
妊娠中に便秘になってしまう原因と妊婦さん向け便秘解消法
Date:2017.09.19
妊娠すると今までお通じが快調だった人も、便秘気味になったり、頑固な便秘になる事があります。
妊娠する前は全く便秘をしたことがなかったのに、妊娠した途端に便秘になるという人もいます。
中には、便秘が長期間続いて苦しくなり、仕方なく市販されている便秘薬を頼ってしまったという人もいるかもしれません。
妊娠中は、母体が摂取する食べ物や薬がお腹の赤ちゃんに影響を与えるとも言われています。そのため、普通の時のようになんでも薬で解決するということができない場合も…。
便秘は体によくありません。妊娠中の便秘の原因やその解消法をご紹介します。
便秘知らずでも要注意!? 妊娠中に起こる便秘の原因
「私は今まで便秘をしたことがないから大丈夫!」と思っている人もいると思います。
しかし、妊娠前は便秘をしたことがなかった人が、妊娠中に便秘になるということもあります。
それは、妊娠が原因の理由もあるからです。妊娠中に起こる便秘の原因には、次のようなものが挙げられます。
その1.ホルモンのバランス変化による影響
妊娠すると、女性ホルモンの1つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加します。
プロゲステロンは妊娠した体の状態を保つために、栄養を蓄えようと代謝を落とす働きをします。
また、胃腸の筋肉を緩める作用もあるため、排便に必要な腸のぜん動運動の機能も低下させるため、便秘になります。
その他、プロゲステロンが増えると栄養と同様に水分も蓄えようとするため、便が硬くなり排便が困難になることもあります。
その2.子宮が大きくなり大腸が圧迫される
妊娠して赤ちゃんが育っていくと、子宮がだんだん大きくなっていきます。子宮がお腹の中で大きくなっていくと、大腸が圧迫されていきます。
この圧迫が原因で起こる原因を「直腸性便秘」と言います。
妊娠初期のあまりお腹が大きくない時は、直腸性便秘の症状は出ませんが、妊娠中期~後期になると子宮がどんどん大きくなり大腸への圧迫も大きくなるため、直腸性便秘の症状が重くなることもあります。
また、腸が圧迫されて便秘になるだけではなく膀胱が圧迫されて頻尿になるケースもあります。
その3.つわりが原因の水分不足や食生活の乱れる
妊娠すると、多くの人がつわりを経験します。つわりの症状が出ると水分を摂るだけでも気分が悪くなるということもあります。
水分摂取が少ないのに、体が水分を溜め込もうとするため便が硬くなり排便が難しくなることもあります。
また、つわりによって食生活も変わってきます。つわりで食事が食べられないと、便秘解消に必要な食物繊維が不足してしまいます。
つわりで食事量が減ると便として出るものも減ってしまうので、排出されずに腸内に蓄積されてしまい便秘になってしまいます。
その他、妊娠すると食事の好みが変わるということもあります。
今まで嫌いだった甘いものや脂っこいものが好きになり、そういったものばかり摂取してしまうと腸内環境が悪くなり便秘になってしまいます。
その4.運動不足が原因で腸の動きが低下する
妊娠すると、体が重たくなり運動をする機会が減ります。また、お腹の赤ちゃんの安全性を考えて運動を控えるという人もいます。
中には、お腹の赤ちゃんの安全性を考えて医師から運動を控えるようにと言われる人もいます。
運動不足になると、体を動かさないため血流が悪くなります。血流が悪いと、内臓の動きも鈍ってきます。
もちろん、胃腸の働きも悪くなるため、腸のぜん動運動がうまくなされないため、便秘になってしまいます。
その5.疲労やストレスによる自律神経の乱れ
妊娠すると、お腹の赤ちゃんのことにも気を配るため、ちょっとしたことがストレスに繋がります。
また、思ったように体が動かないため、疲労感も出やすくなります。疲労やストレスが溜まると自律神経が乱れ、体調に変化が出てきます。
自律神経が乱れると、次のような影響が出てきます。
- 腸の動きを鈍らせる
- 血流が滞る
腸の動きが鈍っているところに、血流の滞りが重なると腸のぜん動運動が正常に働かなくなるため、便秘に繋がります。
その6.お腹に力を入れることへの不安
妊娠時、便意を感じてトイレに行っていきんで大丈夫なのか?と不安になり我慢してしまう女性も多いようです。
- お腹に力を入れたら赤ちゃんに影響があるのでは
- いきんだ時に赤ちゃんが出てこないか
上記のようなことを考えると、トイレに行けないという人も中にはいるようです。
便意があり、多少のいきみであれば赤ちゃんには問題はありませんが「出そうだから」と長時間トイレに座っていると、赤ちゃんではなく子宮収縮の原因になったり、痔になる可能性もあります。
また、妊娠中は血圧が上がっていることも多いので、長時間トイレでいきむとさらに血圧が上がり、倒れてしまう可能性もあります。
妊娠中だからこそ注意が必要!妊娠時の便秘解消法
妊娠していない時に便秘になった場合、便秘薬や下剤といった薬に頼って強制的に便を出していたという人もいると思います。
しかし、妊娠中は薬を飲むとお腹の赤ちゃんに影響を与えそうと控えます。そのため、便秘になっても薬が飲めず症状も改善しないこともあります。
妊娠中に便秘になった時、薬に頼らず便秘を解消する方法には、次のようなものがあります。
その1.便が出なくてもトイレに行く習慣をつける
便秘になると、便意があるまでトイレに行かないという人が多いと思います。
しかし、毎日決まった時間に便意がなくてもトイレに行く習慣をつけるようにしましょう。
トイレに行く習慣をつけておくと、体が「トイレをする時間」と思い反応して便意が出てくることもあります。
トイレに行く時間帯は自由ですが、便意が出やすい朝がオススメです。
その2.体に負担のかからない適度な運動をする
妊娠すると、体が重くなり運動をする機会が減ります。また、運動自体に制限がされてしまうので、運動不足になってしまいます。
「妊娠しているから」といって動かないと、運動不足だけではなく筋力も落ちてしまうため、出産時に力が入らなかったり産後に動くのがしんどくなってしまいます。
妊娠時は激しい運動ができませんが、次のようなものであれば可能です。
- 散歩、ウォーキング
- マタニティーヨガ
- マタニティースイミング
特にオススメなのが、マタニティーヨガやマタニティースイミングです。
この2つは妊婦さんの体に合わせてプログラムを組んでいるので、お腹にも負担がかからないようになっています。
最近では、産婦人科などで講座を開いていることもあるので、チェックしてみるといいかもしれません。
その3.毎日規則正しい生活を送り生活リズムを整える
妊娠すると、体がだるくなったりつわりなどもあるため、どうしても生活リズムが乱れてしまいます。
生活リズムが乱れると、ホルモンバランスが乱れてしまいストレスが増えたり心のバランスも悪くなります。
妊娠中も、なるべく規則正しい生活を送り生活リズムを整えるようにして、便意が来るようにしてあげることが大事です。
その4.普段から姿勢に気を付ける
妊娠してお腹が大きくなると、どうしてもお腹を突き出したような姿勢になってしまいます。
この姿勢をずっと続けていると骨盤が歪み、内臓の位置もずれてしまうため胃腸の動きが鈍ってしまいます。
普段から、なるべく姿勢が悪くならないように気を付けることも便秘解消には大事です。
また、トイレをする時の姿勢も重要です。どうしてもお腹が出ているため、前かがみになっていきむことができません。
お腹に負担がない時は、少し前かがみになっていきむと便は出やすくなります。
また、前かがみになるのが難しい場合は、太もも部分に手を置き、グーッと押すように踏ん張ると、前かがみにならなくても力が入ります。(どちらも洋式トイレの場合に限ります)
その5.妊婦さんでもできる簡単なストレッチをする
妊婦さんも適度な運動は必要です。散歩やマタニティーヨガ、マタニティースイミングもいいですが、もっと家で手軽に運動をしたいという人には、妊婦さんでもできる簡単なストレッチがオススメです。
このストレッチは運動不足解消だけではなく、便秘解消にも効果があります。
この運動は、腰を動かすことで適度に腸へ刺激を与えてくれます。
- まっすぐ立ち、足を肩幅程度に開く
- 両手は腰にあて、右回りに5回程度ゆっくりと大きく回す
- 終わったら、左回りに同じく5回程度ゆっくりと大きく回す
※回す時は、フラフープをやっているようなイメージで、ゆっくりと大きく回すのがポイントです。お腹が大きくて難しい場合は、2~3回でもOKです。
この運動は、子宮で腸を圧迫しているのを和らげてくれる働きがあります。
- 床にあぐらをかいて座り、背筋はまっすぐ伸ばす
- ゆっくりと息を吐きながら、上半身を無理のない程度に右にひねる
- ゆっくりと戻し、左も同じようにひねる
- 各方向5回ずつひねる
※この時、あぐらが安定しなかったりふらつきが怖い場合は、手を床についても大丈夫です。
その6.妊娠した後の食事内容を見直す
妊娠すると、体重を増やさないようにと食事量を減らしたり、つわりで食べ物が食べられなくなったりすることがあります。
また、妊娠すると味覚が変わり、甘いものや脂っこいものが無性に食べたくなるという人もいます。
こういった食事内容を、再度見直すことで便秘を解消することができます。
便秘を解消するのに必要なのが食物繊維です。食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。
水分を取り込んで膨らむ。腸の動きを活発にしてくれる働きがある。
(多く含まれるもの)
- 豆類(あずき、大豆、いんげん豆など)
- 穀類(大麦、ライ麦。とうもろこしなど)
硬くなった便を柔らかくする。腸内環境を整える働きがある。
(多く含まれるもの)
- こんにゃく
- ごぼう
- 海藻類(昆布、わかめなど)
よく、便通を良くするためにごぼうを食べるといいと言いますが、2つの食物繊維をバランスよく食べないと便秘解消にはなりません。
特に妊婦さんの場合、多くの量を食べることができないので、効率よく2つの食物繊維を食べることが大事です。
また、腸内環境を整えるために、乳酸菌なども積極的に摂取すると効果的です。
- 味噌
- 納豆
- チーズ
上記のような発酵食品には多くの乳酸菌が含まれているので、おススメです。
そして、意外に忘れてしまうのが水分補給です。「水を飲むと体がむくむから」といって最小限の水分補給で済ませると、便が硬くなり出にくくなります。
特に、妊娠中は水分も取り込んでしまうので、積極的に水分を取るようにしましょう。
この時、冷たいものを飲むのではなく、体を冷やさない温かいものや常温のものを飲むと腸の働きも良くなります。
その7.便秘に効果のあるツボを押して便秘を解消する
体には、便秘に効果のあるツボというのもあります。便秘が続く場合は、自宅でツボを刺激してあげるのも効果的です。
便秘に効果のあるツボは、手や足、そしてお腹にあります。お腹は赤ちゃんがいるので、手と足のツボを押してあげるのがいいと思います。
【手にあるツボ】
「合谷(ごうこく)」は親指と人差し指の間にあるツボで、腸のトラブルに効果的です。また、不眠や精神不安にも効果があるので、妊婦さんにはオススメのツボです。
「神門(しんもん)」は、小指の延長上の手首(内側)にあるツボです。精神不安定やストレスに効果があるため、ストレスからくる便秘に効果的です。
「間使(かんし)」は、手首から指4本分のところにあるツボです。このツボは、腸を活発に動かす働きがあります。
人によって差はありますが、早い人はすぐに効果が出るのでトイレに入っている時にツボ押ししましょう。
【足にあるツボ】
「足三里(あしさんり)」は、膝の皿部分から指4本ほど下にあるツボです。このツボは、胃腸の調子を整えてくれる働きがあるので、便秘だけではなく下痢にも効果があります。
また、つわりにも効くと言われているため、つわりがひどい時などにも効果的です。
「三陰交(さんいんこう)」は、内側のくるぶし部分から指4本分上の部分にあるツボです。このツボは、便秘だけではなく食欲不振にも効果があります。
ただし、このツボは陣痛を早める働きもあると言われているため、出産が近い時や押す頻度などには注意が必要です。
その8.出ない日が長期間続く場合は産婦人科医に相談をする
食生活を見直したり、運動をしても便秘が解消しない場合もあります。便秘が長期間続くと、体調を崩してしまいお腹の赤ちゃんにもあまり良くありません。
そういう場合は、我慢せずにすぐに産婦人科医に相談しましょう。病院で相談をすれば、妊婦さんでも飲めるような便秘薬や下剤を処方してくれます。
また、便秘薬や下剤は不安という場合は、便を柔らかくする薬などもあるので、医師に相談をして自分に合った薬を処方してもらいましょう。
妊娠中の便秘は普段よりも注意が必要
妊娠中は、お腹の赤ちゃんのことも頭に入れて自分の体調管理をしなくてはいけません。
今まで、市販薬で症状を解消していた便秘も、薬を飲まずにその症状を解消しなくてはいけません。
特に、慢性的な便秘の人は妊娠すると症状が悪化する可能性もあります。
便秘にならないよう、毎日の食事や規則正しい生活を送って自分の体調を管理するするようにしましょう。

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