを家庭裁判所で検認してもらわなければなりません。
私的なことはあまり書けませんが、ここに書かれていることは優先して行われます。
遺言書で遺言執行人に任命された人は、遺言の内容をできるだけ実現させるために財産や預貯金などの手続き、不動産の管理などをしなくてはなりません。
ちなみに遺言書は直筆でなくてはならず、ビデオレターなどのデータ形式のものは無効になってしまいます。
エンディングノートは何を書いてもOK
遺言書に対してエンディングノートは、自分が思いつく限りのことをどんな風に書いても自由です。手書きもOK、パソコンで書いてもOK。どんなノートにどんな文体で書いても構いません。
しかし法的拘束力はなく、そこに書いてあるからと言って遺された財産の分け方を左右したりする力はありません。
もしも財産の分け方を指定したいのなら、エンディングノートと一緒に遺言書も作成しておきましょう。
いつからでも書いておくべき!エンディングノートを書くメリット
エンディングノートは書いておいて早すぎるということはありません。どんな年齢のどんな職業の人でも、書いておいて損はないのです!
そもそも、エンディングノートは一体何のために書くものでしょうか?まずはエンディングノートを書くことで得られるメリットを見てみましょう。
未来の自分に代わって気持ちを伝える
終活と言えば、「自分が亡くなった場合のため」と思っている人はいませんか?エンディングノートが活躍するのは、本人が亡くなった場合のみではありません。
例えば事故の後遺症で意識が戻らなかったり、予想できなかった急な病気で自分の気持ちを言葉にして表現することができなくなったり…。
例え生きていたとしても、誰かに大切なことを伝えられなくなる場面はいつだって訪れる可能性があるのです。
そうした「急なアクシデント」の時、
- 自分が事故に遭った時にまずして欲しいこと(誰かへの連絡やどこかへの手続きなど)
- 自分が生死をさまよった時に延命措置を望むか否か
- 何か大切な物(誰かからの借り物など)を仕舞っている場所
- 誰かに伝えそびれていた気持ち
などが書かれたエンディングノートがあれば自分も周りも混乱せずに済みます。
元気で冷静な内から「こんなとき自分だったらどうするだろう?」としっかり考えておきましょう。
遺族の気持ちを助けることができる
おそらく今大人になっている人は誰もが経験したことがあるでしょうが、身の周りの誰かとの死別は悲しくて寂しいものです。
遺された人は、もう亡くなった人の気持ちを汲み取ることもこちらの気持ちを伝えることもできません。
「あの人は私たちがこれからどうすることを望んでいるんだろう」
「自分はあの人に何をしてあげられただろう」
と、しばらくモヤモヤと後悔のような気持ちにばかり苛まれてしまうのが遺族です。
エンディングノートには、そういった遺族の気持ちを助ける力があります。
- 自分が元気な間に伝えることができなかった本音
- 何かをどのようにして欲しかったというお願い
- 自分が元気な間にやっておきたかった心残り
- 自分をどのように供養して欲しいか
ということを書いておくと、遺族の人たちも本人がいなくなった後であれこれと悩むことが減ります。
自分が急にいなくなったとき、周りの大切な人達を悲しませたり寂しがらせたりしないためにエンディングノートは重要な役割を果たしてくれます。
自分の人生に後悔を残さない
「死んでも死にきれない」という言葉があります。
例えば、誰にも見せたくない恥ずかしいものを机の上に出しっぱなしのままで出かけて、突然の事故死を迎えたときのことを想像してください。…絶対に机の上を処理しきるまでは死ねませんよね!
もちろん恥ずかしいアレコレの隠滅だけではなく、
- 誰かに伝えそびれていることや渡しそびれているもの
- まだ終わっていない途中の仕事
- 触っても良い遺品と出来るだけ触らずに処分してほしい遺品のリスト
など。
そういった周りのことを全て放ったらかしで死んでしまうのは絶対に後悔するはずです。
自分のこれからの人生を前向きで明るいものにする
エンディングノートを読むのは自分以外の人だと思っていませんか?実はエンディングノートは、書いた本人が生きている内に読み返してこそ本領を発揮するのです!
今まで生きてきた中で、例えば周りの誰かと喧嘩をしてその人を嫌いになってしまった経験、自分の本当にやりたいことが何かを見失ってしまった経験はありませんか?
エンディングノートには
- 自分がやりたいと思っていること
- 自分が誰とどういう関係なのか
- 自分が誰をどう思っているのか
といった自分を見つめ直すための項目がたくさんあります。
どんなノートにいつ書けば良いの?エンディングノートの簡単な始め方
では、具体的にエンディングノートはどうやって書くのでしょうか?
形式も文体も自由ではありますが、自分のいない場所で自分の意思を伝える大切な手段です。
誰が読んでもわかりやすく、内容が理解できるものにしなければなりません。
ここでは、エンディングノートを始めるときに知っておいて欲しい点をご説明します。
エンディングノートを自作するか市販のものを使うか決める
エンディングノートには、いくつか種類があります。
市販のものだと薄いノートや厚いノート、それからあらかじめ項目が印刷されていて解説の付いたエンディングノートが売られていることがあります。デザインも可愛いものやかっこいいものなど様々です。
初めてエンディングノートを書く場合や「何を書いたら良いのかわからない」という場合には、こうした市販のエンディングノートを使うと良いでしょう。
しかし、エンディングノートは「自分が誰かに何かを伝えることのできる最後の場」でもあります。もし自分と言う人間を自由に表現しておきたいのなら、エンディングノートを自作することをおすすめします。
エンディングノートを自作する場合には、そこに書く、
- 項目
- 内容
- 形式
なども全て自分で決められます。
エンディングノートを初めて自作する場合には、一度市販のエンディングノートを見て参考にすると書きやすくなります。
エンディングノートを書くタイミング
エンディングノートは日記とは違って毎日頻繁に書く必要もありません。では一体、どんなタイミングで書いたら良いのでしょうか?
エンディングノートを書くタイミングは、定期的に訪れる何かのイベントに合わせて書くと良いです。
- 自分の誕生日
- 誕生日は年に一度、必ず訪れるイベントです。一つ歳を取れば人間関係や持っているもの、考えていることなどが大きく変わるものです。
そうしたタイミングでエンディングノートを書くことで、今までの自分の変化を見つめ直しながら伝えるべきことを冷静に書き出すことができます。
- お正月
- 学生時代などに、「新学期や新年の抱負」を書かされた記憶はありませんか?エンディングノートも同じように、新年を迎えた時に「今年の抱負」といった軽い気持ちで書き出してみてはいかがでしょうか。
今年の内にやりたいことや昨年はできなかったことなどを書き出しておくと、後から見返した時に自分の気持ちや変化が良く伝わってきます。
- 環境が変わった時(引っ越し・転職など)
- 長年生きていると、引っ越しや転職などで自分の置かれている環境が変わることも少なくはありません。そういった時に、新たな環境で新鮮な気持ちのままエンディングノートを書くのもおすすめです。
どうして環境が変わったのか、環境が変わってどんなことを思っているのかを書くことで自分の望んでいるものが自ずと湧いてきます
これだけは書いておくべき!エンディングノートの項目6つ
実際にエンディングノートにはどんなことを書いておけば良いのでしょうか?
プライベートなことや、個人的に伝えておきたいことなどはもちろん誰にだってありますよね。実際、どんな項目を設けても本人の自由です。
しかし、あまり意味のないことをつらつらと書いていても読んだ人には何も伝わってはくれません…。
ですから、「これだけは絶対に書いておくべき!」という項目をご紹介します。
1.周りの人との関係や連絡先
まず一番最初に書いておくのは、自分がどこの誰とどんな関係性であるのかということです。
エンディングノートを一番最初に開くのは、自分の知っている人だと決まっているわけではありません。
事件や事故に巻き込まれて自分に何かがあった場合のことも想定して、見知らぬ他人に読まれても良いようにまずは周囲の人との関係性を記しておきましょう。
- 同居している家族
- 同居していない家族・親族
- 職場や取引先で関係のある人
- 学生時代の友人や知人
- その他、自分に起きたことを知らせてほしい人
これを書いておくことで、全く自分の知らない人がノートを開いたときでも「誰に連絡をするのか」「この人がどこのどんな人なのか」で悩まずに済みます。
2.病気や怪我など、身体に何か異変が起きた場合の意思
今の自分が思っていることは、未来の自分が確実に言葉で表すことが出来るとは限りません。
例えば意識を失った時や記憶がなくなった時、それから物事を考える力が低下してしまった時などがそうです。
そういった時のために、「自分が病気や怪我をしたとき迫られる選択」に対する今の意思をしっかりエンディングノートに書いておいてください。
- 生死をさまよう場合に延命措置を望むか否か
- 重たい病気になった時に余命宣告を望むか否か
- 深刻な副作用のある治療を望むか否か
- 介護や看病を誰にお願いするか
自分が病気や怪我をしたときに慌てるのは、実は自分よりも周りの人だったりします。だからこそ冷静な内にしっかりと本人の意思を書いておきましょう。
3.どんな葬儀を行ってほしいか
葬儀はその人の最後を飾る大切な場面です。
遺族の人にとってもその人に向けて何かを出来るラストチャンスになるので、希望などがあればしっかり書いておきましょう。
- まず葬儀を行って欲しいか否か(葬儀をせず遺体の処理だけを希望するなど)
- 葬儀を行うならどのくらいの規模が良いか(多くの人を呼ぶのかor身内だけで済ませるのか)
- 葬儀で使ってほしい写真はあるか
- 葬儀に呼んで欲しい人のリスト
- 火葬で一緒にお棺に入れて欲しいもののリスト
4.亡くなった後、法事を行うか否か
法事は、遺された人たちが定期的に集まって故人をしのぶための場です。
故人を失った悲しみをみんなで分かち合ったり、故人のことを思い出すための機会をつくってくれます。
決して無駄なことではないのですが、法事は「絶対に行わなければいけない」というわけではありません。
そういった人がいることを考えたときに、あらかじめ「私の法事は無理に行う必要はない」と一筆書いておくこともできます。
お寺でお経をあげた後にみんなで食事をしなくても、家に僧侶を呼んでこじんまりとお経を読んでもらうだけでも十分供養にはなります。
大切なのは故人をしのぶ気持ちですから、遺族にどんな風に自分を供養してほしいのかをよく考えて法事の有無について書いておきましょう。
5.自分の遺品をどう扱って欲しいか
遺言書で書いておけるのは、あくまでも「財産」と定義できるものについてです。その他にある細かな私物をどうするかについては、エンディングノートで記しておきましょう。
- 何を誰にあげたいのか
- 何をどう処分して欲しいのか
- 誰が持っていても良いので処分して欲しくないもの
- それぞれの遺品の場所や特徴など
6.周りの人に宛てたメッセージ
エンディングメッセージの主役と言っても過言ではないのがこの項目です。人が生きている内に誰かに伝えられることは限られています。
大人になるにつれて会う機会の減る人もいるでしょう。
大切なことを伝えそびれて後悔をしないように、一人一人の顔を思い浮かべながらメッセージを書いてみてください。
もしも書きたいことが見つからなかったり、多すぎてまとまらないときは「もう二度と会えないとしたら、相手に何を伝えたいか」ということを考えながら相手に宛てたメッセージを書きましょう。
エンディングノートに周りの人へのメッセージを書く場合は、あらかじめ項目の最初に「どこに誰宛てのメッセージがあるのか」がわかる目次のページを付けておくことをおすすめします。
目次のページには合わせて「該当の人以外は読まないで!」と追記しておくと安心ですよ。
エンディングノートはいつだって活躍する!今からでも始めるべき
「まだ終活なんて自分には早い」と思っている人はいませんか?
事故や病気はいつだって唐突に訪れるものです。「立つ鳥跡を濁さず」という言葉もありますし、どんなタイミングで何があろうとスマートにその場を去る準備をしておくのが一人前の大人です。
また、エンディングノートは自分が亡くなった後だけではなく、自分がこれから生きていく上でも重要な役割を果たしてくれます。つまり、いつ始めても早すぎることはないのです。
書く頻度もそんなに高いものではないので、今からでもエンディングノートを作ってみてはいかがでしょうか?きっとあなたの人生をより深いものにしてくれますよ!
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