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「カビの生えた餅は食べられる」は嘘。毒性のリスクとカビ予防策

Date:2017.04.25

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「カビの生えた餅は食べられる」は嘘。毒性のリスクとカビ予防策|女性の美学
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shutterstock_314649083冬になると恋しくなる食べ物の一つが、お餅。大きな袋で買ってきて、置いておくことも増えますね。

でも気がつくと、知らないうちに「あっ、カビが!」なんてこと、ありませんか?

「お餅のカビは食べても大丈夫」と言われて育った方も多いでしょう。でもこれ、じつは誤った情報と言えるのです。

お餅の生えるカビの中には、発がん性の高いもの、アレルギー反応を引き起こすものなど、とっても怖い種類のカビが含まれます。

今回は、お餅に生えるカビの種類と知っておきたい危険性、またできるだけカビが生えない保存方法まで徹底してご紹介します。


【1】お餅とカビの真実……「取り除けば食べられる」は誤り

「カビの生えたお餅は食べますか?」と訊けば、たくさんの日本人が「削れば食べられます」と答えるでしょう。

筆者自身、幼い頃から祖母に「カビの生えた部分を取り除けば大丈夫」と教わり続けてきました。

でも実は、「カビを取り除けば安全」というのは、大きな誤解。謝った情報なのです。

カビの中には危険なものがたくさんある

お餅に生えるカビには、とても危険なものと、そうでないものが混在しています。

カビの中には確かに、お酒やチーズの発酵を助けるなど有益な種もあります。が、同時に非常に毒性の強い危険な種もあるのです。

毒性の強いカビは私たちの身体を内側から蝕みます。食べることで

  • 食中毒
  • ガン
  • アレルギー

など深刻な症状を引き起こす可能性があります

ちなみに昔の人がカビを取り除いてお餅を食べた背景には、

  • 食糧が少なく、もったいなかった
  • 正月などめでたい場を飾るお餅を、捨てるのがしのびない気持ち
  • カビに対する知識の不足

などさまざまな理由が考えられます。

その習慣は今でも深く根付いており、我々はつい「まだ食べられるのでは」と思ってしまいがちですが、そのカビがあなたの健康を損ねるリスクは高いのです。

危険or安全、カビの種類は見分けがつかない

お餅に生えるカビの中には、わずかながら安全な種類のものもあります。

しかし、カビの種類を一目で見分けるのは専門家でも難しいと言われています。ましてや素人の私たち。正しく見極めることは、到底できそうにありません。

「大丈夫かもしれないから」とカビの生えたお餅を食べる行為は、ちょっと過激な言い方をすれば弾倉のほとんど全てに弾を込めたピストルで、ロシアンルーレットをするようなもの。

やはり避けた方が無難です。

農林水産省も警鐘を鳴らす「お餅のカビ」のリスク

日本の食の安全を守る農林水産省のサイトでも、食品に生えたカビについて「もったいないと思わずに捨てましょう」と書かれています。

とくにお餅に生えたカビについては、写真付きで説明されています。

一見かびが入っていないように見えるお餅も顕微鏡でみるとかびが入っていることがわかります。

写真1:かびが生えた切り餅

mochilkabi

写真2:写真1の赤枠付近をかびの菌糸が青く見えるように染色して顕微鏡で観察したもの

mochimochikabi2

画像引用…(参考情報)餅に生えたかび – 農林水産省

この説明の中にもある「一見すると無いように見えるカビ」の恐怖について、次の章では詳しく説明していきます。

【2】知らないと怖い! お餅に生えるカビの特性

「見えるところを取り除けば食べられる」というのは誤りだと書きました。ついもったいなくて「本当なの?」と疑いたくなってしまいますよね。

でも、取り除いてもダメというのにはちゃんと理由があるのです。

理由(1)見えない根っこが伸びている

カビは、菌類という生き物です。菌糸と呼ばれる細い糸状の構造を伸ばし拡げることで、栄養を吸収しています。

この菌糸は、形も目的も、植物の根っこに似ています。植物が土の中へと根っこを伸ばしていくように、カビはお餅の中へと菌糸を伸ばし、張り巡らせていくのです。

そして困ったことに、この根っこに当たる部分の菌糸は、その多くが人間の目には見えません。

表面に見えるカビの部分を削り取っても、見えない菌糸がしっかりとお餅の中に張り巡らされています。その長さは、通常でも3cmほど。

一般的な四角いお餅を3cmも削ったら、お餅自体がなくなってしまいますよね。

「大きな鏡餅なら大丈夫なの?」と考えるかもしれません。結論から言えば「わからない」が答えです。

もしもカビの生育が遅ければ、厚みのある鏡餅の奥の方は無事かもしれません。でも、カビは生き物。栄養を求めてもっと深くまで菌糸を伸ばしている可能性も大!

目に見えないのですから、どこまで浸食されているのかは誰にも分かりません。

一度カビが生えてしまったら、もったいないけれどやはり潔く捨てた方が良さそうです。

理由(2)強い毒性がある

お餅に生えるカビには、色々な種類があります。

(ちょっと気持ち悪いですが)カビの生えたお餅を観察すると色々な色が見えるのは、そのため。よく見られる種類としては、

  • アオカビ
  • アカカビ
  • クロカビ
  • コウジカビ

などがあります。

この中には前述のように、

  • 食中毒
  • ガン
  • アレルギー

など、人体に悪影響を及ぼすものが含まれ、中でもこれらのカビから発生する「アフロドキシン」というカビ毒はきわめて強い毒性を持った物質です。

たかがカビ、と馬鹿にはできないのです。

理由(3)加熱してもリスクは消えない

カビの中には熱に弱いものもあります。が、お餅に生えるカビの多くは耐熱性があり、油で揚げたり焼いたりしても死滅することがありません。

またカビそのものは死滅したとしても、そのカビが発生させた毒素(カビ毒)は消えずに残ります。

「加熱調理したから大丈夫」とは言えないのも、カビの怖さです。

次の章では、お餅に生えるカビの種類を具体的に見ていきましょう。

【3】知っておこう! お餅に生えるカビの種類

お餅に生える怖いカビ。

その中でも代表的なカビの種類とそれぞれの特徴を、簡単にご紹介しておきます。

1.アオカビ(ペニシリウム)

青や緑、また白く広がるアオカビ。日常的によく見られるカビで、柑橘類やリンゴなどの食品によく見られます。家具や押し入れに見られることも多いでしょう。

耐寒性(寒さに強い性質)が特徴で、冷蔵庫の中でも繁殖できます。また乾燥にも強く、湿気の少ない乾いた場所でも数年間は生き延びます。

アオカビの中にも種類があり、150種ほどに枝分かれしています。中でも有益なものはブルーチーズの発酵やペニシリン(抗生物質)の生成などに利用されていますが、だからといって食品に生えたアオカビを食べて良いというわけでは、ありません。

アオカビは、主にアレルゲンの一つとしてアレルギー反応を引き起こすカビです。喘息や肺炎の引き金となり、場合によっては命に関わるため注意が必要です。

2.アカカビ(フザリウム)

お風呂やキッチンなど水回りで見かけるピンク色のカビが、アカカビです。水回りの他にも、畳や壁など広く分布しており、冷蔵庫の中でも繁殖します。

アカカビが人体に入ると、食中毒を引き起こす恐れがあります。嘔吐や下痢を繰り返すケースが多く、とくに免疫力の弱い高齢者や子供がいるご家庭では注意が必要です。

3.クロカビ(クラドスポリウム)

クロカビは風で飛散しやすく、空気中に最も多いとされるカビです。その名の通り黒いカビで、お風呂やキッチンのゴムパッキンによく見られます。

湿気が多い場所を好み、根っこが強く、いったん繁殖してしまうと乾燥や低温にも強くなるという厄介な特徴があります。

駆除には塩素系漂白剤などが有効ですが、繁殖後はこれら薬剤でも死滅させるのは難しくなります。

吸い込むと喘息などを引き起こす恐れがあり、要注意です。

4.コウジカビ(アスペルギルス)

コウジカビはアオカビ同様、乾燥に強いカビです。木材や繊維などに繁殖しやすく、日本では家中のいたるところで見られます。

コウジという響きから良い働きを想像するかと思います。実際コウジカビにも有益な種はあり、それらは醸造や鰹節製造などに役立っています。

しかし、有益なのはあくまで一部のコウジカビ。人体に有害なコウジカビの中には「アフラトキシン」という有害物質を発生させるものもあります。

アフラトキシンは、発がん性の高い毒物です。中でもアフラトキシンB1というカビ毒は、天然の成分では最も強力な発がん性物質であるとも言われています。

1960年、イギリスで発生した七面鳥の大量死亡事件も、コウジカビの一種が原因でした。名前とは裏腹に、怖い一面を持っていますね。

ちなみにコウジカビは乾燥に強いため、乾いたお餅にも発生しやすいカビの一つです。非常に厄介なカビなのです。

「もったいない」……罪悪感を回避するには?

このように、カビには怖いリスクがあります。やはりカビの生えたお餅は思いきって捨てた方が良さそうです。

「でも、もったいない……!」その気持ちも分かります。食べ物を捨てる罪悪感を味わわないためにも、できるだけカビが生えるのを阻止したいところですね。

そこで次章では、お餅にカビが生えるのを防ぐ方法をお伝えします!

【4】カビが繁殖しやすい「お餅」

もち米が原料のお餅は、栄養価が豊富な食材。焼いたり揚げたり、お鍋に入れたり……さまざまな味で楽しめるのも嬉しいですね。

ただお餅には、「なんだかとってもカビやすい」という印象もありませんか?

お餅は実際、とてもカビが生えやすい食べ物なのです。そのヒントは「カビが繁殖する条件」にあります。

なぜすぐカビるの? カビが好む4つの条件

カビが繁殖するためには、次の4つの条件が必要です。

  1. 温度
  2. 湿度
  3. 酸素
  4. 養分

この4つが揃うと、カビは喜んで繁殖してしまいます。

温度
多くのカビが20〜30度、とくに25度前後で最も繁殖が活発になります。ただしカビの中には低温を好む種もあるため、冷蔵庫の中でも繁殖するケースがあります。
湿度
湿度80%を超えるととくに活発になります。多くのカビは、空気中に水分が多く含まれるほど元気になります。

冷蔵庫の内部は他よりも湿度が高いため、ある意味繁殖しやすい状況と言えます。

酸素
他の条件が揃っても、酸素がなければカビは繁殖できません。カビの菌糸や胞子が成長するには、酸素が不可欠だからです。

このため宇宙のような真空状態ではカビの被害は広がりませんが、一般家庭でその環境を整えるのはなかなか難しいことです。

栄養
栄養分もカビの繁殖に不可欠です。とくにカビが好むのは、タンパク質やでんぷんなど。もち米から出来ているお餅は、カビの大好物なのです。

お餅はカビにとって大好物!

上記4つの条件のうち、お餅にはすでに「湿度」「栄養」の2つが備わっています。お餅は、

  • タンパク質
  • でんぷん
  • 脂質

を豊富に含んでおり、カビにとって天国のようなもの。繁殖しやすいのにもワケがあるのですね。

お餅のカビを防止するには、他の2つの条件をシャットダウンする保存方法が大切です。

【5】こうすればカビが生えにくい! 正しいお餅の保存法

生えてしまうと怖〜いカビ。しっかり予防していきましょう。

……とは言え、じつはカビの繁殖を100%防ぐことは物理的に不可能です。なぜなら、カビの胞子は空気中のいたるところに漂っているから。

目に見えなくても、カビはそこらじゅうにいるのです……(あまり想像したくありませんが!)。「絶対生えないようにする!」ということは誰にも出来ません。

逆に言えば、対策をとっていたのにお餅にカビが生えてしまっても「私の保存方法がダメだったのかな」なんて思わなくてOKということ!

あまり気負わず、自分のできる範囲できっちり対策をとっていきましょう。

保存法1:冷凍保存

メジャーで楽チンな方法です。ニオイ移りや冷凍焼けを防ぐため、小分けしてラップに包み、さらにタッパーに入れて冷凍すると良いでしょう。

タッパーではなフリーザーバッグ(ビニール袋)を使うのもOK。

ポイントはできるだけ空気に触れさせないこと。賞味期限は1か月程度です。冷凍庫に空きがあるなら、この方法がオススメです。

保存法2:水にひたす

タッパーなどの容器に餅を並べ入れ、ひたひたぐらいに水を入れて冷蔵庫で保存します。

ポイントは必ず水位をお餅より上にしておくこと、そして毎日水を換えることが必須です。空気に触れないため、意外なほど長持ちします。賞味期限は1か月程度です。

保存法3:わさびやカラシの力を借りる

これも広く利用されている保存法です。わさびやカラシには殺菌・防カビ作用があり、一緒に保存することでお餅を守ってくれます。

やり方は、タッパーの底にわさびやカラシを塗り、その上にラップを敷いてお餅を並べ、しっかりと蓋をするだけ。湿気の少ない冷暗所に置いて保存しましょう。

賞味期限は2週間〜1か月。ただし、湿度などの環境にかなり左右される保存方法ですので、できるだけ早めに食べた方が良さそうです。

保存法4:乾燥させる

お餅が小さくなってもOKという場合は、乾燥保存させる手もあります。

1〜1.5cm四方のサイコロ型に切ったお餅を、風通しのよい場所で天日干ししましょう。カラカラになるまで数日ほどかかりますが、できあがった乾燥餅は常温で保存が可能です。

きちんと乾燥させれば、賞味期限は半年ほどに延びるのも嬉しいですね。この乾燥餅は、油で揚げてあられにする食べ方がオススメです。

お餅のカビには油断しない!

以上、お餅に生えるカビについて、色々と学んできました。

「取り除けば大丈夫」はじつは危険。お餅はカビが生えないよう、手に入れたらすぐに保存方法を決めましょう。

今年も美味しいお餅で、ほかほか冬が越せますように♪

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ライター:コロボックル

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コメント一覧

  • やまや

    全体的に綺麗にまとまっていて、わかりやすいです。
    友達にも未だに餅にカビが生えているのを勿体無いも言う人がいるので、見せてみようと思います。
    ただ、カビは植物の仲間という表現は明確に誤りなので、そこは訂正していただきたいです。

    返信
    • 女性の美学

      ご指摘ありがとうございました。
      カビの表現について修正させていただきました。
      (2017/04/25更新)

      返信
  • ヨコミー

     帰る娘に昨日預けた餅にカビが生えてしまったようで、このページのアドレスを送ってきました。怖いお話です。
     我が家では、以前からカビた鏡餅等を処理して食べてきました。父は95歳で亡くなり、母は95歳で存命中です。この食文化は我が家だけのものではなく、以前は近隣でもみられました。残念ながら今は飽食の時代で、そのようにして食べる家は少なくなっているでしょうね。身近な方の死因で、餅のカビが…とは未だ聞いていません。が、勿体ないことにならないよう、上記を見て対策したいと思います。ありがとうございます。

    返信

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