鉄分の効果や重要性を知ろう!不足すると貧血だけでなく美容に悪影響
Date:2017.08.23
鉄分が大事な栄養素だということは知っていても、なぜ不足すると貧血になってしまうのか、そのメカニズムなど、実はよく分かっていないという人も多いのではないでしょうか。
鉄分は微量であっても身体の中で重要な働きをしています。貧血の症状はないからと安心してはいけません。
鉄分が不足すると肌や髪へ悪い影響を及ぼすこともあるのです。
特に女性には必要なミネラルなので、改めて鉄分の効果をおさらいしてみましょう!
貧血予防だけじゃない、鉄分の健康効果
鉄分はおよそ7割が血液に、残りは筋肉や肝臓などに貯蔵されています。
血液や筋肉にあって働いているものを「機能鉄」、フェリチンやヘモジデリンとして肝臓などに貯蔵されているものを「貯蔵鉄」といいます。
それぞれが異なった働きをしています。
赤血球を造る造血作用
鉄分はビタミンB6とともに赤血球の構成成分となっています。つまり血液を造るためには鉄分が不可欠だということですね。
赤血球の寿命はおよそ120日。約4ヶ月です。ずっとあるわけではないので、鉄分を摂り続けないと赤血球が作られなくなってしまうのです。
酸素を全身に運ぶ働き
鉄分は赤血球にあるヘモグロビンの材料です。体内の鉄分のうち、70%はヘモグロビンの成分です。血液が赤く見えるのはこのヘモグロビンの色素によるものです。
ヘモグロビンの大事な働きは、酸素と結びついて身体の隅々や各器官に酸素を送り届けるということです。
ヘモグロビンは赤血球の中にありますから、寿命は同じ120日。ですから鉄分を常に補給しないとヘモグロビンが足りなくなってしまい、身体が酸素不足になってしまいます。
筋肉で酸素を貯蔵する
筋肉は見た目が赤いですよね。これはミオグロビンというたんぱく質が筋肉にあるからなのですが、鉄分はこのミオグロビンの中にも3~5%貯蔵されています。
ミオグロビンは血液中のヘモグロビンから酸素を受け取り、それを使う必要が生じるまで筋肉の中に貯蔵しておくのです。
筋肉の収縮に関わる
私たちは食べたものからATP(アデノシン三燐リン酸)を作り出し、それを使ってエネルギーを作ります。
筋肉にあるATPがADP(アデノシン二リン酸)に変わる時にエネルギーが放出されて筋肉を動かすことが出来るのですが、そのためには酸素を細胞内に取込むが必要です。
酸素を取込むためには鉄分が必要で、ミオグロビンの中にある鉄分が酸素を取込むことで筋肉を収縮させるのです。
鉄分の疲労回復効果
酸素を体中に送り届けるのにも、筋肉を動かしたりエネルギーをつくのにも鉄分が必要です。
ですから、疲れている時ほど鉄分をしっかり取ることで、エネルギーを効率よく作ることが出来るので、疲労回復効果が得られるのです。
免疫機能の向上
鉄分は粘膜を保護したり白血球の働きを維持するために必要です。
白血球は身体の免疫機能を正常に働かせるために不可欠ですから、鉄分が風邪を引きにくい丈夫な身体作りをサポートするのです。
貯蔵鉄として必要な鉄分をストックする
先ほど、鉄には機能鉄と貯蔵鉄があるというお話をしました。
機能鉄は普段血液の中で働いている鉄分ですが、これが足りなくなると、フェリチンというたんぱく質に貯蔵してあった鉄分を使って身体を動かします。
いざという時のために必要な量の鉄分をストックしておく、というのも大事な働きの一つです。
肌にも嬉しい鉄分の美容効果
鉄分は健康を維持するために必要であるだけでなく、美容のためにも役立つのです。肌への効能などをご紹介します。
シミを防ぐ働きも
シミと鉄分?と思うかもしれません。それには、シミがなぜ出来るのかを知っておかないといけませんね。
シミはメラニン色素が沈着したものですが、元々は活性酸素から肌を守るために出てきているものなんです。
紫外線を浴びると大量の活性酸素が作られますが、これを抑えることができるのが「カタラーゼ」という酵素です。
このカタラーゼは鉄分があって初めて作られるため、鉄分が不足するとカタラーゼを十分作れません。
コラーゲンを合成する働き
コラーゲンが肌のハリに大事だということは言うまでもないと思いますが、このコラーゲン生成にも鉄分が関わっています。
コラーゲンには特有のアミノ酸があり、これを元にしてコラーゲンを作る際にビタミンCと鉄が必要であることが分かっています。
鉄分とコラーゲンが関係しているということはあまり知られていないと思うのですが、美肌を作るためにも鉄分は欠かせないんですね。
女性に不足しがちな鉄分
鉄分は体外に排泄される量が少なく、再利用される分も多いのです。
ところが女性の場合は毎月の生理で、経血と一緒に排出される分があるため、男性よりも鉄分が不足しがちなんですね。
- 男性は4.0g
- 女性は2.5g
の鉄分が体内にあるといわれていますが、やっぱり女性の方が少ないですね。女性は常に鉄不足の状態にあるといえます。
鉄分の1日の摂取目安量
鉄分の摂取目安量は男性と女性で違いますし、年代によっても違ってきます。厚生労働省によると、以下の量が必要とされています。
月経なし | 月経あり | |||
---|---|---|---|---|
年齢 | 平均必要量 | 推奨量 | 平均必要量 | 推奨量 |
18~29歳 | 5.0 | 6.0 | 8.5 | 10.5 |
30~49歳 | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 11.0 |
50~69歳 | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 11.0 |
※単位:mg
月経が正常に来ていれば、ない人と比べると倍近い量の鉄分が必要だということになりますね。
ところが実際の摂取量はこれにはほど遠く、足りているのは70歳以上の方だけというデータもあります。
ほとんどの年代で鉄分の摂取が足りていないので、女性には貧血が多くなってしまうのでしょう。
妊娠中は鉄分不足になりやすい
妊娠中は血液量が増えますが、それに伴ってヘモグロビンの量が増えるわけではありません。鉄分はまず胎児優先で使われるので、血液が薄くなってしまうのです。
それまでは貧血と診断されたことのない人でも、妊娠を機に貧血になってしまう場合があるので気をつけましょう。
鉄分不足がもたらす症状
鉄分には血液を造る以外にもたくさんの働きがありました。では鉄分が不足するとどうなってしまうのか、その症状をまとめました。
一番多い鉄欠乏性貧血
ヘモグロビンが減少することが原因で起こる貧血です、一般的に貧血というとこの貧血をさすことが多いです。
貧血予防のためには鉄分は必要不可欠なミネラルですから、鉄分が不足すると身体が酸素不足になり、貧血症状をおこします。
- 頭痛
- めまい
- 立ちくらみ
などの症状が起きやすくなります。顔色も青白くなっていかにも不健康そうな見た目になってしまいますね。
潜在性鉄欠乏症(隠れ貧血)
特に女性はフェリチン不足が深刻だともいわれています。
通常の健康診断の血液検査ではヘモグロビン値しか調べていないことが多いので見過ごされがちなのです。
もしヘモグロビンの値は正常なのに貧血の症状があるという方は「隠れ貧血」を疑ってみた方がいいかもしれません。
隠れ貧血は見た目だけでは分かりづらく、
- むくみ
- だるさ
- 肩こり
- 手足の冷え
- イライラ
- 肌のくすみ
など、様々な症状を引き起こします。
エネルギー不足で疲れやすくなる
鉄分は疲労回復効果がありましたね。ですから足りなくなると疲れやすくなってしまうのです。
それは生み出せるエネルギーの量が少なくなるからです。筋肉の収縮にも影響を与えますから、体全体が疲れやすくなってしまいます。
- めまい
- だるさ
- 集中力の低下
などをもたらします。
持久力が足りないかなと思ったら鉄分不足かもしれません。運動をよくする人は特に鉄分が必要なんです。
肌のハリツヤがなくなる
鉄分不足は見た目にも現れます。
- 顔色が悪くなる
- 肌が青白くなる
- 肌がくすむ
など、立ちくらみなどより肌に出る症状の方が分かりやすいかもしれません。
爪にも鉄不足の症状が出る
見た目で分かる鉄不足は肌だけではありません。
- 爪が平らになる
- 割れやすくなる
- 反り返る
- 白っぽくなる
など、爪にも不足の症状が現れます。ネイルケアをしているのに爪が割れてしまう場合は、保湿が足りないのではなくて、鉄分が足りないのかもしれません。
その他の身体の症状
鉄分が不足すると、ふらふらするだけではないのです。
- 風邪を引きやすい、治りにくい
- 肩こり、腰痛
- 口内炎
- 食欲不振
- 吐き気
- 抜け毛が増える
など、一見鉄不足とは関係なさそうな症状も出てくるので、気が抜けませんね。
鉄分が足りなくて血液が減るということは、髪の量にも影響してしまうのです。
精神的な症状も出る
鉄分が不足すると、身体だけでなくメンタル面でも影響が出てきます。
- イライラする
- 不安
- 集中力の低下
- うつ
などの精神状態も左右してしまうのです。
例えば幸せホルモンといわれるセロトニンはトリプトファンから作られますが、その過程において鉄分が必須なのです。
生理中の女性がイライラしがちなのは、女性ホルモンのバランスが乱れることも原因ですが、鉄分不足もその理由の一つになっているといわれています。
鉄分は不足してない?セルフチェックしてみよう
鉄分不足はふらふらするだけではないことがお分かり頂けたところで、鉄分不足の心配はないかチェックしてみましょう!
- 疲れやすい
- 動悸、息切れ
- 立ちくらみがする
- 抜け毛が多い
- 集中力が持たない
- やる気が出ない
- 寝つきが悪い
- 目覚めが悪い
- 口内炎が出来やすい
- 風邪を引きやすい
- 顔色が悪い(青白い)
- まぶたの裏が白っぽい
- 身体にアザが出来やすい
- 抜け毛が多い
- 記憶力が低下している
- 毎月の生理痛が重い
- 月に2回以上生理が来ることがある
- 経血の量が多い
- 婦人科系の疾患(子宮筋腫など)がある
0なら問題ありません!でも1個でもあったら、軽度ではありますが、鉄分不足の可能性があります。10個以上チェックがついたならそれはおそらく鉄分不足。
食生活を見直してみる必要があるでしょう。
鉄分の過剰摂取には気をつけて!
食事だけではなかなか鉄分が摂れないからとサプリメントなどを利用する方も多いと思います。でも、摂れば摂るほどいいというわけでなく、鉄分過剰症には注意が必要です。
サプリメントや鉄材で鉄分を補う時には、普段の食事の内容やサプリメントで摂れる鉄分の量を合わせて考える必要があります。
副作用としては、
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
などの胃腸障害を起こすこと、また、皮膚の色素沈着が起こる場合もあります。
必要以上に身体のあちこちに鉄分が蓄積されることは臓器にダメージを当たることになるので注意が必要なのです。
とはいえ、鉄分は圧倒的に足りていない栄養素なので、普通の食事で過剰症になる心配はまずありません。ですから、サプリメントを併用する時に注意をしてください。
鉄分を摂ってキレイになろう!
鉄分は少量であっても身体の中でとても重要な働きをしていることがお分かり頂けたと思います。
鉄分不足になると困るのは、めまいや立ちくらみだけではありません。美容にもとても良くない影響がありますから、健康的な美肌を作るためにも鉄分をしっかり摂りたいですね。
食べ物からだけで鉄分を摂るのはなかなか難しいので、まずは栄養バランスの良い食事を心がけること!
それから飲み物やサプリメントなども上手に利用しながら鉄分補給をしていきましょう。
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