シャンプーの界面活性剤は危険?種類と成分を正しく理解しよう!
Date:2016.07.25
シャンプーの界面活性剤は肌にあまりよくないイメージをもたれがちですが、本当にそうなのでしょうか。
界面活性剤はどのような働きをしていて、シャンプーに入っていると何がよくないのか、きちんと説明できる人は少ないと思います。
シャンプーの界面活性剤の種類などをしっかり理解して、髪に安全な、そして自分の髪にあったシャンプー選びが出来るようにお手伝いしましょう。
この記事の目次
界面活性剤とは油と水を混ぜることが出来るもの
「界面」とは表面という意味の言葉です。油に溶けやすい親油性と水と混ざりやすい親水性の両方の性質を持っています。
油と水など、混ざり合わない物質の間で双方に働きかけ、界面の性質を変え混じり合わせることができるようにする物質です。
- 油と水を混ぜて乳化させる
- 空気と水を混ぜて発泡させる
などの働きがあり、汚れを落とすこともできるので石けんや化粧品などに洗浄成分として使われています。
シャンプーで使われる界面活性剤はこれらの作用から、水だけでは落とせないワックスやヘアスプレー、皮脂などを包み込んではがしやすくするのです。
シャンプーに使われている界面活性剤の種類
界面活性剤は種類が色々あります。シャンプーに使われているのは主に以下の6つです。天然の界面活性剤以外は、すべて合成界面活性剤と呼ばれます。
食べ物などに含まれる天然の界面活性剤
自然界に存在する界面活性剤で、食べ物などにも含まれている成分です。
- 大豆やヘチマのサポニン
- 卵黄のレシチン
- 牛乳のカゼイン(たんぱく質)
卵黄はマヨネーズを作る時に酢と油を乳化させ明日。ヘチマのサポニンは水を加えると泡立ち、石鹸のような働きをするのです。
比較的穏やかな石けん系界面活性剤
ヤシ油など天然の油脂から作られる
- ラウリン酸Na
- オレイン酸Na
- ステアリン酸Na
が代表的なものです。
天然の油脂に苛性ソーダ(または苛性カリ)を加えて反応させると石鹸が出来ますが、苛性ソーダはアルカリ性なので、石鹸はアルカリ性になります。
反応させて作るので、原料は天然物ですが「合成界面活性剤」と呼ばれます。
人の肌は弱酸性ですが、健康な肌であればアルカリ性の石鹸で洗ってもすぐに弱酸性に戻るので大丈夫です。
皮膚が極端に弱い場合や炎症がある場合はアルカリ石鹸は控えた方が良いでしょう。
石けんシャンプーは
- 髪がきしむ
- 石けんカスが残る
などの理由で敬遠されがちですが、髪のきしみは髪が健康なり、本来のツヤを取り戻すことが出来れば気にならなくなります。
また、クエン酸リンスを使えばツルツルになります。リンスは薬局に売っているクエン酸Naをお湯に溶かして作ることも出来ます。
飲むことも出来るフルーツ酢などは、香りも良くてリンスにおすすめですよ。
石けんカスも個人差がありますが、だいたい1~2週間で気にならなくなるでしょう。
低刺激な脂肪酸エステル系界面活性剤
脂肪酸と石鹸の副産物であるグリセリンを反応させたり、脂肪酸とショ糖を反応させて出来る界面活性剤です。
- ラウリン酸スクロース
- ミリスチン酸スクロース
低刺激なのでシャンプーよりも化粧品などによく使われています。
髪に優しいアミノ酸系界面活性剤
アミノ酸由来の界面活性剤で、適度な洗浄力と脱脂力があり、髪をしなやかなに洗い上げます。
- ココイルメチルタウリンNa
- ラウロイルメチルタウリンNa
- ココイルグルタミン酸Na
- ラウロイルメチルアラニンNa
- ココイルメチルアラニンNa
- ラウラミノプロピオン酸Na
- ラウリミノジプロピオン酸Na
- ラウロイルアスパラギン酸Na
低刺激なので頭皮にも安心して使えます。サロン系のシャンプーによく使われる界面活性剤です。
肌への刺激が強い高級アルコール系界面活性剤
製造方法によって脂肪酸から作られる天然系のものと石油から作られる石油系にものがあります。
- ラウリル硫酸Na
- ラウレス硫酸Na
- ラウレス硫酸アンモニウム
- ラウリル硫酸塩
など。
いずれも洗浄力が非常に強く、肌への刺激が非常に強い成分です。肌の弱い方にとっては薄毛や抜け毛の原因となる可能性もあります。
中でもラウリル酸Naは分子が小さく毛穴からも浸透するため、経皮毒を起こす危険も心配されています。
- ラウレス硫酸Na
- ラウレス硫酸アンモニウム
これらは洗浄力、脱脂力ともに強く、敏感肌の人は使わない方がいい成分です。硫酸系の界面活性剤は刺激が強いと覚えておくと良いでしょう。
石油から作られれる石油系界面活性剤
文字通り、石油から作られている界面活性剤です。
- 側鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na(ABS)
- 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸Na(LAS)
- オレフィン(C12-C14)スルホン酸Na
洗濯洗剤などに使われていますが、スルホン酸Naはサロン系のシャンプーに使われることもあります。
イオンの性質による界面活性剤の分類
原料や製造方法による分類の他に、成分構成による分類があります。
水に溶けた時にイオンを持つか持たないか、またイオンの種類(陽イオンまたは陰イオン)によって4つのタイプに分類されます。
このうち、泡立ちもよく皮膚に対して比較的易しい洗浄剤であることからアニオン界面活性剤と両性界面活性剤がシャンプーに使われています。
シャンプーなどに広く使われるアニオン界面活性剤
水に溶けた時に疎水基のついている部分が陰イオンに電離する性質があり、陰イオン性界面活性剤とも呼ばれます。
界面活性剤のおよそ3分の1を占める、一番使われている界面活性剤といっていいでしょう。石鹸にも使われています。
- 疎水基
- 水となじみにくい原子団のこと。アルキル基やフェニル基などがあり親油基ともいう。この反対は親水基。
アルカリ石鹸系 | オレイン酸Na/ラウレス-3酢酸Na | 石鹸に使われ洗浄力はありますが、若干肌への刺激がある。水中のカルシウムイオンと結合して石けんカスを作る。 |
酸性石鹸系 | ラウレス-4カルボン酸Na | 石鹸を改良し適度な洗浄力を持たせたもの。弱酸性で刺激は弱いですが合成の油を原料としているため、厳密にいうと石鹸ではない。 |
スルホコハク酸系 | スルホコハク酸ラウレス2Na | 泡の持続力に優れていて、高級アルコール系よりは若干皮膚刺激が弱まっている。 |
タンパク質由来系 | ココイル加水分解コラーゲンNaなど | 髪や頭皮に優しく髪の毛の感触をなめらかにする |
タウリン系 | ココイルメチルタウリンNaなど | タウリンから作られていて肌や髪に優しい低刺激の界面活性剤。 |
その他、高級アルコール系、アミノ酸系もこのアニオン界面活性剤の分類に入ります。
低刺激な両性界面活性剤
水に溶けた時に二つの性質が現れるので両性イオン系界面活性剤とも呼ばれます。
- アルカリ性領域ではアニオン界面活性剤
- 酸性領域ではカチオン界面活性剤
ベタイン系とアミノ酸系に分かれ、ベタイン系は低刺激で目に入っても痛くないのでベビーシャンプーなどに使われることもあります。
- ラウラミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)
- ココアン赤酢酸Na
- ラウリミノジプロピオン酸Na
などがあります。
ベタインとはサトウダイコンから作られる保湿成分で、化粧品などにもよく使われています。
柔軟剤にも使われるカチオン界面活性剤
水に溶けた時に疎水基のついている部分が陽イオンに電離する性質があり、陽イオン性界面活性剤とも呼ばれます。
トリートメントや衣類の柔軟剤などに使われる成分です。
- 毛髪を保護する
- 毛髪を柔らかくする
- しっとりさせる
などの効果があります。
- ステアリルトリモニウムブロミド
- セトリモニウムブロミド
- ステアリルトリモニウムクロリド
- セトリモニウムクロリド
などの成分があります。
水に溶かした時に疎水基のついている部分が陽イオンに電離するという、石鹸とは逆の構造を持っているため「逆性石鹸」と呼ばれることもある界面活性剤です。
泡立ちは少ないノニオン界面活性剤
乳化作用に優れ、衣料用の洗剤などによく使われます。水に溶かした時にイオン化しないのが特徴です。
- グリセリン脂肪酸エステル
- ソルビタン脂肪酸エステル
- ショ糖脂肪酸エステル
など。
食品添加物としての認可もあり、食品の乳化剤などにも使われます。
- ポリオキシエチレンアルキルエーテル
- ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
など。
衣料用の洗浄剤として使われます。
- ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
- ポリオキシエチレンヘキシタン脂肪酸エステル
など。
- ラウリン酸ジエタノールアミド
- オレイン酸ジエタノールアミド
- コカミドDEA
など
種類も多く、シャンプーから食品まで幅広く使われています。
なぜ体に悪いと言われる?界面活性剤を正しく理解しよう
界面活性剤の種類はわかりましたが、なぜ界面活性剤=身体に悪いもの、というイメージが広まってしまっているのでしょうか。
肌によくないものをどうやって見分けたらいい?
これまで挙げて来た界面活性剤の成分をすべて覚えておくのは無理ですし、カタカナばかりでどれがどれだかわからなくなってしまいますよね。
ですからひとつの目安として、シャンプーを買う時は成分名をよく見て
- 「~硫酸」
- 「アルキル~」
- 「スルホン酸~」
などが、肌に刺激の強い界面活性剤の成分だと覚えておけば良いでしょう。
合成界面活性剤がよくないとされる理由
合成界面活性剤、特に高級アルコール系の界面活性剤がよくないといわれる理由のひとつが皮膚への刺激です。
洗浄力が高い分、皮膚への刺激は強くなってしまうのは事実。
それなのになぜいつまでもシャンプーに使われているのでしょうか。それはコストが安くてすみ、いくらでも人工的に作り出すことが出来るからです。
そしてその安価なものを消費者が求めているからという理由もあります。メーカー側も消費者が求めていないものは作りません。
それぞれの成分が自分の体にとってどんな影響があるのかをしっかり見極めて、本当によくないものなら買わない、という選択肢があります。
消費者側も賢くなる必要があります。
界面活性剤の入っていないシャンプーはない
キッチ洗剤もシャンプーも「洗う」ための機能を持ったものにはすべて界面活性剤が入っています。
ノンシリコンシャンプーが合成界面活性剤不使用と混同されて、あたかも髪に優しい低刺激なシャンプーであるかの様に誤解されている方もいますが、シリコンは洗浄力とは関係がありません。
シリコンとは髪をコーティングする作用のある成分なので、それを除いているだけでは低刺激であるとはいえませんよね。
泡立つ以上は必ず界面活性剤が使われているので、シリコンの有無よりも界面活性剤の成分を確認する方がずっと重要です。
合成界面活性剤がすべて悪いわけではない
よく、「植物性だから安全」「植物由来成分100%」のように、植物からできているから安全性が高い、合成界面活性剤は発がん性も心配でよくないものだ、との思い込みがあります。
しかし、植物成分=低刺激で安全、合成=すべてよくない、ではありません。アミノ酸系、石鹸系、脂肪酸エステル系は素材は天然でも人工的に作られた合成界面活性剤です。
では合成界面活性剤がすべて肌や髪によくないのかというとそんなことはないわけで、肌に刺激が強いのは高級アルコール系、石油系の合成界面活性剤です。
何が良くて何がよくないのかをしっかり見極める必要があります。
それには、今回たくさんの界面活性剤の表示名をご紹介しているので、ぜひ参考にして下さい。
シャンプーの成分表示をしっかり確認しよう
アミノ酸系やベタイン系の界面活性剤が髪には優しいということはわかりました。ただ、シャンプーを選ぶ時は、成分表示をしっかりすべてみて下さい。
確かに、まったく入っていないわけではないので嘘ではありませんが、消費者の側からすれば欲しかったものではありませんよね。
成分は含有量の多い順に表示されていますから、一番は水です。
その次からが界面活性剤になるので、カタカナばかりでイヤになるかもしれませんが、しっかり確認してから買うようにしましょう。
自分の髪を美しくするかは自分次第!宣伝文句に惑わされず商品選びを!
髪を美しくしたいと思うなら、少しでも刺激の少ない、髪に良い成分のシャンプーを使うしかありません。
であれば、商品の宣伝文句に惑わされない正しい知識をつけることが必要です。
天然って書いてあるから何となく良さそう、ではなくて「自分の髪に使っても大丈夫な成分だから」といえるような賢い消費者になりましょう。
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