仕事のストレス12種類の要因と、それぞれにピッタリの対処法
Date:2018.04.09
社会に出て働いていると、日々さまざまなことが起こります。中には我慢を強いられたり、ストレスを感じる出来事もありますよね。
仕事のストレスは、どんな職種や経歴にも発生します。新人でもベテランでも、働く人なら誰でも感じるものでしょう。
適度なストレスには免疫機能を高めるといったプラスの面もありますが、
- あまりにも強いストレス
- 長期間にわたり継続するストレス
など、かえって心身の健康を害してしまうケースもあり、注意が必要です。
今回は「仕事で受けるストレス」を12種類に分類し、種類別に適切な対処法をお伝えしていきます。
この記事の目次
【1】仕事のストレス12種類・あなたに当てはまるものは?
受けるストレスの原因によって、心身への影響の仕方が変わります。対処の仕方も自然と変わってくるものです。
日本の社会人が受けるストレスの中で、多いものは次の12種類ではないでしょうか。
- 長時間労働
- 仕事の負荷が大きすぎる
- 仕事の負荷が小さすぎる
- 能力と仕事のミスマッチ
- 無力感や無能感
- 不当な評価
- 劣悪なオフィス環境
- 職場の人間関係
- 顧客
- 急激な変化
- 通勤
- 完璧主義の弊害
思い当たるものはありますか?
【2】ストレス12種類・それぞれに適した対処法
それぞれのストレスについて、「どんな影響を及ぼすのか」「どんな対処法が向いているのか」を見ていきましょう。
(1)長時間労働によるストレス
簡単な作業でも、毎日長時間行い続ければストレスに変わります。まして利害や人間関係などが複雑に絡み合う「仕事」で連日残業が続けば、大きなストレスが溜まります。
プライベートや睡眠の時間が削られてしまうと、当然ながら心と身体の健康を害する結果になります。
そして集中力が落ちることで業務の効率が悪化し、仕事に充てる時間はますます長引くことに。疲れが取れないうちにまた次の仕事が押し寄せる……そんな負のスパイラルに陥っていませんか?
まず試したい対処法のステップは、
- 自分の作業を効率化する
- 上司に相談する
- 第三者に相談する
の3つです。
最初にすることは自分自身の仕事の効率化です。効率化や時短に関するビジネス書はたくさん出版されています。自分に合うものを選んで実践してみましょう。
ただ、この段階はもうすでに試し尽くしているという方も多いかもしれません。それでも長時間労働が続く場合は、上司に相談できないか検討します。
それでも改善の見込みがない場合、企業そのものに問題があると思われます。信頼できる知人や第三者機関(労働基準監督署など)へ相談をもちかけ、アドバイスをもらうのがおすすめです。
長時間労働が当たり前になっているなら、慢性的に人手不足であるということです。そのような職場に将来性があるかどうかを考え合わせ、転職も視野に入れてみるのも良いでしょう。
(2)仕事の負荷が大きすぎることによるストレス
前項の「長時間労働」にも繋がることですが、
- 仕事の量が多すぎる
- 自分のスキルよりも明らかに難易度が高い
といったストレスもあります。こちらも、原因をたどれば人手不足というケースがほとんどです。
- 作業の効率化
- 上司への相談
- 第三者への相談
という3つのステップを踏んでみて、将来的に改善されそうかどうかを見極めていきましょう。
もしも「乗り切る」「スキルアップする」と決めたのであれば、上司や同僚にできるだけサポートをお願いしつつ前向きに挑戦していくことで、ストレスをプラスの力に変えることは充分可能です。
ただし、身体や心を壊すほど忙しい状態が続いている場合は、今すぐ休職や転職を考えた方が良いでしょう。
(3)仕事の負荷が小さすぎることによるストレス
「やる気があるのに簡単な仕事しかもらえない」「仕事量が少なすぎて暇な時間が多い」という状況も、モチベーションが下がってストレスを感じます。
この場合、まず最初に試したいのは「仕事を自分でつくる」ことです。暇すぎてストレスを感じている人は次の記事を参考に、できる仕事を増やしてみてください。
負荷が小さすぎる理由は、仕事の量が原因とは限りません。「コピーとりばかり」「ファイリングばかり」といった単純作業の繰り返しも、退屈に感じストレスになりがちです。
その場合は、単純な作業の中にゲーム性を見出すのがおすすめです。
「もっと早くできる方法はないかな?」とタイムトライアルを行ったり、「もっと使いやすくするにはどうしたらいいかな?」と目線を変えて工夫を施したり。
そうした目標を持つと、単純作業も徐々に楽しくなっていきます。
(4)能力と仕事のミスマッチによるストレス
「WEBデザイン職で入社したのに、なぜか事務ばかりやらされている」「商品開発をしたいのに、なぜか営業に回された」といった事態が、日本の企業には驚くほど多く起きています。
「こんなはずじゃなかった」という虚しさの中で働くのは、本人にとっても職場にとっても良い結果にならないでしょう。
能力と仕事のミスマッチは、案外大きな問題です。雇用契約時の条件と明らかに異なるのであれば、思いきって人事や上司に掛け合ってみるのも一手です。
もしも改善されないようなら、第三者機関への相談や転職を検討しましょう。
また、上司や先輩をよく観察してみるのも良いでしょう。
ある程度の下積みを経ることで、希望の働き方ができるようになるケースもあります。自分の職場がそうした可能性を秘めているのかどうか、冷静に見極めましょう。
(5)無力感や無能感によるストレス
「自分の仕事が何の役に立つのか分からない」……そんな感覚に襲われて、虚しくなってしまうことはありますか?
とくにデスクワークや製造業ではお客さまの顔が見えづらく、「どんな形で誰の役に立っているのか分からない」「こんな仕事に意味はないのでは」と、心がぐらつくこともあるでしょう。
そんなときはぜひ、自社の手がけている商品・サービスの全体像を把握してみましょう。
面倒だな、要らないんじゃないかな、と思い込んでいた工程に「じつはこんな理由があった」と気づくかもしれません。そうした気付きもモチベーションに繋がります。
(6)不当な評価によるストレス
頑張っているのに正当な評価が得られない、という不満は、多くの人が抱えています。
- 給料が安い
- 残業代が支払われない
- いつまで経っても昇進できない
- 上司に手柄を横取りされた
など、自分の労力をきちんと評価してもらえない場合、やはり怒りやストレスが溜まります。
腹が立つのは当然です。でも、他人はあなたの仕事ぶりを、案外ちゃんと見ています。頑張ってもサボっても、意外なところで見られているものです。
人事や上司など社内にきちんと相談できる相手がいるなら、冷静に事情を話して改善を求めるのが良いでしょう。
とくにお金のことは大事です。残業代が出ない職場は法律違反をおかしています。そうした体質は他の物事にも現れるおそれがありますから、早めに離れることも検討しましょう。
(7)劣悪なオフィス環境によるストレス
「どこの職場も似たようなものだから」と我慢を強いられがちなのが、オフィス環境です。
でもその環境は本当に、やる気に満ちて仕事ができる快適な状態ですか?
- 温度(オフィスが暑すぎる、寒すぎる)
- 湿度(ジメジメしすぎて気分が悪い、乾燥しすぎて喉が痛い)
- 明るさ(デスクや手元が暗い、まぶしい)
- 音(騒音で集中できない)
- ニオイ(不快なニオイがする)
- 清潔さ(隣のデスクが不潔すぎる、換気ができず空気が悪い)
- 広さ(狭すぎて人とぶつかる)
- 整理整頓(散らかりすぎで物がなくなる、探し物に時間をとられる)
など、劣悪な環境に長時間身を置けば、健康に悪影響を及ぼします。
少し怖い実話をご紹介しましょう。
このように、オフィスの気温ひとつとっても、場合によっては心身のバランスを崩すことに繋がるのです。
劣悪な職場環境は、周囲の同僚も不満に感じている可能性が高いでしょう。できれば一緒に上司に掛け合ってみるのがおすすめです。
レイアウト変更やエアコンの調節などで環境が改善されれば、ストレスを軽減できます。
(8)職場の人間関係によるストレス
人間関係によるストレスは、多くのアンケートで退職理由の上位に挙げられています。
どんなに苦手だと思っても、相手が変わってくれることはまずありません。イライラを抱え続けるよりも「しょせん職場だけの付き合い」と割り切って、ビジネスライクに接することでストレスを軽減できる可能性があります。
ただし、
- 実際に危害を加えてくる相手
- 人を怒鳴ったり罵声を浴びせたりする相手
- 精神的に耐えられないほど追いつめてくる相手
これらの相手が職場内にいる場合は、今すぐ何らかの対策をとりましょう。上司や人事への相談で解決できれば何よりです。
改善の見込みがなく今後も同じ状況が続くのであれば、異動や転職など早めに環境を変えることを考えましょう。
(9)顧客によるストレス
接客業やクレーム処理など、顧客から受けるストレスも、厄介なものです。
理不尽な言葉を投げかけられても、笑顔でいなくてはいけない。それは大きなストレスですが、他の面で「その仕事が好き」と感じるのであれば、続ける価値がありそうです。
問題は、そうではない場合です。なんとなく接客業に就いた、もしくは希望の部署から営業に配置転換されたなどで、「自分は、どうやらお客さまと話すこと自体が苦痛なようだ」と気がつくこともあるでしょう。
人によって得意なこともあれば不得意なこともあります。不得意なことを「ワガママ言ってはいけないから」と無理やり続けていても、会社のためにも自分のためにもなりません。
今一度、自分が得意なことやしたいこととは何なのかを冷静に見つめなおし、そちらの道へ進み始めるのも一つの手段と言えそうです。
(10)急激な変化によるストレス
人は、変化に弱い生き物です。
- 職場内での人事異動
- 自分自身の転職
- 周囲の人の退職
- 新人の受け入れ
といった大きな変化は、ストレス要因となります。
仕事において何かしらの変化があった際には、気づかないうちにストレスを受けているという自覚が必要です。
いつもより意識して休息をとり、リラックスする時間をきちんと確保していきましょう。
(11)通勤によるストレス
毎日のように続く通勤のストレス。積み重なると、驚くほど心身にのしかかってきます。
電車通勤ならワガママな乗客に苛立つことがあるでしょうし、自動車通勤では道の混み具合にイライラすることがあるでしょう。
通勤に関しては「これが普通だから」と我慢するよりも、「状況を変える方法はないか」と模索するのがポイントです。
- 「早めに家を出れば、空いている電車に乗れるかもしれない」
- 「自転車で通勤したら、気持ちいいかもしれない」
- 「思いきって職場の近くに引っ越すのもアリかもしれない」
会社の規則や物理的な距離といった制約はありますが、その中で可能性を模索することが重要です。
もしできそうなことを思いついたら、ぜひ実践してみてくださいね。通勤のストレスを軽減できると、それだけで仕事の効率も大幅にアップします。
(12)完璧主義によるストレス
完璧主義な人はとくに、仕事のストレスを溜め込みやすい傾向があります。
というのも、どんなに力を尽くして頑張っても満足できずに、
- 「本当にこれで良かったのかな?」
- 「中途半端だったのでは?」
- 「こうすればもっと良くできた」
と、自称「至らなかった点」ばかりを見つめてしまいがちだからです。
ほとんどの仕事には完璧な正解なんて存在しません。
また、100%の完成を時間をかけて目指すことよりも「60%の完成度でコンスタントに結果を出す」ことの方が必要とされています。
完璧主義の自覚があるなら、仕事は常に60〜80%くらいの出来で「良し」とすることを心がけましょう。そして過去の仕事の反省点を引きずるのはやめ、「終わったことは忘れよう」と考える習慣をつけましょう。
完璧主義の人は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
【3】日常に取り入れたい「上手なストレスケア」8つ
ストレスの種類別に対処法をご紹介してきました。
次に、日常で習慣づけていきたい上手なストレスケアのコツを見ていきましょう。
(1)ストレスの本質を探る癖をつける
対処する前に「どういう種類のストレスなのか」「何が原因のストレスなのか」を探る習慣をつけましょう。
ただ闇雲にストレス発散しようとしても、原因が分からなければ対処の仕方も分かりません。
- 職場環境
- 心の問題
- 人間関係
- 物理的なストレス
など、前章を参考にしながら「自分にとって何がストレス源になっているのか」という原因を解きほぐし、「何を変えれば好転に向かうのか」「どうすれば事態が動くのか」と、具体的な対策を練っていきましょう。
(2)誰かと共有する
ストレスは、心の中に溜め込んでしまうのが一番良くありません。
誰かに話して共有したら、ふっと心が軽くなった、という経験はありませんか?
- 信頼できる同僚・上司
- 他部署で理解してくれる人
- 外部の友人
- 家族
- 尊敬できる知人
など、状況により適切な相手を選びつつ、相談してアドバイスをもらったり、ただ愚痴を聞いてもらったり、こまめにアウトプットしていきましょう。
(3)自分に合った解消法を見つける
ストレスを発散できる方法は、人によって少しずつ異なります。
とにかく身体を動かすことで、逆にとにかく眠ることで、何もかも忘れられるという場合もあります。
自分に合わない解消法を無理に実践すると、かえって逆効果です。(人の意見を参考にするのは有益ですが、「こうでなければいけない」と思い込む必要はありません。)
自分の心と身体の声に従って、リラックスできることや、仕事を忘れて集中できる大好きなことを、ストレス解消法として選ぶと良いでしょう。
何をしたらよいかわからない場合は、仕事と真逆の行動をするのがおすすめです。
接客業なら一人で黙々とできる作業、逆に一人でする仕事が多いなら、人と少し会話できるような場を持つと、効果的にストレス発散できますよ。
(4)ストレスに合った解消法を選ぶ
ストレス源がはっきりしているときは、それを助長するような発散法は避けましょう。
ちょっとだけ立ち止まって考えてみて、
- 忙しいときは、休息をとる
- 精神的な疲労が溜まったら、身体を動かす
- 変化が原因で疲れたなら、馴染みの場所で馴染みのことをして過ごす
- 無力感に苛まれているなら、やったことのないことにチャレンジする
など、ストレス源に応じた解消法を選びましょう。
(5)自分を責めすぎない
日本人の大半は働き過ぎているように感じます。ストレスを溜め込みながら「これくらいはみんな我慢してるから」なんて言って、無理を重ねていませんか?
自分がつらいと感じている事実を、ひとまず認めてあげてください。それだけで心がほっとします。
- 「どうして普通にできないのかな」
- 「こんなことくらいで弱音を吐くなんて」
- 「みんなだって頑張ってるのに」
というふうに自分を責めている人は、傍目から見ればもう充分に頑張りすぎています。自分を労る癖をつけていきましょう。
(6)休息をもっと重視する
朝から頑張り通しで頭が働かなくなってきたとき、お昼休みを挟んだらまたやる気が戻ってきた、という経験はありませんか?
つい作業に没頭してしまいがちな人は、1時間ごとにアラームをかけて席を立つマイルールをつくりましょう。
職場によっては席を立つことが難しいかもしれません。そうした場合は身の回りの整理をするなど、数分でも良いので作業以外のことをする習慣を心がけてみてください。
トイレ休憩の際にはぜひ、
- 深呼吸する
- ガムを噛む
- 手のツボをマッサージする
- 肩や首のストレッチをする
- 目を閉じてぼーっとする
など、頭を休ませる時間をつくりましょう。忙しいときや頭がごちゃごちゃしてしまったときほど、こうした時間が役に立ちます。
(7)仕事と家以外の場所を持つ
自分の生活は仕事と家の往復だけ、という人も多いかもしれません。一人暮らしでも家族がいても、仕事と家以外に「自分の居場所」をつくることがおすすめです。
- 趣味の集まり
- ボランティア
- 副業先(ネット上でももちろんOK)
- 行きつけのお店
などなど。いくつ増やしても構いません。さまざまな自分像(ペルソナ)を持つことで、自己肯定感が深まっていきます。
仕事の重圧から100%離れられる場所を、どこかにつくりましょう。お気に入りのカフェやオシャレなバーにこっそり定位置を決めて通うのも素敵ですね。
(8)「本当にやりたいこと」は我慢しない
好きなことのためにする努力は、大変でもストレスとは感じない場合が多いものです。
何か生き甲斐のようなものを見出すことができれば、月曜の朝に憂うつを感じても「まあ、◯◯のために頑張るか」と乗り切ることができるでしょう。
それは、「趣味のためにお金を稼ぐ」といった身近な生き甲斐で良いのです。
毎日頑張って働いているのですから、自分のやりたいことも、同じくらいしっかりやらせてあげてください。
- 好きなファッションを身につける
- 好きな物語に没頭する
- 好きな国の言葉を勉強する
- 好きな人・大事な相手と過ごす時間を確保する
こうしたことをおろそかにしてはいけません。
仕事のためにどうしてもそれらが犠牲になるのであれば、「本当に続ける価値がある仕事なのかどうか」を一度立ち止まって考えてみる必要があるのかもしれません。
【まとめ】溜め込む前に…こまめなストレス発散を
ストレスは、溜め込んでしまってから一気に対処するよりも、こまめに対処していく方が、素早く楽に発散できます。
これが仕事のストレス対処のコツです。
自分のための人生であり、仕事です。それを忘れず、我慢しすぎず、上手に発散していきましょう!
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