年賀状のマナー。今さら聞けない基本的な書き方や喪中時の対応
Date:2018.10.22
年賀状はお世話になっている人を始め、普段なかなか会えない友人や親戚などにも新年の挨拶を伝えることができます。
しかし年賀状は特定の時期にしか書かないもの。いざ年賀状を書こうとすると、悩んでしまうこともたくさんありますよね。
年賀状には書くと失礼にあたる言葉やルールなど、いくつかマナーがあります。何も気にせず年賀状を書いてしまうと、知らず知らずのうちにマナー違反になっているかもしれません。
そこで今回は年賀状の書き方や注意すべきポイント、喪中の年はどうすればよいかなど、年賀状に関するマナーについてご紹介します。
この記事の目次
年賀状の書き方のマナー。宛名面と裏面の基本的な書き方
年賀状は一般的なはがきの書き方に加え、独自のルールがあります。
まずは宛名のある表面の一般的な書き方から、裏面に書く賀詞や日付まで、年賀状の基本的なマナーについてお伝えします。
住所や敬称などの基本的な点はもちろん、これまで間違って書いていた箇所はないか、1つずつ確認してみてくださいね。
宛名面の基本的なマナー。私製はがきには「年賀」と朱書きを
宛名を記す表面は、まず住所や敬称などを正しく書けているかチェックしましょう。
- 住所
- 都道府県や市、区など省略せずに書きましょう。数字は縦書きの場合には「一、二、三」と漢数字、横書きの場合には「1、2、3」とアラビア数字を用います。
- 敬称
- 基本的には個人名の下に「様」を付ければ問題ありません。連名にする際はそれぞれの名前に「様」と付けましょう。ただし、会社や部署に宛てて年賀状を書く場合には「御中」とします。
- 差出人の住所と氏名
- 表面はもちろん、裏面に書いても良いです。表面に書く際は、郵便番号の枠の幅を越えないように書きます。
- 朱書き
- 年賀はがきではなく私製はがきを年賀状として使用する時は、「年賀」と朱色で記載します。もし「年賀」の文字がない場合、普通郵便と間違われ年内に配達される可能性があります。
敬称において、もし会社の中の個人宛てに年賀状を送る場合は「○○株式会社 ○○様」と書きます。「○○株式会社御中 〇〇様」とは書かないため、注意しましょう。
また、私製はがきを年賀状として送る際には、干支などが記載された年賀用の切手を貼ると、お正月らしさを感じられるのでおすすめです。
年賀状の裏面に関するマナー。基本的な構成や文章の例
年賀状の裏面には、新年のご挨拶や感謝の言葉などを書きます。自由に書くのではなく、基本的には大きく次の5つで構成されています。
- 賀詞
- お礼の言葉
- 相手の健康などを願う言葉
- ご指導やご支援をお願いする言葉
- 新年の年号と日付
まずは賀詞を書きます。
文頭に新年を祝う言葉を大きく書きましょう。
- あけましておめでとうございます
- 謹賀新年
などがありますが、賀詞の選び方を誤るとマナー違反になる場合もあります。賀詞については後ほど詳しくお伝えします。
賀詞に続き、お礼の言葉を書きます。
- 昨年中は大変お世話になりました
- 旧年中はいろいろとお世話になり ありがとうございます
など、感謝の言葉を伝えましょう。
次に相手の健康や幸福を願う言葉を書きます。下記のような例があります。
- 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
- 皆様のご活躍とご健康をお祈りいたします
そして、今後も変わらずご指導やご支援をお願いする言葉を書きます。
- 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
- 本年も変わらぬご指導のほどよろしくお願いいたします
最後に、新年の年号と日付を記載しましょう。
- 令和○○年元旦
- 20XX年1月1日
また、相手に合わせて一言添えると、読んだ方も嬉しくなるはずです。
- 家族が増え にぎやかな新年を迎えることができました
- 今年は〇〇するのが目標です お互いに良い年にしましょう
- また今年も○○でお会いしましょう
など近況報告や今年の目標の他、年賀状を送る相手との思い出を振り返っての一言を添えるのも良いですね。
年賀状でマナー違反になりやすい言葉。賀詞や忌み言葉に注意
年賀状では賀詞や元旦など、新年を迎える頃にしか見かけないような言葉が並びます。知らずに使うとマナー違反になっている可能性もあるので、注意が必要です。
そこでここからは、年賀状の書き方に関するマナーをもう少し掘り下げてご紹介します。年賀状に誤って使っている言葉はないか確認してみてくださいね。
賀詞の選び方。目上の人の年賀状には「賀正」「迎春」と書かない
年賀状でまず目に入る賀詞は、何でも良いというわけではありません。
送る相手が目上の人の場合、特に注意が必要です。賀詞によってはマナー違反になってしまいます。
賀詞を選ぶ際に迷ってしまう人は、下記を参考に選んでみましょう。
- 目上の人向け…「謹賀新年」「恭賀新春」などの4文字
- 目下の人向け…「寿」「賀」「福」などの1文字または「賀正」「迎春」などの2文字
- 相手を問わず使える…「あけましておめでとうございます」「謹んで新年のお慶びを申し上げます」など
- 親しい人向け…「あけましておめでとう」「Happy New Year」など
英語の賀詞は「A Happy New Year」と書かれている年賀状もありますが、本来は「Happy New Year」が正しいとされています。
言葉の重複は避けて!元旦は1月1日の朝を指し、1月元旦は誤り
年賀状で気を付けたいのが、言葉の重複です。
「新年あけましておめでとうございます」は「新年」と「あけまして」がどちらも年が明けたことを示し、重複しているといわれています。
また、
- 令和○○年1月元旦
- 令和○○年1月1日 元旦
上記はどちらも言葉が重複し、誤りです。
年賀状に書く「元旦」はこの漢字2文字だけで「1月1日の朝」という意味を表しています。よって上記で挙げた例は意味が重複し、間違いになります。注意しましょう。
忌み言葉は使わない。「去年」は「旧年」「昨年」と言い換えを
不吉なことを連想させるような言葉は「忌み言葉」と呼び、年賀状や結婚式のスピーチなどでは使用しません。
年賀状では
- 去る
- 失う
- 離れる
- 別れる
- 切れる
- 落ちる
- 終わる
- 倒れる
などの忌み言葉は避けましょう。
「去年」の「去」には死を連想させる他、「別れる」「離れる」といった意味があり、縁起が良くありません。年賀状では「旧年」「昨年」といった言葉で表現するのがマナーです。
年賀状には句読点を入れないのがマナー。改行やスペースで工夫を
年賀状では句点(。)と読点(、)は入れないのがマナーとされています。元々日本語には句読点がなく、文章を読みやすくするために使われるようになったそうです。
つまり句読点を使うと「読みやすいように区切った」と捉えかねないため、使用しません。目上の人に送る年賀状には使わないことを勧めます。
また、年始のご挨拶で区切りをつけるのは望ましくないため、句読点を用いないという説もあります。句読点を「切れる」「終わる」といった意味に捉え、「縁が切れる」など悪いイメージを連想させてしまいます。
年賀状で文章が長くなる場合には、改行したり、読点分のスペースを空けたりするなどの工夫をしましょう。
悩む人も多い、喪中の時の年賀状のマナー。年賀状は送らないで
近親者が亡くなって喪中である際に、年賀状の対応に悩む場面は少なくないでしょう。
自分が喪中であれば年賀状を送らない、ということを知っている人は多数いるかもしれません。しかし相手が喪中の時や、自分が喪中の時に年賀状が届いた時にはどうすれば良いかなど、対応に困ることもあります。
ここでは、喪中の時の年賀状のマナーについてお伝えします。
喪中は死を悼む期間。近親者の範囲は二親等を目安に
喪中とは近親者の死を悼む期間を指します。亡くなって1年間は喪中となり、お祝いごとを避けます。
近親者の範囲は一般的に二親等までが目安とされています。
- 一親等…両親、配偶者、子
- 二親等…兄弟姉妹、祖父母、孫
配偶者がいる人は一親等では配偶者の両親、二親等では配偶者の兄弟姉妹も含みます。しかし同居しているかどうかなど、状況に応じて異なります。
年賀状は新年をお祝いする挨拶状なので、喪中では送るのを控えるのがマナーです。
自分が喪中の時には年賀状を出さず、喪中はがきを出す
自分が喪中の時には年賀状を出しませんが、喪中はがきを出すのがマナーとされています。
喪中はがきとは新年の挨拶を遠慮することを伝え、年賀状を送らないことを前もって知らせる年賀欠礼状のことです。
喪中はがきでは「喪中につき 年頭のご挨拶はご遠慮させていただきます」などの文を最初に書きます。「賀」などのおめでたい言葉は使わないように注意しましょう。
次に
- 故人の名前
- 自分と故人との続柄
- いつ、何歳で亡くなったのか
を記載します。
結びには故人が生前お世話になったお礼、今後の付き合いをお願いする言葉などを書きます。もし喪中でも年賀状を受け取りたい人は「年賀状はお気遣いなくお送りください」と書いても良いでしょう。
喪中はがきは年賀状を準備し始める前、11月中には出しておきましょう。遅くとも12月上旬に届くのがマナーです。
もし年末に近親者が亡くなった場合には
- 1月7日(松の内)が過ぎてから寒中見舞いを送る
- 年末であっても喪中はがきを送る
という2つの方法が挙げられます。
喪中の人には年賀状を送らない。手紙を送りたい人は寒中見舞いで
相手が喪中の時にも年賀状は送らないのがマナーです。手紙を送りたい場合は1月7日(松の内)が過ぎてから寒中見舞いを出すようにします。
寒中見舞いでは派手な色は避け、
- 「賀」「祝」などのおめでたい言葉
- 「重ね重ね」「それぞれ」などの畳語
- 「再び」「追伸」などの2回目を連想させる言葉
こういった言葉も使わないようにしましょう。寒中見舞いでも年賀状のように、忌み言葉を避けるのがマナーとされています。
もし喪中である相手が年賀状を受け取りたい場合には、寒中見舞いではなく年賀状を出しても構いません。
喪中と知らずに年賀状を送ったら、お詫びの連絡と寒中見舞いを
相手が喪中と知らずに年賀状を送ってしまった時には、まず電話などでお詫びの連絡をしておきましょう。
連絡に加えて1月7日を過ぎたら、お詫びやお悔やみを書いた寒中見舞いを出します。
- ○○様ご逝去と存じ上げず 新年のご挨拶を申し上げてしまい失礼いたしました
- ご服喪の中 年始状を差し上げて大変失礼いたしました
などのお詫びの言葉と、故人のご冥福を祈る言葉を添えます。
年賀状の「賀」はおめでたい言葉にあたるため、年賀状の代わりに「年始状」と書くと良いでしょう。
喪中はがきが届いたら、喪中見舞いか寒中見舞いを送る
もし喪中はがきが届いたら、年賀状は送りません。
しかし相手からは喪中はがきが届いているのに自分は何も送らずにいると、どこか失礼だと感じる人もいますよね。
喪中はがきが届いた返事として、
- 年内に喪中見舞いを送る
- 1月7日を過ぎてから寒中見舞いを送る
の2つがマナーとして知られています。
- 喪中を知らせていただいたお礼
- お悔やみの言葉
- 相手を気遣う言葉
上記のような言葉を書き、送りましょう。
また、喪中見舞いには「ご服喪中につき新年のご挨拶は控えさせていただきます」、寒中見舞いでは「年始のご挨拶はご遠慮させていただきました」といった言葉も加えます。
喪中に年賀状が届いた場合には、寒中見舞いで返信を
自分が喪中であるにも関わらず、年賀状が届くこともあるでしょう。その際には1月7日を過ぎてから寒中見舞いを出すようにします。
- 年賀状へのお礼
- 故人の名前や亡くなった月
などを書きます。もし喪中はがきを出していない相手から年賀状が届いた場合には、喪中と伝えなかったお詫びも忘れずに記載しましょう。
年賀状を送る時、届いた時に迷いやすいマナー
年賀状は書き方の他にも、いつまでに年賀状を出せば元旦に届くのか、三が日を過ぎて年賀状が届いた時にはどうすれば良いかなど、困ってしまう時もありますよね。
年賀状において迷いやすいマナーについてもご紹介します。
年賀状は12月25日までに出す。1月7日までに届くように投函を
年賀状を元旦に届けるためには、12月15日から25日頃までに出しましょう。
年賀状は元日から松の内とされる1月7日までに届くように投函するのがマナーです。元日に届くのが1番良いですが、なるべく三が日の間に届くように用意しましょう。
前述したように、私製はがきを年賀状として送る場合には「年賀」の朱書きを忘れないようにしてくださいね。書き忘れると年内に届くことになります。
出していない相手から年賀状が届いたら、必ず返事を書く
年賀状は出していない相手から届くことも少なくありませんよね。しかし返事を書かないのは失礼で、マナーに欠けると思われてしまいます。
1月7日までに届くようであれば、年賀状として書いて返信しましょう。1月7日を過ぎそうな場合には寒中見舞いを送ります。
もし1月7日間近や7日以降に年賀状が届いた場合にも、寒中見舞いを送りましょう。
なお、年賀状を送らなかった理由は書かなくても良いとされています。ただし、
- 年末年始の慌ただしさにまぎれ 新年のご挨拶が遅れ失礼いたしました
- 年末に帰省し ご挨拶が遅れましたことお詫び申し上げます
など新年のご挨拶が遅れたことに対するお詫びの文は添えておきましょう。
修正液は使わないのがマナー。書き損じた年賀状は交換も可能
年賀状は新年のご挨拶をし、年が明けたことを祝うものです。
もし文字を間違って書いた場合、修正液や訂正線などで修正して書き直すのはマナー違反にあたります。面倒に感じても、新しい年賀状で書くようにしましょう。
また、年賀状の販売期間を過ぎたら、書き損じた年賀状は切手や普通はがきなどに交換できます。別途料金がかかる場合もあるため、交換時に確認してみてください。
被災地への年賀状。送る時はおめでたい言葉を避けて
喪中ではないものの、地震や台風などで被災した友人や知人に年賀状を出して良いのか迷う人もいるでしょう。マナーに欠けるかどうか悩んでしまいますよね。
もし避難生活を送っていたり、被災して普段の生活もままならない状態であったりすれば、年賀状をもらう気になれない人もいるかもしれません。
被災した方が喪中ではないのであれば、年賀状を出しても良いとされています。しかしおめでたい雰囲気を出すのは、何だか気が引けますよね。
被災地の状況などによりますが、今も普段の生活を送れないような状態が続いていれば、年賀状には「おめでとう」「祝」「賀」といったおめでたい言葉を避けることをおすすめします。
下記は賀詞の一例です。
- 謹んで新年のご挨拶を申し上げます
- 年頭のご挨拶を申し上げます
「一日も早いご復興と皆様のご健康をお祈り申し上げます」など、復興を願うお祈りの言葉も添えましょう。
または年賀状ではなく、寒中見舞いを送るのもおすすめです。被災地の復興や相手の幸せを願う気持ちを言葉にすれば、きっと伝わるはずですよ。
失礼にならないよう、マナーに気を付けて年賀状の準備を
年賀状は年始の挨拶をし、日頃の感謝を伝える大切なものです。失礼にあたらないよう、マナー違反になっていないか気を付けながら用意しましょう。
忌み言葉を書いていないか、目上の人に失礼な賀詞を選んでいないかなど、年賀状ならではのマナーに注意してくださいね。
不幸があった人は喪中はがきを出し、年賀状を出さないことを事前に伝えておきましょう。
年賀状はその年の最初に受け取る挨拶状です。慌てて準備すると、マナーに欠けた年賀状だと気付かずに送ってしまう可能性もあります。年賀状を読む相手が不快に思わないよう、余裕をもって書くようにしましょう。
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