ピアスをするとかゆい!突然発症もある、金属アレルギーの症状と対策
Date:2016.08.17
ピアスやネックレスでかゆくなったり赤くなったりしたことはありませんか。それはもしかしたら金属アレルギーの症状かもしれません。
花粉症もそうですが、それまで何ともなかったのに急にかゆみや赤みなどの症状が出るのがアレルギー。
今大丈夫だからといって、これからもずっと大丈夫ではないのです。
症状には個人差があり、反応する金属の種類も違います。どうすれば症状を抑えられるのかなど金属アレルギーの対策も含めてご紹介します。
こんな症状に気をつけて!金属アレルギーはこんな症状が出る
身の回りには色々な金属がありますが、私たち女性にとって一番身近な金属はアクセサリーですね。アクセサリーでこのような症状はありませんか?
- ネックレスをつけていたらかゆくなってきた
- ネックレスを外したら、その形に赤みが出来ていた
- 金属バンドの時計をしていたらかゆくなった
- 指輪の周りが湿疹のようになった
- ピアスの穴の周りが赤くなった
- ピアスをつけると痛い
など、これらの症状は金属に反応して肌に炎症がおきている状態です。
これ以外にも、肌に異変が起きたらまずはそのアクセサリーを外し、皮膚科を受診するようにしましょう。
単なる湿疹などではなく金属アレルギーだとしたら、そのアクセサリーを次につけた時も同じ症状が出るからです。
金属アレルギーの症状は大きく分けて2つ
金属アレルギーには種類があります。
- 金属接触アレルギー
- 金属が皮膚に直接触れたことによるアレルギー症状で、接触性皮膚炎を起こします。
- 全身型金属アレルギー
- 皮膚に触れるのではなく、金属が体内に侵入することでアレルギー反応を起こします。銀歯などの金属が口の中の粘膜から吸収されて汗として分泌される時にかゆみなどを起こします。
アクセサリーの場合は直接金属が肌に触れることにより、溶けた金属が皮膚に浸透することによってアレルギー反応を起こします。
意外と知られていませんが、金属の害は
- アトピー性皮膚炎
- 症蹠膿疱症
- 喘息
- 過敏性肺炎
など、皮膚だけでなく肺などにも影響を及ぼすことがあるのです。
1度アレルギー反応がおきた金属に対しては、ずっとその症状が出続けるので同じものをつけないように気をつけて下さい。
金属アレルギーが起こるのはアクセサリーだけじゃない
金属アレルギーというとネックレスやピアスなどのアクセサリーを思い浮かべると思いますが、私たちの身近にはたくさんの金属が溢れています。
銀歯など歯の詰め物でもアレルギー反応が起こる
虫歯の治療などで使われる詰め物、被せものには金属が使われていることが多く、銀歯も金属アレルギーの原因となります。
とはいえ、金属そのものがアレルゲン(抗原)となるわけではありません。
金属が唾液に触れてイオン化し、皮膚や粘膜のタンパク質と結びついて生体内にはないタンパク質に変異してしまいます。
それが血液を通して皮膚に運ばれた時に過剰な反応が起こる、これが銀歯などによるアレルギー反応です。
治療に使われた金属が口腔内で溶け出すことにより、口の中や周辺には
- 口内炎
- 歯肉炎
- 口唇炎
- 舌炎
- 口腔扁平苔癬
などの症状が出ます。
- 口腔扁平苔癬とは
- 頬の内側の粘膜、舌、口唇にレース上の白い斑点が出来るのが特徴で、その周囲が赤くなります。痛みもあり、食べ物がしみたりするので食事が困難になります。
また、口の中の粘膜から金属が吸収されるので、口の中だけでなく手や足、体全体などあらゆる皮膚に炎症を起こすことがあります。
- 接触性皮膚炎
- 湿疹
- アトピー性皮膚炎
などの皮膚疾患は一見口の中が原因であるとは気づきにくいので、悪化してしまうことがあります。
化粧道具や美容小物に使われている金属
普段何気なく使っている化粧道具や美容小物などにも金属が入っています。
- ビューラー
- ムダ毛処理用のカミソリ
- ファンデーション
- アイシャドウ
- 化粧水
など、様々なものに金属が使われているので、女性であればこれらを完全にシャットアウトするのは難しいですね。
カミソリなど、肌に直接触れるものはチタン加工されたものなど、金属アレルギーを起こしにくい素材を選ぶことも大切です。
特に化粧かぶれですが、敏感肌でもないのに突然かゆみや赤みが出てきた場合、金属アレルギーを発症した、という可能性もあります。
とりあえず問題の出た化粧品の使用を中止し、皮膚科で相談してみるといいでしょう。
金属アレルギーを起こしやすい金属の種類
どの金属に反応してしまうかは個人差がありますが、金属アレルギーを起こしやすい金属があります。
いわゆる重金属と呼ばれるもので、比重が4~5以上の金属元素とされています。元素の周期表を見ると、右側や下側に位置している金属のことです。
- ニッケル
- コバルト
- 水銀
- クロム
など、汗に弱く溶け出しやすい金属はアレルギーを起こしやすいとされています。
アレルギーが出やすい?ニッケル
金属アレルギーの原因のトップに上げられるのがニッケルです。ニッケルは酸に弱く、汗の成分によって溶けやすいことが理由です。かゆみや赤みなどの症状が出ます。ひどくなると
金属の装飾品について、19件のパッチテスト施行例が報告され、前年度同様ニッケルにアレルギー反応を示した例が最も多く12件であった。
ニッケルは加工がしやすい金属なのでアクセサリー以外にも
- キーホルダー
- ストラップ
- 下着類の金具
- 白銅硬貨(50円、100円、500円)
といった身の回りにある金属製品に多く使われています。
驚くことに、これにも金属が?と思われるような食品にもニッケルが含まれています。
- チョコレート
- コーヒー
- 紅茶、ウーロン茶
- 大豆
など、ニッケルにアレルギーのある方は、これらの食品も大量に摂取しないように気をつけた方が良いでしょう。
メッキによく使われるクロム
光沢があってメッキとしてよく使われるクロムも身近によくある金属です。
- ステンレス
- 包丁
- ドアノブ
- ハンドバッグなどの革製品
- 時計の革バンド
など、これも女性はよくさわる機会のありそうなものですね。
クロムには
- 3価クロム
- 6価クロム
と2種類あり、皮膚炎を起こすのは6価クロムです。
化粧品にも使われているコバルト
コバルトはニッケルと同じようなアレルギー反応が出るとされています。酸化しにくく、比較的酸にも強いことから加工がしやすいので身の回りの金属によく使われています。
- ピアス
- 指輪
- 義歯
などによく使われていますが、汗の塩素イオンに反応して溶け出しやすいことから、汗をかく季節にはアレルギーが出やすいとされています。
歯科治療で使われることの多いパラジウム
パラジウムはアクセサリーよりも歯科材料として「銀歯」の合金によく使われる金属です。
ただ、海外ではすでにパラジウムフリーが推奨されるなど、歯科治療でパラジウムを使うこと自体が問題視される傾向にあるようです。
パラジウムではなくセラミックが主流になれば、歯科治療での金属アレルギーは減らすことが出来るはずですが、日本で保険適応されるのは銀歯。
パラジウムにアレルギーのある方は必然的に自費診療となってしまうという現状があります。世界の流れにのって、日本でも金属以外の素材が保険適応されると良いのですが。
水銀も使用されない方向にある金属
水銀自体はとても危険性の高い金属ですが、歯科材料として「銀アマルガム合金」というものが使われています。
アレルギーを起こすと、口の中に
- 浮腫
- 潰瘍
などを起こすとともに、口以外でも皮膚炎を発症することがあります。
健康保険が適用されることからかつては多く使用されていた金属ですが、現在では毒性を懸念して使用しない歯科医院が増えているということです。
比較的アレルギーが起きにくい金属
金属アレルギーがまったく起きないというわけではありませんが、比較的溶けにくく、イオン化傾向が低い金属は肌に優しいとされています。
- 金
- 銀
- チタン
などの金属は、アレルギーが起こる確率は他の金属に比べてかなり低いといえます。
金属アレルギーにならないようにするには?6つの予防法
金属アレルギーは1度症状が出るとずっと反応してしまうことがほとんどで、ならないことが一番です。そのための予防法をご紹介します。
肌に優しい金属で出来たアクセサリーをつける
金やプラチナなどは比較的アレルギーが起こりにくい金属です。ニッケルは避けて、出来るだけ安全な金属で出来たアクセサリーを身につけましょう。
そして、帰宅したらすぐ外すなど、長時間身につけない工夫も必要です。
長時間に渡ってピアスをつけないこと
ピアスは一番金属アレルギーがでやすいアクセサリーです。それは、穴をあけることにより皮下組織に直接金属が触れることになり、金属の体内への浸透率が高いためです。
ですから金属アレルギーの疑いがあって、それでもピアスをつけたい場合は、
- 必要最低限の時間に留める
- 肌に優しい金属を使ったものにする
などの工夫が必要でしょう。
汗をこまめに拭き取ること
金属アレルギーは汗に含まれる塩素イオンが金属を溶かしてしまうことにより起こるものですから、金属に汗が触れないようにすることが何より大事です。
アクセサリーは汗を拭き取って清潔に保つ
アクセサリーは、使った後に必ず清潔なタオルやティシュで汗や汚れを拭き取り、清潔に保つようにして下さい。
そのまま放置すると雑菌が繁殖して金属自体が劣化してしまいます。
歯の詰め物は大丈夫?心配なら病院で検査を
アクセサリーなどでは特にかぶれない、原因もよくわからないけど皮膚に湿疹などができて皮膚科に行ってもなかなか改善されない、という方もいますね。
その場合は歯科金属によるアレルギーを疑い、病院で検査をしてもらった方がいいでしょう。
というのも、歯科用合金で金属アレルギーになるなどということが、専門家の間でもまだまだ認知されていないからです。
金属アレルギーかもしれない、と思ったら、そのような不安のある患者に対してアレルギー検査をしてくれるような歯科医を捜した方がいいかもしれません。
金属アレルギーになってしまった時の対処法
まずはアレルギーを起こした金属を特定することが必要です。すでに症状が出ている場合は、皮膚科でパッチテストをしてもらえます。
保険適用されれば、金額は1000~3000円程度です。
そしてどの金属に陽性反応が出るか特定されれば、その金属に触れないようにすることが大切です。
銀歯などによってアレルギー反応が出ている場合、治療法としては口の中の金属をすべて除去する他はありません。
意外と身近な問題なのに認知度が低い金属アレルギー
今回、アクセサリー以外にもアレルギーを起こす金属が身の回りにたくさんあることがおわかりいただけたと思います。
金属アレルギーを発症するのは30~50代の女性、多くは40代以降に発症するといわれています。
原因が特定しづらいため、皮膚科に通い続けても症状が改善されるどころか悪化してしまう方も少なくありません。
ただし、金属アレルギーは原因となる金属さえわかれば対処の方法がある疾患です。数十年悩まされてきた皮膚のかゆみが、適切な歯科治療によって半年で改善されたという例もあります。
もしも辛い症状で お困りの方がいたら、もしかして金属アレルギーかも?と疑って、一度しっかり検査を受けてみてはいかがでしょうか。
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