おもてなしは日本の心!正しい来客マナーを知っていますか?
五輪招致プレゼンで滝川クリステルさんが使い、一躍話題となった「おもてなし」。なじみのある言葉で、ふだん気軽に使ってはいますが、意外と本当の「おもてなし」とは何か、知らない人も多いのではないでしょうか?
「おもてなし」の感覚は、海外にはない日本特有のもの。日本人が誇るべき文化の一つです。
せっかくなので、この機会に正しいお客様へのおもてなしの仕方を学んでみませんか?
〝おもてなし〟は「表裏なし」?語源に隠された真髄とは?
「おもてなし」の語源は以下の2つの説があるようです。
お客様への応対を表す言葉「もてなす」に「お」を付けた丁寧語。
「もてなす」の語源は「ものを持って成す」であり、この「もの」とは目に見えるものと見えない事象の2つを指します。
「表裏なし」が変化してできた言葉で、お客様に表裏のない心で接するという意味があります。
英語の「サービス」、「ホスピタリティ」との違いは?
西洋の言葉で類似の言葉を探していくと、まず思い当るのが接客業でよく使われる「サービス(service)」という言葉。しかし、サービスの語源であるラテン語の「servitus」には「奴隷」という意味があります。
つまり、サービスには受ける側が主で与える側が従というはっきりとした主従関係があり、またチップなどの対価が発生するのが特徴です。
さらに一歩進んで、英語には「ホスピタリティ(hospitality)」という言葉もあります。語源はラテン語の「hospics(客人等の保護)」で、その時、その場でその人だけに特別な思いやりを持って個別のサービスを提供することを指します。
対価を求めない行為という意味では日本の「おもてなし」に非常に近いのですが、日本の場合はお客様に余計な心遣いをさせないよう、見えないところで色々と気を配るところに、決定的な違いがあります。
いつも通り振る舞っているように見えて、お客様が快適な時間を過ごせるようさりげなく心を配ること。この奥ゆかしさこそが日本の「おもてなし」の真髄と言えるでしょう。
来客マナーその1。お客様を迎える前にやっておくこと
おもてなしの意味を理解したら、いよいよ実際にお客様を招く際の心得に入りましょう。見えないところでの心遣いなので、おもてなしは事前準備が肝心です。お客様を出迎える前に準備しておきたいことは以下の5つ。
- 家の中の掃除
- 居間や玄関、トイレを掃除しておくのは当然ですが、窓ガラスやクッションカバー、テーブル、鏡、キッチンの流しといった細々したところも綺麗にしていますか?お客様が触れる可能性のあるドアの取っ手や電気のスイッチ、水道の蛇口なども拭いておきましょう。
- 衛生関係の備品は新しいものに
- お手洗いに行った際、濡れたタオルがかかっていたりしたらお客様を不快にさせます。タオルやトイレカバー、テーブルクロスやランチョンマットなど衛生に関わるものは、洗濯した新しいものに換えておきましょう。また、トイレットペーパーなども、残りが少なければ新しいものを用意しておいてください。
- 人数分のスリッパを用意
- お客様がいらして、玄関が雑然としていたら印象が良くないもの。家族の靴は靴箱にしまい、人数分のスリッパをすぐ履ける状態で玄関に並べておきましょう。
- お茶や茶菓子の準備
- お客様の年齢や好みを考えて、ふさわしいものを用意しておいてください。お子様も一緒の場合はジュースもあると喜ばれるでしょう。また、お客様が手土産を持ってきた場合に備え、それに合ったお茶を出せるよう、日本茶と紅茶(またはコーヒー)両方を用意しておくとよいかもしれません。
- 部屋の香り対策
- 家にはどうしても独特の臭いがあるもの。ペットや煙草、食べ物など気になる臭いを和らげるには、まずは換気が肝心です。部屋の窓を全開にして充分換気した上で、精油などやわらかい香りでおもてなしするのもよいでしょう。
来客マナーその2。お客様を出迎えるにあたって
家の中の準備が整ったら、いよいよお客様をお出迎えします。その際は、以下のことに気をつけましょう。
- 玄関ではスリッパをすすめ、冬の場合はコートを預かります。お客様が脱いだ靴は帰る際に履きやすいよう、出口の方を向けて中央に並べておきましょう。雨の場合はタオルを用意し、傘はお客様が帰るまでに広げて乾かしておきます。
- 廊下では自分が前を歩き、お尻を見せないようにお客様の方を向きながら、お部屋に案内します。ただし、階段ではお客様を先にお通しし、自分が後に歩きます。
- 部屋では、お客様を上座に座らせます。お客様が複数の場合は、それぞれの立場を考慮して席にご案内しましょう。上座とは和室では床の間を背にした位置、出入り口と床の間が同じ側にある場合は、逆側が上座になります。また洋室でも出入り口に遠い方が上座で、ソファでは長椅子が一番の上座になります。
- 手土産は両手で受け取り、畳の上や床の上に置いたりせず、一段高い場所に置き、丁寧にお礼を言いましょう。お客様が席に着いた後は、そのまま置きっぱなしにせず、お茶の用意などで部屋を出る際に一緒に持っていくようにしましょう。
来客マナーその3。意外と知らない正しいお茶の出し方
お客様がいらした際、早いうちにお茶をお出しするようにしましょう。お茶を出す際、気を付けたいポイントは以下の通りです。
- 手土産をいただいた場合、その場では出さず用意していたものを出すのが基本ですが、果物や生菓子などの場合はお客様に断った上で一緒にいただいてもいいでしょう。
- お茶は別室で用意するのが基本ですが、親しい仲であれば目の前で入れてもOKです。
- 日本茶の場合は熱湯ではなく、70度から90度のお湯で出すのが最適です。いい茶葉であるほど、低い温度でたっぷり茶葉を使い、ゆっくり抽出するとおいしく淹れられます。
- お茶を入れた盆はテーブルには置かず、畳かサイドテーブルの上に置き、必ず両手でお茶を出すようにしましょう。茶托はあらかじめセットしておくのではなく、運ぶ際は盆の上で重ねておき、出す際に湯呑の下に沿えるようにします。
- 紅茶やコーヒーの場合、カップの持ち手は左、スプーンが右向きに出すのが正解です。クリームと砂糖の位置に特に決まりはありませんが、邪魔にならないようソーサーの手前側に、スプーンと並行してセッティングするとよいでしょう。
- お茶は必ず上座の方から出すようにしましょう。出す順番は、(おしぼり)→お菓子→お茶が正解。位置はお菓子が左、お茶が右。おしぼりがある場合はお茶の右側に置いてください。
- 湯呑みにはなみなみとお茶を入れるのではなく、七分目ぐらいが適量です。
- 三十分ぐらい経ったら、お客様に尋ねた上で、おかわりをお出しするとよいでしょう。空のカップに継ぎ足すのではなく、茶碗を茶托ごと下げ、新しいものを淹れ直すようにしましょう。
来客マナーその4。お見送りは玄関の外までが基本!
お客様に楽しい時間を過ごしていただいた後は、最後にお見送りが待っています。
気の置けない仲であれば玄関先でもOKですが、通常は玄関の外まで見送ります。車でお越しの際は駐車場まで見送るといいでしょう。
ご挨拶をしてすぐに部屋に戻るのではなく、お客様が振り返った際に、お辞儀をしているあなたの姿が確認できる間はその場に留まるようにしましょう。
来客マナーその5。簡単で喜ばれるおもてなし料理
来客の際、お茶だけでなく時間帯によっては、お食事を用意しなくてはいけない場合もあります。しかしただでさえ準備で忙しい中、手の込んだ料理を何種類も用意するのは大変なもの。
そこで、簡単に作れて豪華に見える、おすすめのおもてなし料理をご紹介します。
ケーキ寿司の作り方
- ごはん
- 3合
- ちらし寿司の素
- 1パック
- きゅうり
- 1本
- もみのり
- 適量
- お好みのトッピング
- お刺身・きぬさ・錦糸卵など
- お米3合を炊飯器で炊き、ちらし寿司の素を混ぜて冷ましておく。
- ケーキ型の真ん中ほどまで酢飯を敷き詰める。
- その上にもみのりときゅうりの薄切りを挟み、残りの酢飯を型いっぱいまで詰める。
- 型を外し、お好みのトッピングで美しく飾る。
最後の飾り付けのお刺身は、バラを作るようにくるくると巻くとより一層豪華に見えますよ!
ツナサラダきゅうり巻きの作り方
- ツナ缶
- 1缶
- 玉ねぎ
- 1/2個
- きゅうり
- 1本~2本
- プチトマト
- 1パック
- マヨネーズ
- 適量
- まず、玉ねぎを薄くスライスし、水に晒しておきましょう。
- 次に、きゅうりを1本縦半分に切り、スライサーでカットします。
- 2本目のきゅうりを輪切りで少量用意します
- 次に、玉ねぎの水気を切ってツナ缶と混ぜ、塩こしょう・マヨネーズで和えます。
- スプーンで適量取った2をスライスしたきゅうりで巻き、プチトマト、輪切りきゅうりを飾って完成です!
※きゅうりはサラダを巻くために使うので、途中で切れないよう薄く長くスライスしましょう。
レンジで作る簡単ローストビーフの作り方
- 牛もも塊
- 300g
- 塩こしょう
- 適量
- 醬油
- 適量
- 赤ワイン
- 適量
- バルサミコ酢(あれば)
- 適量
- 粒マスタード
- おろし生姜(チューブOK)
- 牛もも肉に漬けダレに漬け込み、冷蔵庫で2時間ほど寝かせる。
- 耐熱容器に1を入れ、ラップを上からふんわりとかぶせ、500Wで約3分、裏返してさらに約3分加熱する(厚さによって時間は調整)。
- ラップをしたまま10分間ほど置いて冷ます。
- フライパンで軽く肉に焼き色をつけた後、肉の煮汁と醤油・赤ワイン・バルサミコ酢を加え、ひと煮立ちさせる。
- 肉を薄く切って盛り付ければ完成です。
パイ生地で作るきのことトマトのキッシュ
- 冷凍パイシート
- 1枚
- まいたけ・しめじなどお好みのきのこ
- 各半パック
- プチトマト
- 4~6個
- 卵
- 2個
- 牛乳
- 100cc
- 生クリーム(なければ牛乳でもOK)
- 50cc
- ピザ用チーズなどお好みのチーズ
- 適量
- 塩こしょう
- 適量
- きのこは石づきを取り、適当な大きさに切って軽く炒め、塩こしょうしておく。ベーコン(ハム)も食べやすい大きさに切り、プチトマトも半分に切っておく。
- 解凍したパイシートをタルト型に敷き、余分な生地は切り落とす。
- ボウルに卵を溶き、牛乳、生クリーム、チーズ、1の具材を入れて混ぜ、塩こしょうする。
- 3をタルト型に流し入れ、200度のオーブンで20分焼く。
どれも一見難しそうに見えますが、意外と簡単でしかも豪華に見えるメニューばかり。ぜひとも、おもてなしに役立ててくださいね。
【 みんなが作ったいろんなおもてなしお料理 】
おもてなしの心で、お客様とのかけがえのないひとときを
いかがでしたか?意外と知っているようで知らないマナーも多かったのではないでしょうか。
準備など色々と面倒なように思えますが、相手の立場に立った気配りは、ことさらアピールせずとも、それとなく伝わるものです。
あまりルールに縛られすぎてもよくありませんが、相手が気持ちよく過ごせるよう、最低限のマナーは必要。
また相手が楽しんでいると、もてなす側も満たされた時間を過ごせるものです。
相手にとっても、自分にとっても有意義な「おもてなしの心」。古くから伝わる日本の価値観を、これからも受け継いでいきたいですね。
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