イヌリン豊富な「菊芋」に注目!その効果と採り入れ方
Date:2019.05.24
「菊芋」を知っていますか?血糖値を下げる効果、腸内の善玉菌を増やす効果などがあり、多数のメディアで取り上げられている注目の野菜です。
天然のインスリンと呼ばれる「イヌリン」が豊富なため、血糖値が気になる人たちの間で評判となっていますが、便秘に悩む女性や、ダイエット中の女性にもおすすめの食材です。
店頭であまり見かけることのない野菜ですが、その優れた健康効果が取り上げられるにつれ、徐々に出荷量も増えてきているようです。
ジャガイモ同様、いろいろな料理に使えて、日常的に、手軽にイヌリンを摂取できる菊芋。その美容・健康効果や食べ方、入手・保存方法など、菊芋情報についてまとめてみました。
この記事の目次
名前に芋がついていても芋の仲間じゃない「菊芋」とは?
「菊芋」という名前から芋の仲間だと思う人もいるかもしれませんが、菊芋はゴボウと同じキク科の植物。芋の仲間ではありません。
見た目はショウガのよう?菊芋とはどんな食材?
黄色い菊に似た花を咲かせ、根には芋のようにゴロンとした根を持つことから、「菊芋」と名づけられたようですが、その根っこは芋よりもショウガに似ています。
水溶性食物繊維の「イヌリン」の含有量は、世界に生育している植物の中でトップクラス!このイヌリンの美容・健康効果がすごいということで、多数のメディアに取り上げられ、菊芋は一躍有名になりました。
ただ、これだけ話題になっている野菜なのに、じゃがいもやさつまいものようにスーパーでお目にかかることはあまりありません。菊芋がスーパーで売られているところを見たことがない、という人も多いのでは?
美容・健康食として知名度を上げている菊芋ですが、日常的に活躍する野菜としてはまだまだ。日持ちしないこともあり、店頭に並ぶことが少ない野菜です。
店頭に並ぶ機会の少ない菊芋の入手方法
生の菊芋は日持ちしないため、収穫の季節である11月〜3月頃にしか出回りません。それも、菊芋の産地近くの道の駅や品ぞろえ豊富な大型スーパーなど、扱う店舗もまだ限られています。
そのため、店頭で見かけることがない地域の方は、オンラインショップなどで購入することになります。
土がついた状態で販売しているものがほとんどですが、たまに洗浄して土を落とした菊芋を販売しているショップもあります。土を取ってしまうと日持ちしなくなるので、土がついた状態のものを購入するようにしましょう。
菊芋チップスはスライスした菊芋を乾燥させたもので、そのまま食べる以外にも、料理にお茶にと、簡単にいろいろ利用できて人気があります。
もうひとつの手段として、菊芋を自分で育てて収穫するという方法もあります。菊芋はとても生命力の強い植物で、栽培自体そんなに難しいものではないそうです。
ただ、人の身長を超す勢いで背高く成長する植物なので、広い場所がないと厳しいかもしれません。
菊芋は長期保存が難しい!保存方法に気をつけて
美容・健康効果が素晴らしく、すぐにでも生活に取り入れたい食材である菊芋ですが、長期保存が難しい、面倒、というのが残念なところ。
生のまま常温保存する場合、冷暗所でも1週間持ちません(冷蔵庫に入れても一緒)。干からびて柔らかくなったり、カビが生えたりします。室温が15度を超えると発芽することも。涼しい場所に置いて、早く食べきらなくてはなりません。
水洗いをしてしまうとさらに保存がきかなくなるので、食べる直前まで洗わない!泥がついたまま、軽く湿らせた新聞紙にくるんで冷暗所または冷蔵庫へ。根菜類は日持ちするイメージがありますが、菊芋は別です!買いすぎには注意しましょう。
たくさん購入してしまった場合は、以下の保存方法を。
- 【冷凍保存】
- 冷凍すれば1~2ヶ月保存可能ですが、1度冷凍すると菊芋のシャキシャキ感は失われてしまいます。また、解凍時に雑菌も繁殖しやすくなるため、冷凍保存した菊芋は生で食べずに加熱調理するようにしてください。
- 【乾燥させて保存】
- 天日干しなどで乾燥をさせる(丸ままでなくスライスして乾燥させ「菊芋チップス」にする)と長期保存できます。湿気てしまうと意味がないので、密閉できる容器や袋に入れ、湿気の多い場所を避けて保存しましょう。
好きなときに好きなだけ水で戻して使用しますが、これもシャキシャキ感は損なわれます。お味噌汁に入れたり、炒め物に使ったり、炊き込みご飯にしたりすれば、おいしくいただけます。
- 【土中保存】
- 庭や畑がある場合は、土の中に埋めておくのが一番日持ちします。自家栽培した場合は、使う分だけ掘り出し、残りは土中で保存します。菊芋は土に埋めておけば3ヶ月近く持つことがあり、冬を越せるとも言われています。
ただ、地面が凍ると菊芋も一緒に凍ってしまうので、寒くなる前に1度掘り出し、プランターなどに移して屋内で凍結しないように保存しましょう。
注意したいのは、菊芋の鮮度が失われるにつれ、イヌリンも減ってしまうということ。イヌリンの効果を期待しているのなら、なるべく新鮮なものを早めに食べきるようにしましょう。
菊芋が注目されている理由とは?イヌリンの美容・健康効果
菊芋の人気が急上昇している理由は「イヌリン」にあります。イヌリンには、健康に、美容にうれしい効果がたくさんあるのです。
イヌリンのダイエット効果
菊芋に含まれるイヌリンは水溶性食物繊維です。体内に入ると水分を吸収してドロドロのゲル状になって糖を包み込み、糖が小腸で吸収されるのを防ぎます。そうしてゆっくり吸収され、一部は大腸へと運ばれて排出。
糖の吸収をゆるやかにしたり、吸収される糖の量を少なくしたりすることで、中性脂肪が過剰に作られるのを抑制します。
糖の吸収や血糖値上昇を防ぎ、中性脂肪を減らすイヌリンの効果に加え、食事のカロリーも低く抑えることができる菊芋は、痩せたい女性の強い味方ですね。
イヌリンの整腸作用による効果
小腸で消化吸収されることなく大腸まで届いたイヌリンは、腸内でビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌のエサとなり、善玉菌の数を増やします。腸をきれいに元気にします。
腸の環境が整えば、免疫力アップ・代謝アップ・デトックスなどの効果が得られます。腸内の環境を整えることはアレルギー対策にも有効で、アトピーなどのアレルギー症状の改善も期待できます。
もちろん便秘にも効きます!特に水分不足で便が硬くなるタイプの便秘に対して効果的です。ゲル状になったイヌリンが、スルリと便を排出しやすくします。
とっても簡単でバリエーション豊か!菊芋の食べ方・調理の仕方
イヌリンが含まれるのは菊芋だけではありません。ゴボウにも含まれています。ゴボウは菊芋に次いでイヌリンが多く含まれる食材ですが、調理するのが面倒ですよね。
でも、菊芋は調理するのもとっても簡単!クセもないので、いろいろな料理に使うことができます。じわじわと菊芋人気が広がっているのは、イヌリンの効果の高さに加え、日常的に使える食材であることも大きいのではないでしょうか。
ジャガイモ同様、どんな料理にも!
菊芋は土をきれいに洗い流してざっと皮をむきます。皮も食べられるため、残っていても大丈夫です。アクが気になる人は、皮をむいた後に再度水で洗ったり、5分ほど水につけたりすると良いでしょう。
薄くスライスして生のまま食べたり、サラダに混ぜたりと生食も可能ですが、加熱調理するか、乾燥させてチップスにして食べる人が多いようです。
菊芋は火の通りが早いため、じゃがいもを調理するときよりも、調理時間が短くてすむという時短効果も!その分、肉じゃがやカレーなどに菊芋を使用する際は、煮すぎないように気をつけてくださいね。
また、イヌリンは水に溶けだしてしまうので、菊芋を茹でたお湯を捨ててしまわないように!煮汁ごと食べられる料理にするか、茹で汁をお味噌汁に入れたり、ご飯を炊く際の水として利用したりして、栄養を捨ててしまわないようにしましょう。
クックパッドを検索すると、菊芋料理のレシピが700以上も見つかります。みんな、そんなに菊芋を食べているの?と驚きですね。菊芋の食べ方に困ったら、ネット検索すれば、たくさんレシピが見つかるので安心です。
毎日食べたい!日持ちさせたい!なら菊芋チップスに
菊芋は日持ちしないのが残念なところですが、しっかり乾燥させて菊芋チップスにすれば、長く保存することができます。天日干しでも良いですが、簡単に電子レンジで作る方法をテレビで紹介していました。
- よく洗った菊芋を皮のままスライスする
- 水分を拭き取る
- 電子レンジ600Wで約5分加熱する
加熱時間は電子レンジによって差があります。菊芋の厚みや枚数によっても変わるので、様子を見ながら加熱してください。水分が残らないようにしっかりと乾燥させれば、高温多湿にならない場所で約2週間保存可能です。
血糖値を下げたい、ダイエット効果を得たいなど、何かの目的で食べる場合は、菊芋チップスを作っておけば、毎日簡単に摂取できます。
そのままポリポリ食べても良し。サラダにトッピングしたり、お味噌汁やスープに入れたりするも良し。とても便利です。
作るのが面倒な人、菊芋が手に入らない季節は市販のチップスを!
上手に水分を飛ばせない人、作るのが面倒な人、生の菊芋が市場に出回らない時期などは、市販されている菊芋チップスが便利です。賞味期限も1~2年(未開封)と長いものが多く、保存も簡単です。
ほんのりした菊芋の甘みがあり、そのままでも美味しく食べられますし、塩やスパイスを振りかけて食べても良いです。
生菊芋同様、肉じゃがや、きんぴらごぼう、カレー、シチューなどの料理に使っても良いですし、お味噌汁やラーメンに浮かべても良いです。
菊芋を水で戻してから使う場合は、戻し汁の活用法もいろいろ!
- 温めて(もしくは冷やして)お茶として飲む
- お米の炊飯の際、水の代わりに戻し汁を使えば栄養満点ご飯に
- お味噌汁を作る際のだし代わりに
菊芋のイヌリンを、身体に良い栄養素を、とても簡単に毎日摂取することができて便利です!
イヌリン含有量は安定しない?上手に選んで上手に食べて
菊芋は、その美容・健康効果が注目を浴びたことで、ここ数年で急激に人気の食材となっていますが、その分、まだまだわからないことも多い野菜です。
菊芋の健康効果の元であるイヌリンについても、その含有量は
- 産地によって異なる(ドイツ産はイヌリン・ミネラルが豊富)
- 収穫時期によって異なる(収穫が遅くなればなるほど減少)
- 低温保存により減少(土の中で越冬により減少・3ヵ月冷蔵により減少)
など、一定ではなく、口にする菊芋すべてがイヌリン豊富であるとは言い切れないようです。
収穫後の保存状態が、イヌリンの含有量に影響することは間違いないようです。収穫後はなるべく新鮮なうちに食べるようにしましょう。
また、イヌリン含有量の変化は酵素によるものではないかと言われています。その対処法としては、酵素を失活させる熱処理をしてから乾燥させたり、冷凍したりして保存すると良いそう。
ということは、電子レンジでチンして菊芋チップスを作って保存というのが、一番簡単で日持ちしそう?
また、イヌリンは食べ過ぎるとお腹がゆるくなったり、下痢をしたりします。毎日継続摂取するのであれば、イヌリン摂取量は1日10g以下を目安に。食べ過ぎないように気をつけてください。
人によってはアレルギーを引き起こすこともあるため、菊芋を食べて何らかの異常が表れた人はただちに中止を。もともと食物アレルギーがある人は、かかりつけ医に相談した方が良いでしょう。
菊芋はもともとイヌリン含有量の多い野菜なので、毎日大量に食べる必要はありません。サラダやスープにトッピングしたり、お味噌汁にササっと入れたり。手軽に摂れる健康食材として上手に活用してくださいね。
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