体のサイン見過ごしていませんか?女性特有の病気の種類
年々、働く女性が増加していく中、女性の受療率も増加し、なんと男性の1.24倍にもなる事が厚生労働省の調べによりわかりました。
女性は男性と違い、生理・妊娠・出産の為に子宮と卵巣がありますが、その関係で女性ホルモンが分泌されます。
体全体に影響を及ぼす女性ホルモンは、社会でストレスを抱える女性にとって体の不調を与えてしまう事があるのです。
女性特有の病気にはどんなものがあるのか、また、発症しやすい年代、主な治療方法をご紹介していきます。
働く女性が増加した分、女性特有の病気を抱える人も増えている
厚生労働省によると、日本は海外に比べ女性の社会進出が遅れているといわれながらも、平成26年の女性の労働力人口は前年より20万人も増加しています。
その数なんと2,824万人だそうです。
働く女性が増えたといっても、結婚や出産により、職場で必ずしも寛大な理解を得られるとは限らなかったり、男尊女卑の名残から、ストレスを抱える事も少なくありません。
女性ホルモンとストレスはとても深い関係性があり、子宮、卵巣、乳房など、女性特有の病気になる原因の1つとして考えられています。
厚生労働省の調査によれば、女性特有の病気をかかえる患者数は全国でなんと約100万人以上もいるとされ、女性が通院する割合も男性より1.24倍も高くなっています。
ストレスを抱えないように…と頭では思っていても、現実は社会で働く女性とストレスは切っても切れない関係です。
恐ろしい病気になってしまう前に、自分の体を守るための備えはあっても損はしません。
女性特有とされる病気と症状、その主な治療法とは
まずは、女性ホルモンの乱れやストレスなどで起きやすい女性特有の病気にどんなものがあるのか、理解を深めてもらうために病名、発症する事が多いとされる年代、主な治療法についてご説明します。
私は大丈夫と思っていても、女性である以上、いつ女性特有の病気になってしまうかわかりません。あてはまりそうな不調はないか、ぜひご自身の体を確認しながら読んでみてください。
見逃さないでほしい‼「月経不順」
発症が多いとされる年代:20代前半〜40代後半
健康な成人女性は25日〜38日の生理周期とされています。ホルモンバランスの乱れにより、この周期が短くなったり長くなったりする事を月経不順といいます。
ちょっとした体調や環境の変化でも月経不順は起こってしまいます。
その為、周期が乱れても、いつもの事だからと見逃されがちですが、月経不順もちゃんとした女性特有の病気です。
月経不順にはいくつか種類があります。
- 頻発月経(ひんぱつげっけい)
- 月経周期が24日以内と極端に周期が短く、同じ月に複数回、月経が起こるのが特徴です。その為、完全に卵が育つ前に生理が始まってしまうので、不妊や流産が起こりやすくなります。
- 稀発月経(きはつげっけい)
- 39日以上90日未満と周期が長いのが特徴です。卵巣の働きが弱っている時や、急激に体重が減少して栄養不足になる時に起きやすく、妊娠の可能性も低くなります。
- 続発性無月経
- それまであった月経が3カ月以上なくなるのが特徴です。主な原因として環境の変化やストレスが原因とされていますが、まれに甲状腺や子宮などの病気が原因となっている事もあります。無月経は長引くと排卵が完全に止まってしまい、最終的に子宮や卵巣の機能が失われてしまいます。
- 原発性無月経
- 18歳以上になっても初潮が来ないのが特徴です。染色体異常やホルモン分泌異常により、卵巣が正常に機能しなくなり起こるとされていまたかが月経不順だと思っていても不妊や流産など、大きな事につながってしまったり、重大な病気になっている事を見過ごしている可能性もあります。
主な治療法
月経の異常に関する病気については、ほとんどの場合、薬物によるホルモン補充法(黄体ホルモン剤、卵胞ホルモン剤、低用量ピルなど)を行い、ホルモンバランスを整えます。また、最近では薬だけではなく、漢方薬も積極的に使われています。
妊娠を望んでも月経不順でなかなか妊娠できない場合は、排卵誘発剤で一度排卵を起こし、場合によってはホルモン剤や漢方薬と併用して使用する事があります。
治療のみならず、日常でもストレスをためないように発散方法を見つけたり、睡眠をしっかりとったりする事が大事です。
ツライ月経痛の原因かも⁈「子宮内膜症」
発症が多いとされる年代:20代後半〜40代後半
子宮の内側にある子宮内膜が卵巣や骨盤の腹膜などに入り込んでしまう病気です。月経期に剥離・出血しても体外に出ることができずに、月経痛が起こります。
最初は無症状で痛みを感じないのですが、年月の経過によって徐々に悪化し、激しい痛みを伴うのが特徴です。
その他にも、腰痛、下腹痛が見られ、放っておくと高確率で不妊症を合併してしまいます。一般的には5%〜10%の頻度で発症がみられるのに対して、不妊症の人に発症している頻度は20%から30%と多くみられ、その事から、不妊の原因のひとつと考えられています。
子宮内膜症は月経周期が短く、月経の期間が長い人が内膜症になりやすいといわれています。
また、女性ホルモンのエストロゲンと深い関係があるとされていて、エストロゲンの分泌が停止する閉経後や月経が停止する妊娠中や授乳中は、自然と内膜症が落ち着く事が多いのです。
初めの無症状の時には経過観察で様子を見る待機療法もありますが、子宮内膜はホルモンの影響を受けることから、薬物によるホルモン療法が基本です。場合によっては病巣を取り除く手術や、高周波で病巣を凝固する外科療法を行います。
ひどい月経痛の原因かも⁈「子宮筋腫」
発症が多いとされる年代:20代後半〜40代後半
子宮の筋肉から発生する良性の腫瘍の事を子宮筋腫といいます。腫瘍なので、どんどん時間をかけて大きくなりますが、その成長は卵巣から分泌される女性ホルモンにが関係してきます。
子宮筋腫は、無症状のことも多く、検診で初めてわかったという人も少なくありません。また、良性の腫瘍なのでそれが直接、命に関わる事はありません。
よくある自覚症状としては、月経痛・経血の量が多い・血の塊がでる、などです。
出血が多いと、貧血状態になり、立ちくらみや動悸、倦怠感を感じるようになり、日常生活に支障をきたす事もあります。
筋腫は大きくなると膀胱や骨盤内の臓器を圧迫することがあり、頻尿や腰痛、しびれを感じる事もあります。
そのまま放置しておくと、なんと筋腫は10kgを超える大きさにまでなる事もあります。子宮筋腫になるのは、成人女性の約20%と言われており比較的、高い割合で発症しています。
子宮筋腫の原因はまだはっきりとわかっていませんが、筋腫の成長に女性ホルモンが関係しているとされています。閉経までは大きくなったり、筋腫の数が増えていきますが、閉経すると、女性ホルモンの分泌が停止するので子宮筋腫の多くは縮小します。
一般的に、筋腫が小さく無症状であるなら妊娠、出産が可能ですが、それ以前に筋腫がある事で妊娠しにくかったり、流産しやすくなったりと、問題もありますので早期治療をおすすめします。
主な治療法
治療法には手術と、女性ホルモンを低下させる薬などを用いる方法があります。
手術では筋腫部分だけを取る手術と、子宮を全部とってしまう手術があります。子宮を取ってしまっては、妊娠・出産ができませんので、出来るだけ筋腫部分だけを取る手術が実施されます。
最近は、小さな筋腫の取り逃がしがないように、腹腔鏡を使って手術を行う所も増えてきましたが、筋腫の大きさや場所によっては難しい場合もあります。
薬の治療法として、女性ホルモンの分泌を抑えるために、閉経状態をつくる薬や、ピルで治療が行われます。
閉経状態をつくる薬は、女性ホルモンの分泌が抑えられ、体に更年期障害と同じように様々な不都合がでる事が多いので、薬による治療は長期では行いません。長くても半年くらいとされています。
最近のピルは女性ホルモン量が少なめなので筋腫に影響する事があまりなく、体も楽になるのですが、筋腫を残したまま、いつまで摂取し続けるかが課題となり、筋腫の経過を見つつ、医師とよく相談しなくてはなりません。
日本人女性のガンで最も多い‼「乳がん」
発症が多いとされる年代:30代後半〜60代以降
乳腺に発症する悪性腫瘍のがんです。胸や脇の下にしこりや痛みを感じたり、乳房の皮膚にも、ひきつれや、へこみができます。また、皮膚が赤く腫れたりただれたり、乳頭から血の混じった分泌液がでることも症状のひとつです。
末期になると、体の中にがんが転移して、一番多いとされるのが骨への転移です。
肺や肝臓など他の臓器への転移もありますが、転移した場所によってさらに様々な症状がでてきます。いずれにしても早めの治療が必要です。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの濃度が高い事や、女性ホルモンが乳腺組織に作用する期間が長ければ長いほど、乳がんのリスクが高くなるといわれています。
日本人女性の癌の中で、特に30才から65才の女性の死亡数で一番多いのが「乳がん」といわれています。
発見や治療が遅れると命にもかかわる重大な病気です。乳がんは、自分でしこりをチェックしたり、目で見る事で胸の変化を確認できる、唯一自分で症状を発見できるがんです。2cm以内のがんであれば生存率も高いとされています。
お風呂で、石けんなどをつけて滑りを良くしてしこりがないか手と指でチェックしたり、仰向けに寝て腕を上げて、胸周辺の皮膚がピンと張った状態で胸を触ってみるとさらによく分かります。
乳がんで最もしこりができやすい場所は
- 乳房の外側の上部
- 乳房の内側の上部
- 外側の下部
- 中心部
- 内側の下部
です。脇の下も忘れずチェックしましょう。もししこりがあった場合、良性だと消しゴムに似た感触で、指で押すと逃げると言われています。
悪性だと固く、指で押しても動かないといわれています。しかし、しこりができないタイプ乳がんもあること、5mm以上の大きさにならないと手で触ってもわからないものもあります。
乳がん発生の原因の1つとして、過剰な女性ホルモンの問題が指摘されいます。
女性ホルモンは、皮下脂肪が増加すると過剰に蓄積されるのですが、食事の欧米化により体重増加し、さらに乳がんも増加してしまったのではと考えられています。
また、アルコールも多量摂取するとリスクが高くなるので、予防法として、食事は和食を心がけ、適度な運動も取り入れ体重増加を抑えましょう。
主な治療法
治療法には、「手術」、「放射線療法」、「薬物療法」があります。
乳がんの進行度合い、がんの大きさ、リンパ節への転移、がんのタイプなどを見極め、相談しながら適した治療内容が決定されます。
乳がんの治療は基本、手術です。
手術方法として、「乳房」「胸筋」「リンパ節」それぞれをどの程度切除するのか、どのくらい残すのかで異なり、乳がんの切除と同時に、わきの下のリンパ節を含むわきの下の脂肪組織も切除する事があります。
放射線治療はがん細胞を死滅させる効果があるので放射線照射を行った部分にだけ効果を発揮します。
外科手術でがんを切除した後に、再発を予防する目的で行う場合もありますし、転移した場合にも症状を緩和するために行います。
放射線が正常な組織にあたることにより、副作用が起こる事があります。主には、あたった部分の皮膚や消化管の炎症などです。
薬物療法は薬によって個人差はありますが、骨粗相症や副作用が出ることが予想されます。
薬物療法には主に、ホルモン補充療法と抗がん剤治療があります。
ホルモン療法は、乳がんの原因と言われる女性ホルモンのエストロゲンの増殖を抑えたり、がん細胞に働きかけるのを阻害します。
ただし、副作用として骨粗鬆症のリスクが高まることがあげられます。
抗がん剤治療は、がん細胞を死滅させる効果があり、乳がんは比較的、抗がん剤に効果が見られるがんとされています。
ただし、がん細胞を死滅できる一方で、その他の細胞にも作用してしまい、白血球、血小板の減少、吐き気や食欲低下、脱毛などの副作用が現れます。
乳がんは唯一、自分である程度の症状が確認できます。
各自治体も死亡率が高いとされているだけに、検診を受ける事を推奨していますし、乳がん検診で、がんが見つかることもあるので各市区町村で行われている乳がん検診があれば、すすんで受診しましょう。
乳がんに次いで多い癌‼「子宮頸がん」
発症が多いとされる年代:40代前半〜40代後半、60代以降
主な症状
子宮頸部(子宮の入口付近)にできるがんです。厄介な事に、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。がんが大きくなることで、不正出血や痛みなどの自覚症状が出始め、進行すると子宮摘出しなくてはならない事もある病気です。
ほとんどの子宮頸がんで、ヒトパピローマウイルスの遺伝子が検出されているため、子宮頸がん発症の原因はこのウイルスとされています。また、このウイルスは性交で感染すると言われています。
がんは始めは上皮の中に留まっているのですが、徐々に子宮の筋肉に広がっていきます。さらに腟や子宮のまわりの組織や、骨盤内のリンパ節に転移したりする事もあります。
もし、生理と関係ない時期に不正出血が見られたり、不正出血が続く場合には、この病気の疑いもありますので出血量が少ないからと自己判断せず、病院で受診してください。
また、20代などの若い人にも増えてきた事から、自治体によっては健診を20代から対象にしているところもあります。いずれにしても気づきにくい症状の病気なので早めに受診しましょう。
主な治療法
治療法として手術が第一優先になります。ただし、病気のステージや、がんの性質に応じて、手術と化学療法・放射線治療を組み合わせて、治療を行うこともあります。
子宮頸がんは放射線治療が効果的とされており、必ずしも手術をする事が適正ではないと判断した場合には、時間をかけて放射線治療で腫瘍を小さくするという方法もとられます。
また、最近は放射線だけではなく、化学療法と組み合わせることで、より少ない放射線量で治療できるとされています。
化学療法は、血液中のがんにも効果があるとされ、がんが子宮頸部のみならず他の臓器に広がっている可能性が高い場合や、転移がある時に行います。
化学療法は副作用もありますが、その副作用に対して治療と同じように対策をとっている病院が多く、治療に取り入れやすくなっています。
女性特有の癌で発症頻度が高い‼「子宮体がん」
発症が多いとされる年代:50代後半〜60代以降
子宮体部(胎児を育てる場所)にできるがんです。月経とは違う不正出血があったり、おりものや腹痛がある場合にはこの病気の可能性もあります。多くの子宮体がんの発生には、エストロゲンという女性ホルモンが深く関わっています。
エストロゲンには子宮内膜の発育を促す作用があり、そのホルモンの値が高い人が子宮内膜増殖症という前段階を経て子宮体がん(子宮内膜がん)が発生することがわかっています。
出産をしたことがない、肥満、月経不順、ホルモン療法を受けている人に発症が多く、高血圧、糖尿病、近親者に乳がん・大腸がんを患った人がいることなども原因の1つと考えられています。
主な治療法
治療の主体は手術です。ただし、初期の場合であれば、一部には限られますが妊娠・出産を望む人に対してホルモン剤を使って治療もできます。手術の場合、病気の進み具合によって子宮、卵巣・卵管、リンパ節を摘出するのが一般的とされています。診断した時点で、手術による病巣の完全摘出が難しい場合には、抗がん剤治療や放射線治療などが行われます。
卵巣にできる悪性腫瘍‼「卵巣がん」
発症が多いとされる年代:30代前半〜30代後半、60代以降
卵巣にできる腫瘍には、良性・悪性、そして悪性腫瘍になる可能性があるとされる境界性悪性腫瘍があります。このうち、悪性腫瘍をがんと呼びます。初期症状があまりなく、下腹部にしこりがある、膀胱が圧迫されて尿が近くなる、などの症状がでてから受診する人が多いのですが、わかった時には既に転移している可能性が高いがんです。また、お腹の中の臓器にがんが転移することもあります。怖いのは、それらの症状を見過ごして放っておいた場合に、卵巣破裂の恐れもあることです。
海外ではサイレントキラーと呼ばれて恐れられるほど、卵巣がんは知らず知らず静かに進行する厄介な病気なのです。初期症状がほぼないので、早期発見は難しいとされますが、腹部に異常を感じたら迷わず病院へ行きましょう。
主な治療法
卵巣がんの治療法は主に、外科療法による手術が多く、再発率が最も低いのが両側の卵巣・卵管・子宮・骨盤内のリンパ節・脂肪組織を全て切除する事です。
妊娠を望む人は片方だけ卵巣を切除し、子宮を残すという方法もとれますが、再発率も高くなるので初期のがんに対してなど条件がでてきます。
他にも、化学療法で抗がん剤を使うという方法もあります。
抗がん剤は卵巣がんに効果的とされ、手術の前に抗がん剤で小さくして、負担を抑えて手術するという方法をとるところもあります。
また、手術後に体に散らばったがん細胞を抗がん剤で死滅させて再発を防ぐ事もできます。
ただし、抗がん剤だけでは卵巣がんが根本から治る事はないので、あくまで手術のサポート役としての役割や、症状緩和のためのものになります。
下腹部の違和感は「卵巣のう腫」かも?!
発症が多いとされる年代:10代〜40代後半
主な症状
卵巣に液体や脂肪が溜まる病気です。卵巣にできる腫瘍で悪性の場合は卵巣がん、良性の場合は卵巣のう腫と呼びます。
10代の若い人にも多く見られ、初めのうちは特に痛みはないものの、肥大すると腹痛、頻尿、便秘などの症状がでてきます。悪化すると最終的には茎捻転(けいねんてん)を起こす恐れもあります。
茎捻転(けいねんてん)とは
通常、卵巣は直径2~3cm程の大きさなのですが、卵巣のう腫により5cm以上に肥大したり、産道をふさぐ位置にのう腫があると、のう腫の付け根がねじれる事があります。
その状態を茎捻転といいます。嚢腫の付け根がねじれる場合があり、このような状態を茎捻転と呼びます。
茎捻転は一般的に良性腫瘍に多く発生する傾向がありますが激しい運動をしたときなどに激痛を伴うので、場合によっては手術をする事もあります。
卵巣のう腫になる原因はよくわかってはいませんが、ストレスや交感神経の緊張が原因ではないかと考えられています。
ストレスを溜めないために、適度な運動をする事でストレス解消だけでなく、卵巣のう腫を予防する事にもつながるので、軽めの運動をできるだけ生活に取り入れていきましょう。
通常、卵巣のう腫は良性腫瘍なので、サイズが直径10cm以内であれば、開腹手術をしなくても、腹腔鏡下(ふくくうきょうか)腫瘍摘出術が可能です。
腹腔鏡とは内視鏡(小型カメラ)の1つで、内視鏡を体内に入れて手術するためのものです。
お腹の数カ所に小さな穴を開け、内視鏡を挿入して腫瘍を取るという方法の手術ですが、傷口も小さくて済みますし、開腹手術よりも体の負担が少なく、回復も早いとされています。しかし、高度な技術が必要とされており、ベテラン医師でも難しい事が多いようです。
腫瘍のサイズが大きかったり、悪性と診断された場合、腹腔鏡下手術では難しいと判断された場合は、開腹手術で腫瘍を取ります。
開腹手術の場合、8センチから10センチ程度切開し、腫瘍を摘出します。
若年性も増えている‼「更年期障害」
発症が多いとされる年代:40代後半〜60代以降
女性が閉経を迎える前後の期間を更年期といい、更年期にはホルモンの分泌量が減少して、ホルモンバランスが乱れます。そのホルモンバランスの乱れにより、身体的・精神的な異常がみられ、多いとされるのが「ホットフラッシュ」といって顔のほてりや、のぼせの症状です。他にも動悸、多汗、頭痛、不眠、不安、イライラ、食欲不振など、さまざまな症状が表れます。
最近では、無理なダイエットや不規則な生活や食事により、ホルモンバランスが乱れ、20代、30代の若い世代にも更年期症状があらわれる「若年性更年期障害」も増えています。
主な治療法
更年期障害の治療法として、主にホルモン注射によるホルモン補充療法が一般的ですが、漢方薬や低容量のピルなどで治療するところも多くなっています。
また、定期的に運動している人は更年期症状が軽いという例もあるので適度な運動と、体をつくるうえで大切な食事(卵や青魚、ナッツ類などの良質なタンパク質)を見直すことも大事です。
更年期障害は、ホルモンバランスの乱れだけではなく、家庭環境、職場環境などのストレスも原因の1つとされています。
まずは今のうちから生活習慣を見直し、さらに運動なども取り入れてストレスを解消の方法を見つけましょう。自分ではどうにもならないと悩んで余計に更年期障害を悪化させてしまう前に、医師に相談し、早期治療につとめましょう。
20代30代に急増中‼甲状腺の病気「バセドウ病」
発症が多いとされる年代:20代後半〜50代前半
主な症状
新陳代謝を盛んにする甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、疲れやすい、大量に汗をかく、動機や手の震えなどが起きる病気です。脈拍が速く、37.5℃前後の微熱が続くといった症状も現れます。甲状腺が腫れる事により、人によっては首の前面が全体的に膨らんで、首が太くなったように見えます。
また、バセドウ病を患う人の約3割に目を動かすための筋肉(外眼筋)に炎症がおきて腫れたり、眼球の後ろにある脂肪組織の量が増えることで眼球が出てくるという症状がでる事があります。
眼球が出なくても、上のまぶたが腫れたり、上の方に引っ張られる事があるため、目が大きくなったように見える事もあります。
これは、特に喫煙している人に多く見られる症状のようです。
精神的な面では
- 落ち着きが無くなる
- イライラする
- 不眠
- 音に過敏になる
- びっくりしやすくなる
- 訳もなく泣く
などの症状がでます。
バセドウ病を患う方の約15%は親や兄弟など、身近な人も同じ病気にかかっている事が多く、少なからず遺伝もある程度関係していると考えられます。
初期の治療法として、1カ月に1度、もしくは数ヶ月に1回、血液検査をしつつ甲状腺ホルモンを抑える薬を服用します。妊娠を望む人や、授乳を行っている人も服用可能とされていますがアレルギー症状や副作用がでる人もいます。
薬だけで治すとなると大体3年〜5年と長期間、続けなくてはなりません。
短期間で症状を落ち着かせたい場合は、甲状腺を切除して甲状腺ホルモンの分泌を抑える方法もあります。
しかし、首元に手術痕が残ってしまうのと、甲状腺を残す量によって手術しても再発する可能性がある事、場合によっては甲状腺機能低下を抑えるための薬を服用しなくてはならないのが問題点です。
また、海外で術後の補助療法として多く取り入れられている放射線ヨード治療というものもあります。甲状腺は、甲状腺ホルモンの主原料であるヨードを取り込んで甲状腺ホルモンを作っています。
この治療は、放射線を出すヨードの入ったカプセル剤を服用し、中から放射線を出して甲状腺細胞を減少させるというものです。
放射線ヨード治療をした後の半年〜1年くらいは胎児に影響が出る可能性もあるので、妊娠は避けたほうが良いとされています。それ以降の妊娠は影響がないようです。
同じく20代30代に多い甲状腺の病気‼「橋本病」
発症が多いとされる年代:20代後半〜50代前半
甲状腺が腫れるだけで何も症状がない人が約半数を占め、残り半数の人に、汗が少ない、冷え、むくみ、皮膚が乾燥する、食欲は減っても体重は増加する、などの症状がでます。
また、甲状腺は喉の付近なのであまり関係がないように思われるのですが、橋本病を発症する事で月経異常になる人もいます。
バセドウ病と同じように甲状腺の病気ではあるのですが、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて起こるバセドウ病と違い、甲状腺ホルモンが少なく分泌されて起こります。
原因として、本来なら細菌やウイルスに対して攻撃をするはずの抗体が、自分の体である甲状腺に対して攻撃をしてしまう、自己免疫の異常が考えられています。
自己免疫の異常により、甲状腺組織が破壊されてしまい、甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまいます。
しかし、なぜそのような事が起こるのか、原因はまだよくわかっていません。
主な治療法
先程、説明したバセドウ病の治療法とほぼ同じなのですが、薬物療法の際にバセドウ病の場合は甲状腺ホルモンを抑える薬を使うのに対して、橋本病の場合は甲状腺ホルモンを補充する薬を服用します。
こちらもやはりバセドウ病と同様、長期間になる事があるので、根気強く治療を受けなければなりません。
30代で発症する事もある‼「関節リウマチ」
発症が多いとされる年代:40代前半〜60代以降
主な症状
両手指の軽い痛みから始まって、他の関節にも痛みと腫れが数週間から数カ月の間に徐々に起きていき、激しい痛みが生じる病気です。関節だけではなく、目や肺などの全身に生じることもあります。膠原病と言われる病気の一種でもあり、発熱や食欲不振、疲れやすい、食欲低下、体重の減少がみられたり、ひどくなると体を動かす事自体が辛く、日常生活すら困難になります。
男性よりも女性の方が5倍〜6倍と圧倒的にかかりやすい病気と言われており、その理由として、女性ホルモンは自己免疫反応を活性化させる作用があるため、リウマチの原因とされる免疫異常を発生しやすいからではないかとされています。
一般的にリウマチは、細菌やウイルスなどの外敵からからだを守るしくみが異常を起こし、関節を守る組織や骨、軟骨を外敵とみなして攻撃し、壊してしまうとされています。
この原因はまだよくわかっていないとされながらも、細菌やウイルスの感染、過労やストレス、喫煙、出産やけがなどをきっかけに発症することがあるといわれています。
遺伝性はそれほど強くありません。
早期発見が重要とされていても、お医者さんがレントゲンを見ても、正常と異常の見分けがつけにくく、判断が難しいと言われています。
しかし、不治の病といわれていたリウマチも最近では進行を遅らせる事もできるようになってきました。
主な治療法
リウマチ治療は、薬で炎症や痛みを抑えたり、悪くなった関節部位を手術で取り除く、ということしかできなかったのですが、優れた治療薬ができたことで病気の進行を食い止められるようになりました。
そのおかげで、現在はこうした薬を使った薬物療法を中心に、リハビリテーション、手術などを、組み合わせて治療を行うのが一般的になっています。
こうした治療により、今までよりも生活が楽になったからと油断して薬を減らしてしまったりすると再発する恐れがあります。
自己判断せず、治療後も、主治医とよく相談しながら様子を見るようにしてください。
今や5人に1人‼「帝王切開」
発症が多いとされる年代:20代前半〜40代前半
主な症状
赤ちゃんやママが危険だと判断されたり、前置胎盤や重度の妊婦高血圧症候群など、自然分娩が困難だと診断された場合に、腹部と子宮を切開して外科的に胎児を取り出す事をいいます。
帝王切開には2種類あり、事前に胎児の状況を見たうえで判断して行われる「予定帝王切開」と分娩が始まってから起こったトラブルによる「緊急帝王切開」です。
予定帝王切開は主に逆子、多胎妊娠、高齢出産などの場合が多く、緊急帝王切開は分娩の途中で胎児の機能不全や妊婦高血圧症候群がみられた場合や微弱陣痛によって行われる事が多いとされます。
- ※前置胎盤とは・・・
- 胎盤が正常よりも低い位置にあり、子宮の出口を塞いでしまう状態をいいます。
- ※妊婦高血圧症候群とは・・・
- 以前は、妊婦さんにあらわれる様々な異常(高血圧、蛋白尿、むくみ)のうち1つ、もしくは2つ以上の症状が見られた場合を「妊娠中毒症」と呼んでいました。しかし、妊娠中毒症は血管の病気で、その中心的な原因が「高血圧」であることが産婦人科学会により分かってきました。このため、現在はむくみは項目からはずされ、名前も「妊娠高血圧症候群」と改められました。
妊娠中は赤ちゃんにも栄養を送らなければならないので、いつもより血圧が少し高めになります。妊娠中に高血圧とされるのは最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上のことをいいます。
また、高齢出産でのリスクを避けるためにあらかじめ帝王切開になる事もあります。医学的には35歳以上を高齢出産としていますが、35歳未満と35歳以上の妊婦さんを比べてみると、帝王切開の実施率は2倍以上の差があると言われています。
高齢になると子宮口や腟壁の柔らかさが低下し、赤ちゃんが通り抜けられる大きさに広がらない場合があることから、帝王切開になる事が多いです。
開腹手術での出産なので、手術後は経腟分娩に比べて母体の回復も遅く、入院日数も長くなります。
また、手術後に子宮や腹壁の縫合部分に細菌が侵入して再出血や感染などが起こる場合もあります。
第一子を帝王切開で出産した場合、ほとんどが、次以降の出産も、帝王切開となりますが、経腟分娩を希望であればよく医師と相談してください。
女性特有の病気の1つと言われていますが、赤ちゃんへの負担を最小限におさえながら出産できるので安全性が高いという事と、手術扱いで保険が適用されたうえに、個人的にかけている生命保険会社からも給付金が受けられるという点で、必ずしもマイナスだけではないと感じているママ達も多いです。
「異常分娩」
発症が多いとされる年代:20代前半〜40代前半
主な症状
通常の経過をたどらない分娩の総称をいいます。分娩では、陣痛や腹圧によって赤ちゃんなどを出そうとする「娩出力(べんしゅつりょく)」、その力によって出てくる胎児や胎盤などの付属物である「娩出物」、その物が母体外へ娩出されるために通る「産道」の3つの要素が大切とされています。
このいずれかに問題や異常が見られたり、母体や胎児が傷ついてしまう可能性のある分娩はすべて異常分娩と呼ばれます。
妊娠によって、妊婦さんの体重が急激に増加すると産道が脂肪で狭くなってしまい、胎児が外に出にくくなってしまいます。
また、運動不足による筋力が低下すると「娩出力」(赤ちゃんを押し出す力)が弱くなり、微弱陣痛となってしまいます。
そういった状況から帝王切開が行われる事がありますが、結果的に無事に経腟分娩で出産できれば正常分娩として取り扱われる事がほとんどです。
「不妊」
発症が多いとされる年代:20代後半〜40代前半
主な症状
今まで、健康的な男女が2年以上、性行為を続けていても妊娠しない状態の事を不妊としてきました。しかし、晩婚化で妊娠年齢が高くなる中、早めに適切な治療を行えるように、日本産科婦人科学会は「不妊」の定義を従来の2年から1年に短縮する方針を発表しました。
その定義ばかりではなく、排卵がなかったり、子宮内膜症を合併していたり、過去に骨盤腹膜炎などにかかったことがあったりすると、妊娠しにくいことも分かっています。
また、高齢出産は医学的に35歳以上とされていますが、不妊の原因の1つに、妊娠年齢が高くなったこと、男女ともに加齢により妊娠しにくい事があげられます。
女性の社会進出が進む中で、妊娠しやすい年齢と仕事が充実している時期が重なっている為と考えられます。また、経済的な安定を求めてお金を貯めてから産もうと考える人も多く、妊娠しやすいタイミングを逃している事もあります。
月経周期のうち妊娠可能な期間はかなり短く、異常のない男性と女性がピッタリのタイミングで性交したときに妊娠する確率は約30%といわれています。
産婦人科は病気や出産の為だけに頼る所ではありません。もし、不妊ではないかと不安に思った場合には、一度、産婦人科に相談してみることから始めましょう。
主な治療法
不妊の原因を調べるのためにまずは不妊検査をします。不妊症には様々な原因があり、子宮や卵巣、卵管など部位によって違った原因があります。
また、不妊症カップルの半分は男性側にも原因があるといわれており、精子の数が少ない、運動率が低い、ED(勃起不全)などが挙げられます。しかし、不妊で病院を頼るのはほとんどが女性です。
どちらに原因があるのか、もしくはお互いに原因があるのかを女性と男性それぞれで行う不妊検査によって見極める必要があります。
女性は血液中のホルモン測定、超音波検査、子宮卵管造影などの検査を行います。
また、男性は精液を採取して、精子濃度や運動率、奇形率などをチェックする精液検査を行います。
不妊治療の方法は大きく
- 一般不妊治療
- 人工授精
- 体外受精・顕微授精
この3種類に分けられていて、原因にあわせて治療法が選択されます。
一般不妊治療は、人工授精や体外受精でなくても妊娠の可能性があると判断された場合、最初に選択されます。
また、原因が定かではない場合にも初めの治療法として選ばれ、自然に近い形で妊娠を目指す治療で、その治療にも種類があります。
- タイミング法
- 排卵の時期を正確に知って予測し、排卵日の少し前に夫婦生活をもってもらい、妊娠の確率を高める方法です。通院して排卵日の予測の精度を高まるので妊娠率が高まります。排卵日の予測には、基礎体温や、ホルモン(エストロゲン・黄体ホルモン)の数値、おりものの様子などが参考にされます。現在では、経膣超音波とホルモン検査によって2~3時間の誤差で排卵時間が予測できるようです。費用は1回数千円~1万円ほどです。
- ホルモン療法
- 妊娠を助ける為に、黄体ホルモンや排卵誘発剤を使った方法です。排卵が起こりにくい人に排卵誘発剤を使って排卵を起こし、そのタイミングで夫婦生活をもってもらい、妊娠率を高めます。費用は1回数千円~1万円ほどです。
- 人工授精
- 一般不妊治療で妊娠できなかった場合、人工的に子宮内に精子を注入を行います。男性側に不妊の原因が認められた場合に、精液を採取し、元気な精子を回収して、カテーテルという細い管を使って卵子が受精しやすいところに注入します。費用は1回約1~3万円ほどです。
体外受精・顕微受精
人工授精でも妊娠できない場合、卵巣や精子に問題がある場合に体外で精子と卵子を受精させてから子宮に戻すという方法です。
女性から卵子を、男性から精子を取り出して体外で受精させ、培養した受精卵を子宮に戻します。問題は、他の不妊治療と比べても高額で、受精卵をどれくらい培養するのかでも金額が変動する事です。
厚生労働省によると、体外受精の費用は1回当たり30万~40万円程かかり、その過程で夫が無精子症などの場合に精子を取り出す手術を受けると、さらに30万~50万円かかるといわれています。
精子の状態が悪く、体外受精でもうまくいかない場合は顕微授精を行います。
- 顕微授精
- 精子減少症や、乏精子症の方に行われ、精巣から精子を取り出して顕微授精により妊娠が可能となっています。精子を細いガラスピペットを用いて直接卵子に注入して授精させた受精卵を培養して子宮へ戻します。費用は体外受精同様、約30~100万円と高額です。
体外受精の場合、大きな問題となるのがやはり費用の面です。
保険適用外という事もあり、金銭面がネックになり、不妊治療に踏み出せない人も多いと思います。
ただし、保険適用外の体外受精と顕微授精を行った場合に、助成金がもらえることがあります。各市町村により、助成金が支給される回数や、対象年齢などが異なるので、お住まいの市町村のホームページや、厚生労働省に問い合わせてみてください。
また、平成28年度からその制度も変更があるようですので現在治療中の方も念のため確認してください。
「まだ若いから大丈夫」は今は通用せず、若くても上記のような病気になる事があります。育児や家事、仕事などで自分の体の事を後回しに考える女性も多いと思いますが、女性特有の病気から自分で自分の体を守る為には早期予防と早期発見が必要です。
その為にできる事として、まずは定期検診を受けましょう。恥ずかしいから、面倒くさいからと検診を受けない女性がまだまだ多いとされていますが、病気は早く発見されればされるほど、治る確率が高くなります。
検診に対して、どんな事をするかわからないだけに怖くて受けていないという人もいると思いますので、主な検診内容をご説明します。
最低限、受けてほしい定期検診と検診内容について
女性に特に定期的に受けて欲しいのが
- 乳がん検診
- 子宮頸がん検診
- 子宮体がん検診
この3つです。特に乳がん検診については、女性のがんの中でも死亡率が高いとされているので、最低でも1年に1度は定期検診を行ってください。
乳がん検診について
乳がん検診は一般的に、20代の女性は検診不要、30代の女性は任意、40代からは推奨とされています。
費用はだいたい4千円〜8千円とされていますが、地方自治体によっては1000〜2000円で受けられる助成券や、無料券を配布して実施をうながしているところもありますので、まずはご自身の自治体のホームページなどで確認してみてください。
検診内容
- 出産経験や初潮年齢、乳房の違和感、家族に乳癌患者がいるかなどを問診表に記入し、それをもとに医師の診察を受けます。
- 視触診で両方の乳房にしこりやえくぼ状のくぼみ、リンパの腫れなどが無いかを医師が直接触って調べます。(現在、エコーやマンモグラフィーの性能が良くなった事から、視触診がなくなった自治体もあります)
- 超音波を体内に発信してエコー検診を行います。エコーを画像化して検査し、検査時間は約10分ほどで検出率は約86%といわれています。
エコー検診の検査方法
- 上半身、裸になりベッドの上に仰向けになります。
- 超音波を体内に透過させるジェルを胸に塗ります。
- 超音波の機械をあてて、胸や脇の下をまんべんなく調べます。
- 左右ともに調べたら、ジェルをふき取って検査は終わりです。
20代、30代で特に異常が見受けられなければこれで終わりです。もし、何かしらの異常が見られた場合や、乳がん発症が多いとされる40代以上の乳がん検診の場合は、マンモグラフィーでの検査を行います。
よく痛いと聞く、マンモグラフィーですが、最近は以前よりも検査時間が短くなった事などにより負担が少なくなりました。
また、月経前などで胸が張っていると痛みを感じる人も多いようなので、もし痛みに不安を感じる人は、月経後に検査を受けると痛みが少ないです。
マンモグラフィーの検査方法
- 胸をプラスチック板の上に乗せ、上下から挟みます。
- そのまま少量のX線で片胸ずつ上下、左右、全ての方向から撮影し、検査は約10分程度で終了です。
検査正確な診断をする為に、このような方法になっていますが、がんの進行が早かったり、乳腺組織に病巣が隠れている状態だと発見されない事もあります。
マンモグラフィーでの発見率が50歳以上は約90%と、精度が高いとされつつも、49歳以下では80%に満たないなど、発見率に差があります。
これはマンモグラフィーは病巣と脂肪の区別がはっきりわかるという特徴から、脂肪が多くなる年齢に対しては発見率が高いとされます。
まだ乳腺が発達している年代だと、脂肪と病巣と乳腺をはっきり区別できない事もあり、若干、発見率が落ちてしまう事もあります。
エコーやマンモグラフィー検査でしこりが発見され、画像だけでは悪性か良性かの判断がつかないときや、癌の可能性がある場合には、細胞診や組織診による検査を行います。
- 細胞診の検査方法
- 胸の病巣に直接細い針を刺して、注射器で吸引した細胞を顕微鏡でみます。
- 組織診の検査方法
- 局所麻酔をして、少し太い針を刺してしこりの組織を採取します。病巣を一部、切り取るような形になるので麻酔をしているとはいえ、あとから痛みを感じる人も多いようですが、細胞診よりも正確な診断ができます。
推奨とされる40代でも、厚生労働省による乳がんの受診率のデータを見ると、県によって11%〜32%とバラつきがあり、受診率はそれほど高くありません。
乳がんは40代に発症が多いとされつつも、現在は20代、30代でも乳がんになる人がとても増えています。周りの人から検診について「痛い」と聞いて、恐怖心を持っている人もいると思いますが、今それを緩和するために機械も改良されている病院も多くなっています。
もし、恥ずかしさがあるのであれば、女性のお医者さんがいる産婦人科での受診でも良いので、まずは一度、検査を受けてください。
- 子宮頸がん・子宮体がん検診について
- 通常に検診を受けると費用はだいたい6000円〜15000円とされていますが、20歳・25歳・30歳・35歳・40歳の女性は、自治体にもよりますが1000〜2000円で受けられるクーポン券や、無料クーポン券の利用ができるようになっています。
- 子宮頸がん・子宮体がんの検査方法
- 子宮頸がん検査は、子宮の入り口部分を綿棒やヘラのような器具で細胞をこすり取って終わりです。時間も1、2分程度で終わりなので痛みもありません。
子宮頸がんかもしれないと判断された場合、コルポスコープという拡大鏡のような器械で、子宮頸部の粘膜表面を拡大し、がんの疑いがありそうと思われる部分から組織を少量取り、診断します。
多少、出血する事はありますが、痛みはほとんどありません。
子宮体がん検査は、子宮の内部に少し湾曲した細い棒やチューブを挿入して、子宮の中の細胞を採取して診断します。少し出血する事はありますが1、2分程度で終了します。
子宮体がんかもしれないと判断された場合、経腟超音波で子宮内膜の厚さや状態をみて、キューレットという器具を子宮内部に挿入して、子宮内膜組織を削り取り診断します。
削り取る際に、多少の痛みを感じるので、鎮痛剤や軽い麻酔をして行う事がほとんどです。
検診を受けて、何もなければそれにこしたことはありませんし、今後の予防に努められます。
乳がんは特に早い段階での発見と治療が必要とされますので、なんとなく不安だなと思う方は迷わず受診してください。
日本では女性の婦人科検診受診率は、世界的に低く、今も伸び悩んでいる状況です。
ぜひ周りの人にも検査はそれほど時間がかからず、それほど痛みを伴わないという事を教えてあげてください。検査を受ける人が増えれば、乳がんや子宮がんで苦しむ人は今より激減するはずです。
女性特有の病気予防には定期検診と生活習慣の見直しが必要です
初期症状がわかりにくいからこそ恐ろしい女性特有の病気を予防するためにも、早めの定期検診と生活習慣の見直しが大事です。
ストレスはもちろん
- 動物性脂肪のとりすぎ
- 野菜や果物の不足
- 飲酒
- 喫煙
- 運動不足
などは病気を引き起こす要因になる事が多く、生活習慣を改善することでリスクを減らせます。
厚生労働省研究班によると、大豆に含まれるイソフラボンの摂取量が多い人ほど、乳がんの発生リスクが低下するという結果がでました。
イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た成分があるとされているので、乳腺細胞のエストロゲン受容体にイソフラボンが先に結合することによって、エストロゲンの働きを弱めるのではないかとされています。
イソフラボンは主に
- 大豆製品
- 豆腐
- 納豆
- 煮豆
- 油揚げ
- 味噌
などの和食に使われるものに多く含まれているので、日頃、和食を取り入れる事に努めると、予防につながります。
万が一に備えて、保険の見直しも考えてみましょう
今加入している医療保険のほとんどが、女性特有の病気にかかった場合でも治療や入院に対して給付金がおります。
しかし、ずっと見直さないまま何年も前の内容でいると、気づいたら女性特有の病気の部分が手薄だったり、がんは別途がん保険を申し込む、もしくは特約をつけなくてはいけなかったなど、いざ利用したい時に対象にならない事もあります。
最近は、女性特有の病気に対して手厚く保障する、女性専用の保険も多くあります。
理想としては、今加入している一般的な医療保険+女性専用保険で万が一に備える事ですが、やはり保険料が高額になってしまいます。
また、女性専用の保険で乳がんや子宮がんは保障されるけれど、他のがんは対象にならないなんて事もあります。
乳がん、子宮がんが多い中で、胃がんや大腸がんも実は女性がかかるがんで上位に入ります。女性専用の保険に関しても、よく内容を理解して加入する必要があります。
あれもこれもと加入する前に、まずは今加入している一般的な医療保険の内容をきちんと確認しましょう。
もし、内容を見直したけど、イマイチ納得ができないという場合は、新たな医療保険を検討してみるのも1つの手ですね。
まだ若いから保険はいいやと思って、もっと先の加入を検討している人も、これを機会に改めて考えてみてください。
若いからこそ、発症しやすい病気や進行が早い病気もあります。
一般的な医療保険に女性専用保険を追加しなくても、保険によっては女性特有の病気を手厚くしつつも、他の病気も保障する保険が多くあります。
検討や見直しをする際、自分に必要とする保障は付いているか、必要な部分は手厚くなっているかなどをよく確認して、自分に合った保険で万が一のために備えたいですね。
「このくらい大丈夫」はやめて、自分の体に目と心を傾けましょう。
生理の不順や生理痛、腰が痛い、胸がチクチクする、など体の不調は何らかのサインかもしれません。
これからは「このくらい大丈夫」「いつもの事だから」はやめて、まずは定期検診を受けましょう。
そして、生活習慣の見直しで病気のリスクは減らせます。
体の事を大事にしてあげているか、忙しさで自分の事を後回しにしていないかを見つめ直し、できる事から改善していきましょう。
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