炭水化物抜きは危険!炭水化物とホルモンバランスの関係
Date:2017.09.26
ダイエットに興味がある方もない方も一度は耳にしたことがあるはずのダイエット、「炭水化物抜きダイエット」や「低炭水化物ダイエット」。
実際に試してみると、確かに即効性もあり、痩身効果を実感できるため、やりがいがあるダイエットといえるでしょう。
でも、この炭水化物を制限するダイエット、良いことばかりではないのです。特に女性はこのダイエットを行うことで、折角健康的に美しくなりたいという願いからかけ離れた結果が出てしまうこともあるのです。
その代表的なものの一つが「ホルモンバランス」です。
私たちの身体に分泌されるホルモンは、実は炭水化物と深い関係にあります。そのため、低炭水化物、炭水化物抜きダイエットを行うことで私たちの身体がおかしくなってしまう危険性もあるのです。
では実際にどのような影響があるのでしょうか?ここでは具体的に炭水化物とホルモンバランスの関係についてご紹介していきます。
低炭水化物がホルモンバランスを崩す?!その危険性とは
ホルモンは私たちの身体が健康でいるためには欠かせないもので、常にしっかりとバランスが取れた状態で分泌されなくてはなりません。
私たちの身体には、状況によってホルモンの分泌量が調整出来るようなシステムがあります。しかしながら、これは私たちの日々の生活の中で、何かしらの要素でホルモンの調整に狂いが生じてしまうことがあります。
その代表的な要素の一つが過度のストレスが挙げられますが、同じくらい影響を受けるのが、実は食事内容なのです。
昨今の低炭水化物や炭水化物抜きダイエットにより、本来摂取すべき炭水化物の量が摂れなくなると、私たちの身体のホルモンバランスも崩れてしまう恐れがあります。
では一体、炭水化物が不足することにより、私たち女性のホルモンにどのような影響が出てくるのでしょうか?
低炭水化物と低カロリーの食事は副腎疲労の原因になる
ホルモンが分泌される腺は数多くあり、それぞれが程よい量分泌されるようになっています。その中でも
- 脳に位置する「視床下部」
- 同じく脳に位置する「下垂体」
- 腎臓の上部に位置する「副腎」
の3つの分泌腺は、それぞれがお互いに作用しあい、絶妙なバランスを取っています。これは視床下部-下垂体-副腎系、またはHPA軸と呼ばれる神経内分泌系です。
このHPA軸は、体内活動の多くに作用しており、
- ストレスレベル
- 気分
- 感情
- 消化
- 免疫系
- 代謝
- エネルギーレベル
- 性欲
といった、私たちが日常生活を送るにあたって非常に大切なものを制御して、正常に機能するように働いてくれています。
このHPA軸は
- ストレス
- カロリー摂取
- 運動量
といったものに非常に影響を受けやすいということが分かっています。
特に、長期にわたるストレスは、コルチゾールとノルアドレナリンを過剰分泌し、この3つの腺に負担をかけます。これが続くとHPA軸の機能不全、いわゆる副腎疲労が引き起こされる恐れがあるのです。
この副腎疲労は
- 免疫機能の低下
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病
- うつ
といった病気、症状を引き起こします。この引き金となるストレスは、実はカロリーが低すぎる食事と低炭水化物が関係していることが分かっています。
そうなのです、一見健康そうに思える低カロリーや低炭水化物食ですが、行き過ぎてしまうことでストレスの原因となり、副腎疲労を引き起こすことに結び付くのです。
更に歯、適度な脂肪と適度な炭水化物を摂った被験者と比べ、低炭水化物食を摂った被験者は、体重が減ったにも関わらず、ストレスホルモンのコルチゾールを増やしてしまうという研究結果もあります。
つまり、ダイエットによって炭水化物を控えすぎることで、例え痩せたとしても、副腎疲労を引き起こす上にコルチゾールが増え、その副腎疲労の症状に拍車をかけてしまう危険性が高くなるということです。
生理に影響が!低炭水化物で生理不順や無月経になることも
生理は女性にとって大切なものです。鬱陶しいと思うこともあるかもしれませんが、全く来なかったり、遅れたりすると、身体に何らかの異常が出ている可能性があるというバロメーターともなります。
生理が定期的に来ない生理不順や、妊娠していないのに生理が3か月以上来ない無月経は、まず第一にホルモンの異常が考えられます。特に無月経の場合、多く見られるのが視床下部性無月経によるものです。
視床下部性無月経は、月経周期を促す性腺刺激ホルモン放出ホルモンと呼ばれるホルモンの量が少なくなってしまうことにより始まります。
それに反応して、
- 黄体形成ホルモン
- 卵胞刺激ホルモン
- エストロゲン
- プロゲステロン
と、まさにドミノ式にホルモン量が少なくなっていき、無月経が引き起こされてしまうのです。
また、他にも脂肪細胞によって作れらるレプチンというホルモン量が少なくなることでも、無月経や生理不順が引き起こされることも分かっています。レプチンの量がある程度ないと、正常な生理が起こらないのです。
このような無月経、生理不順を起こすホルモンバランスの崩れの原因としては、
- 急激な体重減少
- カロリー摂取が低すぎる
- ストレス
- 運動のし過ぎ
- 炭水化物摂取が少なすぎる
ということが考えられるのです。特に痩せ気味、または痩せすぎている方で、低炭水化物の食事を摂っている方には、レプチンが必要量作られないことからも、非常に危険が高くなると言えます。
12歳から19歳の女性を対象に行った研究では、ケトン食ダイエット(超低炭水化物ダイエット)を6か月続けた20人の女性のうち、45%が月経異常が見られ、6人が無月経になったという報告があるのです。
このことから見ても、
- 既に痩せている人の低炭水化物、炭水化物抜きダイエット
- 長期間にわたる低炭水化物、炭水化物抜きダイエット
は女性の大切な生理に何らかの影響を及ぼしてしまう可能性が高いといえるのです。
炭水化物を抜くことで甲状腺異常の危険あり!
私たちの首の前面に位置する甲状腺では、サイロキサイド(チロキサイド、T4)とトリヨードサイロニン(トリヨードチロニン、T3)というホルモンを分泌しています。
これらの二つのホルモンは幅広い範囲で身体の機能に作用しているとても重要なホルモンです。
その主な機能は
- 呼吸
- 鼓動
- 神経系
- 体重
- 体温調整
- コレステロール量
- 生理周期
などが挙げられます。どれも生命活動には欠かせない大切なものです。
生物活性が強いT3は、カロリーと炭水化物の摂取に非常に繊細に影響を受けます。もしカロリーや炭水化物の摂取が少なすぎると、T3 の量は落ち込んでしまいます。
そうすると、T3の活動をブロックするリバースT3(rT3)というホルモンが増えてきてしまうのです。それにより、T3は上手く作用しなくなってしまいます。
T3の量が減り、rT3の量が増えてしまうことで、私たちの身体の代謝が落ち込んでしまうのです。 その結果、
- 体重増加
- 疲労
- 集中力の欠如
- 気分の落ち込み
といった症状が出てきて、日常生活に支障をきたしてしまうことにも繋がります。これは特に長期で低炭水化物ダイエットや炭水化物抜きダイエットを行った際に危険が増します。
炭水化物を抜いて最初は一気に体重が減った。でもそのまま続けていたら、ある日を境に体重が増えて、疲れやすく、気分が滅入るようになってしまった…なんてことがあるのです。
この甲状腺ホルモンと炭水化物の関係、そしてそれに伴って起こる症状に関してはいくつかの研究により証明されています。
まず、肥満の人を対象に行ったT3量の変化を見る実験では、炭水化物抜きのダイエットを2週間行った被験者たちは、T3量が47%も減少したという結果が出ています。
一方で、カロリーをある程度取り、少なくとも1日50gの炭水化物を摂取した被験者たちのT3量は減りませんでした。
また、肥満や肥満気味の人を2グループに分け、同じカロリーで
- 超低炭水化物(総エネルギー摂取量の4%)+高脂肪
- 高炭水化物(総エネルギー摂取量の46%)+低脂肪
の食事をそれぞれ1年間してもらったところ、体重の減り方は同じでした。
しかしながら、炭水化物をしっかりと摂っていた被験者は、超低炭水化物の食事をしていた被験者に比べ、うつや不安などの症状が少なく、総合的に気分が良い状態であることが分かったのです。
このように低炭水化物の食事は甲状腺の機能を低下させてしまい、心身ともに悪影響が出てしまう可能性が高いと言えます。
少なすぎるとNG!ダイエット中の炭水化物の適量は?
炭水化物の摂取量が低すぎることで、私たち女性のホルモンは悪影響を受けてしまうということをご紹介してきました。
でも、炭水化物は摂りすぎたら太ってしまうのも事実、程よく減らすことで痩せる助けをしてくれるもの事実なのです。そこで適量を知る必要が出てきます。
人によって適量が違う?一般的に言われるガイドラインとは
まず、厚生労働省のガイドラインによると、18歳以上の人は、ダイエットを目標としていない場合、炭水化物量を1日の必要エネルギー量の50-65%を目標値として設置がされています。
それを基本とすると、女性は基本値として1日200g程度の量が推奨されています。これは単純にご飯に換算すれば、一膳約160gとすると炭水化物量が約60gとなるため、1日3膳強ということになります。
もしこれがダイエット目標となるのであれば、諸説はありますが、炭水化物摂取量は1日のエネルギー量の15-30%程度を目安とするのが良いとなります。
これを考えると、ダイエットをするのであれば、75-150gの量を摂るのが良いとなります。そうするとご飯では1日1杯強から2杯強という計算になります。
しかしながら、これでは量の差が意外と大きいということを気づかれるのではないでしょうか。ご飯1杯違うと大分変わってきますよね。
実は炭水化物の適正量はその人の身体の状態などによって変わってくるのです。それは大きく分けて
- 炭水化物を少し多めに摂るべきタイプ
- 炭水化物を控えめにするべきタイプ
の二つのタイプがあります。どちらがご自身に当てはまるかを知ることが大切になってくるのです。では、次で具体的に見ていきましょう。
低炭水化物が向かない方も!炭水化物を適量に摂った方が良い例
毎日あまりおかずを食べずに、どんぶりや麺類、パンなどで食事を済ませがちの方は、炭水化物を摂りすぎている可能性は否めません。それで身体が重いような感覚があるのであれば、炭水化物を減らすことをお勧めします。
でも、炭水化物を一日に100gから150g程度と、ダイエット中であっても少し多めに摂った方が良い女性もいらっしゃいます。それは以下のようなケースです。
- 運動をするなど日々活動量が多く、身体の疲労が中々回復しない
- 甲状腺機能不全がある
- 低炭水化物ダイエットを行っても、体重が中々落ちなかったり、逆に増えてしまう
- 無月経や生理不順がある
- 既に炭水化物抜き、超低炭水化物ダイエットを長期間にわたり行っている
- 妊娠中、または授乳中
このような症状がある方は、低炭水化物ではなく、適量の炭水化物を摂る生活を送りましょう。そのようにすることで、
- 体重減少
- 気分の向上
- エネルギー量の増加
- 生理の正常化
- 良質の睡眠
などの効果が期待できます。
摂りすぎはNG!炭水化物を控えめが向いているタイプ
炭水化物を適量範囲の中で少し多めに摂った方が良い方がいる一方で、逆に炭水化物を控えた方が良い方もいます。
以下の方は1日の摂取量を100g以下に抑えた方が良いというケースです。
- 太り気味や肥満
- オフィス仕事など、座っている時間がとても長い
- てんかん持ち
- 多嚢胞性卵巣症候群がある
- 子宮筋腫がある
- 子宮内膜症がある
- カンジダ症がある
- 糖尿病患者
- アルツハイマーやパーキンソン病などの神経変性疾患がある
- がん患者
これらの症状がある方は、炭水化物は控えめにした方が良いでしょう。(注意:ここに挙げた以外でも、何らかの病気を患っている方は、医師と相談の上で食事内容を決めることをお勧めいたします。)
特に病気など身体は悪くないけど、太り気味だったり、オフィスワークが多かったりといったような方は、低炭水化物ダイエットを行うことで、痩せやすくなります。
ただ、炭水化物の摂取量が1日50gを下回る、超低炭水化物ダイエットや炭水化物抜きダイエットは短期間ならともかく、長期間行うことは止めましょう。
極端に炭水化物を減らすのではなく、炭水化物量を1日100g以下に抑えるように意識的に食事を摂るという生活を送ることで、身体の調子が良くなるはずです。
抜かずにいつもより少し減らすを目標にしよう
炭水化物はカロリー同様、摂りすぎればダイエットの敵になることは間違いありませんが、足りないと、やはりカロリー同様に身体に支障をきたしてしまうことが分かっています。
それはホルモン分泌に悪い影響を与え、女性の女性らしさをなくしてしまうほか、私たちが健康でいるために大切な身体機能までも損ねてしまう可能性が非常に高くなるのです。
そこで、ダイエット中の方は炭水化物は「抜く」のではなく「減らす」という方法を取ることを強くお勧めします。
例えば、今までご飯を茶碗一杯に食べていたのであれば、それを半分から2/3くらいに減らし、その分野菜を食べるといった方法を取るというように、無理なく調整してみましょう。
そして、1日50gを切る超低炭水化物ダイエットは避けるようしましょう。どうしても行いたいというのであれば体調をみながら短期間限定で行ってください。
短期実践後体調が良いようであれば、その後はダイエット前に普段食べていた炭水化物の量よりも少なめの量程度を食べていく、という方法をとると良いでしょう。
炭水化物は食べ過ぎない限り悪者ではありません。三大栄養素の一つで、私たちの身体には欠かせない大切なものなのです。
そのことをくれぐれも意識した上で是非無理のないダイエットを心掛けてくださいね。
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