部下に嫌われる女性上司の共通点と部下へのスマートな接し方
Date:2017.09.04
「部下に嫌われるのも上司の仕事のうち」という考え方があります。
ですがこれは、「適切な指導をするためならば、嫌われることを恐れるべきではない」ということであって、決して「上司だから嫌われて当たり前」という意味ではありません。
部下に嫌われてしまうと、発言を真剣に受け止めてもらえなくなり、問題改善の際には大きな障壁となります。
また、部下の多くが上司に対して不満を抱える現場では、モチベーションと生産性がともに下がり、退職者が続出するような事態にもなりかねません。
部下に嫌われやすいことは、大きなリスクを孕んでいます。
今回は、部下との関係に悩む上司(とくに女性上司)の方に向けて、「部下に嫌われる上司」に見られがちな特徴をご紹介していきます。
自分が当てはまるものはないか、そんなつもりじゃなくても誤解されていそうなものはないかなど、思い浮かべつつ読んでいただければ幸いです。
部下に嫌われる上司の特徴(1)仕事の進め方の問題
部下に嫌われる上司は仕事の進め方においていくつか特徴があります。
仕事で部下たちに結果を求めるあまり、下記のような言動をしていないかチェックしてみてくださいね。
1.問題を自分の責任として受け止められない
嫌いな上司に関するアンケートをとると、いつも上位にランクインするのが「人のせいにする」上司です。
部下がいて役職があるということは、そのチームの仕事の最終的な責任を背負っているということです。何か問題が起きたとき、責任をとるのも上司の仕事のうちなのです。
いざというときにかばってくれない上司、自分のせいではないと主張することしか考えていない上司に、部下は失望し、信頼できないと感じます。
もちろん、上司自身のミスを部下に押し付ける、なんて行為はもってのほかです!
2.手柄を独り占めしてしまう
部下の手柄やチームの功績を、まるで自分の手柄のように扱う上司も、失望されます。
明らかに部下の手柄なのにそれを横取りする、なんて場合はもちろん、「これは自分の手柄だ」と感じている場合でも、今一度振り返って考えてみましょう。
その部署の仕事を自分一人で全てこなすことは、できないはずです。部下は部下で、任された仕事を(たとえ完璧ではないにしても)一生懸命こなしています。
あなたが大きな功績を築いている間、他の仕事を縁の下で支えてくれていたのは、部下たちです。そのことを忘れず、感謝の気持ちを示すこともマネジメントの一環です。
そうすると、部下は自然に「あの上司のためにまた頑張ろう」と思えるものです。
3.部下を手駒やロボットのように扱う
部下に対する敬意がない、マナーを守らない。そんな上司も嫌われます。
これは無意識に行ってしまっている場合も多いので、自身が部下への敬意を失っていないかどうかを常にチェックする習慣をつけましょう。
もしもあなたが、
- 部下に挨拶されても返さないことがある
- 部下が自分の頼んだ仕事をやるのは当たり前だと思っている
- 部下の気持ちなど考えていたら仕事にならない
- 部下に休暇をとられたら、仕事が回らなくて困る
こうした考え方を軸に置いて部下と接しているのなら、部下に対する敬意が少々不足しがちであると言えます。
挨拶を交わしたり、してくれた仕事に感謝したりすること。それは、人として最低限のマナーではないでしょうか。職場といえど、そのことに変わりはありません。
部下はロボットでもなければ、あなたの手駒でもありません。言葉をかけたり、感謝を伝えたり、多忙な作業が一段落したらちょっとしたお菓子やドリンクを差し入れて休憩してもらう、といった心遣いが、部下の気持ちをほぐします。
人間同士のあたたかみのある職場環境を心がけてください。
4.本来の仕事以上のことをやらせる
部下を私物と勘違いして、仕事と関係のない用事をあれこれ頼む上司も、嫌われます。
たとえば、
- 「自分は機械に弱いから」という理由でパソコンのことは何でもやらせる
- 秘書でもないのにスケジュール管理を丸投げしている
- プライベートの用事や買い物を頼む
こうしたことです。
上司に頼まれてしまうと、部下はなかなかイヤとは言えません。が、口に出さないだけで「またか」とうんざりしていることはあるものです。
部下だって、それを治すにはネットで症例を調べたり、いろいろな方法を試したりしています。その労力は、本来あなたが負うべきものです。
まずは自分でやってみて、どうしても出来ないときだけ詳しい人に教えを請う。何かしてもらったら、「ありがとう」と心から感謝する。そうした当たり前の気遣いを忘れてしまうと、部下の尊敬を失います。
スケジュール管理やプライベートの用事・買い物は、それこそ部下への押しつけです。仕事と私事はきちんと線引きし、自分でやりましょう。
5.指示がコロコロ変わる
朝一番で受けた指示どおり仕事を進めていると、その日の夕方にはまるきり逆の指示を出される。こんなことが続くと、部下はやはり上司を疎ましく思います。
部下は上司の指示に沿って、すでに先々までスケジュールを組み、仕事をスタートしています。その指示がコロコロ変わると、予定も何もあったものではありません。
仕事が停滞するどころか、逆戻りして一からやりなおしです。困ってしまいます。
指示が変わるのが日常茶飯事になってしまうと、「この上司の指示に従うのは無意味だ」と感じ、指示に従わない部下も出てきます。
(現に、筆者がそうした上司の元で働いていた頃、同僚は「同じことを3回言われたら、やることにする」という言葉を、スローガンのように口にしていました。彼女の気持ちも分かります。)
「朝言ったことを夕方には忘れてしまう」というタイプの人は、指示したことを手帳に書くなどしてきちんと管理しましょう。
6.矛盾した指示を出す
「何をするにも私を通して。必ず私に相談して」というのが口癖の上司。
でも実際に相談すると、「なんでもかんでも私に言わないで!」と怒られる……。
このときの部下の気持ちは、想像がつきますよね。
でもこうした場合、上司本人はなかなか気づけないものです。この事態を防ぐためにできることは、部下の言い分にきちんと聞き耳を持つこと。
なぜ自分にそれを相談したのか、疑問に思ったなら訊いてみましょう。自分の指示が思惑とズレて伝わってしまっている可能性もあります。もしそうなら、冷静にそれを説明して、理解してもらう必要がありますよね。
カッとなってしまうと、頭ごなしに「○○して」「××しないで」と指示してしまいがち。仕事中は常に冷静に、客観的に指示を出すことを意識してください。
7.言葉と行動が一致しない
自分が決めたルールを自ら破ったり、自分の都合で嘘をついたりする上司は、部下から信用されないだけでなく、嫌われてしまいます。
たとえば、
- 遅刻厳禁と言っておいて、自分で遅刻する
- 部下の休暇申請をなかなか認めないのに、自分は簡単に休む
- 「あなたのため」と言いつつ、自分の都合で仕事を押し付ける
など。
職務上、部下を引き締めなくてはならないときもあるでしょう。でもそんなときこそ、上司自身が率先して誠実にルールを守っていくことが大切です。
そうでないと、部下は決してついてきません。
8.叱り方がしつこい、嫌味っぽい
他人を叱るのは、本当に難しいことです。叱り方ひとつで、部下は上司を尊敬することもあれば、大嫌いになってしまうこともあります。
部下を叱る際とくに気をつけたいのは、ネチネチと嫌味を言ったり、長々と説教したりしないこと。言いたいことは伝わらず、悪い印象だけが部下の中に残ってしまい、お互いにとって損です。
終わったことをいつまでもほじくり返しては嫌味を言う、というのも避けましょう。
部下がきちんとミスを反省していたとしても、あまりしつこく言われるとげんなりしてしまいます。
9.指示が分かりにくい・不足している
上司のビジョンを叶えるために、指示に従って動く部下たち。でも、その意向をきちんと伝えることができないと、上司にとって思ってもみない結果を招くことがあります。
「どうしてこんなことするの!」と部下を責める前に、自分の指示に不足がなかったか、要点をきちんと伝えることができたか、振り返ってみましょう。
〆切や共有事項など、伝え漏れはなかったでしょうか。
仕事の指示も、人間同士のコミュニケーションの一部です。部下一人一人とコミュニケーションを重ねて、どんな言い方をすればきちんと伝わるのか研究していきましょう。
10.あまりにも完璧主義
仕事がものすごく出来るのに、なぜか嫌われてしまう。そんな上司に多いのが、このタイプです。
人はつい、自分が出来ることは他人も出来て当たり前だと思い込んでしまいますが、そんなことはありません。
部下に対して「どうしてこんなことも出来ないんだろう」と軽蔑してしまう上司。
逆に、「出来るようになってほしい」との思いが募りすぎて、細かすぎる指示を出さないと気が済まなくなってしまう上司。
そんな状態になると、部下は消耗します。
要領を掴んで効率アップするのは、部下の仕事です。重箱の隅をつつかないよう、注意しましょう。
11.力関係を利用する
上司の立場を利用して、自分のすべき仕事や残業を押し付けてくる上司も、やはり嫌われます。
部下はその立場上、心の中ではやりたくないと思っていても、上司に言われたらなかなか断りにくいものです。
嫌なこと・面倒なことを押し付けてくるリーダーと、自ら率先してそれらを引き受けるリーダーなら、どちらが信頼され慕われるかは、言うまでもありません。
「部下は私の言うことをきく」と分かっていて、それを利用するのは厳禁です。
12.暴君のように君臨する
「私に全部任せて、ついてきて」とチームを引っ張ってくれる上司は、心強いものです。でも、勘違いして暴君になってしまうと、話は変わってきますよね。
- 何をするにも一人で決める
- 反対意見はシャットアウト
- 良いと思ったことは強引にでも進める
こうした仕事の仕方に心当たりがあれば、少し注意が必要です。
どんなに仕事が出来る人でも、自分一人の考えや経験には限界があります。周囲の意見に耳を傾けることで、より良い策を見つけることだってあるかもしれませんよ。
13.優柔不断で何も決められない
暴君タイプも良くありませんが、かといって「優柔不断すぎて何も決められない」というのも部下としては困ります。
真剣に悩みすぎて決められない、という状態ならまだしも、「どっちでもいいや」と他人事のように考えていたり、「時間がないから」と先延ばししてばかりの上司は嫌われがちです。
何か問題が起きて相談しても「よくわかんない。どうしようね?」と他人事のように言われれば、部下は「この人は上司としての責任を果たしてくれない」と不満を持つでしょう。
14.下手に出過ぎて頼りない
ボス猿のような上司と真逆で、いつもヘラヘラ・ヘコヘコと腰が低く、誰にでも従ってしまうタイプの上司も部下の信頼を得られません。
問題が起きても笑ってごまかそうとしたり、偉い人の意見に左右されてコロコロと指示がブレたり。
「上司として頼りないな」と思われてしまえば、部下は指示に従うことをやめてしまうかもしれません。
部下に嫌われる上司の特徴(2)品格・接し方の問題
仕事の進め方と同じくらい重要なのが、人間としての品格や、部下への接し方の問題です。
嫌われる上司には、そうした点にも共通点があるようです。
1.上から目線で偉そう
「厳しい」と「偉そう」は、似ているようで全く別物です。
部下の成長に繋がる厳しさと、それにまるきり関係ない「偉そうな物言い」は、受け止める側にとって雲泥の差があります。
「私の若い頃は〜」という説教は、自慢話にしか聞こえないので聞き流されてしまいます。
また「私に比べてあなたはここが出来てない」と自分を引き合いに出して部下を責めるのも、反感を買うだけで逆効果になりがちです。
2.相手によって態度を変える
お気に入りの部下へのえこひいきが激しかったり、普段偉そうなのに地位のある人には媚びへつらう癖のある上司も、部下から見れば尊敬できず、嫌われがちです。
人間ですから、相性の良い部下もいれば悪い部下もいるでしょう。でも、仕事にそれを持ち込んではいけません。
仕事の場では、どんな部下にも平等に、公平に接することを心がけましょう。
また、上役や得意先などに接するときだけ過剰に腰が低くなるのも考えものです。偉い人の前でだけコロッと態度が変わる上司に、安心してついていこうと思える部下は少ないでしょう。
とはいえ、自社や得意先の社長に向かって何でも率直にビシッと言う、なんてことは現実的には難しいですよね。
であれば、普段の部下に対する態度にも気を配ることが大切です。自分たちにもきちんと敬意を払ってくれる上司ならば、部下たちは軽蔑したりしません。
3.気分屋、情緒不安定
気分に左右されやすいのは、女性の体質的な特徴です。女性はホルモンの影響を受けやすく、ある程度の気分の上下は誰にでもあります。
だからといって部下に八つ当たりしたり、機嫌や感情だけで怒ったりして良い、ということはありません。
また理不尽な場面で怒られれば、モチベーションも急降下。気分屋な上司、情緒が安定しない上司は、チームの生産性を著しく損なうのです。
上司も人間なので、どんなに気をつけていてもつい感情的に怒ってしまうことだってあるかもしれません。そうしたときには、後ほどきちんと潔く自分の非を認め、部下に直接謝罪とフォローをしましょう。
上司としてのプライドや威厳は、謝ることで傷ついたりしません。むしろそうすべきときにきちんと謝罪できたなら、信頼が深まることでしょう。
4.悪口・陰口・うわさ話が好き
給湯室や誰もいない廊下で、ヒソヒソと話をするのが好き、という人はどこの職場にもいるものです。
また、ランチタイムにその場にいない人のうわさ話に花を咲かせるのが息抜き、と思う人もいるでしょう。
でもこうしたことを上司が日常的に行うと、部下からの信頼を一気に無くしてしまいます。
そのとき話のターゲットになっているのが自分でなくても「陰では私も言われているんだろうな」と考えてしまうのが人情。
また人は自分を中心にものを考える性質があるので、コソコソ内緒話をされれば「私のことを言われているのかな」と不安に思うこともあります。
- 悪口
- 陰口
- うわさ話
こうした類いで息抜きするのは、ほどほどに。
5.デリカシーがない、空気を読めない
外見を褒めているつもりで、部下が不快になることを言ってしまう。
部下のプライベートにやたらと首を突っ込みたがる。
こうしたデリカシーのない行為をする上司は、煙たがられてしまうだけでなく、ハラスメントに問われることもあり得ます。
繰り返しになりますが、部下は上司に向かってなかなか「嫌です」「不快です」という感情を表に出せません。
それを加味した上で部下の反応をきちんと見て、不快な思いをさせていないか注意することが大切です。
外見やプライベートに関することは、基本的には話題に選ばない方が賢明です。
6.器が小さい、余裕が無い
上司として立派でいようと焦るあまり、かえって器が小さいところを見せてしまったり、余裕が無い内情を露呈してしまうこともあります。
- やたら褒めて持ち上げてもらわないと不安
- 間違いを指摘されると怒る
- 部下を論破しないと気が済まない
- 嫉妬深く、成功しそうな部下の足を引っ張ってしまう
こうした上司の姿を、部下はしっかり見ています。
自分を実力以上に見せようとしても、うまくいきません。内面も一緒に成長していくよう、心がけた方が良さそうです。
なぜ嫌われる行動をとってしまうの?根本原因と対処法
嫌われる上司の特徴を、仕事面と内面、2つの方向から見てきました。
ほとんどは「私は大丈夫そう」とほっとする項目だったのではないでしょうか。ただ中には、「これは耳に痛いかも」と感じるものがあったかもしれません。
部下に嫌われてしまう行為も、嫌われたくてやっている上司は少ないはずです。なのになぜ、嫌われる行動をとってしまいがちなのでしょう?
原因は人それぞれ、と言ってしまえばそれまでですが、多くの人に当てはまるものとして、
- ストレスで余裕がなくなっている
- 苦労して手に入れた立場や権力を見せつけたい
- 「経験を共有したい」という善意が裏目に出てしまう
この3つが考えられるのではないでしょうか。
まず、ストレスです。日々の業務に上司としての責任がプラスされ、人に相談しづらい悩みも抱えることになります。
ストレスが心をすり減らし、自分を客観視することができない……という事態に陥りがちだと言えるでしょう。
また、役職を得るために必死で頑張って今の立場を手に入れた、という人もいますよね。それだけ苦労したのだから、見返りがあっても良いはずだという心の奥の願望が行動に現れてしまうケースもあります。
さらに、「自分が培ってきた経験を部下やチームのために役立てたい」という善意が裏目に出てしまう場合もあります。
リーダー。それは本当に大変な立場です。
でも、この記事を読んで成長しようと思ったあなたは、尊敬される「良い上司」の入口に立っているのではないでしょうか。
悩んだときは、同じ立場にいる人や、仕事と全く関係のない人などに相談するのがおすすめです。
日々うまくガス抜きしつつ、冷静に仕事に臨みましょう!
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