デスクワークのリスク。座りっぱなしだと総死亡率が高まる!
Date:2017.11.07
デスクワークにはどのようなイメージがありますか?
- 1日中パソコンに向かって仕事をしている
- 座っているから、立ち仕事よりは楽
- 目が悪くなりそう
他にも、いろいろなイメージがあるかと思います。
「立ち仕事より楽そう」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は体へのリスクはデスクワークの方が大きいと言われています。「座る」ということ自体が、立っている時よりも体への負担が大きいためです。
デスクワークのほとんどは、パソコンを使用して仕事をします。仕事内容によっては座りっぱなしのことも多く、座る時間が長くなるにつれて体へのリスクは高くなります。
そこで今回は、デスクワークによる体へのリスクをご紹介します。
この記事の目次
座って仕事をするデスクワークは、腰や首へのリスクが高い!
デスクワークは、座って仕事することがほとんどです。座るだけで立っている時よりも体への負担は大きくなっています。例えば、腰にかかる負担は
- 立っている時 1
- 正しい姿勢で座っている時 1.4倍
- 悪い姿勢で座っている時 1.85倍
とされています。座っていると、立っている時よりも1.4倍以上の負担がかかるのです。立ち仕事よりも体へのリスクは大きく、悪い姿勢だと更にそのリスクは高まります。
仕事しながら正しい姿勢を保つのは、そう簡単ではありません。悪い姿勢のまま長時間デスクワークを続けると、体への負担はどんどん大きくなり、リスクは増える一方です。
悪い姿勢で座りっぱなしだと、肩こりだけでなく内蔵への負担も!
悪い姿勢でデスクワークを続けると、体へ大きな負担がかかります。悪い姿勢で座っている状態とは
- 猫背
- 頬杖をつく
- 足を床に着けない
- パソコンが正面になく、斜めに座る
- 背もたれに背中を当てていない
などが挙げられます。このように悪い姿勢で座りっぱなしだと、腰や骨盤に大きな負担がかかります。すると
- 肩こり
- 腰痛
- 首や肩甲骨の痛み
などを引き起こします。正しい姿勢で座ったり、時々ストレッチすれば負担を軽減できる可能性はありますが、長時間のデスクワークだとなかなか難しいと言えます。
更に猫背は、
- 臓器を圧迫する
- 首や腰への負担が大きくなる
- 筋肉が硬くなり、血流が悪くなる
などのリスクもあります。肩こりは良く知られていると思いますが、内蔵への負担も大きく、場合によっては消化器の機能低下も招く恐れもあります。
首への負担が増え、ストレートネックを招くリスクもある
デスクワークは、首への負担が増えるというリスクもあります。
首には人間の頭を支えるという大事な役目があり、中でも頚椎(けいつい)と呼ばれる骨には、非常に大きな負担がかかっています。
頚椎は緩やかなカーブを描き、頭を支えています。しかし、背中が丸くなり猫背になったままデスクワークを続けていると、頚椎が真っ直ぐな状態へと近づきます。
頚椎が真っ直ぐな状態は「ストレートネック」と呼ばれ、首へ必要以上の負担がかかります。
ストレートネックが続くと、首の痛みだけではなく、
- 肩こり
- 頭痛
- 腕や手のしびれ
などを引き起こす可能性もあります。パソコン作業が続くデスクワークでは、このストレートネックを招くリスクがあるので注意が必要です。
特に低い位置でパソコンのディスプレイを見ている場合、猫背になりやすく、ストレートネックになる可能性は高くなります。
エコノミークラス症候群を引き起こすのは、飛行機だけではない!
座りっぱなしの時間が多いデスクワークは、足がむくみますよね。夕方には足がパンパン…という方も多いでしょう。
実は長時間座っていると、エコノミークラス症候群を引き起こす可能性がないとは言い切れません。
- エコノミークラス症候群
- 「肺血栓塞栓症」「深部下肢静脈血栓症」などと呼ばれ、医学用語ではない。長期間同じ姿勢を取っていると、血流が悪くなる。すると足の静脈に血栓ができる。血栓が血流に乗って肺まで達すると、呼吸困難になり、最悪の場合死に至る。
エコノミークラス症候群は飛行機に長時間乗ることで起こるもの、と考える方もいらっしゃるでしょう。飛行機だけではなく、実はデスクワークでも起こる恐れがあるのです。
仕事に集中し過ぎて、水分補給をあまりしないまま同じ姿勢で座り続けていると、エコノミークラス症候群を引き起こす可能性があります。
もし気付かずに座りっぱなしでデスクワークを続けていると
- 胸や背中に耐えられない痛み
- 呼吸困難
- 失神
など、エコノミークラス症候群の症状を引き起こす可能性が出てきます。初期症状の1つに「片方の足だけむくむ」が挙げられます。もし気付いたら、病院で診察を受けましょう。
運動不足で肥満になりやすく、生活習慣病などを招くことも!
立ち仕事であれば、歩いたり走ったりと、座る時間は多くありません。デスクワークはなかなか運動しづらく、職業によっては退社するまでほぼ座りっぱなしの場合もあります。
ほとんど歩かず、運動不足が続くと
- 肥満
- 高血圧
- 糖尿病
などを発症するリスクが高くなります。
体を動かす機会がほとんどないデスクワークだと、肥満になりやすいのは想像しやすいでしょう。座っていると、リパーゼと呼ばれる脂肪分解酵素の働きが90%も下がります。そのため脂肪はほとんど分解されず、肥満へと繋がります。
肥満は
- 膝や腰への負担が大きくなる
- 高血糖、高血圧、高脂血症などの生活習慣病を引き起こす
- 複数の生活習慣病を引き起こす、メタボリックシンドロームになる
などを招くリスクが高まります。
座りっぱなしの時間が長いと運動不足になりやすく、肥満から様々な病気への発症リスクも高まります。
パソコン作業は視力低下や抑うつ状態、不眠に繋がりやすい!
パソコン作業がデスクワークの中心である場合、目に及ぼすリスクもあります。
- 目がゴロゴロする
- ドライアイ
- 結膜炎
- 緑内障
- 飛蚊症
これらは長時間パソコン作業が続くと現れる、代表的な症状です。
- 飛蚊症
- 目の前に小さな黒い虫や糸くずが飛んでいるように見える症状。目をこすっても見る場所を変えても消えない場合、初期症状の可能性がある。
飛蚊症の原因の1つは、パソコンやスマートフォンから発せられる「ブルーライト」とされています。長時間のパソコン作業が続くと、目の周りの筋肉が疲労し、目のガラス体が濁りやすくなるのも原因と言われています。
パソコンを長時間見ると、体や心へ影響を及ぼすVDT症候群に
パソコンのディスプレイを見ながらの仕事が長時間続くと、VDT症候群に繋がるリスクもあります。
- VDT症候群
- 英語ではVisual Display Terminal Syndromeと言い、パソコンやスマートフォンを長時間見続けることで、目や体、心へ影響を及ぼす病気のこと。別名で「IT眼症」「テクノストレス眼症」とも呼ばれる。
症状としては
- 目が痛む
- ドライアイ
- 視力が落ちる
- 肩こり
- 頭痛
- 抑うつ状態
- 不眠
などがあります。
職業によってはパソコン上でのみ仕事を行なう場合もあるため、これらのリスクを無視できません。デスクワークの作業量や作業内容により、リスクがもっと高まることも考えられます。
座りっぱなしが続くデスクワークは、健康へのリスクが高い!
座りっぱなしの時間が長いと体へのリスクが高まる、と最近の研究で分かってきました。2000年以降、座る時間が長くなるほど様々な病気への発症リスクが増加する、という研究結果が各国で報告されています。
デスクワークは座る時間が長いため、その分健康へのリスクが高まると言えます。座る時間が6時間以上だと、ガン発症のリスクが高まるという研究結果も発表されています。
ここからは、座りすぎによる健康へのリスクについてご紹介します。
座りっぱなしの時間が長いほど、糖尿病へのリスクは増加
座りっぱなしのデスクワークでは、糖尿病のリスクも高まります。
オランダの研究チームによると、1日に最低でも9時間座って過ごしていた人が、更に1時間座ると、糖尿病にかかるリスクが22%に増加すると判明しました。
アメリカのカンザス州立大学の研究チームでも、座っている時間が4時間未満のグループに比べ、4時間以上のグループは糖尿病の症状が見られる傾向が高いと発表しています。
業務に追われパソコン作業に熱中していると、デスクワークでの4時間はあっという間に過ぎることもあります。休憩をほぼ取らず座りっぱなしだと、糖尿病のリスクも増えます。
体を動かす時間が少ないと、ガン発症のリスクも高い!
カンザス州立大学の研究チームでは、1日に座っている時間が6時間以上だとガン発症のリスクが高まるとも発表しています。
日本の国立がん研究センターの研究においては、身体活動量が多いほどガン発症のリスクが低いと判明しました。女性では特に、胃がんのリスクが低いというデータもあります。
座る時間が長くなるにつれガン発症のリスクは高くなり、大腸ガンは30%、乳がんは17%もリスクが高まるとも言われています。
ガン発症のリスクが低下する理由について詳しいことは分かっていませんが、体を活発に動かすことがカギとされています。
デスクワークは体を活発に動かす機会が少なく、1日のほとんどを座って過ごすことも珍しくありません。座る時間が長いデスクワークは、ガン発症のリスクを高め、体への悪影響が高いと言えます。
座りっぱなしで代謝が悪くなると、心筋梗塞へのリスクも高まる!
長時間座りっぱなしだと、心筋梗塞のリスクも高まるとされています。
筋肉の細胞では血液中から糖や中性脂肪を取り込み、エネルギーとして消費し、代謝を行ないます。座っていると足の筋肉をあまり動かさないため、代謝が悪くなります。代謝が悪くなると血流も悪くなり、血液はドロドロの状態になります。
座る時間が長くなるにつれ、全身の血の巡りは悪くなる一方です。すると心筋梗塞へのリスクも高まります。
座る時間が長くなると死亡率が高まる、という恐ろしい研究結果も
座る時間と死亡率に関する研究は2000年以降に進み、近年座りすぎによる体へのリスクが問題視されています。
オーストラリアの研究機関によると、1日に座っている時間が11時間以上の場合、4時間未満の成人に比べて総死亡リスクが40%高くなることが判明しました。
欧州糖尿病協会が発行の月刊医学誌においても、座って作業するデスクワーク、特に「座る」行為が糖尿病や循環器疾患のリスク、死亡率の増加に関係していると報告しています。
これまでご紹介したように座る行為は、肥満や生活習慣病、糖尿病、心筋梗塞、ガンなどのリスクが高まります。他にも
- 狭心症
- 脳梗塞
- 脳卒中
などを発症するリスクがあるとされています。総合すると、座りっぱなしの時間が長くなるほど死亡率が上がることへ繋がります。
日本人は座っている時間が世界一長い!平均で7時間
日本人は座る時間が長く、成人が平日に座っている時間は世界一長いというデータもあります。調査した20カ国で平均5時間だったのに対し、日本では7時間でした。
働いている時間は、1日の大半を占めています。デスクワークのように座る時間が長いと、健康へのリスクが高まります。
デスクワークをし、帰宅後もソファーや椅子に座っていれば、病気にかかりやすく死亡率も高まると言えます。
座る時間が長いデスクワークによる体へのリスクは、無視できない
仕事の大半を座って過ごすデスクワークは、腰や肩の痛みだけではなく、糖尿病やガンなどの恐ろしい病気を引き起こす可能性もあります。
パソコン作業がメインだとVDT症候群を始め、目への影響も考えられます。
座りっぱなしによる健康へのリスクは運動との関連も含め、近年の研究で徐々に明らかになっています。
デスクワークによる体へのリスクは無視できず、仕事中ほとんど座っているなら、工夫が必要です。立つ時間を作ったり姿勢を正すなど、仕事しながら意識する必要があります。
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