多汗症を治す方法。自分でできる対処法と病院での治療法
Date:2017.06.02
多汗症を単なる汗っかきと勘違いして、誰にも相談できずに困っている人が意外と多いことはあまり知られていません。
今や多汗症は日本人の7人に1人が悩んでいるといわれています。
でも安心してください。多汗症は病院で治療が出来る病気です。どのような治療法があるのか、多汗症の治し方についてご紹介します。
自分で出来る多汗症の改善法
病院に行くほどではないんだけれど、人と比べると汗の量が多い気がして悩んでいるという方、多汗症だろうとは思うけどいきなり病院へは行きたくないという方へ、まずは自分でできる対処法をご紹介しましょう。
塩化アルミニウムを使って発汗を抑える
多汗症となると普通の制汗剤ではあまり効果が期待できませんので、塩化アルミニウムが配合された制汗剤を使うのがおすすめです。
市販品では「オドレミン」がよく知られており、脇汗はこれでかなりおさえられるとのこと。
汗なんて気にしない
精神性発汗はストレスが原因です。ストレスを感じて自律神経のバランスが乱れて汗が出始めると、それが気になって余計にあせをかいてしまうという悪循環。
それをどこかで断ち切らないといけません。
汗が気になって、人に見られている、恥ずかしいと思うほどに汗は出てきます。
大丈夫、誰も気にしていない、そのくらいの気持ちで汗のことを忘れるということも大事です。
汗は誰でもかく!このくらいのおおらかな気持ちになるように訓練してみてください。
半側発汗で汗を止める
舞妓さんがおしろいが崩れないように汗を止められるのは帯をきつく締めて上半身を圧迫しているからだということは良く知られていますね。
この方法を「半側発汗」といい、身体の半分を圧迫すると汗が減り、反対側の汗が増えるという仕組みです。
上半身を圧迫すると上半身の汗は減るということが分かっているので、これを応用しましょう。
顔や頭の汗を止めたい!という時には胸を圧迫すれば胸から上の汗は止まります。専用のバンドも売っていますが、ツボを押すのもおすすめ。
- 屋翳(おくえい)
- 乳首から3~5cm上にあるツボで、ここを強めに数分押します。
食生活を見直すことも大事
- 脂っこいもの
- 辛いものなど刺激物
- アルコールの摂り過ぎ
などは交感神経を活発にして汗を増やします。
アロマテラピーでストレスを解消する
汗が出るのは交感神経が活発になってしまっているからです。それなら交感神経を鎮める方法として、アロマテラピーをおすすめしたいと思います。
アロマテラピーで使う精油(エッセンシャルオイル)には、自律神経のバランスを取って、副交感神経を優位にしてくれるものがあります。
- ベルガモット
- マジョラム
- バジル
- タラゴン
などの精油がオススメです!
使い方は簡単。アロマランプなどの器具がなくても大丈夫です。
心が疲れているときは、よく眠って身体の疲れを取ることもとても大切です。しっかり睡眠を取ってストレスを解消してください。
肥満を解消する
太っていることも実は汗を増やしてしまう原因の一つです。それは脂肪が熱をブロックして体温を上げてしまうから。
もしも多汗症で肥満ぎみなら、まずはダイエットすることも汗を減らすことにつながります。
病院で多汗症を治療する方法
自分で行う方法は「治療」ではありませんから、根本的な改善にはつながりません。
自分で色々試してみたけど、もしも汗の悩みが消えないなら迷わず病院へ行きましょう。
治療法は色々あるので、医師とよく相談の上、自分にあった治療法を見つけてください。
皮膚科で塗り薬をもらう
塩化アルミニウムが配合された塗り薬が処方されるので、それを塗り続けることで汗腺を防いで汗が出るのを防ぎます。
手の平や脇など、汗が気になるところに夜寝る前に塗り、翌朝水で洗い流します。1日では効果がでないので、汗が出にくくなるまで繰り返します。
手汗がひどい人は薬を塗った後に手袋などをして寝るといいでしょう。
およそ2週間程度で70%程の人が効果を実感できるといわれており、塗ればいいという手軽さなので続けやすいというメリットがあります。
根本的な治療にはならないので、一時的に汗を止める方法だと思われていましたが、最近では汗腺そのものを萎縮させて汗を抑える作用のあることが分かってきました。
長期にわたって根気よく使用することで、汗そのものを抑えられる可能性もあります。
多汗症の電気治療(イオントフォレーシス)
汗が出る部位を水の中につけて、その中に電流を流す「イオントフォレーシス」という治療法です。
保険も適用されますし、水につけるだけなので切る必要がないということがメリットです。
数回治療を受けているうちに効果が出てきます。この治療法は80%以上の患者さんに効果があるといわれています。
まずは2週間連続して治療を受け、その後1~2週間に1度くらい治療を受けるようにします。
デメリットは手足の治療しか出来ないこと。水につけないといけないので、頭や脇の下は治療できないんです。
また、電気を流すため、ペースメーカーを使っている人や骨折の治療でボルトが入っている人も使えません。
ボツリヌス菌の注射(ボトックス注射)
ボツリヌス菌は美容整形外科などでシワ取りにも使われている菌ですね。これが多汗症の治療にも使えるのです。
ボツリヌス菌の毒素が交感神経からの信号をブロックし、エクリン腺からの汗が出ないようにしてくれるからなんです。残念ながら完治はしませんが、3~6ヶ月程度効果が続きます。
どのくらいの量を注入するかは部位や症状によるので、費用もクリニックによってかなり幅があります。
保険が適用されれば3万円程度で済みますが、自由診療だと10万円以上かかる場合もあります。
腹部交感神経節切断術(ETS手術)
「胸腔鏡下胸部交感神経遮断術」「ETS手術」とも呼ばれます。外科手術になるので、胸部外科や呼吸器外科などでの治療となります。
他の治療法と違い、再発率が非常に低く、ほぼ完治させることが出来る方法です。
ただし、デメリットとして「代償性発汗」という副作用がほとんどの人に起こるということを理解しておく必要があります。
汗が全く出てこなくなるわけではない可能性が高いため、いきなり手術する人は少ないです。
他の治療法を試してもダメだった場合に採用されることが多いですし、また、説明をしっかり聞いて、納得して受けることが大切です。
多汗症用の内服薬:抗コリン薬
抗コリン剤の一つ、プロパンサインや自律神経を調整するグランダキシン、抗不安薬などが処方されることがあります。
ただし、汗を止める作用には個人差があることと、眠気や口の乾きを感じやすくなるなどの副作用が起こる可能性があります。
というのも、飲み薬なので手汗だけ、といったように局所的に汗を止めるのは難しいからです。
全身の汗が出にくくなることがあるので、医師の指示に従って正しく服用することが大切です。
漢方薬を処方されることも
漢方薬は多汗症の原因が更年期障害や精神的なストレスの場合に使われることがあります。
多汗症の原因となっている不安や更年期障害などの不調を和らげることで汗を抑えるというものです。
薬を使いたくない人は心理療法
多汗症の多くはストレスによる自律神経の乱れによって起こります。自分で気持ちをコントロール出来るようになれば良いのですが、それもなかなか難しいでしょう。
そういった場合は専門家の力を借りて「自律訓練法(自律神経訓練法)」などの心理療法を試してみるといいでしょう。
多汗症の治療だけでなく、自分でストレスをコントロールする力もつくはずです。日常リラックス法としても役に立つので、緊張や不安を感じやすい人におすすめです。
多汗症かなと思ったらまずは病院へ!
汗で困っているのに、単なる汗っかきだと思って病院へ行かずに一人で悩んでいる人が多いと思います。
でも恥ずかしがらないで、もし汗で困っているならなるべく早く皮膚科を受診してください。
汗に悩まされない、快適な日常を送るためにも、まずは1度相談してみませんか。
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