株主優待のメリットとデメリット。注意点とお得な買い方も!
Date:2018.04.25
NISA(少額投資非課税制度)などで国が投資活動を推奨している今、「株主優待」に興味を持っている方は多いのではないでしょうか。
最近では、株主優待で生活している人がテレビで取り上げられたり、株主優待の専門書が出版されるなど、生活の中で「株主優待」というワードを聞く機会が増えたように感じます。
でも、株式投資初心者の方は、優待制度のこともよく分からないですよね?
そこで、今回は株主優待制度の魅力と注意点をお話したいと思います。
株主優待制度の概要とメリット・デメリット
皆さんは、株主優待制度についてどのくらい知っていますか?
まずはこの制度について、簡単にお話したいと思います。
上場企業の35%が導入している日本独自の制度
株式優待制度とは、企業の株主還元策の一つで、株主が保有している株数に応じて、自社製品や優待券、回数券などをプレゼントする制度です。
現在、日本の株主優待制度は、上場企業の35%が導入し、2017年10月末時点で1409社以上が行っています。実は欧米には株主優待制度がほとんどなく、日本独自の制度と言われています。
日本人の特性として、欧米人よりも投資のリスクを懸念する傾向があり、投資に対するハードルが高い。という専門家の意見もあるようです。
「株の売買差益(キャピタルゲイン)や配当金(インカムゲイン)だけでなく、株主優待も付けるから株主になって欲しい!」
株主優待制度は、そんな日本企業の気持ちの表れかもしれません。
金券だけじゃない!優待品の種類は豊富
株主優待といえば、有名なのは食事券やテーマパークや宿泊施設などの割引券などですが、実はそんな金券以外にも優待品の種類は様々。魅力的な優待品を選ぶのは楽しいですよね。
- 食事券や割引券などの金券をプレゼント
- 食料品などの自社製品をプレゼント
- 銀行などでは金利優遇として定期預金に数%上乗せ
- 銀行などでは手数料を割引
- 社会貢献として寄付に充当
株主優待のメリットとデメリット
「優待」って聞くと、なんだか良いこと尽くめな印象を受けますよね。株式投資を優待目的で行う人もいますが、本来、株主優待は株式投資をして得られるオマケのようなもの。
投資をするのですから、もちろんリスクを伴います。簡単にメリット・デメリットをまとめました。
〈メリット〉
- 優待品を受け取れる
- 優待品を現金換算すると、実質利回りが良くなるケースがある
〈デメリット〉
- 優待品ばかりに気をとられていると、株価自体の値下がりに気づかずに損失を出してしまうこともある。
- 株主優待は突然廃止、変更されることがある。それにより株価が下落することも。
優待目的で投資する際の注意点とお得な買い方
株主優待の魅力は、株の配当金に加えて、優待品まで貰えるお得感ですよね。でも、買い方を間違えると優待品がもらえないこともあるんです。
確実に優待を受けるためには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。ここでは、買い方のポイントをお話しします。
1、必要な保有株数を事前にチェックしよう!
株主優待を受けられる条件は、会社によって様々です。保有株数によって、優待の内容そのものや優待の量が変わります。
中間決算と本決算とで内容が変わるケースもあるため、まずは事前に優待条件をよく調べてから購入しましょう。
2、「権利付き最終日」までに株を買おう!
株主優待を受けるためには、ただ株を買って株主になれば良いというわけではありません。「権利確定日」という決められた日に、株主として株主名簿に載っていなければ、優待を受ける権利を得られないのです。
そして、「権利確定日」までに株主名簿に載るためには、「権利確定日」の3営業日前までに株を買う必要があります。この「権利確定日」の3営業日前のことを「権利付き最終日」と言います。
多くの企業が、3月や9月の月末を「権利確定日」にしていますが、それ以外の月末の場合もあります。まれに15日や20日としていることもあるため、油断はできません。
事前に「権利確定日」や「権利付き最終日」を調べて、その3営業日前の「権利付き最終日」までに購入しましょう。
そして、その際注意したいのが株価の動向です。人気のある銘柄は「権利付き最終日」に近づくにつれ、買い注文が増えて株価が上がる傾向があります。すると、「権利付き最終日」の翌日である「権利落ち日」に株価が大きく下落する可能性があるのです。
株価の動向をよくチェックし、「買い時」を見極めましょう。
3、「現物株取引」で株を買おう!
株取引には、下記のとおり、いくつか種類があります。ですが、優待を受けるためには「現物株取引」で株を購入しなければなりません。
■現物株取引
現物の株式を売買する取引のこと。信用取引より取引手数料が高いですが、投資資金以上に損失が出ないメリットもあります。
■信用取引
証券会社に現金や株式を担保として預けることで、自己資金以上の投資が可能になる取引のこと。
自己資金以上の投資ができることが大きなメリットですが、株価が暴落すると最悪の場合には破産する場合もあります。株価暴落など何らかの事由で、担保保証金率が最低維持率を下回ると、追加で担保(保証金)を預け入れなければならないからです。
信用取引はリスクが高いため、この取引をするためには証券会社の審査に通る必要があります。
■株式ミニ投資
通常よりも少ない株数で株の売買ができる取引のこと。「ミニ株」とも呼ばれています。
一般的な株式の売買は、銘柄ごとに決められた単元株数(100株や1000株)で売買します。ですが、株式ミニ投資ですと単元株数の1/10単位から取引することが可能になります。
投資資金が少なくても少額から始められることが魅力ですが、株の注文方法に制約があったり、手数料が割高であるなどのデメリットもあります。
■単元未満株取引
単元株数にかかわらず1株単位から売買できる株取引のこと。「株式ミニ投資」は単元株数の1/10単位からの取引でしたが、その制約がなくなったのが「単元未満株取引」です。
4、優待内容だけでなく、企業の業績もチェックしよう!
株式優待は、あくまで株式投資に付随するものです。購入した株が値下がりし、優待で得た利益以上に損失を出す可能性は十分あります。
ですから、事前に企業の業績や株価の動向を見て、自分なりに検証する必要があります。
5、優待利回りが高すぎるものには注意しよう!
株主優待のデメリットでもお伝えした通り、優待の内容は突然変更されることがあります。配当金は株主総会での決議が必要なのですが、株主優待は取締役会で決まるため、比較的簡単に変更できるのです。
優待目的で株式投資をする時、優待利回りの高いものが魅力的に見えますよね。ですが、あまりにも利回りが高い銘柄は、ちょっと注意した方が良いかもしれません。
利回りが高いということは、企業としても負担が大きく、優待制度を維持するのが大変です。そのため、優待そのものが廃止されたり、優待内容が改悪されることも。
6、一人で買うより、家族で株を分散して買うとお得!
例外はありますが、株主優待は一般的に保有株数が多いほど、優待内容が良くなります。下記の例のように、保有株数が段階的に上がる場合、家族それぞれの名義で買った方が得をすることもあります。
〈優待の例〉
保有株数 | 優待内容 |
---|---|
100株以上 | 2,000円相当 |
500株以上 | 3,000円相当 |
1000株以上 | 5,000円相当 |
この場合、一人で200株買っても2,000円相当の優待しか受けられません。ですが、妻と夫がそれぞれ100株ずつ買うと、それぞれが2,000円相当の優待を受けられ、家族全体としては合計4,000円相当の優待になるのです。
これは、決して一人ではできません。なぜなら株主優待の権利は株主名簿によって決められているからです。一人が異なる2つの証券会社を利用して、100株ずつ合計200株買っても、2,000円相当の優待しか受けられないので注意しましょう。
7、株を長く保有すると、優待内容がさらに良くなる!
銘柄によっては、株式を長期間保有すると、通常の優待に加えて、さらに優待内容が良くなるものがあります。
株主が株を長期間保有するということは、株価が安定する一因となります。そのため企業としても、長期間保有してくれる株主を求めており、長期保有優遇の株式銘柄は近年さらに増加しています。チェックしてみてください。
8、たくさん情報を得て、比較しよう!
株に関する情報が集まったサイトはたくさんあります。各証券会社のホームページや、ヤフーファイナンス等の投資に関する総合サイトなどで興味のある銘柄を比較検討しましょう。
優待内容だけではなく、配当金も含めた配当利回りや株価動向、企業の業績もチェックして、総合的に判断することが肝心です。
9、日常で使える優待を選ぼう!
いくら優待利回りが良くても、実際にその優待を使わないと、利益を得たとは言えませんよね。
様々な優待内容がありますが、中には、自社商品と関係のない図書カードやクオカードなどが優待になっているケースもあります。
せっかくの優待を無駄にしないように、自分の生活の中で使えるものを選びましょう。
株主優待をよく理解して、余裕のある資金で投資しよう!
今回、株主優待制度についてお話しましたが、どうでしたか?
優待を得るためには、注意することもたくさんありますよね。
銀行の預金金利が低い時代に、株式投資で利回りの高い優待を得られるのは、とても魅力的です。上手くいけば、「株主優待」と「配当金(インカムゲイン)」と「株式の売買差益(キャピタルゲイン」の3つの利益を得られるかもしれません。
ですが、投資のリスクも忘れてはいけません。メリットとデメリットをよく理解し、情報収集を怠らず、すぐには使う予定のない余剰資金で投資しましょう。
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