新生活に要注意!五月病の症状と原因、簡単にできる対策ポイント
Date:2017.03.17
「ああ、仕事に行きたくないな……」
なんてため息をついてしまうこと、増えてませんか?
春が過ぎてゴールデンウィークが終わるタイミングには、そんな思いが膨らんでしまい、悩む方も増えるものです。
五月病の症状に悩む方は多いのですが、その実態や予防策などはなかなか認知されていません。
そのため、「自分は結局サボっているだけなのかも……」などと罪悪感に苦しむ方も見られます。
そこで今回は、この五月病について詳しくまとめていきます。五月病の原因や症状、予防策や対処法などを一緒に学んでいきましょう。
この記事の目次
【1】うつ病とよく似た「五月病」その正体は?
そもそも五月病とはいったい、どのようなものなのでしょうか。
原因や症状、また気になる「うつ病」との違いについて、見ていきます。
(1)じつは季節はあまり関係ない
日本では、4月になると学校での新学期が始まります。また職場でも、新規入社や部署異動の多くが4月に集中しますね。
桜が咲く4月は、新しい環境で新生活が始まる季節です。
それが少し落ち着いて5月になると、急に体調を崩したり、心の調子が狂ったりして、職場や学校に通えなくなる人が出てきます。
五月病の少し意外な事実として、
- 五月病という病名はない
- 季節はあまり関係ない
ということが挙げられます。
じつは医学的に「五月病」という病名はなく、医療機関での診断は「適応障害」または「軽うつ」等とされる場合が多いようです。
また、五月病というのはあくまでも「新しい環境に適応しようと限界を超えてがんばってしまった結果、心身のバランスを崩す」という状態です。
この状況に陥りやすい時期が、日本ではたまたま5月であるというだけで、5月以外にも五月病にはかかります。
(2)五月病になってしまった新入社員・Aさんの例
なぜ、多くの人が五月病になってしまうのでしょうか?
ここで、3月に学校を卒業し、4月から新入社員として働きだしたAさん(22歳/女性)を例に見てみましょう。
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Aさんは、3月に大学を卒業し、念願の外資系企業に就職しました。新入社員だからこそ早く認められたくて、朝は誰より早く来て仕事をし、夜も上司に言われるままに残業して仕事をこなします。
ぐったり疲れ果てて帰宅するのは、いつも日付が変わるころ。それでも頑張りやのAさんは、愚痴も言わず弱音も吐かず、上司や同僚に気配りをしつつ、いつも笑顔で激務をこなし続けました。
4月末のゴールデンウィーク。入社以来初めての連休です。
始まる前は「あれもしよう、これもしよう」と思っていたAさんでしたが、いざ連休に入ってみると、普段の疲れからかぐったりしてしまい、何もできません。
数日間あった連休も、寝て起きて、なんとなくぼんやり過ごしているうち、あっという間に終わってしまいました。
そして、5月初め。ゴールデンウィークあけ、久々の出社日です。
Aさんは、どうしても出勤できない自分に気がつきました。ちゃんと目は覚めているのに、どうしても布団から起き上がる気力が出ないのです。
まじめな彼女にとっては、大ショックです。
「今までこんなにがんばってきたのに、行きたくないってだけで会社をサボるなんてできない」……頭ではそう思うのですが、どうしても身体が動きません。
いったい、Aさんの身に何が起きてしまったのでしょうか?
(3)五月病を引き起こす原因ときっかけ
Aさんの例は少々極端かもしれませんが、新入社員の方はやはり、とくに気をつけなくてはいけません。
というのも、五月病になる最大の原因が「新しい環境に身を置くこと」にあるためです。
このため新入社員でなくとも、周囲の環境ががらりと変わる予定の人ならば誰でも、たとえば、
- 異動になった
- 転職した
- 昇格して初めて部下ができた
など、一見喜ばしいとしか思えない変化の中でも、かかりやすい症状と言えます。
新しい環境というのは、人間にとってそれだけで大きなストレスです。そこに別の要因、たとえば
- 残業が多い
- 仕事量が多い
- クレーム処理などの業務
- ノルマによるプレッシャー
- 人間関係
- 想像と現実とのギャップ
- 満員電車
など、今まで経験したことのないストレスが複合的に加わると、新生活で緊張していることも手伝い、あっという間に自律神経がバランスを崩してしまいます。
五月病は、ゴールデンウィークあけになる人が多いことからついた呼び名です。
ゴールデンウィークは、4月中に緊張と興奮で新生活をなんとか乗り切っていた人の気持ちが、一気にゆるむ連休です。
これは案外誰にでも起こりうる事態で、安易に「甘えなのでは」とか「近頃の若い者は」などと責めるべきではない現象です。
むしろ頑張りやでまじめな人ほど引き起こしやすい症状ですし、どんなベテラン社員にだって起こり得ます。
(4)分かっているけど動けない……五月病の症状の特徴
五月病になると、今までとは違う自分に驚いたり失望したりするシチュエーションに出会います。
中でも自分でも気付きやすい症状は、以下のようなものです。
◆五月病を疑うべき自覚症状
- 目が覚めても布団から出られない
- 食欲がない
- 人と会うのが面倒になる
- 寝付けない
- 眠っても疲れがとれない
- 頻繁に悪夢を見る
- ミスが増える
- 理由もなくイライラする
- 理由もなく焦る
- 会社や学校が近づくにつれ、体調が悪くなる
- オシャレに興味がなくなる
また、上記と併行して、身体や心にも少しずつ以下のような変化が現れます。
◆身体に現れる症状
- 頭痛
- 腹痛
- 胃痛
- 腰痛
- ひどい肩こり
- 便秘や下痢
- めまい
- 動悸
- 不眠
- 疲れやすく、回復しにくい
◆心に現れる症状
- やる気が出ない
- 虚脱感
- だるさ
- 不安感
- ふさぎこむ感じ
- ネガティブなことばかり考える
- 思考力が低下する
- いつもできることに集中できない
など。
ところで、これらの症状、何かに似ていると思いませんか?
(5)うつ病とはちがう?どこで見分ける?
前章で挙げた症状が、何に似ているかピンと来た方もいらっしゃるでしょう。
そう、五月病の症状は、うつ病の初期症状にそっくりなんです。
これらの症状は、いずれも自律神経のバランスが崩れたために起きるもの。自律神経とは、緊張と弛緩、興奮とリラックスなどをコントロールしている重要な機関です。
五月病では、ストレスによりずっと緊張していた心と身体が、連休の開放感で急激にゆるんでしまいます。
そうなることで自律神経がバランスを崩し、うつ病に近い症状を引き寄せてしまうのです。
じつは、五月病は通常「時間が経つにつれ症状が和らぎ、1〜2ヶ月程度で自然と回復する」と言われています。
一方、うつ病では、こういった症状が長期間ずっと続くのが通例です。また時間が経過するにつれ、さらに悪化していく場合が多いのも特徴です。
五月病とうつ病とは、こうしたポイントで見分けることが可能です。
また、五月病をきっかけとしてうつ病に発展してしまうケースもありますので、何かおかしいなと思ったら、すぐに医療機関に相談しましょう。
【2】頑張りやさんは要注意!五月病になりやすい人の特徴
五月病には、なりやすいと言われる性格傾向があります(上の例で挙げたAさんは、その象徴のような性格の女性でした)。
五月病になりやすいと言われる性格傾向は、以下のようなものです。
- 頑張りや
- まじめ
- 気遣い・気配りができる
- 我慢づよい、忍耐強い
- 周りに合わせる傾向がある
- あまり感情的にならない
- 責任感がある
- 完璧主義
- 几帳面、きっちりやるのが好き
- 計画的
- 内向的
- おとなしい
- 理想が高い
いかがでしょうか。
周囲には褒められやすく、職場でも活躍しそうな人材ですよね。でも、こうした人ほど悩みを内に抱え込みやすく、大きなストレスがかかっても「大丈夫」と自分に言い聞かせながら頑張ってしまいがちでもあります。
はっきりと名言しておきたいのは、こうした性格自体は、当然ながら長所でもあるということです。
何事にも良い面と悪い面があり、良い面として活かすことができれば人生におけるとても強い武器になるでしょう。
でも、五月病やうつ病などのつらい症状を引き起こしやすいのも事実。ここは予防策や対処の仕方をきちんと知って、不調のときに備えるのが良さそうです。
【3】キーワードは2つ!今からできる予防と対策
五月病にならないように、今からできる予防策。
また、もしも五月病になってしまったときに、少しでも早く回復するためにした方が良い対策。
キーワードは「気分転換」、そして「リラックス」の2つだけ。
これを軸に、自分の心と身体に気持ちよいことをこまめに行っていくのが、五月病にとって一番の予防法・対処法になります。
たとえば、こんなことをしてみるのはいかがでしょうか?
(1)たくさん笑う
笑顔は、他人だけでなく自分のことも元気にします。
人に向かってつくり笑いをするのは疲れてしまいますが、鏡の中の自分に向かってニッコリするのは、脳に「楽しいよ」「幸せだよ」という信号を送ることになるそうです。
もちろん、自然と笑顔になれる状況を作れたら、それがベストです!
好きなことを思いきりしたり、お笑いのDVDを見たりして、ぜひたくさん笑いましょう!
(2)ゆっくり眠る
心理カウンセラーや医師も、心が疲れているときほど「たっぷり寝てください」と言います。
睡眠は、脳や自律神経を休めるたった一つの方法です。気持ちや身体がしんどいな、と気づいたときは、いつもより早寝・遅起きを意識しましょう。
また、ぐっすりとよく眠るためには、
- ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる
- 寝る前のパソコン・スマホをやめる
- 寝る前のお酒は控える
- 寝室を真っ暗にする
- 耳栓で音を遮断する
などの方法も、効果的ですよ。
(3)バランスよく食べる
健全な精神は健全な肉体に宿る、と言いますが、これは本当です。
精神的な安定を得るためにも、食事はとても大切なんです。とはいえ、嫌いなものを無理に食べる必要はありません。
要は、栄養のバランスが偏らなければ大丈夫。食べたいと思うものを、少量ずつ色々な種類食べることを心がけるとGOODです。
(4)気を許せる人とお喋りする
社会人になると、仕事関係以外の人と会話をする機会がグンと減ります。
でも、職場や取引先の人脈は、基本的に利害の絡んだ関係ですよね。そういったシチュエーションでは、いくら打ち解けて会話をしているように見えても、やっぱり心は緊張しています。
同じ会話でも、気を許せる大好きな人となら、心はリラックスできます。
緊張しすぎて交感神経がピリピリ張りつめる前に、家族や友人などとお喋りする機会を設けましょう。
他愛ない会話でも、肩の力が抜けて気持ちがほっとしますよ。
(5)カラオケに行く
声を出す、という意味では、お喋りと同じかそれ以上に、歌うことがおすすめです。
たまにはカラオケで大声を出して歌ってみましょう!
身体って不思議なものですが、大きな声を出すと、緊張が解ける仕組みになっています。誰かと一緒でも、一人でも、カラオケでストレス発散してみましょう。
(6)美容院に行く
五月病の兆候の一つとして、「オシャレに興味がなくなる」というのがあります。
これはキャパオーバーしてしまった心が、生きるのに必要ない部分から興味をなくした結果なのですが、もともとオシャレ好きな人にとっては、本当にショックです。
きれいな自分でいたい。それなのに、自力でオシャレをする気力が出ない。そんなときは、他人の力を借りてみるのも一手です。
美容院は、そんなときの強い味方です。比較的気軽に行けて、見た目も気持ちも大きくリフレッシュすることができます。
髪型を大きく変えなくても、前髪をちょっと切ってもらうだけでもいいのです(むしろ、小さな変化の方が、リスクが少なくて良いかもしれません)。
きれいになることで気分転換できそうな方には、とってもおすすめの手段です。
(7)アロマの力を借りる
香りが気持ちに与える影響も大きいものです。自分の好きな香りを嗅ぐと、人は安心してリラックスできます。
新生活で緊張ぎみなら、好きな香りを日常に取り入れる工夫をしてみましょう。たとえば、
- 玄関にアロマスティックを置く
- ハンカチに香水を一噴きする
- バスタイムにアロマを利用する
- アロマキャンドルを楽しむ
など。
好きな香りで心も身体もほぐしましょう。
(8)旅行に行く
家の中で引きこもっていると鬱々としてきそう……。というときは、思いきってどこかへ出かけましょう。
新入社員や異動直後などは厳しいケースも多いですが、もし状況が許すなら、旅行で気分をリフレッシュするのがおすすめです。
旅先で温泉につかって、ゆっくり疲れを癒すのも良いですね。
非日常の中で食べるご飯は、普段より美味しく感じるもの。食欲が出ない方も、それならしっかり食べられるかもしれません。
(9)自然や動物に触れる
木や花などの自然や、動物に触れるのも効果的です。
最近は、「グリーンセラピー」「アニマルセラピー」という言葉もメジャーになってきましたね。
近所の公園を散歩したり、足を伸ばして山へドライブに出かけてみるのも良いものですよ!
ペットを飼っているなら、愛しいその子と存分に触れ合いましょう。
飼っていないけれど動物が好き!という人は、動物園や動物のいるカフェなどに出かけてみてください♪
(10)スポーツで身体を動かす
身体を動かすことも、心のモヤモヤを吹き飛ばすのにとっても有効です。
スポーツが好きな人はもちろん、普段あまりしない人もぜひ、ストレッチやウォーキングから始めてみてくださいね。
最初はちょっと面倒だったり、続くわけないし……と尻込みしたりするかもしれません。でも、実際身体を動かしてみると、他では得られない爽快感に驚きますよ。
とくに悶々としているときに、ウォーキングなどのリズム運動を行うと、頭も身体もスッキリして、元気が戻ってきます。
身体の脂肪も燃焼されて軽くなり、一石二鳥と言えるかも。
(11)好きなことに没頭する
五月病の予防に一番手軽、かつ効果的なのは、オンとオフにしっかり区切りをつけて、「好きなことに没頭する時間」をこまめに確保することです。
いくら仕事が大事でも、帰宅してからも休日もずっと仕事のことばかり考えていては煮詰まってしまいます。
あなたの好きなこと、何時間でも夢中になって過ごせることは何ですか?
- 音楽を聴く
- 歌う
- 絵を描く
- 塗り絵をする
- ハンドメイド
- 読書
- 料理
- 映画を見る
- ペットと遊ぶ
- ガーデニング
子どものころや、学生時代に好きだったことも思い出して、ぜし書き出してみてください。きっと良いヒントになりますよ。
【4】セロトニンを増やすのも有効な対策
自律神経を整えて、はつらつと健やかな日々を過ごすのに不可欠なものの一つが、セロトニンというホルモンです。
セロトニンを増やす方法は、意外と簡単!
- 早寝早起きする
- 太陽の光をたっぷり浴びる
- リズム運動をする
- 子どもや動物と触れ合う
- よく噛んで食べる
- トリプトファンを含む食品を摂取する
など。上でご紹介した五月病対策と、重なる部分も多いですね。
セロトニンの原料「トリプトファン」が豊富な食べ物
食べ物に含まれるトリプトファンは、体内でビタミンやミネラルの助けを借りて、セロトニンへと変身します。
このため、トリプトファンを多く含む食べ物を(ビタミン・ミネラルとともに)食べることも、セロトニンを増やすコツの一つです。
トリプトファンを豊富に含む食べ物とは、
- 乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)
- 大豆製品(味噌・豆腐・納豆など)
- ナッツ類(アーモンド・クルミなど)
- カツオ
- マグロ(とくに赤身)
- バナナ
- 玄米
- 卵
などです。意外と身近な食べ物に、たくさん含まれていますね!
これらを、ビタミン・ミネラルとともにバランスよく食事に取り入れましょう。
気持ちを楽にし、健やかにするセロトニン。日常のちょっとした工夫で増やしていくことができそうです。
頑張った自分、適切にケアしてあげましょう
五月病でつらいのに、「サボりかも」なんて自分を責めないであげてくださいね。
症状が出るのは、あなたが頑張りすぎているからかもしれません。好きなことをする時間、リラックスできる時間をとっているか、今一度確認を。
他人と同じくらい、いえ、それ以上に自分へのケアは大切です。こまめなケアで、新生活を乗り切っていきましょう。
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